(4/8/10:25 ;15:40 最終版)
1)北朝鮮との体制維持の約束や平和条約の話し合いとその合意は、完全且つ検証可能で不可逆的な核解体撤去(補足1、以下CVID)が条件だというのが、米国の公式見解であった。そのことを報じた中央日報の記事が書かれたのが、3月3日の午前中である。http://japanese.joins.com/article/185/239185.html
 
その後、3月13日にティラーソン国務長官の更迭が、更に23日にはマクマスター安全保障担当補佐官の更迭が、報道された。新しい安全保障担当補佐官は超強硬派のボルトン氏だということで、日本の関係者もビックリしたようである。これで誰しもCVIDの原則を米国は絶対に曲げないと信じただろう。しかし、それは以前のブログで書いたように演出の可能性がある。
 
その流れの中で、金正恩は中国を訪問した。(補足2)この中朝会談で金正恩は、「南朝鮮(韓国)と米国が善意をもって応じ、平和実現のために段階的、共同歩調の措置を取るならば、非核化の問題は解決できる」と表明したと報じられている。(3月28日午前13時の毎日新聞)つまり、CVIDなんてとんでもないと考え、米国との間で貿易戦争を始めそうな中国の助力を得るべく訪中した様に見える。
 
しかし、金正恩が考える核廃絶の最終的な状態やそこへの具体的なプロセスなど、詳細は全くわからない。トランプ大統領を始め米側当事者は自信ありげだが、確かな見込みを持っているのだろうか。

実際には、米朝の考え方に相当の開きがあるように思える。それが下の記事にも書かれている。https://thediplomat.com/2018/04/north-korean-denuclearization-one-goal-different-interpretations/
 
記事によれば、駐韓大使代理(acting ambassador)のマーク・クナッパーは2日(月曜日)ソールでのフォーラムで、「米国のポジションは全く変わっていない。また、北朝鮮との会談の主なる目的は、CIVDは必要条件であり議論の余地の無いことを強調することである」と発言している。
 
更に、北朝鮮への接触に際しても、「米韓同盟は完全である。米国は文在寅大統領の“非核化の進展なくして北朝鮮との関係の進展はない”という方針を信じ且つ強く同意する」と言っている。

しかし、進展だけではCVIDを意味しない。これら代理大使の言葉は、全くの公式見解にしても、一貫していないように思える。
 
2)最近配信されたメルマガで、外交評論家の田中宇氏は、米国もCVIDを要求しないことは明らかで、米朝会談は彼等にとって成功するだろうと書いている。習近平もトランプも、CVIDは軍産共同体支配の米国が外国の政権転覆の道具として来たという見方で一致しているというのである。
 
田中氏は、北朝鮮は核弾頭の一部を隠し持ち続け、中国やロシアは、それを黙認せざるを得ないと現実的に考えている。そして、トランプも同様だというのだろう。田中氏は、米国の政治を裏から眺めるプロである。9.11についても米国の公式見解とは全く異なった見方をしている。つまり、いつもの英米特有の二枚舌外交をする可能性が大きいと見ているのである。
 
一旦開発した核兵器をCVIDという形で放棄するのは、リビアのカダフィの二の舞いになるので、非現実的だと田中氏は書いている。リビアとロシアと中国を近くに友邦として持つ北朝鮮は、かなり違う環境にあるのだが、それでも「核と政権と米国」の基本的力学は同じだろう。
 
日本としては、田中氏が考えているような米朝合意になりそうなら、少なくともその事実を国民に広く知らしめるべきである。

4月2日の虎ノ門ニュースの最初の方で、青山繁晴氏は米朝会談の開催の可能性が出た段階で、南北朝鮮の会談が具体化したという。つまり、それらの順番が最初だれもが思ったものとは異なるというのである。青山氏の言う通りなら、米韓は密接な連絡のもとに一貫した方針で、この問題の解決について話を進めていることになる。

青山氏もやはり、北朝鮮は核兵器の完全廃棄はしないだろうと言っている。https://www.youtube.com/watch?v=77z1JM2CrA4&t=2770s
 
この話は韓国代理大使の言葉の中にある“完全な米韓同盟”と重なる。米国は、既に裏では常識になっている“儀式的核廃絶合意”で話をまとめて、日本にはCVID、つまり完全且つ検証可能で不可逆な核廃絶、に北朝鮮が合意したという表看板をトランプの笑顔とともに見せるだろう。

その表看板を裏から補強する枠を打ち付けるために、首脳会談は全て米国主導で計画されたものだと言っているのだろう。
 
3)日本がなすべきことは、先ず事実の把握である。そして、米国が表と裏を使い分け、日本には裏を隠し通せると思わせないことである。つまり、米国に核廃絶の確認なしで(CVIDの原則に拘らず)北朝鮮を承認させないことである。

外交評論で著名な佐藤優氏も口先だけの核廃棄の米朝合意を予想しており、その後米国は日本に対して、北朝鮮の経済開発のために白紙小切手を北朝鮮に渡すよう要求するだろうと言っている。https://www.youtube.com/watch?v=Oc0t8EgvE2I&t=157s
 
その可能性が濃いことは、政権に近い青山氏が最初の動画で拉致問題の重要性を強調していることでも想像がつく。(補足3)つまり、安倍総理が米国のCVIDの原則を放棄した北朝鮮承認を黙認する代わりに、拉致被害者と言われる人たちを白紙小切手(補足4)と交換に北朝鮮から返してもらう内容の合意をする可能性がある。
 
それで安倍政権はさしあたり盤石になり、日本の安全が根底から毀損されるというシナリオである。吉田茂や佐藤栄作の対米盲従の姿勢を、その孫や兄の孫が繰り返すのである。

ただひとつ不思議なのは、佐藤優氏は上のyoutube動画の中で、文在寅政権の中の人が、トランプ大統領の政権内の人と上手くコネを創って、今回のCVIDなき核廃絶プランで話をまとめただろうと言っているのだが、韓国の人たちは、核兵器を影で持つ北朝鮮が米国の政権保障を得ても安心なのだろうか?

やはり、韓国の大衆も日本の大衆同様、真実を知らされていないのだろう。ただ、文在寅氏は満足だろう。これで、大統領を退いても、北朝鮮が大きな力を持つ韓国で、朴槿恵氏や李明博氏のように刑事訴追をうけることはないだろう。相当頭が良い人なのかもしれない。

補足:
1)この用語は、complete, verifiable and irreversible dismantlementの訳であり、CVIDと省略形で見出しなどに用いられる。
2)トランプ大統領が中国や日本からの鉄鋼やアルミに25%の関税を掛けると発表したのが、3月1日である。米国の強硬姿勢演出と米中貿易摩擦が金正恩の中国訪問を容易にしたのではないかとブログに書いた。本当のところはわからない。一時は以下のBBCの記事を正しいだろうと書いたが、これも全く当てにならないだろう。
3)何度も言うが、日本人拉致は日本政府が国民を拉致されたのであり、責任は日本政府にある。それは既に起こったことであり、遺族に対する賠償は日本政府がすべきである。取り返すのなら、憲法を改正して、軍事力を背景に交渉すべきである。その為に、日本の外交が歪められ、1億3000万人の命と子孫の命を天秤にかけるようなことは絶対に避けるべきである。
北朝鮮は日本にとって、外交上山のクマと同然である。クマが人を襲ったとしても、それは防げなかった行政の責任である。安倍内閣は、その喩えを延長すれば、「今後クマが人を襲わないように、山に餌場を造って大量の餌を置く。その為に、住民の非常食が少なくなっても仕方がない」という解決をする可能性があるのだ。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43611478.html
4)比喩的表現であり、白紙小切手など渡す訳がない。実際は日韓基本条約で韓国に渡した金を現在価値に換算した額程度の”協力金”だろう。

今日、青山繁晴氏出演の虎ノ門ニュースから取り出したと思われる、重要なyoutube動画を見た(聴いた)。そこには中国に関する二つの重要な話が含まれている。https://www.youtube.com/watch?v=7oN7iK3uGVk

1) 最近尖閣諸島近海において、中国海警の船が多数活動している。そのことと関連して、行政組織に属する海警局を、中国政府は今年中に軍組織に編入する。その組織改変が、中国の尖閣を含め沖縄諸島を日本から奪い取る戦略に関係するというのである。https://mainichi.jp/articles/20180323/ddm/007/030/111000c 

その戦略の背景として、中国は毛沢東の時代に尖閣諸島を日本の領土と認めていたことがある。これも青山氏の話の中に出て来るが、詳細は中国研究家として著名な遠藤誉氏(補足1)により報告されている。

 
この記事は遠藤誉氏による日経ビジネス誌上の連載「中国国盗り物語」の一部であり、我々素人にはこのシリーズ記事は非常に勉強になると思う。 

青山氏の発言の主旨は、“中国は過去毛沢東の時代(1950年代)に、尖閣が日本の領土であると認めてきたので、直接軍事行動で奪いとることは国際世論を考えると出来ない。そこで、日本海軍つまり海上自衛隊と尖閣周辺で軍事衝突を起こし、その成果として占領する”ことを考えているというのである。 

日本の海上保安庁に相当する海警局を軍の中に編入するのは、日本から海上自衛隊をおびき出すためだという。つまり、日本は中国軍による尖閣占領が明確になるまで、軍事衝突を避けるのが最良の策である。それが沖縄を盗られないための策だということになる。 

更に、当然のことだが、軍事的抑止力と経済力を持つことが中国との衝突を防ぐ為に重要になると思われる。 

 2)もう一つの重要な情報は以下の通りである。3月9日のトランプ大統領との電話会談で習近平は、朝鮮戦争の主要当事国の米国、中国、韓国、北朝鮮の4カ国で、平和協定の締結を含む「新たな安全保障の枠組み」を構築するように提案していたことが、共同通信の記事として紹介された。 

 それは、東アジアの安全保障体制を朝鮮戦争終結とその延長として、日本とロシア抜きで決めてしまおうという、中国の米国への提案である。朝鮮戦争の終結に関することだけなら、国連軍として参加していた他国の意向次第であるが、当然4カ国でやってもらって良い。しかし、東アジアの安全保障体制に関しては、それだけでやろうという提案は非常に不愉快である。(補足2) 

この話は、最終的にはトランプ大統領側の同意が得られなかったようだ。報道の通り(青山氏の説明通り)なら、それを提案した習近平の対日姿勢が明らかであり、中国は簡単には外交関係を深められない国であることが分かる。自民党の二階氏や公明党などに突きつけなければならない情報だと思う。 

また、その話のなかで青山氏は、中国が日本の憲法改正阻止のために、自民党議員を含めた日本の国会議員への、広範な工作を行っていると言っている。つまり、森友問題などで1年以上も国会が占領されているのは、この工作が大きく働いているというのである。
 
補足:
1)満州生まれの女性物理学者、社会学者、作家。著書として、「チャーズ」が有名。中国共産党軍に包囲された長春では、餓死者が数十万人出たという。そこから共産党軍の検問を経て外に出るための関門がチャーズである。遠藤氏は、その生き残りだとウィキペディアに書かれている。山崎豊子著「大地の子」の中にも、主人公の陸一心と養父母がそこを潜り抜けるところが記述されている。ここは前半の感動場面であった。
2)外交を天ぷらに喩えると、種も大事だが衣を如何につけるかが大事だということだろう。知らぬ間に、重要な項目が衣に絡めて揚げられ、一丁上がりとなってしまう。
京都府舞鶴市での大相撲巡業で、土俵上で挨拶をしていた舞鶴市長が倒れた。土俵上に数人の男が上がったものの手を拱いていた。見かねて土俵に上がり、最初に心臓マッサージをして市長を助けたのは女性看護師であった。その後、①:“女性の方は土俵から降りて下さいというアナウンスが場内に流れた”が、女性看護師は救助隊員に救命行為を引き継ぐまで続けた。
 
②“相撲が再開となったときに、大量の塩を土俵にまいて、穢を清める儀式が行われた。”上記①と②に関して、その後批判が殺到した。相撲協会は①については謝罪をし、②については、力士が流血した際にも清めの塩撒きは行うので、女性が上がったことに対して行ったのではないと言い訳をした。
 
土俵の上に女性が上がってはいけないというのは、大相撲の伝統であり、それは周知のことである。当時官房長官だった女性の森山真弓氏が、優勝力士の表彰をしたいといって断られたのが1990年のことだったし、少年相撲で勝ち進んだものの女の子だったために蔵前国技館での決勝大会に出場出来なかった10歳の子供の話は、1978年のことだという。https://www.news-postseven.com/archives/20160313_392117.html
 
テレビ報道でも話題になっているが、今朝のとくダネ!でもゲスト出演したやくみつる氏は、②については相撲協会の言い分に100%尻馬に乗る形で支持した。①については、マニュアル通りの行動で、緊急時には臨機応変に対応すべきだったと言っている。私は、嘘つき日本人の典型を見る思いで聞いていた。
 
しかし、やく氏は「緊急時は女性が上がっても良いとマニュアルに書くのも変だ」とも言っており、何が言いたいのか訳がわからない。ただ、別サイトにはやく氏のことば、”「女性禁制を撤廃しろと言いたいとか、そもそも女性が不浄という感覚がおかしい。女性はよく、そんなこと言わせておくな」と、当時(補足1)も思いました”とある。

本当に相撲を理解しているのだろうか? 後述の内館牧子氏の本(補足2)を読んでいないのだろう。それで相撲に詳しいなどとよく言えたものだ。http://news.livedoor.com/article/detail/14536670/
 
要するに、彼は何も分かっていない。私は、相撲において最初から女性が不浄だという感覚はないと思う。不浄なのは「女性のことを、勝負すべき土俵の上でも考えてしまう男のこころ」なのだろう。大相撲における土俵の上の女人禁制は、「土俵の上で、相撲以外のことは一切心から排除して、戦え」という意味だと思う。
 
つまり、土俵上の女人禁制は、「男同士で純な気持ちで戦いたいので、どうか遠ざかって見ていて下さい」というお願いであり、女性が汚らわしいという意味ではない。男にとって女性は魅力的な存在であり、それは筋骨隆々な力士にとって尚更のことである。女性が土俵に上がれば、一点の曇りもなかった男の闘争心に陰りが現れる可能性がある。女性の皆さんには、そう考えてほしい。
 
この件、海外でも話題になっていると、報道機関や新聞は騒ぎたてる。そんなことを国内に報道せずに、海外の同業者にしっかり説明すべきだ。(補足3)
 
例えば、作家の内館牧子氏は、次のように説明しているという。(二番目に引用したサイト)「伝統の『核』を成す部分の変革に関しては、当事者にゆだねられるべきものと私は考えている。たとえば歌舞伎の女形や宝塚歌劇のあり方に関し、現代の考え方で『男女差別に怒りを覚える。男女平等に舞台にあげよ』という訴えがあったとする。そしてもしも、それが受け入れられたなら、その時点で歌舞伎でなくなり、宝塚歌劇ではなくなる」(要点のみ)
 
素晴らしい説明である。この内館牧子氏の言葉は、朝日新聞(2001317日付)に掲載されたと上記サイトの文章にある。何故朝日は、内館牧子氏の意見を聞いて記事に書かないのか? それでは、火事が簡単に消されて面白く無いからなのか?
 
追補:(15:30追加)

上に書いたのは、土俵に女性を上げない理由についての一つの考え方である。一方、日本相撲協会の公式見解は、「土俵に招いた女神の嫉妬を招くため」の様である。
しかし一般には、「女性は汚れた存在だから」という説明を良く聞く。 

「女性は汚れた存在」という理由は、月経との関係で女性に加えられた制約と関係しているだろう。例えば月経の時には、プールにも、公衆浴場にも入れない。その常識があるので、土俵に登って欲しくない理由として、分かり易く(しかし男の身勝手として)利用したのだろう。 

何れにしても、土俵といえども治外法権の空間ではないので、緊急事態には相撲は停止され、土俵上も一旦相撲場のルール支配から、社会一般のルール支配に変更されることになる。

同様の理由により、男性も女性用シャワー室や女性用更衣室を緊急時に使うことは、実害のない範囲で許されて良い。人に男女の区別がある限り、平時におけるローカルなルールの設定は、公共の福祉に反しない範囲で自由だと思う。 いちいち非難されることではない。 

補足:
1)大阪府知事だった太田房江氏も、土俵の上に上がって優勝力士の表彰をしたいと言って断られた。当時とはこの2000年の出来事が議論された頃を指す。
2)内館牧子著「女性は何故土俵にあがれないか」(幻冬舎新書)読んでいないので、コメントはできないが、後述の内館氏の意見が書かれているだろう。
3)http://www.bbc.com/news/world-asia-43652428 何も分かっていないと誰か言ってやれ。この種の新聞は、政治問題でも全てこの程度の理解で記事を書いているのだろう。新聞は、BBCだろうが、ワシントン・ポストだろうが、情報提供しているのか、プロパガンダをしているのかわからない。