何と向き合っているか。
何と向き合っていないか。
環境そのものは少し落ち着いたものの、どこか心はふわふわソワソワしていて、何だか起き上がり小法師がその重心を失ったかのよう。
いつも戻ってきていた場所はどこだったか。
止まっていたはずの真ん中を忘れてしまった不安で包まれている。
自分のいる場所がわからないような、でも見失ったそれを探すような、そんな感覚。
今はどちらかと言えば穏やかな気持ちで、居心地も良い方で、それは確か。
色々と悪くない。
だから問題は、きっとこの後、現時点でやるべき仕事はいくつかあるのだけど、そうじゃない今後のための何かに手をつけていかないといけないと、そこがまだ自分の中で明確に見えていないことに、足場のない感覚を覚えているのだろう。
思えば、ポムカンパニーを立ち上げたことがひとつの足場づくりであった。
「誰かに与えられた成功なんてあっけなく崩れる。生きている限り自分の足で歩きなさい」というステラ・アドラーの言葉は今でも強く胸に刻まれている。
その足場を強く感じられないということは、つまり危機感であろう。
このままではいけないと、心音に混じって警鐘が鳴っている。
今がきっと、今まで向き合っていたようで向き合いきれなかった多くのものに向き合うときなのだと思う。
今に満足しない。
挑戦することを怖がらない。
芝居もプライベートもより充実させ、俳優として、作家として、演出家として、一人の人間として、いつも今日より明日と豊かになっていきたいと思う。