自民党の二階氏が3000人を引きつれて5月下旬中国を訪問し、習近平氏と会談した。今日の週刊ニュース新書は、その二階氏とホストの田勢氏との「今後どうなる?日中関係」というタイトルでの話合いだった。先ず、二階氏から習近平氏の好意的な対応が話された(注1)。その後、最近の中国と日本の市民レベルでの交流などを混ぜて、日中の関係改善の兆しについて話が進んだ。ただ、二階氏や田瀬氏は、日中の外交関係と日中の市民関係とを一緒にして議論していたのは、政治家と評論家の話として不思議に思った。 
 
また、二階氏が北京の大学で講演を行い、「日本人ほど戦争が嫌いな人種はいないのだ」と話したという話に、田勢氏が「それを信じてもらえるだろうか」などと応答していた。安倍総理によって発表が予想されている70年談話や安保法制へも話は進んだが、短時間の番組なのであまり本質的な議論にはならなかった。田勢氏は、安保法制の議論が今一つ国会で熱くなっていないと言及したが、国民の大半が同意できるような議論は元々不可能だろうと思う。 
 
今朝のヤフーニュースによれば、中国は最近埋め立てて国際問題になっている南シナ海の島に、武器を配備し始めたことで問題を更に大きくしている(産経新聞5/30配信;ウオールストリートJ電子版28日)。このような世界の情況と比較して、あまりにもナイーブな議論だった。習近平氏は、「押してもダメなら引いてみな」という戦略で、太平洋への勢力拡大を目指して、日本と米国の連携にクサビをいれるべく、先ず日本の与党の分断に動いていると解釈すべきだと思うが、そのような認識は両者から示されなかったと記憶する。 
 
安倍政権をどのように攻撃するか?を念頭におくと:今回、友好姿勢を先ず強調し、それを”本来の日中関係”として背景にセットする。次に、70年談話か何かのチャンスがあれば、安倍政権を強く批判する。その際に、背景にセットした日中友好関係が、”安倍氏でなければあの様な日中友好関係が可能だった”と反安倍勢力の拡大に役立つのである。「いったん上げてから、ドスンと落す」古典的な習近平主席の手法に、二階氏は協力しているのだ。 
 
その戦略に乗らない為には、70年談話を工夫すべきである。4月中旬ブログに書いた様に、
村山談話の中心部分をそのまま読み上げ、それを安倍政権も踏襲するという形で、過去の戦争中の出来事に対する日本政府の姿勢を話すのが良いと思う。そうすれば、何度も何度も現在形で謝罪をするという不自然さと、発表する安倍総理とそれを聞く日本国民の抵抗感を減少させられる。 
 
5月15日には、8人のスタンフォード大学の研究者が、それぞれ、「自らが首相であれば何を述べるか」をテーマに「太平洋戦争終結70周年に考える」を作成し、そのブックレットを公表した。その”米国の学者8人、「私なら70年談話をこう語る」”の中で、米国スタンフォード大学のダニエルスナイダー教授によって書かれた案http://toyokeizai.net/articles/-/69608?page=6と、上記ブログの案は村山談話の復唱を提案する点で良くにている。 
 
あとがきでの、「イツカ向コウデ」と題する長田弘氏の詩(注2)は、この番組を見た収穫だった。この詩は、今回の週刊ニュース新書の総括の様だった。番組の討論はあまり内容がなかったが、この総括だけ完璧に思えたのは不思議だった。
 
補足:経済的関係を悪くして日本資本が中国から逃避するのを避けたいという本音はあると思う。伊藤忠の新たな投資や、最近のヤフー日本とアリババの協力など、本音で大歓迎だと思う。
 
注釈:
1)習氏は23日夜、北京の人民大会堂で開かれた交流式典に突然姿を見せ、「 “朋(とも)あり遠方より来る、また楽しからずや”。3000人余りの日本各界の方々が遠路はるばるいらっしゃり、友好交流大会を開催する運びになった。われわれが大変喜びとするところだ」と孔子の言葉を引用しながら笑顔であいさつした。http://www.sankei.com/world/news/150526/wor1505260011-n1.html
 
2)人生は長いと、ずっと思っていた。間違っていた。おどろくほど短かった。
きみは、そのことに気づいていたか?
 
なせばなると、ずっと思っていた。間違っていた。なしとげたものなんかない。
きみは、そのことに気づいていたか?
 
わかってくれるはずと、思っていた。間違っていた。誰も何もわかってくれない。
きみは、そのことに気づいていたか?
 
ほんとうは、新しい定義が必要だったのだ。生きること、楽しむこと、そして歳をとることの。
きみは、そのことに気づいていたか?
 
まっすぐに生きるべきだと、思っていた。間違っていた。ひとは曲がった木のように生きる。
きみは、そのことに気づいていたか?<br><br>
 
サヨナラ、友ヨ、イツカ、向コウデ会オウ。
自民党の二階氏が3000人を引きつれて中国を訪問し、習近平氏と会談した。習近平氏は安倍晋三政権の歴史認識を暗に批判する一方、訪中団のメンバーを「正義と良識のある日本人」などと褒めたたえたという。http://saigaijyouhou.com/blog-entry-6602.html
先ず二階氏には、上記サイトにある、みっともない写真が恥ずかしくないのかと言いたい(注1)。
 
周近平氏の思惑は容易に想像がつく。つまり、日本の世論や与党自民党を分断することで、安倍氏の目指す戦後の枠組みからの脱却を妨害し、同時に日米関係を分断することである。米国が日本との同盟関係を新しいステージに進める覚悟をすれば、日本は憲法の改正と自衛軍保持などを実現し、まともな国になることが出来るだろう。
 
しかし、従来の日米関係なら、日本の憲法改正は米国の賛意をえられないだろう。何故なら、戦後も安保条約下でも一貫して、日本国は米国の仮想敵国の一つだったからである。(注2)勿論、米国は日本が自衛軍を持つことに正面から反対はできない。しかし、中国や韓国の日本の歴史認識攻撃を裏から支援する形で、日本の憲法改正を妨害することになると思う。繰り返しになるが、日本国の異常DNAとでも言うべき憲法の改正が、戦後70年間出来なかったのは、米国が日本を信頼していなかったからだろう。 
 
同盟関係にない隣国の弱体化は、何時の時代でも国益に一致する。日本の弱体化は、国際的に孤立させること、米国との同盟関係を崩すことで加速できる。中国が日本政府の歴史認識を執拗に攻撃する理由の一つは、日本を国際的に孤立させ、日本が米国の国是である人権、自由、平等などに反する国であると印象つけることにある(注3)。特別に日本軍の過去の行状が悪かったと腹を立てているのではない。そのように宣伝することで、中国人民の腹を立てさせることは出来ても、指導者達はその効果だけを冷静に計算しているだけである(注4)。 
 
二階氏は、中国首脳のその戦略に100%協力しているように見える。安倍総理の親書を、会合の最中にカメラの前で、参加者の目に見える形で手渡したという。総理の親書は、二階氏のどのようなことばより重いことを忘れている様では、日本のしかも与党の政治家としては、あるまじき行為であると思う。
 
習近平主席が、自分を心底から歓迎していると勘違いしているとしたら、政治家としての知性に欠ける。中国の戦略は一つである。その一つの戦略から、現内閣への厳しい姿勢と、二階氏らに対する宥和的な姿勢が出てくるのである。そして、習近平主席の日本に対する姿勢が最近若干宥和的なのは、日米の関係が以前考えていたよりも、強固であると判ったからである。そして、戦略は不変である。二階氏は、自分が歓待されている原因が、習近平主席が憎々しげに言及する安倍総理の対米関係改善であると判っているのだろうか? そして、日本の与党を日本の国論を分断するという目的を持った笑顔であることが判っているのだろうか? 
 
 
注釈: 
1)習近平氏が主席になる前に箔を付ける意味で、天皇と会見した際、彼は頭を殆ど下げず天皇陛下と対等の姿勢をとった。そのような場面など二階氏の頭には、うかばないのだろう。 
2)北朝鮮が原爆実験したとき、素早く日本を訪問して日米安保を確認する儀式を行なった、ライス国務長官の姿を思い出す。日本国を同盟国として、信頼していないことが明らかである。米国がイザとなれば日本を防衛するという覚悟が明確でないから、その心中を見透かされる可能性をライス氏は恐れたのである。つまり、イスラエルなら賛成するが、日本が原爆を持つことには大反対なのだ。オバマ氏が、日本からプルトニウムを引き取りたかったのも同じ理由である。 
 
3)もう一つの目的は、もちろん、自国民の不満の方向を逸らすことである。 
4)何故そのようなことが言えるか? 彼ら指導部は、もっと近い過去(1968-1977)の大躍進運動や文化大革命の際、自国民にどのようなことが起こったかを知っている。例えば、M主席の写真が掲載された新聞紙を、人の見える前で再利用(芋かなにかを包んだ)して、当局により虐待された老婆のことが、ワイルドスワンズに書かれている。 
今朝のゲストは野中広務氏と古賀誠氏である。安保法制に関する議論で主であった。野中氏は、日本の国会で先ず議論を始めるべきことを、米国議会の演説で夏までという期間も明示した上で結論にまで言及するという異常さを攻撃していた。古賀氏の意見も大同小異であったと思う。
 
ただ、日本の於かれた危機的状況、つまり中国の脅威については、両氏も現政権も同じ様に把握されているようである。野中氏は、おそらく、日中友好でそれを解決出来ると思っておられるのだろう。しかし、中国は尖閣諸島の次には、沖縄を要求するだろう。現に、翁長知事の最近の発言は、日本を離れる道を探しているとしか思えない。既に、中国のオルグは沖縄県の中枢にまで来ている様に感じる。その状況をどう考えておられるのか?

現在、日本は米国の勢力圏に含まれている、それでも中国の勢力圏よりはましではないのか。つまり、どちらの勢力圏に入るか、安保法制はその選択の問題だと思う。そのレベルの議論が、果たして国会でオープンにできるのだろうか?
 
オスプレイの横田配備についても、二人の議論は社民党レベルであり、危険性のみに感心があるようだ。民意を聞けば、賛意は得られない筈である。しかし、全て民意を聞くという方法では、国家は迷走することは見えている。それを防ぐために、間接民主主義という方法をとっている筈である。オスプレイ配備の利益について判っておられないのなら、何も発言するべきではないと思う。
 
政権からはなれ、情報から遮断されている人には、安保法制などの議論は恐らく無理なのだろう。野中氏の「日中の今日の対立は、野田政権の時の尖閣諸島国有化にある」との認識は、全く表層的な見方から出たものだと思う。最初から中国は尖閣諸島を盗ることを考えていたが、そのチャンスとして野田政権の国有化があっただけだ。それすら判っておられないようだ。全く意味のない議論だったと思う