古い日本映画を見ました。
「バイバイ・ラブ」
藤沢勇夫監督の1974年の自主制作映画。
長年未ソフト化、未配信だった作品です。
最近海外映画祭の上映などでも話題になっていて、幻のクィア映画として再注目されています。
▼引用サイト
70年代の日本のレトロ感が今見ると新鮮です。
画面がオシャレ。
ファッションも可愛い。
ストーリーは主人公の不良青年ウタマロが警察に追われる美少女を助けて一緒に逃避行、しかし美少女だと思っていた相手は実は美少年だった、というもの。
前知識なく見たので美少女のギーコが女性にしか見えませんでした。
声も高いから「女装の美少年」役を女性が演じているんだろうと思いながら見ていました。
ウタマロはギーコに惹かれながらも、なんでお前は女じゃないんだろう、と複雑な心境を覗かせます。
ギーコは、女とか男とかどうでもいいじゃない、と飄々としています。
映画は「俺たちに明日はない」や「テルマ&ルイーズ」のような逃避行の果てに犯罪を重ねていく古典的なロードトリップ。
そこにクィアな要素がごく自然に混じり合って70年代の雰囲気とキッチュで実験的な映像が楽しい作品に仕上がっています。
見ている側は序盤から登場するギーコが女性にしか見えないので混乱します。
どう見ても女性なのに男性?本当に?と気になって仕方ないのです。
これは一種のギミックのようにも思えます。
見た目の男らしさ女らしさに対する固定観念と、そもそもなぜそんなにも人の性別が気になるんだろう?と自問自答させられます。
後半、ギーコが男性であることがはっきりと分かるシーンがあります。
するとその後はとたんにギーコが男性にしか見えなくなる。不思議です。
映画解説を読むとギーコの声は女性が吹き替えをしているとのこと。
中性的な魅力のある俳優さんなので声も彼自身のオリジナルで聞いてみたかったけど、この仕掛けのために吹き替えが必要だったのかなと思いました。
斬新で自由な発想のレトロクィア映画。
今後国内のミニシアターなどでぜひ上映してほしい作品です。