今朝の読売新聞の編集手帳は、米国大統領候補ドナルド・トランプ氏が税金を長期に亘って逃れていた事実を批判するために、西武の創業者堤康次郎が死後相続税のかからないように工作していた事実を書いている。しかし、それは誤解を招く内容である。 
 
トランプ氏の場合は巨額の損失を出したので、次年度以降にその持ち越しにより所得税免除を受けていただけである。これは合法的であるが後ろ指さされることであると、この編集手帳の主は言いたいらしい。その話の筋を通すために上記堤康次郎氏のケースを引き合いに出したのである。しかし後者の場合、私は違法行為が含まれると思う。つまりこのコラムは、堤康次郎の違法で卑怯な行為の黒いイメージをトランプ氏の行為にかぶせようとした悪質な内容だと思うのである。 
 
具体的には、堤康次郎氏は持ち株を他人名義にするなどして、相続税の納税額がゼロになるよう生前に対策を済ませていたという。その話を息子の堤清二氏が康次郎氏と親交のあった池田勇人首相に話した時、池田首相は「清二君、それは無理だよ」と言下に叱責されたというのである。 
 
この編集手帳の主は、叱責の意味を理解しながら、読者を騙してトランプ氏の評判を日本においても下げようとしている。池田首相は、「違法だ」という意味で「無理だよ」と言った筈である。なぜなら、株を他人名義にするのは贈与であるから、贈与税の申告と納税がなければならない。それは通常相続税より高くつくので、堤康次郎氏は明らかに政界での高い地位に隠れて、違法行為を働いた筈である。 
 
それを知ったなら、池田勇人総理は追徴課税を税務当局に指示しなければならない。それを怠ったのは、堤康次郎氏が同じ自民党の大物議員(衆議院議長もつとめた)だったからであり、清二氏はその息子で池田首相と懇意にしていたからだろう。その事実が広く知れた場合、そのままに放置すれば首相という自分の地位も危うくなるから、池田首相は叱責したのだろう。その話は清二氏が読売新聞に連載した回顧録に記載されているという。そして、「いくら理屈の辻褄があっていても、非常識はいかん」と池田首相が言ったというが、そんな回顧録を書くだろうか。(補足1) 世の中に非常識だが合法だと言い切れることは、税金に関しては非常に少ないと思う。 
 
一方、トランプ氏の場合は損金の次年度以降への持ち越しであり、報道された範囲では完全に合法であり、道義的責任も全くない。(補足2)大統領候補としてマイナスになるのは事実だろうが、だれでもどこの会社でも利用している筈である。以上、編集手帳の主が堤康次郎氏の件で事実を書いていると仮定して批判した。 

新聞はインチキが多い上に、肝心なことをほとんど書かない。読売新聞などは、政治ニュースにおいては完全に米国とその下の日本政府の御用新聞状態である。一般に、日本のマスコミの発表するものは、独自取材などの努力がたりないのか、非常に内容が貧弱である。 

補足:

1)堤康次郎氏の遺産は現在の貨幣価値では、おそらく数百億というレベルだろう。それを少しづつ非課税の範囲で贈与して、その額に積み上げるのは不可能である。もし、贈与税を支払って贈与をし、その結果相続財産がなかったのなら、「無理だよ」とか「辻褄があっていても、非常識はいかん」などの発言は出ない筈である。 

2)年ごとの収入がプラスになったりマイナスになったりする事業の場合、プラスの時だけ普通の税率で課税したのでは、収入が安定してプラスである事業との間で不公平が生じる。そのため、例えば株取引のような場合には、損金は一定期間内で翌年の利益にたいする控除に使える。このような控除にいちゃもんをつけるのは、おかしい。単に、揚げ足取りにクリントンがやっているだけであり、それに同調して従来のレジームで利益を得てきた層の一員であるマスコミが、反トランプのプロパガンダに利用しているだけだと思う。ただし、新たに不法行為が出れば別である。
今年も日本人がノーベル医学・生理学賞を受賞したことに最初びっくりし、その重要な研究内容を知って再びびっくりした。大隅良典氏が、細胞による自食作用に関する研究で受賞することになったのである。

それまで自食作用は漠と知られていたようだが、その存在証明を大隅氏が行ったという。具体的には、細胞内で消化される部分に膜が張られ、そこに消化酵素が注入される仕組みを解明したという。

この自食作用の重要さは、「人間は一日に200gほどのタンパク質を必要とするが、食事から摂取するのはせいぜい5070g程度で、全く足りない。その不足分を、細胞内の不要なタンパク質を自食し再利用し補っている。」という説明は確かにわかりやすい。しかし、これは一面だけの説明に過ぎない。
 
この不要なタンパク質が、アルツハイマーなどの病気の原因になるとしたら、もう一面の重要性がわかる。つまり、細胞の機能維持をはかるために不要物を消化し、その結果生まれたアミノ酸などを再利用するのである。


つまり、オートファジーの重要性は、廃棄と再利用の両面から説明されるべきである。生物学の研究領域は物理学や化学と比較にならないくらい広いことが、このような重要な研究がノーベル賞受賞対象として残っていたことでもわかる。
 
上記は細胞内の不要部分の自食作用だが、細胞レベルでもプログラムされた死(アポトーシス)が、生体の成長や機能維持に重要である。これを延長して、個人の死は人類のアポトーシスなのかもしれないと想像する。
 
生体は本当によくできている。体全体の活動度を自律神経とホルモンで制御し、器官では細胞の増殖や上記アポトーシスで機能を保つ。更に、細胞内でも自食(オートファジー)で機能維持と栄養のリサイクルを行っているのだ。

蛇足だが、人間社会の機能維持もこのようなマクロとミクロのメカニズムで緻密な制御機能を持たなければ難しいだろう。
アラブの春という怪しげな騒動は、西欧諸国の仕組んだことだという。カダフィ、ムバラクを殺害して、何が得られたのか? 私には十分説明する知識がない。
最近、あのスタンフォード・フーバー研究所の元教授を名乗る人物の組織から、メイルでこれらの謎を解くという講座への勧誘があった。3万円弱するので、参加はしないがネットでそのような情報がないか、検索してみた。 

そして、以下のサイトを見つけた。 
カダフィ大佐は石油の利権を傀儡政権とその背後の欧米から取り返し、それを国民に還元することで高度な福祉国家を建設していたというのである。それは、欧米資本の利益に反するので、欧米の支配する国際組織を動員し、「カダフィは独裁体制を敷いて、国民を弾圧している」というデマを世界に流したというのだ。 

その上でリビア国内では、反カダフィデモを組織させ、その様子は世界に報道した。一方、大々的に発生したカダフィを応援するデモは報じないで、世界を騙したという。そこに引用されている独立系の英国女性記者(https://www.youtube.com/watch?v=w4lx1fwftIQ)やロシアのプーチン大統領の話(https://www.youtube.com/watch?v=QHLrbz-t8CY)には説得力がある。恐ろしい話だ。 

NATOがリビアを攻撃したとき、リビア国民の約1/3に当たる170万人が、カダフィーを支持する「緑の旗」を振りかざして反NATOデモを行ったという。そのようなことは西側の端に位置する日本には一切報道されなかった。日本では米国の犬的な評論家が、カダフィはアラブの狂犬という宣伝をするのみであった。