たいこうきによるたっきー…8 | おらのなにがし

おらのなにがし

    めめんともり

桑名城乗取り秘策~(抜粋部分のみ)

 

その日の夕方伊勢三郎は疲れて歸つて来た。

 

た「やあ、それなるは伊勢三郎殿と見しは僻目(ひがめ)か。

我こそは天下の浪人瀧川左近一益なり。東國の旅を終えてこれよりは

中國、四國えと志すみちすがら、足に草鞋豆を作りて難渋いたす。

不図見ればこゝに手頃の空城あり、よつてしばらく立よりて足休めいたす。

貴殿は遠慮無くいづれえなり立のいて雨露を凌がれよ、

道を急いで草鞋豆を作られな」

 

伊勢三郎は二の句がつけなかつた。

絶対無抵抗で人質を返してもらい、

すごすごと大河内え引返した。

 

瀧川一益は持前の蛮勇を振るうまでも無く舌一枚で

蟹江、桑名の二城を物にした。

蟹江の方は甥の瀧川義太夫詮益に守らせた。

信長はいよ〱瀧川一益を面白い男だと思つた。

一益には改めて桑名城主に任ずる旨の朱印を遣わした。

 

伊勢三郎が大河内え引返して、一益に空巣をさらはれし一條を

注進したので、北畠國司以下重臣等の大評定が開かれた。

十目十指で座中の誰もが、

 

北畠以下重臣等「服部左京の裏切りとこそ覺えたれ。

彼れ瀧川一益は信長の密使を受けて

左京を説き左京は夫れを承知の上にて蟹江城を築き、

伊勢殿のルスをねらいて内外相応じ逆心を現せしものに違なし。

しかと左京を吟味の上、仕誼によりては桑名よりも先づ以て長島を

攻めらるゝが至当かと存じまする」

 

ととなえた。國司も服部を疑う心は他にゆづらなかつた。

そこで長島え問罪使が急派された。服部は使者の来意を聞いて

 

服「なんと、滝川一益が蟹江からはい出して、

伊勢殿のルスに桑名城を乗つ取りしとな」

と全然初耳であつた。使者は

 

使「おとぼけるな、服部氏、そこもとが桑名城乗つ取りの手引きを為せしこと」

 

服「これはしたり、何を証拠に左様の名を被せらるゝぞ。

この服部に二心の有りや無しやを明日にもお目にかけん」

とイキまいて使者を追返し、翌早朝先づ蟹江城を取まいた。

蟹江城は、一益が桑名城え押出す時に、呉々も籠城の法を詮益に教えて行つたので、

詮益はその通りにして寄せ手の軍を待ち設けた。

服部左京は腸が煮えくり返るようであつた。

 

服「あれほど頼み切つた滝川が、我等を欺むかうとは知らなんだ。

瀧川ですら我等を欺くとせば、この世に信ずべき者は無い」

と呆れながら矢張り一益をだれよりも信用した。そうかと思うと

 

服「本願寺の上人から金子を調達して敵の爲に城を築き、

その揚句逆心の汚名を受く、これ瀧川の奸なるに非ず我が愚なるなり」

と悟ったような愚痴をコボした。

 

 

(´・ω・`)あいや~、お見事。

完璧だね。

たっきーの謀略、軍事のスペシャリスト面が出まくりだもの。

服部も感じたように、

たっきーがずるいとかよこしまなんじゃなくて、

自分がおろかだった。

そう悟りに至らせるところが、最高にたっきーしてるね!

 

やっぱりたっきーは民をおみちびきする立場のお方なんだよねえ。

言葉遣いも丁寧だし、知的だし、やさしいし。

 

「いつのまにか、みな喜んであにじゃに転がされる。げにおそろしきこと哉」

 

うむ…すげえんだたっきー。

ほんっとに。

でも三郎には慎重に真摯に正直に接しとると思うよ。

転がす必要ないし。

勝手に転がるから(`・ω・´)ね。