【作品#0165】北の桜守(2018) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

北の桜守

 

【Podcast】

Podcastでは、作品の概要、感想などについて話しています。

 

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【概要】

 

2018年の日本映画

上映時間は126分

 

【あらすじ】

 

ビジネスに成功し、新たなチェーン店を開店させた修二郎のところへ連絡が入ったことで、彼は15年ぶりに母のいる網走を訪ねることになる。

 

【スタッフ】

 

監督は滝田洋二郎

脚本は那須真知子

音楽は小椋佳/星勝/海田庄吾

撮影は浜田毅

 

【キャスト】

 

吉永小百合(江蓮てつ)

堺雅人(江蓮修二郎)

篠原涼子(江蓮真里)

岸部一徳(山岡和夫)

高島礼子(島田光江)

永島敏行(三田医師)

中村雅俊(岡部大吉)

阿部寛(江蓮徳次郎)

佐藤浩市(菅原信治)

 

【感想】

 

「北の三部作」最後の作品となった本作は、吉永小百合の映画出演120本目となった作品でもある。

 

現代パートと回想パートを行き来する構成は前作「北のカナリアたち」と同じだが、戦争パートについてはなぜか舞台劇になっており、このような設定にした意図はまるで見えてこない。冒頭に別れた阿部寛演じる夫とラストの舞台で再会したとして、それはもう意味不明である。この構成を見て思い出すのは大林宣彦監督作品の「この空の花 長岡花火物語(2012)」である。この作品でも現代パートと回想パートを行き来し、戦争パートは舞台劇であった。おそらくこれを真似たのではないかと察する。

 

「北の三部作」すべてに言えることだが、本作も吉永小百合の演じる年齢がおかしなことになっている。息子ほど年の離れた阿部寛が夫役を演じ、彼らの間に小さな子供がいることで、「どう見ても年の差があるけど、彼らは夫婦なのね」と観客側が気を遣って補完しなければならない。

 

また、「北の三部作」の中でも一番おかしな場面が本作の中盤にある。佐藤浩市の子分が吉永小百合のことを見て、「あの女、いい女ですぜ。やっちまいましょう」という場面がある。20代くらいの若者が、70過ぎの女性(吉永小百合の実年齢だが)に対して、そんなこと言うだろうか。別にこの場面は、この若者がこんなことを言わなくても成立する場面なので、脚本家がこのセリフをわざわざ言わせていることになる。いくら何でも周囲が吉永小百合の見た目の若さを買い被りすぎではないか。ここまで来るとはっきり言って気持ち悪い。

 

現代パートでは息子が1人しか出て来ず、回想パートが進んでいくにつれて修二郎の弟がどうなったのかが明らかになるが、これも「ソフィーの選択(1982)」的なことがやりたかったのかと思った。

 

また現代パートの多くを占めるのが修二郎の展開するチェーン店での話だが、本筋にほとんど絡んでくることがなく、これくらいなら修二郎は何かのビジネスに成功しているという設定で良かったと思うし、義理のお父さんも別に登場する必要性は感じない。

 

そしてタイトルにある「桜守」の意味はラストに明らかになるが、そもそも江蓮てつが桜に対して思い入れがあるという場面は実質1回しか本作には登場しない。それをラストで2年も引っ張って見せられても、「ああ、そうでうすか」としかならない。

 

「北の三部作」通して言えるのは、吉永小百合が演じたことですべてが嘘っぽく見えてしまうことだ。いずれも自身の年齢よりも遥かに若い設定のキャラクターを演じている。俳優の実年齢と演じる役の年齢は関係ないと私も思っているが、これだけ続くとさすがにやり過ぎだと思う。なので、この三部作は吉永小百合というプログラムピクチャーなのだ。

 

【関連作品】

 

北の零年(2004)」…北の三部作の一作目

北のカナリアたち(2012)」…北の三部作の二作目

「北の桜守(2018)」…北の三部作の三作目

 

 

 

取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

【配信関連】

<Amazon Prime Video>

言語
├オリジナル(日本語)

 

【ソフト関連】

<DVD>

言語
├オリジナル(日本語)

映像特典

├北の桜守メイキング
├VFX(視覚効果)メイキング
├完成披露舞台挨拶
├初日舞台挨拶
├特報/予告/TVスポット集