ガザ地区という面積が大阪府程度と狭く、イスラエルにより壁で封鎖された地域のハマスという過激派が、最新式に近い武器を大量にどこかから受け取り、1時間に数千発のミサイルを発射し世界一級のイスラエルの防空システム・アイアンドームを突破し攻撃した。

 

続いて直ぐに、地上、上空、そして海上から兵士(テロリスト)がイスラエル側に侵入し、民間人多数を虐殺するか人質とした。

 

その大量のミサイル等の武器がどのようにこの地域に持ち込まれたのか分らない上、この緻密に計画されたと思われる大規模攻撃に対し、世界でもトップクラスのイスラエル諜報機関モサドが何故気付かなかったのかも分からない。(追補1)

 

このハマスによる何かと分かりにくい上にこれまでにない大きな攻撃が、何か別のもっと大規模に計画された戦争、例えばイランとイスラエルの間の戦争、の発火点なのかもしれないと多くの専門家は考えている。この場合、第三次世界大戦に繋がる可能性もある。

 

最近、イスラエルを訪問した米国ブリンケン国務長官がタタニヤフと固く握手をしている様子を映し出したyoutube動画が配信されており、米国の本格的介入も予想させる。

 

この戦争に対する外国の反応だが、アメリカ、イギリス、フランスはイスラエル支持、トルコ、ロシア、エジプト、サウジアラビア、は双方に即時攻撃停止を呼びかけ、イランはハマスを支持している。日本はハマスのテロ攻撃は非難するが、双方に攻撃停止を呼びかけている。

 

日本国には、差し当たり(大規模戦争に拡大しなければ)外野にいるのだから、この中立姿勢を貫いてほしい。 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA080OS0Y3A001C2000000/

 

現時点では、この戦争をローカルに把握するしかない。誰もが考える様に、この戦争の背景にはイスラエル建国の歴史とそれ以降のパレスチナ入植と言われる“侵略”がある。それについて調べてみたので、以下にまとめる。

 

先ず、ごく最近のパレスチナ紛争での死者数の統計を見てもらいたい。これは、国連のデータをアルジャジーラというイエメンの報道機関がまとめたものである。年間100人程度の死者が継続的に出ていることから、7日に始まった戦争は、延々と100年間以上続くパレスチナ紛争が、昨今の世界政治の乱れと関連して非常に激しくなったものとも考えられる。

 

なお、アルジャジーラはかなり中立的に報道する期間として、「越境3.0」などでは解説している。(補足1)

 

https://www.youtube.com/watch?v=JEjnjCwFfIM (カナダ人ニュース10月8日)

 

ネタニヤフ政権が強硬にパレスチナ入植を続けることが、イスラエルの平和に寄与するとは思えない。入植と言っても、要するに反対して抵抗する者を子供も含めてイスラエルの兵士が射殺するのだから、テロ行為に等しい。その残忍行為に対して、残忍行為で大規模報復したのが今回のハマスのイスラエル侵略である。

 

だからと言って、今回のハマスのテロを支持することも、イスラエルの残忍なハマス殲滅作戦も支持はできない。当事者でないなら、外国人にはどちらかを悪者にすることなど簡単には出来ない筈。確かなことは、この問題を議論するにはユダヤ人入植の歴史に関する知識が必須だということである。

 

 

2)ユダヤ人のパレスチナ入植の歴史

 

話は第一次世界大戦(1914-1918)から始まる。英国は敵国オスマントルコとの戦いを有利にするために、方々の国とその領地の分割についての約束をした。

 

勝利が濃厚となった191711月に 英国外務大臣バルフォアが英国ロスチャイルド男爵2代目のライオネル・ウォルター・ロスチャイルドにパレスチナにユダヤ民族の国を設立することを約束する手紙を送った。(補足2) この書簡の内容はバルフォア宣言として知られている。

 

第一次大戦後の1919年、英国が手に入れた委任統治領パレスチナは、現在のヨルダンとイスラエル及びパレスチナの範囲だった。1923年英国はその領域を、国際連盟の承認を得て、ヨルダン川西側のパレスチナと東側のトランスヨルダンに分割した。(補足3)

 

英国は現在のイスラエルと自治領パレスチナ(ヨルダン川西岸地域とガザ)を含めた委任統治領パレスチナの地にユダヤ人移民を促進した。(補足4)新居住者の多くはヨーロッパのナチズムから逃れてきた人たちであった。 パレスチナの人たちは、自国の人口動態の変化と、イギリスがユダヤ人入植者に引き渡すために土地を没収したことに警戒を強めた。

 

そこで1947年、国連はパレスチナの土地にアラブとユダヤの二つの国家を作るという「パレスチナ分割決議」を採択した。 その内容は、パレスチナに古くから住む多数のアラブ系住民に43%、 新しく移住してきた少数のユダヤ系住民に57%の土地を与えるというもので、アラブ系住民とアラブ諸国から猛反発が起こった。

 

このユダヤ人たちに極めて有利な分割案があってもなお、イスラエル政府は区域外のヨルダン川西岸地域に入植を繰り返した。つまり、完全なマイノリティ(10%以下)だったパレスチナの土地に入り込んだユダヤ人が、パレスチナ人から父祖の地を取り上げて彼らを追い出したのである。

 

その連続線上に現在のパレスチナへのユダヤ人たちの入植活動がある。つまり銃でもってパレスチナ人を追い払い、抵抗するものは射殺するという行為を繰り返してきたのである。

 

上の図に示したように、2008年からの15年間だけでも、その犠牲者数はパレスチナ人が6407人であり、イスラエルの死者308人に比べて圧倒的に大きい。同じ出来事に関して、この死者数における大きな差は、その出来事で何方が残忍だったかを明確に表現している。

 

 

パレスチナの人口比:

 

1922年イギリスの委任統治が始まった当時、パレスチナ地域の人口は約67万人、内アラブ人が61万、ユダヤ人は6万であった。その後ユダヤ人の入植が進み、1947年の国際連合による分割案が出された時点で、パレスチナの人口は193.5万、内ユダヤ人60.8万、アラブ人132.7万であった。

 

ここまでのパレスチナ人口とは、現在のイスラエル部分の人口とパレスチナ自治区(ヨルダン川西岸とガザ地区)の人口を含む。

 

イスラエル建国以降のイスラエル(パレスチナ自治区の人口を含まない)の人口は、(年、人口)の表示で(1948年、87.3万)(1955年、178.9万)(1968年、284.1万)(1990年、482.2万)(1998年、598.7万)となり、増加分の大部分はユダヤ人の入植である。

 

1997年の人口590万の内、ユダヤ教徒470万人、イスラム教徒87万人、キリスト教徒12.6万人、その他20.5万人となり、民族という視点では、ユダヤ人470万人、パレスチナ人が約110万人となる。

以上は、小池とみ子、お茶の水地理、第43巻、pp47602002)からの抜粋である。

この文献はネットから取得可能。

 

 

終わりに

 

歴史において頻繁に出てくる光景: 強い国は国際法に従って戦争することで領土を拡大する一方、領土を失う弱い方の国は蓄積した悔しさを闇の中での過激な行為で晴らすしかない。この時、日本人は弱い者の味方に立って損害を受け、外国人は強い方の味方について実利を得る傾向にあると思う。

 

その“判官贔屓”の姿勢は、リアリズム外交の姿勢とは反対である場合が多いので、民族の運命を考えるべき現在、注意が必要である。取りあえず、冷静に歴史の流れを知ることは、ギリギリの判断を迫られた時に大事である。

 

因みに、パレスチナ問題については、アルジャジーラの解説が詳しい。

https://www.aljazeera.com/news/2023/10/9/whats-the-israel-palestine-conflict-about-a-simple-guide

 

追補:

 

1)13日のカナダ人ニュースによれば、エジプトがガザ地区で大規模な動きが数日中にあると、イスラエル政府に警告していたようだ。何故、イスラエル政府はこの警告を無視したのかは分からない。

 

 

 

補足:

 

1)石田和靖氏の配信する「越境3.0」は恐らく日本で最も中東情勢(リアルタイムの)に詳しい情報ソースだと思う。

 

2)ロスチャイルド2代目のネイサン・ロスチャイルドが英国での貨幣発行権を得て以来、英国の特に金融の中心にユダヤ人のロスチャイルド家が存在する。スエズ運河の買収にも、ロスチャイルドの金融支援があった。世界大戦も、ロスチャイルド家の大きな支援を得ていた筈である。その条件がシオニズム運動の推進だった筈。

 

3)1915年にイギリスが、オスマン帝国の支配下にあったアラブ地域の独立と、アラブ人のパレスチナでの居住を認めた協定(フサイン・マクマホン協定)を考慮してのことである。尚、オスマン帝国の中東での分割は、1916年のイギリス、フランス、ロシア帝国の間で結ばれたオスマン帝国領の分割を約した秘密協定(サンクス・ピコ協定)がある。これらの協定とバルフォア宣言(ロスチャイルド家との協定)は全てを独立に守れないので、この英国の外交を三枚舌外交と言う場合がある。

 

4)これもライオネル・ロスチャイルド男爵の意思に基づくことは十分考えられる。

 

(12:45、編集;補足1を追加;14:20 追補1を追加、16日補足1修正)

107日、パレスチナのガザ地区を支配する武装組織ハマスがイスラエルを攻撃した。8日午前のロイターの記事によると、数千発のミサイル攻撃とイスラエル領内への侵攻とによりイスラエルで250人以上が死亡したという。イスラエルのネタニヤフ首相は、直ぐに戦争状態を宣言し反撃を開始した。ガザ地区でも230人以上の死者が出ている模様である。

https://jp.reuters.com/world/mideast/PJLXDNODUFKBHM4FF5CJTEIHXM-2023-10-07/

 

米国など西側諸国は、ハマスによるイスラエル攻撃を非難し、イランやレバノンのヒズボラはそれを称賛した。このアラブの一角とイスラエルとの軍事衝突は、世界大戦レベルにまで拡大する可能性を孕むので、今回素人ながら一つの文章に纏めてみようと思った。

 

最新の情報は以下の動画に解説されている。犠牲者は既に千人を超えているようである。この動画では、この「戦争」の原因にバイデン政権(国務省)が深くかかわっているらしいことを議論&解説している。世界紛争の中心には常に米国民主党ネオコン政権が存在するようだ。

 

 

追補:
 
先ほど、カナダ人ニュースさんによるより詳しい解説がアップされたので、ここで引用します。正確且つポイントを付いていると思いますので、推薦します。

 

 

 

1)”グローバルサウス+中露”と”イスラエル+G7”への世界の二分化とそれらの接点

 

米国大統領がトランプからバイデンに代わり、世界は不安定化している。最初にちょっと大きな図式に言及するためにウクライナ戦争から話を始める:

 

ウクライナ戦争の背景に、米国によるウクライナ内政への介入があった。2014年、大規模市民デモを組織したり内戦へ誘導するなどの工作により、親ロシアのヤヌコビッチ政権を潰し、親米のポロシェンコ政権を建てた。その中心で活躍したのが現国務次官のビクトリアヌーランドというのが、事情に詳しい方々の共通認識のようだ。

 

米国は、軍事支援を継続するとともに、ユダヤ系オリガルヒ(新興財閥)コロモイスキーの支援で大統領になったゼレンスキーにウクライナをNATOに加盟させるなどと言い出させた。バイデン政権になって強められたウクライナの対ロシア軍事力強化を座視できなかったプーチン・ロシアは、2022年2月、ついにウクライナへ侵攻した。(補足1)

 

ウクライナ戦争の実態は、腐敗したウクライナのユダヤ系オリガルヒの支援で大統領になったユダヤ系のゼレンスキーが、米国グローバリストの代理でウクライナ人の青年の命を使ってウクライナ市民の犠牲のもとに、ロシアと戦っているのである。それがアラブ諸国に大きな反米の政治エネルギーを作り出している。(補足2)

 

そのようなアラブの空気の中で、今年3月、サウジアラビアが中国の仲介でイランと和平を実現し、且つ、米国から離反し、アラブ全体の団結に動いた。その結果世界には、”BRICS諸国+中東イスラム諸国+アジア&アフリカ”と、”G7+イスラエルを含む親米諸国”のグローバリスト勢力に二分されるという大きな流れが発生した。

 

この二つのグループが対立する接点が、中東のイスラエル、ヨーロッパのウクライナ、東アジアの台湾(+日韓)の三カ所である。

 

 

2)バイデン政権による”流れに掉さす行為”が混乱を生み出す

 

その大きな流れを引き起こした中心人物が、その流れがアラブ諸国に囲まれたイスラエルを孤立させる事に気づいたのか、この大きな流れを妨害する作戦を開始した。それが、今回のハマスによるイスラエル攻撃の原因であり、ひょっとして第三次世界大戦の切っ掛けになる可能性すら存在する。

 

その作戦とは、米国によるサウジアラビアとイスラエルの和平の画策である。もし、それが成立した場合、パレスチナは若干親米的なサウジアラビアとエジプト、米国ネオコンの親元的なイスラエルに完全包囲される。ハマスによるイスラエル攻撃は、サウジアラビアに対するイスラエルとの和平に反対する強力な意思表示だと思われる。

 

そのような解説が上の動画にもあったが、昨日のロイターの記事もそのように解説をしている。

https://jp.reuters.com/world/us/Y6AKYUJDRZNIJBIP2XFSX2RPM4-2023-10-08/?rpc=122

 

また、全般的な解説動画をもう一つ下に引用する。

 

 

 

3)オクトパスドクトリンという危険な考え方

 

このハマスのイスラエル攻撃の背後に、イランが居るという説は有力である。折角サウジアラビアと和平を実現したのに、ここで米国側にサウジアラビアが移ってしまえば、アラブ世界の統一の図式は粉々に破壊されるからである。

 

イスラエルとイランは互いを不倶戴天の敵としているのは周知である。中東が不安定なのは、イスラエルが作られたからであるとイランは考え、逆にイスラエルはテロを行うハマスやヒズボラの背後にイランがいると考えている。

 

イスラエルの前首相は、ハマスやヒズボラなど敵の手足を撃っていては、イスラエルに平和は永遠に訪れない。敵の中心(タコの頭にあたる)イランを滅ぼさないと駄目だと言ったという。2018年提唱のオクトパス(タコ)・ドクトリンである。

 

この対立情況が最近一層悪化したのが、上述のイランとアラブの盟主であるサウジアラビアとの中国を仲介者とする和平の成立である。イスラム教シーア派のイランとスンニ派のサウジアラビアとの間で断絶していた国交が、今年夏、中国の仲介でなされ、アラブが差し当たり一枚岩的になった。それにイランは希望を見出したが、イスラエルは焦燥感を増した。

 

またイランの核兵器開発が進んだことも重要である。最近になり、イランが進めるウラン235の濃縮が90%を越えて、もう直ぐ核兵器を作り上げる能力を持つと報道されていた。もし、核武装が実現すれば、イスラエルからの核反撃を避けられ、イランやその衛星国からのイスラエル攻撃が容易となる。

 

アフガンからの米軍撤退からウクライナ戦争まで、失点(米国民から見て)続きのバイデン大統領が、このウクライナの焦燥感を感知し企んだのが、サウジアラビアとイスラエルの国交樹立である。

 

カショギ氏暗殺の件以来、サウジアラビアの実権を握るムハンマド皇太子が、安易にバイデン政権の仲介を受ける筈もないのだが、バイデンはサウジアラビアの核開発に協力するという餌をぶら下げたのである。この餌ならムハンマド皇太子は乗るかもしれないと不安を感じたのが、パレスチナでありガザ地区のハマスだろう。

 

今回のガザ地区ハマスのイスラエル攻撃に関して、アラブやペルシャ(イラン)は米国の責任として批判している。勿論、ハマスは人間の命を盾にして、テロを行なう組織であるとして、上記のようなモデルを批判する向きも多いだろう。(補足3)

 

イランとイスラエルの戦争になれば、第三次世界大戦になる可能性があり、その場合、中国の習近平が台湾に向かう可能性がゼロではないので、日本も大変な事態になる可能性がある。

 

 

補足:

 

1)この件、昨年2月にロシアのウクライナ侵攻が始まる前に、整理しブログ記事として纏めた。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12726626308.html

 

2)イスラエル自体は、ウクライナ支援にあまり積極的ではなかった。中東に大きな影響力のあるロシアに配慮するとともに、アラブ全域を敵に廻すことを警戒したからである。ゼレンスキーが、兄弟姉妹の皆さん、イスラエルのミサイル防衛システムを供与してくださいと懇願しても、そうはしなかった。

 

3)ウクライナのゼレンスキーは、同国の青壮年を殆ど戦争で失ったと言われている。現在では、60歳の年寄りや少年が戦っていると言う話を聞く。中国の話は言うまでもないとして、大日本帝国も大差なかったと思う。所詮国家の支配層は、自分と家族の命は大事にするが、一般国民の命と自分の政権の存続とを天秤に懸ける存在なのだ。その冷厳な事実は、岸田首相と米国の大使のこれまでを眺めれば理解できると思う。

 

(10:00編集;12:00追補あり、カナダ人ニュースの動画;18:00最終,セクション3の2番目の文、アラブ世界の統一の図式と下線部追加。)

作家の百田尚樹氏と評論家の有本香氏が共同で日本保守党を立ち上げた。百田氏が何度も動画等で話しているように、LGBT法案を成立させ日本の伝統文化を破壊する勢力に、今後の日本の政治を任せられないというのが、この政党立ち上げの動機のようである。

 

結党宣言(①)https://hoshuto.jp/、党の綱領https://hoshuto.jp/regulation/、そして、百田及び有本両氏を含む何人かの討論の動画(②): https://www.youtube.com/watch?v=IkXu-ItX7Rc が、その本質を知る上に参考になる。

 

このyoutube動画は6日間で127万の視聴回数をあげており、今後の日本政治において一定の存在感を示すものと思われるので、ここで日本保守党の独自評価&批判をしてみる。誤解等も当然あり得るが、参考にしてもらえればと思う。

 

結党宣言に対する批判

 

結党宣言は、「日本ほど素晴らしい国はないと私は断言します。神話とともに成立し、以来およそ二千年、万世一系の天皇を中心に、一つの国として続いた例は世界のどこにもありません。」という皇国史観的な文章で始まる。 

 

続いて、日本史の概観と現在政治の問題点が述べられている。要するに、「2000年の間独立を守ってきたが、第二次大戦で完全破壊され、世界の最貧国になった。しかし、そこから驚異的な復興を成し遂げた」という、一方的で客観性に欠けた日本史の概略である。(補足1)

 

現在の政治の話に進んで、拉致問題の放置、野放図な移民政策、LGBT法を強引に制定するなどの与党の悪政から、日本の伝統と国土、日本の国民を守るために戦うと宣言している。

 

失礼ながら、この結党宣言は出来が悪いと言わざるを得ない。この江戸末期以来の危機的状況に焦る気持ちは分るが、歴史認識も現状の理解も粗い上に客観性に欠ける。

 

現在の日本国は、厳しい国際環境の下で政治的に米国の占領下にある。このことを、現在の政治の条件として把握しないのは愚かである。

 

現在の日本に必要なのは、保守ではない。パワーポリティックスで動く国際情況の中で、如何に生き残るかを探る現実的政治である。(補足2)

 

厳しい21世紀の国際情況の中で生き残り、米国による占領政治から脱出して独立を果たすべく、民意を耕し真面な現実的政治家を育てることが大事である。皇国史観を持ち出し、国粋主義的政党を作って20世紀の間違いを再び犯そうとするのは非常に愚かである。

 

 

日本保守党の設立者たちを囲んでのテレビ討論

 

アベマテレビでの討論動画では、日本保守党の政治方針が議論されている。 20分ほどの所で、日本保守党「4つの軸」という字幕が見られる。それらは:①LGBT法は天下の悪法である。 ②万世一系の皇統を護持せよ。③現状の移民政策は見直すべし。④エネルギー政策を見直すべし。

https://www.youtube.com/watch?v=IkXu-ItX7Rc

 

 

全く異質な「政策の柱」が並んでいて、どのような空間を想定しているのか皆目わからない。明確な軸として存在感があるのは②の「万世一系の皇統を護持せよ」のみである。

 

現在の自民党政府の行政、特に岸田政権の米国民主党への追従姿勢、つまり“野放図な移民政策”とLGBT法に反対し、政治を国民の手に取り戻したいという主張らしいのだが、それらは不平不満であり、公党を特徴づける座両軸のようなものにはなり得ない。エネルギー政策だけ、経済政策の中から取り出すのも奇妙である。

 

最後の方、52分あたりから歴史認識の議論になって、日本保守党の特徴が明らかになる。結党宣言における「素晴らしい国」の話である。

 

百田氏らは、現在の東南アジアア諸国等の独立は日本の日露戦争から第二次大戦までの戦いの結果であるとの考え方を示し、それを日本の功績の様に宣伝したいようだ。つまり、大東亜共栄圏構想の思想を評価継承する姿勢である。ここの議論を再録する。

 

元経産省官僚の宇佐美典也氏は、「英国などは、かなりひどいことをやった過去があっても、栄光の大英帝国と平気で言うのだから、日本も戦前の歴史のプラス面を強調して栄光ある日本と言う政党もあっても良いと思うが、それがメインになっては困る」という言い方で牽制した。

 

それに対する反論として有本香氏は、フランスでもイギリスでも「どれほどリベラルな政党でも、それぞれ自分の国は素晴らしい国であると言う政党しか存在しない」と言う。素晴らしい国という表現は曖昧だが、ここでは“素晴らしい歴史の国”の意味で、大東亜共栄圏構想の擁護の為だろう。(補足3)

 

それに対し、宇佐美氏は、「フィリピンなどへ仕事で行って、日本はフィリピンの解放などの為に太平洋戦争やったなんて言ったら、仕事にならない。日本はフィリピンを荒らしまわったと思っている人が多いからだ」と反論している。

 

この大事な話を、他のゲストや司会者が「どちらの考えもあり得るので、議論しても始まらない」として、話を打ち切っている。愚かである。更に、万世一系の皇統を守る必要性については、全く議論されなかったのも不思議である。

 

 

日本保守党は単なる右翼政党である:

 

上記議論で、有本氏と百田氏は、他の参加者や視聴者を誤魔化している。それは、日本は第二次世界大戦の敗戦国であり、有本氏が比較の対象として取り上げたフランスやイギリスは戦勝国である。ドイツの主要政党には、ドイツは素晴らしい近現代史の国だという政党など無いだろう。

 

世界の主要国の対日歴史認識は、「大日本帝国は自国の帝国主義的領土拡大の為に、満州までを覇権域とする外交政策をとった結果、欧米諸国と衝突して第二次世界大戦となった」のである。少なくとも、日本国がそのような歴史認識を講和条約で確認(約束)したことを忘れるべきではない

 

もし、日本保守党が政権を執り結党宣言にあるような歴史認識を国際社会で明確にした場合、日本国は太平洋戦争前の米国F.ルーズベルトらによる嫌がらせの様な国際的制裁を再び体験することになるだろう。そんなこと、分っていないのだろうか?

 

「価値観外交を進めて世界平和に貢献する」と綱領に書いている。価値観外交が、人権、法治の原則、民主主義という価値観を大事に考える外交の意味なら、その国粋主義的思想と矛盾するのではないのか?

 

ドイツは狡猾に(しかし賢く)戦争犯罪をナチスドイツの仕業であるとして処理し、再出発した姿を全世界に強調して示している。日本は過去の戦争を国家として詳細に振り返り、間違った者たちを処分していない。

 

日本の近代130年余は、絶対君主制で破滅への道を歩んだ歴史だった。そして、天皇家は辛うじて日本の中心に残った。再び政治に天皇を持ち込む政党は、大日本帝国の真似は出来るが、国民主権の政治からは遠ざかるだけだろう。

 

日本保守党は、「神話とともに成立し、以来およそ二千年、万世一系の天皇を中心に、一つの国として続いた」という、事実とはかけ離れた言葉を公党を立ち上げる宣言に用いた所で、政府与党となる資格を失っていると私は思う。

 

 

補足:

 

1)2000年間独立を守った国とはどんな国なのか? 日本保守党が定義する「国」とはどのような実体なのか? 日本という国が2000年前に存在したという話など、聞いていない。

 

2)「保守」は、社会を構成している「現在の人の知恵や知識」よりも、過去から現在まで其処で生きた遥かに多くの人により作られた「現在の社会」を重視する立場である。ただ、保守は革新のアンチテーゼであり、国際関係が大きな影響力を持たない大国において、「革新」との議論で未来の方向を探す政治に相応しい。日本に昔の英国風政治の概念を持ち込む理由はない。

 

3)ここで、「素晴らしい国と素晴らしい歴史の国」では全く意味が違う。この違いが議論のなかで誰もがわかる形で進まないのが、日本語という言語文化の劣ったところだろう。つまり、議論に参加する者は相当身構えなければ、日本人の間での厳密な議論など不可能だと思う。