徒然なる枕草子VII 41「長寿の秘策」(心の中へ479) | isaoのブログ

04:15
08:18
誘われたので
珍しく早起きをして珈琲を飲みに出かけた。
朝の光を浴び、
娑婆の冷たい空気を吸うのは久しぶりの事だ。
店はまるで老人専門店で有るかの如く
見事全席に老人ばかりが腰を降ろしていて驚いた。
「人は愚痴を零さないと長生きできないのさ。」
と言われて、思わず「有る程」と頷いた。
俯き加減で顔色が優れない私と違って
老人たちは皆、目が輝き頬に生気が満ち溢れいる。
そして互いの顔を見ながら
夢中で口を開いているのだ。
店内はあちらこちらの話し声で騒がしく
少し声を張らないと相手に声が届かない程だった。
2021年
全国都道府県別
「平均寿命ランキング」で1位だったのは
滋賀県で81.78歳だった。
岐阜県は14位で81.00歳であるのだと言う。
その平均寿命年齢まで私はまだまだ時間がある。
人生を悲観して拗ねている場合ではないのだ。



幕は突然降ろされて(心の中へ478)
04:15
09:16
ケーキを手に兄宅を訪問した。
彼の誕生日を祝うためである。
部屋に通され、椅子に座るなり
珈琲を淹れてくれている兄の背に向かって
私は2か月間溜まっていた鬱憤を
機関銃を打ち放つ勢いで捲し立てた。
ハリウッドで
「ゴジラ」が賞を獲った事を皮切りに
兎に角、唾を飛ばしながら夢中になって
私は声を張り上げた。
兄は最後に言った。
「お互いに上手く生きられんかったけど
せめて長生きくらいしてやろうぜ!」
だが、それには
没頭できる趣味が必要だと彼は続けた。
「プラモ作りか、読書かな。」
そう言って彼は笑った。
私はふと、頭の片隅で
もう一度「下手な物語作り」
をやってみようかと密かに考え始めていた。
玄関を出た時、
胸に渦巻いていたどす黒いストレスは
すっかりと消え失せていた。
人と話す事の大切さを思い知った一日だった。
めんどくさらず、
これからは誘われたら直ぐに腰を上げて
喫茶店へ行こうと誓った。
断ってばかりいた先輩、済みません。
もう一度誘ってやってください。