映画「殿、利息でござる!」を観てきました
JAPANESE FILM FESTIVAL 2017の上映全14作品踏破リレー・5作品目
◆公開日
日本:2016年05月14日
タイ:2017年02月07日(火) 19:00〜
◆公式予告動画
◆関連書籍・DVD
◆あらすじ
「ゼニと頭は、使いよう。」
時は江戸・明和。
10代将軍・徳川家治の時代。1700年なかば。
そんな時代に、仙台藩に起きた実話を元とした物語。
登場する人物も、阿部サダヲ演じる穀田屋十三郎をはじめ、実在の人物がモデルとなっています。
仙台藩にある宿場町・吉岡宿。
この町では「伝馬役」を担っており、その役割を全うするためにかかる個人への金銭的負担は大きかった。
困窮により、離散・夜逃げをする家も後を絶たず、このままではいけないと巡らせた案が「殿様にお金を貸して、その利息を伝馬役に充てる」というものだった。
殿様に貸すお金は、莫大で。
そしてそのお金を貸した者は、決して何か得をするワケではない。
町の負担を減らすため、町の人々の暮らしを守るため。
金策に走り回る中で見えてきた人々の思いを胸に、いざ殿様にお金を貸しつけん。
◆感想
終わった瞬間、会場内で拍手が沸き起こった映画でした。
そして私も自然と拍手を送っていました。
すごくよかった。
コレが実話だというコトが、そして共感できるコトが、同じ日本人としても実に誇らしい。
自分の損得よりも、町の人々のコトを思い、得にもならないようなコトのために大金を供出し、ましてや家業を潰してまでも私財を投げうつ。
自己犠牲は美しい。
見る人によっては、「自己犠牲」としか見えないかもしれないし、日本人特有の「個人の意思」よりも「集団の中の空気による強制感」も感じ得ないだろうと思う。
嫌悪感を抱く人もいるかもしれない。
でも、そうではない。
そもそも、果たしてコレは「犠牲」なのか。
度を過ぎた協力ももちろんあったが、このまま放置をしておけば、いずれ町は立ちいかなくなり、その町に住む協力者たちの家業もいずれは共倒れとなる。
何かしなくてはいけないコトは明白で。
この妙案に協力するコトは、ある意味では未来への投資なのだろうと思う。
だから、「己の今」よりも、「集団の未来」を尊重した姿が、とても胸に響いた。
そこが見えなければ、「日本人の好きな自己犠牲による感動モノ」になってしまうのではないだろうか。
…とか、ちょっと小難しいコトも考えてみたけど、いやあ、よかったね!
なんかね、みんな良い人でね、見ていてすごい気分がよかったです。
基本的に「ひとクセあって、上手くいかないときもあるけれど、でも本当はみんな根は良い人!」っていう作品が好きなので、まさにそこがすごい好きだった。
自分の利益のコトばかりではなく、きちんと周りの人のコトも考えて、それを自ら実行していくことで、少しずつ世界が優しく変わっていく。
優しい人たちが作り上げていく優しい世界。
好きだなあ、本当、好き。
ストーリーもトントンとテンポよく進んでいくし、キャラクターも誰も彼も愛着がわきやすくて魅力的。
その個性あふれるキャラクターを、これまた個性あふれる実力のある役者がチャキチャキとこなすものだから、見ていても気分がノってきて、観ていてすごくワクワクした!
そもそも、主演が阿部サダヲな時点で「面白そう」ってなるじゃんね
羽生結弦選手演じる「殿」も、なかなかの貫禄があってよかったー!
地元が舞台の作品だから、という理由で出演を決めたそうなのだけど、この作品自体も先の震災から5年経った復興支援・地方再生も意識されていて、そんなトコロもまた、この作品とマッチしていてよかったなあ、と改めて思います。
しっかし、爆笑したり、ホロリとしたり、ものすごく気分よく感情を転がされた映画でした
今回の映画祭で上映された全14作品をすべて観た中でも、もう1度観たい映画のダントツ上位でした