高須クリニックの高須幹弥氏がyoutubeで様々なことについて話されている。10日ほど前だったと思うが、彼は宗教の話をしようと思うと言って、聖書の創世記と出エジプト記の物語に対する感想或いは疑問について配信している。(補足1)

 

高須さんの疑問は、現在の日本人が旧約聖書を読めば先ず浮かぶ疑問だと思う。

https://www.youtube.com/watch?v=fHDtUjeW8AQ

 

 

例えば、アダムとイブが食べることを禁じられていた「善悪を知る木の実」(補足2)を食べて、神から出産の苦しみや食物を得るための労働などの罰を与えられたなどの話に対して、「神は何故そのような意地悪なことをされたのか?」という感想を話している。

 

また、出エジプト記のところで、エジプトに棲むようになったユダヤの民をエジプト人は奴隷のように酷使する。そのユダヤ人を救うプロセスの中で、神はエジプト人の全ての年端もいかない長子を皆殺しにしたという。その神の残酷さに気持ちが悪くなると話している。(補足3)

 

全能の神なのだから、神はそのようなことが起こらないように人を創造し、地球に住まわせることが出来た筈だと思うのも日本人としては自然である。その結果、我々日本人の殆どはこのような神を信じることは出来ないということになるだろう。

 

そして、そのような疑問が普通であるにも拘らず、何故このような物語が出来、そのような神をユダヤの民は信じるようになったのか? 高須さんが提出していないこの疑問・問題の解釈について、私自身が納得している考え方を以下に書きます。参考になれば幸いです。

 

一言で言えば、ユダヤの民は非常に厳しい生存競争の中で、その神を創造することで生き延びたということです。その神を我々日本人が信じられないのは当たり前です。それは、我々日本人はユダヤ人でなく、ユダヤ人の様には生きてこなかったからです。

 

我々日本人がユダヤの神(ヤハウェと言う)に似た神を持たないのは、あのような土地であのような情況下で生き延びてきた訳ではないからです。

 

つまり、ユダヤ教はユダヤ人の歴史の産物です。この考え方は、ユダヤ教信者には失礼にはならないと思う。何故なら、これはある異教徒の考えだからである。

 

2)勝手な物語(断定的に書きます。すべてに「ーーと思う」を補ってください。)

 

太古の時代、大陸の棲みやすい土地では、比較的小さな民族が生き残りを懸けて戦う時代が長く続いた。この時代に生き残った民族は、「(自分たちの)神」に守られている」と信じることで、強い団結力を築き上げ勇敢に戦うことで生き延びた。

 

ユダヤ民族もその様な過酷な歴史を生きた。代表的な出来事は、およそ旧約聖書の中に書かれている通りである。彼らは祈りの中で預言者が得た”神の指示”と、必死に絞った知恵と戦略で奇跡的に生き残った。過酷な歴史を生き残ることで、彼らの神は彼らの民族の中で全能の神となった。

 

特に知的に優れた人物が「預言者」(神の言葉を預かる者)となり、宇宙の創造から人類の誕生、そしてユダヤ民族の生き残りを組み合わせた物語を、神の言葉、啓示として”聞いた”のだろう。恐らく、妄想的或いは陶酔的な状態にまで高めた精神状態(祈りの中の神がかり)の中の産物である。

 

その物語は、世代を重ねるうちに磨かれ精巧な物語となっていった。

 

つまり、この世界は神が創造したのではなく、この民族の集団が長い時間を他民族と戦う中で、その神と物語を創造したのである。

 

聖書にある残忍な異教徒(他民族)の殺害は、その時代の現実だっただろう。民族と民族の戦いが残忍な光景を為すのは、兵士と民間人の区別なく戦うからである。そして、殺し殺される人たち全て、自分の民族・共同体の中では無垢で善良なひとたちである。

 

つまり、善と悪、美と醜、義と奸のもの差しは、本来、民族の境界を、そして日常と戦時の壁を越えては使えないのである。

 

近代になり兵士は全て職業的兵士になり、しかも戦争は日常から遠い出来事となったので、あたかも善と悪や義と奸の物差しは、すべての時間と全ての場所地域で共通だと信じる人は多い。しかし、それは根本的な間違いであり、政治に携わる人間はそれに気づかなければならない。(補足4)

 

つまり、文明の発展により、戦争は非日常の職業軍人だけの世界に封じ込まれ、個人主義或いは民主主義の時代となり、一般市民は常に温和で善良なる人として暮らせる。その結果、先進国では市民は一般に善良であり且つひ弱になる。

 

因みに、ハマスとイスラエルの戦争において、ある記者と何方側の兵士か忘れたが戦場の一人にインタビューした音声がyoutubeで流されていた。

 

記者が「防衛戦争だというのは、世界のかなりの人たちに理解されるかもしれない。しかし、何故年端もいかない子どもたちまで殺すのか」と聞いた。その兵士は、「かれらは将来の敵兵なのだ」と答えた。

 

つまり、パレスチナでの戦争を、近代文明の中の論理では測れないのだ。(追補1)

 

彼らはこの戦争の時期になって、古代に生きていると言えるのかもしれない。聖書が出来た時代の民族と民族の生き残りをかけた戦争の中で作られた聖書の記述が、そのまま現代のわれわれの感覚を、素通りする筈が無いと思う。

 

追補1)しかしこの戦争を放置しても良いとは言わない。パレスチナとイスラエルを出来れば近代の法治と民主主義と世界に強引に連れ戻すべきである。国連の人権高等弁務官事務所のニューヨーク事務所所長が、そのような手紙を高等弁務官に送っている。

 

補足:

 

1)宗教には2種類ある。その一つは個人が生きる上での苦しみを受け持つ仏教のような宗教とここで述べる集団が戦うための一神教の二つである。それについては、過去の記事をみていただきたい。

”二つの宗教:自分が生きる為の宗教と他人を支配する為の宗教”

 

2)神の命令に従うのが善であり、従わないのが悪である。敵である異教徒に囲まれ、戦えという神の命令が預言者により伝達されれば、それに従って戦う。そのことで、神の存在とその民族の生き残りの間の整合性が確保される。従って、神が示す善悪は、異なる民族には適用されない。

 

3)高須氏はこのほかにカインとアベルの物語、アブラハムとイサクの物語についての感想をかたっている。

 

4)日本の左翼の人に、善と悪及び義と奸の物差しの限界が分かっていない人が多い。平和主義を語る人は、現実から離れて議論する知的夢遊病者のような人が多い。

(11月3日早朝、編集、表題の変更;9:20に編集と追補を入れて最終稿)

 

昨日、作家で国際政治アナリストの河添恵子氏が新しい動画(ダイジェスト版)をyoutubeで公開した。世界を統一して彼らの帝国を作ろうとしている所謂グローバリストを告発したもので、この悪巧みを告発する数人の偉人の言葉を紹介した非常に優れた動画である。

https://www.youtube.com/watch?v=Pt4WhiMqXkM 

 

その動画の最初に、静止画として昨年まで言論統制が酷かったツイッターを買収し、その規制を外したイーロンマスクに対するグローバリスト当局からの警告の様子を映しだしている。ダボス会議のメンバーらしき国連の女性がインタビューに答えている様子である。

 

「私たちに従わず、言論を規制しないと、国連は制裁を発動する」、更に「私たちには守らなければならないルールがある。そして高いレベルの信頼を得ており、それは高いレベルの人間の集まりだから。それを壊そうとしているのがイーロンマスクだ。」とその女性は語っているようだ。

https://twitter.com/EndWokeness/status/1617296416392495106

 

なんと傲慢な言葉だろう!

 

この短い動画のなかで紹介された偉人の言葉の中から、一つだけフルに新聞記事から取り出して次のセクションに紹介したい。Robert Kennedy Jrが民主・共和の両党から独立して立候補の宣言をした時の言葉である。

 

河添さんの動画で紹介された部分で十分かもしれないが、R. F. ケネディJr. の考えを知る上でスピーチ全体を見ることが重要だと考えたからである。以下は、その速報版の動画である。

 

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=727hTYE6nC0 その宣言後に受けたインタビューの様子は以下のyoutube動画に公表されている。https://www.youtube.com/watch?v=OX8I9b5fFr8

 

河添恵子氏の動画についての話に戻る。川添氏が紹介したその他の人物は、元米FOXテレビの人気コメンテーターのTucker Carlson氏、マハティール元マレーシア首相、リビアの元指導者のカダフィ大佐、ロシアのプーチン大統領、ドイツのクリスティーン・アンダーソン議員である。

 

動画の最後の部分で、ドストエフスキーの言葉として「賢く行動するには、知性以上の何かが必要です」を紹介したのち、多極化の世界を目指すロシアの方針を紹介している。因みに「何か」とは恐らく勇気と感性だろうと私は思う。

 

そして、最後に日本の情けない主権を放棄した姿勢を批判し、「悪に立ち向かう道徳的な不屈の精神を持たない社会を恐れた」と、ドストエフスキーの姿勢を紹介している。「現在、世界はグローバリストたちの悪巧みに対する不服従の活動を進めている」という言葉で動画と閉じている。

 

 

2)ロバートケネディJr.の独立宣言

 

民主党を離れて独立候補として大統領選挙に立候補を宣言したRobert F. Kennedy Jr.の宣言を今月9日のNewsweekに掲載された原文を翻訳して以下に示す。

https://www.newsweek.com/today-i-declared-myself-independent-candidate-president-opinion-1833099 

 

今日、私はアメリカ合衆国大統領の独立候補者であると宣言しました。そしてそれに加え、私はうんざりしているすべての人々と希望を持っているすべての人々と声を合わせて、国民全体のために新たな独立宣言を作成しました。

今日、私は私たちの政府を乗っ取り私たちから利益を搾り取る企業からの独立を宣言しました。
私はウォール街、ビッグテック、大手製薬会社、大手農業会社、軍事請負業者、そして現在議員の数を20対1で上回っている彼らのロビイストからの独立を宣言しました。

私は、私たちに永遠に隣人を憎み友人を恐れるよう誘導する、金で動くメディアからの独立を宣言しました。 私は、私たちの希望を裏切り、私たちの分裂を増幅させる皮肉なエリートたちからの独立を宣言しました。

そして最後に、私は二つの政党とそれらを支配する腐敗した利権団体、そして政府職員を企業の年季奉公人に仕立て上げた怨恨と怒りそして腐敗と嘘に満ちた制度全体からの独立を宣言しました。

 

このまま放っておけば、彼らは私たちの空気、水、食料、労働力、子供たちを商品のように扱い、アメリカン・ドリームを絶望とゴミに変えることになるでしょう。

私がこれらの腐敗した権力からの独立を宣言したのは、これらの権力が、1776 年の私たちのオリジナルな独立宣言で発動された、生命、自由、幸福追求の不可侵の権利と両立しないからです。

私たちを守ってくれるはずの公的機関が営利企業に占領されているとき、どうやって命を守ることができるのでしょうか?  監視国家が権力を維持するために真実を隠し、反対意見を鎮圧しようとするとき、私たちはどうやって自由を享受できるのでしょうか?

 

そして、私たちの国の家族が借金と飢え、そして決してそれらを解消できない仕事に囚われているとき、私たちはどうやって幸福を追求できるのでしょうか?


そこで私は今日、普通の生活、未来への信念、そしてお互いの尊重を奪う腐敗の圧制からの独立を宣言しました。 そのためには、民主党からの独立とすべての政党からの独立を宣言する必要がありました。

私はこの決断を軽々しく下したわけではありません。 叔父たち、父、祖父、そして両曾祖父たち――ボストン初のアイルランド系カトリック市長John "Honey Fitz" Fitzgerald とボストン区区長Patrick Kennedy らの政党から離れるのは、私にとってつらいことです。 二人は共に私たちの名誉ある政治家系の始まりでした。

しかし、私が払う犠牲など、建国の父たちが247年前に丁度あの場所で(指さしただろう)独立宣言に署名したときに負ったリスクに比べれば取るに足らないものです。 彼らは、革命が失敗すれば最後の一人まで絞首刑に処されることを知っていた。 彼らはすべてを危険にさらすことを選択しました。

ジョン・アダムズは宣言に署名を加えた後ペンを置くと、出席者に向かってこう言った、「沈むか泳ぐか、生きるか死ぬか、生き残るか滅ぶか、今日からは私は祖国とともにある。」

 

私も今日同じ誓いを立てます。それは、すべての指導者がそうすべきであるように、党派的な忠誠や裏での駆け引きや取り引きから解放され、私の良心、私の創造主、そしてあなたたちだけに奉仕する者として、あなたたちの前に立つためです。
 

今日、私たちはアメリカ政治に新たなページをめくろうとしています。 これまでも無所属の立候補者はいた。 しかし、今回は違います。 今回は独立派が勝つのだ。
 

二大政党はほとんどのアメリカ人が立候補すら望まない候補者を擁立している。 衝撃的なことに、アメリカ人の4分の3は、バイデン大統領は効果的に統治するには高齢すぎると考えている。 トランプ大統領は複数の民事裁判と刑事裁判に直面している。 どちらも好感度は大幅にマイナス圏にある。

それが二大政党政治の現状であり、だからこそ私たちは二党の締め付けを打破する必要があるのです。 だからこそ、私たちはワシントン D.C. を支配する腐敗した権力のハンマーロック(注釈1)をこじ開ける必要があるのです。私たちはこの国を再び私たちのものにするつもりです。
 

Oct 09, 2023

 

注釈1. hammerlockはレスリングで相手の片腕をその背中へねじ上げる技

 

<以下 オリジナル バージョン>

 

Today, I declared myself an independent candidate for President of the United States of America.

And more than that, I joined my voice with all the people who are fed up and all the people who are hopeful, to make a new Declaration of Independence for our entire nation.

 

Today, I declared my independence from the corporations that have hijacked our government to milk us for profit.

 

I declared independence from Wall Street, Big Tech, Big Pharma, Big Ag, the military contractors, and their lobbyists who now outnumber members of Congress 20 to 1.

 

I declared independence from the mercenary media that forever urges us to hate our neighbors and fear our friends. I declared independence from the cynical elites who betray our hope and amplify our divisions.

 

And finally, I declared independence from the two political parties and the corrupt interests that dominate them, and the entire rigged system of rancor and rage, corruption and lies, that has turned government officials into indentured servants of their corporate bosses.

 

If left unchecked, they will commoditize our air, water, food, labor, and children, and turn the American Dream into desperation and dust.

 

I declared my independence from these corrupting powers because they are incompatible with the inalienable rights that our original Declaration of Independence invoked in 1776: life, liberty, and the pursuit of happiness.

 

How can we guard life when for-profit corporations have captured the public agencies that are supposed to protect us?  How can we enjoy liberty when a surveillance state seeks to hide the truth and quash dissent to preserve its power?

 

And how can we pursue happiness when our nation's families are imprisoned by debt and hunger and jobs that will never pay the bills?

 

And so today, I declared my independence from the tyranny of corruption which robs us of affordable lives, belief in our future, and respect for one another. And to do that, I had to declare my independence from the Democratic Party and independence from all parties.

 

I haven't made this decision lightly. It is painful for me to let go of the party of my uncles, my father, of my grandfather and of both of my great-grandfathers—John "Honey Fitz" Fitzgerald, Boston's first Irish Catholic mayor, and Patrick Kennedy, a Boston ward boss, who together, launched my family's political dynasty.

 

But my sacrifice is nothing compared to the risk our founding fathers took when they signed the Declaration of Independence 247 years ago right over there. They knew that if their revolution failed, every last one of them would be hanged. They chose to place everything on the line.

 

When John Adams put his pen down after adding his signature to the Declaration, he turned to those present and said, "Sink or swim, live or die, survive or perish, from this day on, I'm with my country." I make that same pledge today, so that I may stand before you as every leader should, free of partisan allegiance and backroom wheeling and dealing, a servant only to my conscience, to my Creator, and to you.

 

Today, we are turning a new page in American politics. There have been independent candidates before. But this time is different. This time, the Independent is going to win.

 

The two major parties are fielding candidates that most Americans do not want even to run. A shocking three-fourths of Americans believe President Biden is too old to govern effectively. President Trump faces multiple civil and criminal trials. Both have favorability ratings deep in negative territory.

 

That is what two-party politics has come to, and that is why we need to break the stranglehold of the two parties. And that's why we need to pry loose the hammerlock of corrupt power over Washington D.C. We are going to make this nation ours again. Oct 09, 2023

 

補足: 河添さんの動画からのRobert Kennedy Jr.の宣言のコピーは以下の通りです。

 

私は米国大統領の独立した候補者として自分自身を宣言するためにここにいます。そして、それだけではありません。私は、私たちの国全体のため、新しい独立宣言を行なうために皆さん全てに加わってもらいたくてここにいます。私たちは、政府を乗っ取った企業からの独立を宣言します。

 

私たちは、ウォール街、ビッグテック、ビッグファーマ、ビッグアグリ、軍事請負業者、そして彼らのロビイストからの独立を宣言します。 私たちは、企業の正統性を強化する傭兵メディアからの独立を宣言します。(中略)私たちの希望を裏切り、私たちの分裂を増幅させる冷笑的エリートからの独立を宣言します。

 

私の犠牲は、建国の父が247年前に独立宣言に署名したときに取ったリスクと比較して何もありません。彼らは、彼らの革命が失敗した場合、彼らの最後の一人まで絞首刑にされることを知っていました。

 

ジョン・アダムズ が宣言に署名し、ペンを置くと、彼は出席者の方を向いて「沈むか泳ぐか、生きるか死ぬか、生き残るか滅びるか、この日から私は私の国と一緒にいます」と述べました。私は今日、同じ近いを立てます。それは全ての指導者がそうであるように、貴方たちの前に立つことが出来るようにするためです。

=== 以上===

 

イスラエルによるガザ地区の爆撃と部分的な地上侵攻が進んでいる。朝日新聞デジタル(273:01配信)によると、26日の時点で、ガザ地区の死者数は7000人以上で、その内2900人以上が子どもであったという。

 

この残忍なイスラエルの攻撃を、集団的懲罰(collective punishment)或いは属性(的)排除の論理で行われていると考える人々がいる。ハマスのテロに対する懲罰をハマスを政権とするガザ地区住民全てが負うべきだとする考え方である。(補足1)

 

現在イスラエルが行なっているガザ攻撃は、太平洋戦争末期の米国による日本攻撃に似ている。属性的排除或いは集団的懲罰はハマスのテロと同様に国際法では戦争犯罪である。https://en.wikipedia.org/wiki/Collective_punishment 

 

元々90%以上の住民がパレスチナ人だった土地に、ユダヤ金融資本家による圧力があったとは言え、強引にユダヤの帰還地をつくった英国の決断、そしてその後の無責任な委任統治が、そもそも紛争の原因である。(補足2と13‐16日の記事)

 

今回は、多数の一般市民の死亡が予想され、且つ、国際的世論が反対する中で、ガザ地区を地上侵攻してハマスを壊滅させようとするイスラエルの論理を考えてみる。

 

 

1)属性的排除という考え方:

 

作家の佐藤優氏が、今回のガザ地区への攻撃がハマスを含めてガザのパレスチナ人に対する「属性排除」であると言っている。下の動画の41分くらいからその解説がなされている。 https://www.youtube.com/watch?v=Km3fLGC-yD4
 

 

この場合の属性排除とは、ハマスに統治を委ねたガザ地区のパレスチナ人全員に7日及びこれまでのハマスのテロの責任があると考え、ガザ地区を「中立化」するという考え方である。

 

「中立化」という用語は、通常、戦争や紛争の文脈で、特定の地域や人を戦闘や敵対行動から、中立的な立場を維持するための措置を指す。ガザ地区に適用すれば、それはパレスチナ人全員を生死に無関係に追い払うこととなる。

 

この論理はハマスにとっても同じであり、パレスチナ地区を占有するユダヤ人であるが故に攻撃殺害するということになり、ハマスがテロや人質をとったことを正当化する論理となり得る。そこには、最早善悪は存在しない。完全に野獣の縄張り争いの論理である。

 

この論理なら、ハマスとイスラエルの衝突とその様相を、西欧の戦争と戦争犯罪の考え方で言及するのは完全に間違いということになる。そして、介入をこころみる国家があれば、その国も同じ野生の世界に入り込むことになる。

 

ここで重要なのは、イスラエルは国家だがハマスを含めてパレスチナは国家ではないことである。ネタニヤフは7日のテロ行為後直ちに、戦争を宣言した。イスラエルを支持する米国も、イスラエルの自衛権を認めた。

 

しかし、これらの国々はパレスチナを或いはガザを国家として認めていない。ガザやヨルダン川西岸のパレスチナ人居住地は自国の占領地であると言いながら、新たに防衛戦争を宣言したのである。国連は第一次中東戦争後から一貫して、その地域をパレスチナ人の土地としている。イスラエルの占領を認めていない。

 

つまり、イスラエルはガザのハマスだけと戦っているつもりはないのだろう。イランなどアラブの国々など全て、或いはイスラエルの味方になる英米などの国々以外の全世界と戦わなければ、独立維持が出来ないと考えているのだろうか? つまり、ハルマゲドンを想定しているのかもしれない。

 

普通の感覚に戻す。パレスチナに対して防衛戦争を宣言するのなら、その前に先ず国連の決定通りに国境を守り、パレスチナを隣国として承認することが必要だと思う。(補足3) 今回の防衛戦争の宣言とその支持は、イスラエルや米国の非常に身勝手な論理であると思う。

 

 

2)アイヒマン事件:

 

上に用いた属性排除という考え方は、国際法や近代の法理論に反するものである。この極端な考え方は、アイヒマンの裁判を通して、イスラエルの一部政権に定着したと、上記動画(40分以降)で佐藤優氏が解説しているのだが、その通りだと思う。

 

モサドによりアルゼンチンで逮捕されイスラエルに移送されたナチ親衛隊のアイヒマン(補足4)は、「自分は列車運行の専門家としてユダヤ人を収容所に送る列車のダイヤグラムを組んでいただけで、ユダヤ人虐殺には直接関与していないし、それを命令する立場にもなかった。」と語り、その裁判で無罪を主張した。

 

近代の法解釈では、アイヒマンはナチスの犯罪の共同正犯になるか、ほう助罪となるか微妙である。死刑にする論理はユダヤ人を“属性排除”したナチスの一員として、その一部を担当したからであると佐藤優氏は語る。(当然、イスラエルは否定する筈)

 

アイヒマン裁判から60年と少し経過したある日、一地方紙である静岡新聞(2023.3.18)にその論説が掲載された。アイヒマン裁判のイスラエルにとっての意味が詳細に解説されている。https://www.at-s.com/news/article/national/1210162.html

 

アイヒマンを裁くだけなら、証拠書類だけで十分だが、主任検察官ギデオン・ハウスナーは生存者に裁判でナチ収容所での体験を証言させた。大惨事を生々しく再現させることで、ホロコーストを知らない若い世代への教育的な意味合いもあった。

 

建国間もないイスラエルでは、第1次中東戦争が休戦に至ったばかりで治安も安定せず、社会は「力強さ」を求めていた。「なぜ抵抗しなかったのか」「なぜ羊のように従順に殺されたのか」―。ホロコーストはユダヤ人の「弱さの象徴」とされ、さげすまれた。

 

また、アラブ諸国出身のユダヤ人は欧州出身者中心の社会へうまくなじめない様だった。しかし、裁判を通じホロコーストはユダヤ民族の記憶として共有され、ナショナルアイデンティティーになった

 

アイヒマン裁判の効果は、ベングリオン首相(当時)の狙い通りだったのである。そして「国家がなかったから虐殺された」「ユダヤ人の避難場所としてイスラエルを守る必要がある」という考えが全ての国民に刷り込まれ。

 

また、「ホロコーストの記憶から生まれる無意識の恐怖心や不安感、そしてその裏返しの強さへの憧憬」は、ユダヤ人団体やイスラエル国が、他国におけるナチスやパレスチナ問題に関する議論等を、米国などの力を背後にして神経質に抑える理由だろう。

 

ホロコーストをイスラエルの考えた通りに解釈しない者には、言論の自由など存在しないというのである。最近、イスラエル大使はパレスチナ支援のテロを母親が行なったので、その娘はパレスチナ支援の発言をする自由は無いとして、テレビ出演させたTBSを強く批判した。(補足5)

 

それは将に、「属性排除」という論理である。佐藤氏は、日本赤軍がハマスと同じように、反ユダヤ人のテロを行なったからだと言う。動画46分50秒で佐藤氏が解説するイスラエルの感覚を理解しなければいけないだろう。
 

また佐藤氏は、イスラエル建国当時のユダヤの人たちが持っていた考え方は、「全世界に同情されながら死に絶えるよりも、全世界を敵にまわしてでも生き残る」という覚悟であると語る。(47:20)何かの機会に無意識に行なったことで“属性排除”されない様に日本人も気をつけるべきである。
 

彼らが原爆投下を表から正当化する論理も、この論理である。ハイドパークの覚書などから見ると、日本人は既に属性排除されるべきリストに入っている可能性があると思ってしまう。原爆を日本ではなく日本人に用いるとその覚書には書かれている。(補足6)

 

何時もユダヤ金融資本の「金の力」が支配した英米と言う国家の力を借りて行うので、過去の歴史においても反感を持つ人も多かっただろう。国家を持たなかったユダヤ人は、他国(英米)の政治に深く介入し、御簾の陰に隠れて野望を達成した。イスラエル建国もその一つだろう。

 

ネタニヤフ首相は、ヒトラーのホロコーストという人類史的犯罪以降初めての、ユダヤ人の危機と考えているのかもしれない。

 

西欧の「戦争は外交の一手段であり、戦争に関する国際法に従って行われる」という近代西欧の外交文化は、21世紀になって完全に捨て去られ、世界は弱肉強食の中世的になったと言える。


 

補足:

1)ハマスを政権に選んだのはガザ地区住民なのだろう。しかし、ハマスを育て維持したのはパレスチナの分裂を狙ったネタニヤフだった。従って、集団的懲罰の論理は最初から破綻している。https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/qa/2023/10/24/35315.html

2)最初に明確に国境を決定し、それを数十年維持する英国政府の努力があれば、自然に落ち着いたと思う。勿論相当の出費はあっただろうが、アラブ人の不満を時には懐柔し、国境を守るという強い意志を示せば出来たと思う。ただ、その英国の背後のロスチャイルドが最大版図のイスラエルを考えていたとしたら、どうしようも無かっただろう。
(23日の記事参照)

3)1948年にイスラエルは独立した。それに反対するパレスチナとアラブ諸国はイスラエルを攻撃して第一次中東戦争になった。その後の調停で出た新しい国境を、イスラエルは遵守すべきだったと思う。現在のパレスチナの範囲は、そこから著しく縮小されている。

4)モサドはイスラエルの対外諜報機関であり、他国で他国民を逮捕する権限などない。このような行為は米国民主党政権が頻繁に行なっている。米国のオバマ大統領は“世界の邪魔者3000人”をドローン攻撃で暗殺した。https://wedge.ismedia.jp/articles/-/7166 

5)最近、重信房子の娘のパレスチナ擁護発言を放送したTBSに対し、駐日イスラエル大使の強い批判があった。(動画の46:40秒)また以前、月刊誌「マルコポーロ」を廃刊に追い込んだ事件があった。廃刊後には出版社の負担で、編集者らに教育的講座の受講を義務づけるという傲慢さである。かれらには、言論の自由、報道の自由、法の論理などもナチス問題を前にしては無視して良いと考えている。

 

6)米国にあるユダヤ人による圧力団体のサイモン・ヴィーゼンタール・センター(SWC)は、米国政治について隠然たる力を持っていると言われる。そこの副館長のアブラハム・クーパーは、「原爆投下を人道に反する罪だとは思わない」と明言したことは、ユダヤ人たちの思考が世界のその他の人たちの標準的思考とことなることを示している。

 

彼らは、主権国家体制だけでなく、ハーグ陸戦協定などの西欧の政治外交文化を全て無視しても良いという独裁者的思想を持っている。そして、それを米国を利用して世界に押し付ける力も持っている。この考え方の背後に、ユダヤ人の強烈な被害者意識と属性排除の考え方があると思われる。
https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12762996977.html