1)日本の知性のトップ層を育成するのは、主に東京大学を筆頭とする有名大学である。その東大の憲法学の教授は、日本が憲法9条を改正して独自軍を持つことに反対している。その根拠であるが、実に異常な論理展開を経て導きだしている。この最高学府の憲法学教授や低い質の政治家などから、日本全国の文系学部のレベルが非常に低いのではないかという危惧を抱く。(補足1)
 
上記東大の石川教授は、国家の防衛と国民の生命を守ることが政治の責任であり、憲法を守ることに優先することが解っていないのか、日本国民に悪意を持つのかの、どちらかである。正式な軍隊と十分な防衛能力がないのだから、準緊急時である現在、憲法を拡大解釈して集団的自衛権行使を可能にするのは至極当然である。
 
石川教授は、下に引用する討論の中で安倍政権の安保法制はクーデターだと言っている。そうだとしても、その責任は行政にはない。憲法を変更しなかった立法と、自衛隊が違憲だという判断をしなかった司法の責任である。(補足2)別の切り方をすれば、憲法を現状のまま固定化しようとする勢力の責任である。マクロにみれば、それは無知な国民の責任なのだが、更に視野に時間の座標も入れて4次元に拡大すれば、その原因として日本の不幸な歴史が存在する(補足3)。
 
2)東大の憲法学の石川教授の憲法感を以下に考察する。
 
石川氏の憲法に関する考えは、毎日新聞2017年5月3日(東京)の記事に討論の形で掲載されている。https://mainichi.jp/articles/20170503/ddm/004/070/044000c
 
上記記事の中から要点をピックアップすれば、以下の用になると思う。
①自衛隊創設については違憲論が有力だが、法解釈をやっている人間から言えば、政府の合憲論も導き出せないことはない。
②状況は変遷したが、同盟政策を排除する9条の規範があったおかげでアメリカに「あまり要求しないで」と言えたし、危険な状況に日本が陥らずに済んだ面がある。
 
(E・H・カーは著書「危機の二十年」において、国際政治におけるユートピアニズムとリアリズムの両方を意識することの必要性を論じている。その指摘のあと以下の様に述べている。)
③生存権の憲法25条も戦争放棄の9条も、そうしたユートピアを制度化したものである。現実とは距離のある観念を(現行)憲法はあえて置く。ユートピアニズムが制度化された中での、より強靱なリアリズム。戦後の国際政治、安全保障がめざすべきはそれであって、安易な同盟政策のリアリズムではないように思う。
 
この3つの意見とも、私は間違っていると思う。
①最初の法解釈学的に自衛隊は憲法9条に違反していないという意見は、言語もそれを用いた論理も否定している(補足4)。自衛隊はどう見ても戦力であり、自衛の為に戦うことは「国の交戦権」の発動である。中学生でもできる日本語の自然な解釈である。
 
②9条があったお陰でアメリカの要求を排除できたというが、それは本来の独立国になることを自ら放棄する論理である。「子供ですから強盗と戦っている人にも協力できません」と言っているに過ぎない。
 
③理想主義を憲法に書くべきとは、恐らくE.H.カーは言っていないだろう(私はまだ読んではいないが、想像はつく。(補足5))。理想を憲法に書いてしまえば、それは理想でなく不自由な現実になる。それが現在の日本の姿である。(馬鹿だこの教授は)

周辺諸国が現実主義で動いてきた歴史を考えれば、ユートピア思想で国家を縛ることは、民族の滅亡につながる。石川教授は、マオリ族にほとんど全滅させられたモリオリ族(平和主義的)の悲劇を知らないのか、日本がモリオリ族の様になることを希望しているかのどちらかだろう。
 
補足:
1)日本では、大学のポストはレベルの低い教授の恣意的基準で補充されている。しかし、自然科学分野では学問そのものが国際化されているため、例えば米国の学会誌などに論文が投稿できなければ、研究者として評価されない。その淘汰メカニズムがかろうじて大学人のレベルを維持していると思う。一方、文化系学部では、厳格な国際的物差しがないため、理系部門以上に大学のレベルが低下するのだろう。
2)最高裁は、行政に阿り自衛隊が憲法9条2項に違反しないという判断を示した。それを立法は利用して、改憲の議論という自分の国会での椅子をかけた仕事をしなかった。つまり、日本では三権分立など有名無実化しているのである。
3)米国の占領から独立を回復して、もう65年になる。しかし、未だに米軍が駐留し、日本には独自軍が憲法上存在しない。そのテイタラクの原因は、独立後の最も大事な10年程の間に、売国奴的政治家が日本の舵取りをしたのが原因の一つだろう。人の誕生後も、最初の10年ほどは人格の大枠ができるので非常に大事である。戦後の売国奴的政治については、例えば、鬼塚英昭著「白洲次郎の嘘」を参照。その歴史の直視など、国家も国民も全くできていない。
 
4)キリスト教では、言語は論理であり、神である。(ヨハネによる福音書冒頭)
 
5)この本は読んでいない。私は、国際政治が一つの標準的規範を作るには、構成国が現実主義の他に理想主義を強く意識する必要があると思う。その意識を最も強く持っているのが日本国であり、日本国を取り巻く大国の内、日本の安全に最も重要な影響を与える中国には、その意識が希薄だと思う。米国は理想主義を意識しているが、力の政治にうったえる傾向の方が強い。
新しい大学や学部の増設を国家戦略特区で行う場合、それがその特区の目的に直結したものであり、卒業生の一定数がその特区内で就職することを前提としなければならない。しかし、今治での獣医学部増設がそれにあたるかどうかという、基本的な議論がマスコミなどでなされたことを聞いたことがない。 
 
国家戦略特別区域及び区域方針は総理官邸のHPにある。http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/pdf/160129_kuiki_houshin.pdf そこに書かれた特区の考え方は、「経済社会の構造改革を重点的に推進することにより、産業の国際競争力を強化するとともに、国際的な経済活動の拠点の形成を促進する観点から、国が定めた国家戦略特別区域において、規制改革等の施策を総合的かつ集中的に推進する」である。(補足1)
 
全国10箇所の特区の区域方針には、イノベーション、グローバル、チャレンジング、ベンチャー、ビッグデータ、ホスピタリティー・サービス、国際競争力、近未来技術、国際的ビジネスなどの言葉が、官僚の決まり文句的な文章の中に散在し、それを読んでいるとまるで霞ヶ関教のお経のよう感じる。
 
「広島県・愛媛県今治市」の特区の目標は以下の様に書かれている: 
「しまなみ海道(西瀬戸自動車道)」で繋がる広島県と今治市において、多様な外国人材を積極的に受け入れるとともに、産・学・官の保有するビッグデータを最大限に活用し、観光・教育・創業などの多くの分野におけるイノベーションを創出する。 
 
この特区を利用した今治市での事業展開について具体的な議論は、今治市分科会でなされている。この会議の要旨等は、首相官邸>会議等一覧。地方創生推進事務局>国家戦略特区>国家戦略特別区域会議>広島県・今治市>今治市分科会というディレクトリーに掲載されている。

平成28年9月21日及び平成29年1月12日に会議を開いて、道の駅の設置を民間事業者にさせるという提案と加計学園の獣医学部設置の提案の二つについて報告を行なっている。議論らしきものは見当たらない。この提案では、獣医師免許保持者は不足しているという主張がされているが、数字を上げた議論は全くない。実際には以前のブログで紹介した様に決して不足していない(https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43295162.html)。 

特区の計画にあった、多様な外国人受け入れ、ビッグデータ活用、イノベーションとかとの関連はどうなっているのかも、さっぱり分からない。獣医学部で感染症の研究を行うなんて、この計画とは何の関係もない。とにかく「初めに結論ありき」の話の様に思える。 

以上、加計学園の獣医学部を今治に経済特区を設けて設置する計画に関する政府と今治市の計画書を紹介した。私の意見だが、説得力は皆無である。この計画に合理性がない以上、現在の総理周辺のスキャンダル的な疑惑は、真実であると思わざるを得ない。

追加:
岸博幸氏がこの件議論している。四国に獣医学科がないから今治に獣医学部を作るのは妥当だとうだけでは、動機を議論するにしては非常に貧弱である。獣医師としての教育には農学部の他学科が近くにある方が良い。愛媛県なら愛媛大に農学部があるのだから、獣医学科を作るのならそこにすべきである。6年後にようやく一期生が卒業するが、一人前になるには人脈もひつようだろう。そう考えるのなら、近くの山口大の獣医学科卒業生をリクルートする方が早い。どうせ半分は獣医と関係のない仕事をしているのだから。
http://www.iza.ne.jp/kiji/politics/news/170612/plt17061223560027-n1.html 岸氏は政権寄りで、この件に関係している師匠の竹中平蔵氏を応援したいのだろう。

補足: 
1)内閣総理官邸のHPに国家戦略特区のページがあり、上記概略説明の見出しが“「岩盤規制」改革の突破口”である。こんな表題をつけることに驚く。規制があるとしても、それを岩盤と形容する神経がわからない。長年自民党政権が続いて来ても打ち破れない岩盤とは、一体だれが築いたのか?行政と立法を担当してきたのは自民党ではないのか? 規制撤廃など、やる気になれば一晩でできる権力を握っているのは自民党ではないのか。その権力を持っているからこそ、意味の分からない計画をつくって、総理の仲良しに獣医学部増設させることもできるのだ。 
SAKURASO TVの表題の番組を視聴した。何時も同じ感想を持つのだが、この放送のみが日本の防衛と安全について、まともな材料を提供してくれる。NHKや他の民放はまさにマスゴミである。今回の議論は、トランプ政権の世界戦略に始まり、最後はいつものことだが、日本の極めて不完全な防衛体制についての話になった。まとめと感想をいかに書く。
 
1)最初に、トランプ大統領の始めての外遊についての分析があった。トランプ大統領が今回訪問した国家は、サウジアラビア、イスラエル、そしてバチカンであり、その後にイタリアでのG7に参加した。
 
サウジアラビアに訪問した際、殆どのスンニ派の国のトップも参加して、まるで新しいタイプのアラブ連合と米国の交流会のように映った。それはサウジなどのスンニ派の国家とその他イランなどの国々(シーア派)との間に明確な一線を引くというのが、トランプの姿勢であることを示している。それを見た人の頭には、大統領が屡々言及している「イランとの核合意」を見直すという言葉が浮かんだだろう。
 
次の訪問国イスラエルでは、米国の現職大統領としては始めて”嘆きの壁”を訪れその前で黙祷した。イスラエルに対する最高の敬意を示した。この二つの国の訪問とそこでの外交は、トランプがイスラエルとサウジアラビアを中心とした国々との新しい協調関係を仲介出来るかもしれないというのが、馬渕睦夫氏と関岡英之氏の意見であった。
 
そして馬淵氏は、トランプがユダヤ人を二分し、イスラエルのユダヤ人をサポートするために中東和平の実現を目指し、世界に散らばったユダヤ人(Diaspora;ディアスポラ)のグローバリズムに対決するという戦略のモデルを披露した。これはこれまでのトランプのアメリカンファーストと以上二つの訪問国での外交を理解する上で、良くわかるモデルであると思う。(補足1)
 
ここで気になるのが、最近のカタール(スンニ派)とサウジアラビア等との外交断絶である。カタールはイランとの関係を重視する立場にあるのだが、この激しい対立の意味については出席者たちにも明確な解釈はなかった。カタールには米軍基地があるだけに、気になるところである。
 
2)日本は自国の防衛を完全に米国との同盟に頼っている。その防衛システムが信頼性を今後維持できるのは、日本の憲法改正などの努力と米国が最後まで極東の安全にコミットする意志(つまりメリット)がある場合のみである。その点についての議論では、「米国にそれだけの核心的な理由はない」が結論であった。(勿論、経済的にはアジアは大きな取引先であるが、それは核心的とは言えないのだろう。)
 
この米国側が極東の安全にそれほど大きな関心がないという事は、カールビンソンとドナルドレーガンが撤収を始めたことと関係があるかもしれない。そして、何よりも決定的なのはトランプ大統領の政治的な関心は主に中東にあるという事実である。また、就任前に日本も韓国も核武装すれば良いと言ったのは、トランプ外交の中心はアジアではないということである。
 
前大統領のオバマは、米国は太平洋国家であると言ったが、トランプは「米国はキリスト教国家であり、従って、大西洋国家である」ことを態度で示した。また、トランプは予算配分でも国防省+10%、国務省-30%と言っており、外交を選択的重点的に行うことを明確にしている。確かに、国務長官や国防長官は東アジアを早期訪問したが、それは差し当たりの北朝鮮問題への対処が目的である。問題が困難になれば、撤退する可能性がある。
 
つまり、トランプのアジア戦略は日本にとっては不安である。最近、安倍総理が一帯一路構想も評価するという発言をしているが、それはトランプのアジア外交の限界を意識してのことだろう。
 
3)中国の世界戦略と日本との関係:
AIIBや一帯一路政策はあまりうまく進展していないが、軍事的には急速に力をつけている。サイバー攻撃や衛星を利用した攻撃能力などの開発に力を入れている。中国の多量の中距離ミサイルでは、日本及び日本近海の米国艦船の脅威となっており、その結果米国の第一列島線防衛を難しくしている。また、2014年から人民日報などで、中国は本来沖縄の宗主国であり、本来中国の覇権の範囲にあると主張している。
 
それらに日本が独自に対抗するには、毎年15兆円程度の予算が必要であり、それは実質的に困難である。そこで、インドやロシアの力を利用するなどの方向で戦略を立てるべきである。オバマ時代には出来なかったが、これらの地政学的利益が共通する主要国との関係を深めることに、トランプは反対しない筈である。
 
何れにしても憲法改正は日本防衛の第一歩であり、何とか実現しなければならない。このままでは自衛隊は実際には力を発揮できない。この5月8日のWall Street Journalの論説にも、「憲法9条は同盟国との集団的自衛を邪魔しており、日本にとって危険になっている」とある。そして、「日本が直接攻撃されていない状況下でも同盟国との共同軍事行動に参加するために、攻撃能力を持つ軍を必要としている」と、日本の情況を説明している。

(以上は、同番組を見て素人がまとめたものです。)

補足:
1)馬淵氏により、トランプ氏はこれまでのグローバル化路線を推し進めたオバマやクリントンの外交を一貫して否定しているということが強調された。その中で、馬渕氏はISISをつくったとまでは言わないが、従来のアメリカ(グローバリスト、WallStreetのユダヤ資本)は利用してきた。また、中国共産党政権は米国が作ったと、自説を紹介している。後者の説については、昨日のブログ補足で紹介した。(America’s retreat from victory