豊田市の六所山は古くから霊山として信仰され、山頂には六柱の祭神を祀る六所神社が建っています。
北西の麓に下宮があるのでまずはそちらからご紹介します。
まず下宮へ向かう手前の字金姓の道路脇に建つ一の鳥居に立ち寄る。
鳥居の向こうに見えているのが六所山である。
毎回書いているけど、こういう自然物を遥拝する形式の鳥居が大好き。
右手前の社標は前年に旧社格が県社に昇格したことを記念して大正十一年に建立されたもの。
「石匠 *原 柴田濱三 刻」の銘。
*は「エ」の下に「木」。禾の誤字か?
鳥居手前には昇格前の郷社と刻まれた社標も残っている。
ここからゆるやかに坂を登って六所神社下宮の拝殿前へ。
拝殿は六所山の方(南)を向いている。
そうなると参拝者は山へ背を向けてしまうことになるが、かといって社殿を北向きにするのもアレだ。
こういう場合のベストプラクティスはなんだろうか。
本殿から西側の少し離れた広場に並ぶ境内社。
近隣に祀られていた小祠を集めたものらしく、社名と一緒に小字が書かれている。
向かって左から「御社口社 分田」「山神社 宮ノ向」「鍬神社 宮ノ向」「山神社 分田」。
本殿に近い瑞垣の内側に祀られる境内社。下宮秋葉神社の看板が立っている。
その手前の石灯篭。延宝六年(1678)と割と古いもの。
拝殿前の狛犬。昭和二年九月、作者不明。
拝殿は唐破風付きの重厚な屋根で、大棟の部分にも飾りを入れている。
唐破風の棟(って呼ぶのか?)には波に乗った馬の飾り。
軒丸瓦には輪宝紋が使われている。
所在地の住所の通り、近くに地蔵院というお寺があるのでもともとは仏教との結びつきがあったのだろうか。
大棟には波に龍と、中央に如意宝珠。これもどちらかというと仏教モチーフだ。
ここから拝殿前の道を1㎞ほど登っていくと二の鳥居があり、山頂へ向かう登山道に入る。
以下次回につづく。
(ただ私はここから登らず、楽して裏から途中までバイクで登りましたが…)
おまけ。
境内と道路を挟んで向かいに建つ農村舞台。この手の建物としては大きい。
明治五年に建てられたというから150年も前の建物だ。
解説にある、12.6mの間口を支える巨大な梁。
舞台の隅には金的中の奉納額が集められていた。
境内の南東に「代官桟敷場跡 後代大和流大山矢場跡」の石碑が立っている場所がある。
恐らくかつてはそこに矢場があって弓術会が行われていたのだろう。
見えた限りだと昭和五十年代半ばまでは奉納されていたようだ。