期間限定で一般公開されている
タイのプミポン前国王(ラマ9世)の
葬儀殿に行ってきました。
2017年12月末日までの公開予定。
元々11月いっぱいでの公開期間が延長して
いるのもあって、また延長するんじゃあ
ないかな…なんて少しだけ思っていたり。
だってあんなにも美しいんだもの。
行ったのは、平日金曜日の夜。
しごと終わりにナショナルスタジアム駅で
待ち合わせて、タクシーで王宮方面へ。
…駅で集合だったハズなのに、なぜか
MBK内の某専門店で落ち合うという謎。
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葬儀殿があるのは、王宮のすぐ隣にある
サナームルアン(王宮前広場)。
詳しい行き方(日本語):
コチラを参考に行きました。
ナショナルスタジアム駅直結のMBKから
タクシーを拾って行く際は、火葬殿の写真を
ドライバーさんに見せただけで行けました
なお、
往復ともにナショナルスタジアム駅発着で、
行き:120バーツ程度
帰り:60バーツ程度
さすが華金、行き(18:30頃)は少し渋滞。
拝覧可能時間:
月〜日:07:00〜22:00
ただし、中の建物はオープン時間が違ったり。
開始が06:00〜とはいかに…(◎・ω・◎)?
持ちもの:
パスポートなど身分を証明できるもの。
ワークパミットのコピーでいけたけど、
顔写真が1番チェックされていたから
顔写真入りの身分証明要ってカンジかな?
トイレ事情:
公開に合わせてか、お手洗いはかなりの数で
広場内に増設されていました。
わりとというか結構キレイな洋式でホッ
紙が個室内に用意されていないトコロも
あるから、そこだけ注意かも。
関連する過去の記録:
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とてもたくさんの人が拝覧に訪れており、
待つ用の椅子も多く用意されていたものの、
待つコトは一切なく回れました。
それでも20:00くらいは、
そこそこに人がいたかな?
入場時にはガイドももらえます。
タイ語・英語・中国語があって、
英語版をもらいました。
特殊印刷や特殊加工、定形外用紙、折り方、
実に手が込んでいて素晴らしいです
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歩いていくと正面に構えるのが
メインとなる火葬殿。
淡く光る黄金の輝きがとにかく美しい。
思わずほうっとため息が漏れるような。
もっと厳かで張り詰めた空気があるのかと
思っていたのだけれど、
和やかな雰囲気が心地よかったです。
どこを見ても本当に美しいのだけれど、
建物の様式にもものすごくこだわりが
感じられて、それがまた興味深い。
実際に見られた方ならお気づきかもだけど
「奇数」に徹底して建物設計されているのが
さすがだなあ、なんて
例えば「屋根」にあたる部分。
手前から三段・五段・七段、と続き、
中央いちばんてっぺんの白い部分は九段。
ナーガ(龍神)の顔の数も
手前から一つ、三つ、五つ、七つ。
奇数は陽数であり、「九」はその中でも
強い力を持つとされています。
人日(七草)、上巳(ひなまつり)、端午、
七夕、重陽(九月九日)の節句もその由縁。
日本では「陰陽思想」によりそう考えられて
いますが、タイではどうかわかりません。
でも、タイのどのお寺に行っても奇数が
重用されているのを見る限り、タイでも
「奇数」を大切にしているだろうとは
思っています。
当代一の叡智と技術による建立だろうと
実際に見ても強くそう感じたので、
そんな古来よりの考えがおそらくあっての
設計だろうとも思います。
例えば魚や鳥など他の動物と融合したゾウや
ガルーダ、シンハーなど、タイやインドの
神話に登場する動物や説話が元となった像も
多くて、とにかく見応えがすごい
それぞれ建物や像についても説明が書いて
あったから、こういうのが好きだと
大層たまらんかも…!
夜の暗さで読めなかったのが残念
とは言え、民俗学や宗教学は専門でないから
奇数うんぬんに関してもトンチンカンな
コトを言っているかも
だけどそんな視点でいろんなモノを見たり
できて、とっても興味深い
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火葬殿そのものもステキなんだけど、
その周りをじっくりと見て回るのも
また面白くって
植えられた黄色いお花たちは、
どれも瑞々しく、細かい手入れがきちんと
されている様子が伺えます。
火葬殿の周りには、資料館がいくつもあって
建立のときの様子やプミポン前国王の軌跡の
一部を間近で見るコトができます。
メインの資料館の入り口には、彼が愛した
名犬・トンデーンたちが
SFシネマ系列で映画を観ていた人たちには
お馴染みの顔ぶれかな(*´艸`*)
ほんっとに資料が豊富で、見ても見ても
見尽くせないほど。
建物の装飾のほんのひとつをとっても
ひとつひとつ丁寧に仕上げられているのが
垣間見えて、うっとり。
ほんのほんのわずかの、たったごく一部の
きっと誰からも肉眼では目にするコトが
できないような小さなパーツに対しても
丹念にデザイン・制作されていて、
こんなの、もはや敬意でしかない。
神話の世界の登場人物たちも、
生き生きとしていながら、
どこか表情はやわらかいような。
つくられたのだろうか。
これだけのプロジェクトの中で作品を納めた
というコトがきっと誇りになるだろうなあ。
宗教画も色あいやタッチが柔らかで美しい。
色彩設計はもちろん、表情がとにかく
柔らかで見ていてホッとします。
なかなかに現代的なセンスだよなあ。
製作中の様子は、パネルや映像でも
見るコトができます。
とんでもない短納期の中、
あまりにもあまりにも大規模すぎる
プロジェクトで、感嘆の言葉しかない!
使用していた画材の紹介なんかも
クリエイターの人からしたらテンションが
さぞかし上がるんだろうなあ
畑違いだけれど、私も舞台装置なんかを
つくっていたので、ちょっぴりワクワク。
資料館の建物の中自体も絢爛豪華。
建物内から見る火葬殿もまた趣深い。
じっくりしみじみと感傷に浸れる風景かも。
しかもココ、ポストカードまでもらえる
帰るときにもらったのもあわせて、
2枚のカードをいただきました。
彼のタイにおける取り組みを、まるで
絵巻物のようにして描かれた壁画もステキ。
王様1人だけが後光というか神々しく
光をまとわれていて、もはや宗教画。
お仕事をされていた机の再現や、
ご幼少のみぎりに使われていたおもちゃなど
1人の「人」としてのご様子も
偲ばれるような思いになりました。
メインとなる資料館のさいごで流れていた
動画なども強く心に響いてくるものでした。
なんというか、説明が難しいのだけれど
きっとタイの人たちの中では、彼は
「永遠の存在」となっているのだろうな、
なんて、そんな風に受け止めました。
また別の資料館では、葬儀の際に火葬殿へと
向かう折に用いられた車などの展示もあって
ほんの2月前の光景が遠い昔のように
思い起こされました。
動画中継で見ていたものが、実物として
こんなにも近くにあるのが、なんだか
不思議な感覚。
展示にあたっては、職員の方が丁寧に
説明をされている姿もあって、
お花の香りなども嗅がせてもらったり。
すごく華やかで甘いにおい。
香水というより、お香の香り。
資料館をひと通り回り、改めて火葬殿を
じっくりと拝しました。
写真もゆっくり撮れた
平日夜ならではこそヾ(*´∀`)ノ
とても心地の良い空間でした
火葬殿のすぐ隣が王宮なので、
外から夜の王宮を垣間見たり。
王宮前の大通りも、車も人もぜんぜんおらず
不思議なカンジ。
ぽつりぽつりと感想などを話しながら
ゆっくりと帰りました。
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本当に正直に話すと、
行くコトはないのかな〜なんて、
実は漠然と思っていたのです。
なぜだかは自分でもわからないけれど、
そんな風に思っていました。
だけれど、行って本当によかった!
美しさや荘厳さはもちろんのこと、
悲しみの空気ではなく、穏やかな雰囲気に、
タイの人たちのしなやかさも見るコトが
できたように、一方的にだけど思います。
タイは、強いです。
きっと、これからも。