口腔内に特徴的所見のウィリアムズ症候群は 染色体異常の発達障害
ウィリアムズ症候群の特徴が非染色体異常の障害の萌芽や内在の推測に役に立つ
先天的な遺伝性発達障害の場合、口腔内外や顔貌に特徴的所見が発現し 難治性。
ウィリアムズ症候群口腔内所見:患者の典型的な症状は、口唇が厚く、口唇交連間隔(口の幅)が広く、いつも口 をあけている。口腔内は、頬粘膜が厚いことが多く、時々上下の口唇小帯の突出も見られる。 高口蓋が多く、矮小歯、歯牙形成不全、エナメル質形成不全が共通的に見られる。 歯根も小さく薄い。上顎の第二大臼歯が脱落したり、下顎の第一大臼歯(永久歯)が歯形態 異常で生えてくる事も多い。
これらの口腔内所見は、程度の差はあるが発達障害に共通して診れる所見で歯科では実はありふれているが、歯科医療は原因追求は、感染症と呼吸や悪習癖まででお終い。 治療学のみしか重宝がられる事しかないので、口腔内所見が発生や心身に繋がることはない。
ウィリアムズ症候群
https://ja.wikipedia.org/wiki/ウィリアムズ症候群
原因は、7番染色体上の遺伝子欠失である[2][3]。
知能低下に比べて言語は比較的良好に発達することが知られており、知らない人にも陽気に多弁に話しかける。重い自閉症の正反対のようである。ある意味で、ウィリアムズ症は「病的に音楽好きな人々」と称される[4]。
有病率は7,500-20,000出生あたり1人ほど[3]。治療法は存在しない。
Williams症候群患者における口腔顎顔面領域の形態学的検討
https://ci.nii.ac.jp/naid/110007526135
Williams症候群は,1961年にWilliamsらが精神遅滞,大動脈弁上部狭窄および特異顔貌を有する症候群として報告した疾患で,染色体7q11.23にあるエラスチン遺伝子,LIMキナーゼ1遺伝子などを始めとする約20種類の遺伝子を含む領域の微小欠失が原因の隣接遺伝子症候群と考えられている.今回われわれは,本疾患群に対し口腔顎顔面領域の形態学的検討を行ったので報告する.対象は当院附属日本心臓血圧研究所循環器小児科でFISH法により染色体7q11.23の微細欠失が確認されWilliams症候群と確定診断された患者15例で,方法は頭部X線規格写真,顎態模型,口腔内およびX線所見による分析を行い,頭部X線規格写真分析の方法はRicketts法を使用した.結果は,頭部X線規格写真分析では下顎のアーク,下顎中切歯突出量,上顎大臼歯の位置,前頭蓋底の長さ,下唇の突出量が高値で日本人平均値と比較し有意差を認め,その結果,上顎前突,下顎前歯の唇側傾斜,下唇の突出および顔面形態ではdolicofacial patternなどがWilliams症例の顔貌上の特徴と考えられた,顎態模型,口腔内およびX線所見による分析では歯の先天性欠如が10例26歯に認められ,下顎側切歯が11歯(42.3%)と最も多かった.歯の奇形は10例(48歯)に認め,矮小歯が6例(14歯),短根歯が6例(34歯)であり,矮小歯では上顎側切歯が12歯(85.7%)と最も多く,短根歯では上顎第二小臼歯が9歯(26.5%)と最も多かった.このように顎顔面口腔領域の異常が高率に認められることからWilliams症候群においては定期的な歯科口腔外科的チェックと早期からの歯科矯正学的治療が重要であると考えられる.
ウィリアムズ症候群:45例の口腔所見
http://www003.upp.so-net.ne.jp/Williams/S3/3-6-02.html
Williams syndrome - oral presentation of 45 cases
Jack Hertzberg,DMD Leila Nakisbendi,DMD Howard L.Needleman,DMD Barbara Pober, MD
Pediatric Dentistry July/August 1994 Volume 16, Number 4, Page 262-67
45人のウィリアムズ症候群患者に対して口腔内の異常を調査した。患者の平均 年齢は9.25歳で、 中央値は6.7歳、過半数(62.2%)が男子であった。患者の 11.1%に歯の形成不全を認めた。歯の形態 異常は、乳歯の12.5%、永久歯の40.7%にみられた。男子の下顎乳中切歯を除く、すべての切歯の近遠 心幅径は、標準に比べて統計学的に有意に小さかった(P<0.05)。少なくとも1歯にエナメル質 形成 不全を認める者は、乳歯で9.4%、永久歯で18.5%あった。エナ メル質形成不全が全歯に及んでいる 者はみられなかった。患者の半数以上(59.1%) は,う歯も修復歯もなく(う蝕経験がなく)、 臨床的にう蝕 が進行していたのは13.6%だけであった。調査した患者の67.7%に舌突出が見られ、 歯間空隙の大きな患者が50%以上いた。Class IIやIIIの不正咬合・開咬・過蓋咬合・前歯部交差 咬合の発生率は通常より高かった。ウィリアムズ症候群特有の歯科的所見はみあたら なかったが、 以下の2つの所見群がそれぞれ3分の1の被験者にみられた。
1. 矮小歯・前歯部交差咬合・舌突出・歯間空隙拡大
2. 矮小歯・開咬・過蓋咬合・歯間空隙拡大
ウィリアムズ症候群
http://www003.upp.so-net.ne.jp/Williams/S3/3-6-05.html
病因: この疾患の患者は孤発状況であり顕著な遺伝家系は見られない。しかし、家族間 で遺伝した事例がいくつか報告されている。研究の結果、7番染色体上にあるエラスチン 遺伝子の欠失がこの疾患形成の病因であると考えられている。
遺伝様式: 常染色体優性遺伝。
口腔の病態: 患者の典型的な症状は、口唇が厚く、口唇交連間隔(口の幅)が広く、いつも口 をあけている。口腔内は、頬粘膜が厚いことが多く、時々上下の口唇小帯の突出も見られる。 高口蓋が多く、矮小歯、歯牙形成不全、エナメル質形成不全が共通的に見られる。 歯根も小さく薄い。上顎の第二大臼歯が脱落したり、下顎の第一大臼歯(永久歯)が歯形態 異常で生えてくる事も多い。
その他の身体的精神的病態: 出産前後の両期間に軽度~中程度の成長不全が見られることが 多い。軽度の小頭症を伴うと共に、同症候群の患者は次に挙げるような特徴的な顔貌をして いる。眉間の発赤、短い眼瞼裂、眼内眥贅皮、低い鼻、鼻橋の陥没、扁平な顔中央部、厚い 唇といつもあいている口である。目の色の薄い人には機能障害として、星状あるいはレース 状の模様が見られる。彼らはひとなつっこく、低くしわがれた声でしゃべることが多い。 時には、自閉的傾向が見られることもある。
発達のいろいろな段階で様々な症状が見られる。乳児期に見られる初期症状としては、 体重増加不全、摂食障害、発作性腹痛がある。先天的異常もあり、もっとも多い症状は 先天的心臓疾患である。児童期には、発達遅延、学習障害、注意欠陥障害がもっとも よく見られる。視覚、聴覚、循環器、筋・骨格、口腔に多くの問題がある。成人では、 同症候群の人は、若白髪や腎臓の機能障害につながる高カルシウム血症が見られる。
レントゲン検査所見: 細い歯根を持った小さく低形成の歯牙。
歯質層の硬骨化変異が主と して小臼歯~臼歯領域に見られることがある。
埋没歯(Dens invaginatus)が見られることがある。
歯科治療の考慮点: エナメル質形成不全のため、同症候群の患者は虫歯になる危険性が 高い。そのため定期的に歯科衛生士に見てもらうことと、家庭で十分に手入れをすること が求められる。行動的には同症候群の患者の機嫌を頻繁に取っておけば、管理する ことは簡単である。
診断手順: 高カルシウム血症が見られる例がある。1.25(OH)ビタミンDのレベル低下が 見られる患者もある。循環器や腎臓の異常を調べるには超音波診断が有効である。
予後: 子どもの突然死の報告があるものの、ウィリアムズ症候群の人の大部分は 成人まで生きる。
ウイリアムズ症候群 2 例の歯科的特徴および臨床的対応 (臨床例が2例)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspd/50/3/50_256/_pdf