海外暮らしスタート
そんなわけで結婚して一年が経った頃
私たち夫婦は日本で勤めていた会社を退職し
ヨーロッパのとある国へ移住した
その後、8年という長い年月、暮らすことになるとはこの時には思ってもみなかった
英語圏ではない国だった
でもかつて留学した国と同じ言語が公用語だったので
わたし自身はさほど言葉には苦労しなかった
ただ、さまざまな面で厚遇されている駐在員という立場ではなく
現地採用というあくまでも、その国の人たちと同様の雇用条件だった
家も自分たちで探さなければならなかったし、何もかも
自己責任でどうにかしなくてはならなかった
私たちは日本人夫婦
ヨーロッパ内では母国とほぼ同じ権利を有する
EU圏の国籍を夫婦揃って持っていないアジア人
アジア人夫婦として暮らす立場では課される制限も多かった
ましてヨーロッパは契約社会
何をするにも交渉と契約が付いて回る
そして日本ほどサービス社会ではないので普通の生活において
あり得ないほど問題が勃発しまくる
引越しをして、電気、ガス、水道、電話を普通に
使えるよう契約する、ただそれだけのことにも
何週間も要する
(アポは時間指定が出来ず丸一日家にいなければならない
いつやってくるか不明…しかも連絡なくドタキャンされるのも通常運転
またアポ取りから再スタート→訪問まで2週間かかる、など
発狂案件ばかり発生する
わたしは勿論『どないなったんねん!』と暴れる。すると訪問工事が2日後に早まったりする
言葉が出来ないと理不尽な思いばかりするのが海外生活)
区役所などは特に酷くて、窓口によっては英語対応してくれない
この国の言葉を話せる人を連れてこい!
とドヤされたりする
そんなわけで、駐在員であれば会社側が対応してくれることも
ぜーんぶ自己責任
オットはこの国の公用語が日常会話レベルしか出来ないので
わたしが交渉や契約をしなくてはならなかった
話が逸れてしまったが、アジア人夫婦として
制限が多く、権利も限られていた
その代表となるのは滞在許可証、つまりビザ
わたしに与えられた滞在許可証=配偶者ビザは
労働が禁止されていた
国際結婚以外の日本人妻の大半が同じタイプのもので
滞在することだけが許可されたビザだった
つまり労働不可だった
わたしは専業主婦になった