【作品#0181】第3逃亡者(1937) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

第3逃亡者(原題:Young and Innocent)


【概要】

1937年のイギリス映画
上映時間は84分

【あらすじ】

死体を発見したロバートは、殺人犯と間違われて逮捕されるが、裁判前に逃亡し、警察署長の娘に協力を得ながら真犯人探しを始める。

【スタッフ】

監督はアルフレッド・ヒッチコック
原作はジョセフィン・テイ「ロウソクのために一シリングを」
音楽はルイス・レヴィ
撮影はバーナード・ノールズ

【キャスト】

デリック・デ・マーニー(ロバート)
ノヴァ・ピルビーム(エリカ)

【感想】

 

ジョセフィン・テイが1936年に発表した「ロウソクのために一シリングを」の映画化。

そもそも主人公の男が犯人に仕立て上げられる過程はかなり強引だ。助けを呼びに走っているところを逃亡したと思われただけでも無茶な話だが、そこに主人公の盗まれたレインコートのベルトが落ちていたのが決定打となったようだ。ただ、自殺か他殺かも分からないし、主人公のコートのベルトである確証もない。助けを呼びに走っているところを目撃した2人組の女性からは「絶対に逃げた」とまで言われる。仮に逃げたのならなぜ戻って来たのか説明もつかない。観客には彼が犯人ではないことは割と明白であるから、ここまで一方的な捕まり方をすれば同情したいところだが、いくら何でも雑である。

そして、この主人公は裁判が始まる前に逃走する。直前の弁護士とのやり取りで、勝ち目がなさそうなので逃走するのも分からなくはないので、ここは良しとしよう。その後、彼の逃走を助けてくれるのが、この事件の捜査をする警察署長の娘なのだ。彼女の車のエンジンをかけてくれたり、ガソリン代を出してくれたくらいで逃走を手助けするだろうか。まして、この主人公はどうみてもチャラ男で、せっかく同情しやすい(強引な)筋書きにしたのに観客がいかにも同情しづらいキャラクター設定である。そんな彼からちょっと優しくされたくらいで、涙を流しながら彼の無実を父親に訴える場面は全く持って理解できない。どうせなら、彼のアリバイの手掛かりを知っているが、それを父親には知られたくないとか、それくらいの事実がないと、この2人を結び付けるにはあまりにも強引だ。

この辺りのどう考えても同情しづらい2人のやり取りが続いていくため、主人公の無実を証明できるレインコート探しもなかなか進んでいかない。というか、そのレインコートが主人公の物であると証明できるものはないだろう。レインコートを探して運よくウィルの名前を教えてくれる人がいるのもなかなか好都合だ。そしてこのウィルに辿り着くと、事情を知っていると察した主人公は強引に彼女の車に連れ込む。「誘拐だ」と言うウィルだが、彼らの話をちょっと聞くとすべて信じて、わざわざ隠れられる場所にまで案内してくれる。その案内場所が古い採掘場で、車が穴に落ちると言う全く必要のない寄り道もある。

そしてラストはウィルと警察署長の娘が「まばたき男」を探す展開(この男を映す長回しは流石)。観客にはこの男の存在を教えているものだから、捕まるまでの展開は冗長である。最後にはこの男が薬で倒れて、看病にやって来た娘が犯人に気付くというのも都合が良すぎる。


ここまで主人公の男女2人両方に肩入れできない映画も珍しい。はっきり言ってヒッチコックにして駄作。

 

 

 

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