「アウトレイジ」
ビートたけしのヤクザ映画です。
続く「ビヨンド」「最終章」と全部で三作ある人気シリーズ。
時々見たくなる映画です。
動画配信はされていないので、ケーブルテレビで放送した時に録画して見たりします。
何度見ても不思議なのは、この映画って一体何が面白いのかよく分からないところ。
例えばヤクザ映画でも「新しき世界」や「インファナル・アフェア」のような潜入捜査モノは人間ドラマの部分も大きいし、映画としての深みもあります。
だけど「アウトレイジ」はヤクザ同士の抗争オンリーで、組同士のイザコザとか潰し合いだけのお話です。
ヤクザが怒鳴ったり暴れたり、現実でそうそうお目にかかることもないので映画で見るのは面白い、というのはあります。
バイオレンスも自分が巻き込まれたら大変だけど、映画で見てるだけなら楽しめます。
でもそれだけだとたぶん一度見たら飽きてしまう。
何度も見たくなるのは、北野監督が作る男同士の映画独特の色気があるからでしょうか。
出てくる人物もただカッコいいとかイケメンとかじゃなくて、情けなかったり哀愁だったりそういうの全部ひっくるめた魅力があります。
ストーリー自体は割とどうでもいいのに、なぜか何度も見てしまうのはその辺の要素も大きいのかなと思います。
ちなみにストーリーがいかにどうでもいいかは一作目のあらすじを読んでもらえたら分かります。
関東一円を取り仕切る巨大暴力団・山王会の組長・関内は、直系ではない村瀬組の締め付けを池元組に命じる。池元組の池元組長は面倒で厄介な仕事をいつものように配下の大友組の組長・大友に任せるのだった。引用サイト
ほんとにこういうヤクザの組同士のイザコザの話。それだけ。
主な見せ場は殴る蹴る、怒号、ドンパチ、残虐リンチです。
残虐リンチ系は実は韓国映画よりこっちが早いと思いますが、バリエーションも豊かで驚きます。
歯医者で診察台に横たわるヤクザの口にドリルを突っ込んで血みどろとか、中華料理屋で箸を耳穴に突っ込んで流血とか、ぶった切った指が飛んでラーメンにインとか激しいです。
映画に非日常のエキサイトメントを求めている人にはもってこいなドキドキ感です。
単純なヤクザバイオレンス映画だからこそ、キャラの魅力は際立ちます。
主人公、大友(たけし)の腹心、水野(椎名桔平)がセクシーです。
大友もヤクザらしい凶暴さを保ちつつ、どこか飄々とした哀愁が味わい深いです。
ベタベタしたブロマンスは一切ありませんが、水野の大友に対する忠誠心はじわりとにじみます。
いつもヘラヘラしている水野は大友に対しては顔つきが違うし、大友も組が危なくなった時には水野を真っ先に逃がすなどします。
水野がいい男だから、というのもある気がします。やっぱりヤクザだって自分が色気を感じられる男をそばに置きたいんじゃないですかね。
今回は一作目だけの感想で終わってしまいましたが、水野は二作目以降出ないので私が一番好きなのも一作目です。
二作目は頭脳派ヤクザの石原(加瀬亮)が突然のキャラ変でヒステリックになるのが見どころ。(可愛いです)
三作目は韓国ヤクザなども出てきてスケールが拡大、機関銃の乱射などド派手な演出でラストらしいお祭り感が楽しめます。
時々思い出すと見たくなるアウトレイジシリーズ。
CSチャンネルなどで放送されていたら、ぜひチェックしてみてください。