気賀駅の南、浜名湖へ注ぐ都田川にかかる人道橋の澪つくし橋です。
澪つくし橋南西から。中央をバスケットハンドル型ニールセンローゼ桁とした3径間。
周りに高い建物がないので、近くの道路を走るとこの橋のアーチがよく目立つ。
ググるとこの辺りはハゼ釣りのポイントだそうで、河川敷には多くの車が駐まっていた。
西詰から正対。人道橋(正確には自転車道橋)ということで幅員は狭い。
親柱の上のマークは旧細江町(2005年に浜松市へ合併)の町章で、橋名の澪標(みおつくし)の図案化である。
澪標とは座礁の危険があるような水深の浅い場所に、航路の目印として立てられる標識のこと。
『万葉集 巻第十四』に「遠江引佐細江の澪標吾を頼めてあさましものを」と、細江が歌われていることに因んでいるようだ。
口語訳では「遠江の引佐細江の澪標のように私をあてにさせておいて、やがて疎ましくするでしょうものを」(中西進. 万葉集 全訳注原文付(三). 講談社文庫)。
同氏の注釈では「細江ゆえ浅くなり、当てにならない澪標として知られていたろう」とのこと。
…当てにならないものの例えとして細江の澪標が挙げられているわけで、なんかあんまりいい使われ方ではないように感じるのだが、歌枕ならなんでもいいんだろうか。
恐らく万葉集の頃には、橋の西側の水田も含めて浜名湖の入り江だったのだろう。
アーチ部をズームで。人道橋としてはちょっと大掛かりに見える。
アーチの近くから。
見上げて。吊材がケーブルなので視界が広くて軽快に感じる。
下流、浜名湖方向。
都田川上流方向。
東南から。
川沿いに地元出身の明治期の歌人、河合象子(かわいきさこ)の歌碑がある。
「鰻とるあまの釣りぶね漕ぎつれて細江を出づる朝なぎのそら」
こちらは素直に美しいと思える湖の暮らしの風景の歌だ。
親柱と銘板。
銘板は「澪つくし橋」「みをつくしはし」、「平成元年十一月」が二枚。
詳細な諸元銘板。いつもお世話になっております(?)
さらに側面にも銘板がある。
銘板に書かれているように、澪つくし橋は自転車道橋という用途になっている。
実はこの橋は三ヶ日町を起点とする静岡県道379号浜名湖周遊自転車道線の折り返し地点に当たっていて、ここから南下して再び浜名湖沿いを走り、終点の弁天島へ至る。
私は自転車は乗らないけど、地図を見ているだけで気持ちのいい道だろうなと、思う。
ということで自転車乗りの方は折り返しの休憩がてらにこの橋を眺めてみるのもいいんじゃないでしょうか。