1)ピケティが膨大な著書で指摘した、資本収益率が国民所得の増加率より上回るという事実は、資本家が経済成長による“正規な分”よりも、余分に取り分を拡大していることである。従ってその本は、資本家と一般民との貧富の差の拡大をデータとともに示したことになる。
 
この現象が先進国で拡大するメカニズムは、先進国で蓄積された資本が、発展途上国に投資され収益を上げて本国の資本家の利益になることだと思う。つまり、海外進出のために資本を先ず本国で蓄積するのである。その後、その資本が本国の高い労働賃金を避けて、賃金の安い海外に進出するのだから、本国の労働者の賃金が伸び悩むのは当然である。
 
食い逸れた労働は安い賃金の仕事に向かうが、生活できない人は政府の社会福祉に頼るだろう。労働賃金の減少や失業は、内需の縮小あるいは伸び悩みの原因となるから、多くの内需型企業が危機に陥るのは当然である。不景気で苦しむ企業を何とかしないといけないという理由で、法人税減税などを行うだろう。その結果、海外進出する会社の利益を増大させる一方、政府の財政は悪化するのは至極当然である。
 
まるで、経済の主人公は労働者である国民一般ではなく、株式会社つまり資本であるかのような政策を実行している。それは、資本が経済だけではなく政治も支配していることを示している。(補足1)
 
このグローバリズムの出発点にあるのは、国際政治が国境を跨ぐ経済活動が可能になるように規制緩和を行なったからである。(補足2)英米を中心とした先進国の資本の発展途上国への流れは戦後盛んになった。現地の安い労働力を使い、そこに輸出依存型の経済成長を誘起し、あげた利益の大部分を出資国に還元させるか、発展途上国への更なる投資に向けるのである。
 
現地政府が、一定期間にその国家の広い部分でのインフラ整備と、経済体制を内需依存型へ進める能力があった場合、その国は先進国へ向けて離陸することになるだろう。そして、それは元の先進国企業にとっても市場としての価値を増す。

2)このグローバリゼーションによる経済発展のモデルは、地球が有限である限り無期限には進行せず、一定のところで行き詰まる。否、それが既に行き詰まっている。それは以下の動画で、評論家の中野剛史氏が話している。

リーマンショックはその行き詰まりの始まりであったというのである。https://www.youtube.com/watch?v=l0BooEwk04M&t=1973sこの“グローバリゼーション”による経済発展での資本のスパイラルな増加メカニズムは、今や機能しなくなっているというのである。(補足3)

 
そして残されたのは、資本の出所である本国と資本が一定の収益を上げた途上国での副作用である。本国では、デフレの進行と貧富の差の拡大が起こる。これは安い労働力を求めて先進国の国内資本が海外に進出するのだから、ブルーカラー職のかなりの部分が海外に行ってしまう。そこで、その仕事が主だった地域では不況風が吹き、仕事を失った人が大量に出る。米国のデトロイトが良い例である。
 
更に、上記で発展途上国から先進国に脱皮するチャンスを逸した国々における混乱である。それらの国々において、進出してきた先進国資本及びそれが所属する国に協力的な政権が出来るのは当然である。(補足4)その現地国家での経済発展は、その国の賃金上昇をもたらすのだが、その時点では輸出依存型国家である。そこまで互いにwin-winの関係であっても、先進国資本が賃金上昇を避けて流出すれば、残った政治的混乱が拡大することになりかねない。

このような先進国資本のグローバル展開のあり方が、最終的に世界を豊かにして国境を挟んだ争いが無くなれば、それは人類の偉大なる勝利である。しかし、それは資本家がもともと目指したことではない。何故なら、収益のためには国境を挟んだ争いも起こし、それを利用するという歴史が見え隠れしているからである。
 
有限な地球の面積と資源の中で、あくまでも私的な利益の拡大を目指したものなら、行き詰まるのは当然である。そしてグローバリゼーションの発祥の地とでも言える、米国で国民の不満が選んだのがトランプ政権である。(補足5)同様の動きが、フランスやイギリスで起こっている。
 
3)トランプ大統領の出現は、米国の貧富の拡大が病的なまでに進展し、それに耐えられない層が、従来の巨大企業群と国家を牛耳る層に叛旗を翻したという意味を持つ。5月末のNHKクローズアップ現代でも、米国を庶民の日常から変化させているアマゾンとトランプ大統領の戦いについて放送していた。
 
確かに、ネット通販が盛んになり、その結果町の小売店舗だけでなく、大規模ショッピングモールが閉鎖に追い込まれ、そこでの仕事が消失する。その一方、アマゾンの進出したシアトルでは家賃が高騰して、フルタイムジョブを持つ人までホームレスになっている例が紹介されていた。程度に差があっても、同じタイプの現象は、日本でも確実におこっている。
 
しかし、ネット通販が盛んになるのは、グローバリゼーションとは無関係に自然な“科学技術文明”の発展方向である。これまでグローバリゼーションの結果としての発展途上国の経済発展や、先進国での労働生産性の向上は好ましいこととして受け入れ、自然な速度でその発展を待つことが正しいと思う。そしてその一方で、今後は台風のように南方の途上国から利益を巻き上げる資本の制限を行うべきである。
 

トランプ大統領の反グローバリゼーションの動きを高く支持しているのが、日本では元ウクライナ大使の馬渕睦夫氏である。その件については、既に何回もブログに書いた。しかし、その評価は過大であると書いたのが、以下の記事である。https://blogs.yahoo.co.jp/hetanonanpin/64965457.html

例えば、その性急な保護貿易主義や反移民主義は、混乱の収拾のために新たな混乱を生じるという稚拙なレベルの政策だと思う。

 
現在のグローバリゼーションによる副作用低減の方法としては、先ず政治のあり方を考えるべきだと思う。それは、政治が会社資本から影響を受けないようにすることである。つまり、法人から政治資金が流れ出さないようにすべきである。日本の政治資金規制法では、会社が直接政治資金として寄付することは禁止されている。しかし、間接的に法人の金が政治に流れる可能性まで完全禁止できていないだろう。(補足6)また、グローバリゼーションの家元である米国では、この規制が緩くできているのではないかと私は疑う。
 
次に、グローバリゼーションへの適応するために、先進国での労働力の再分配を政治的に支援し、また、それにふさわしい教育改革などに力を入れるべきであると思う。日本では優秀な人材が医学部に流れている。しかし、それは好ましいことではない。もっと社会のために、日本国のために、全く新しい産業のために、自分は貢献するのだという野心をもった人間、そして、「人類の歴史を、良い方向に誘導するのだ」という天才的人間を育てる様に、日本の教育環境を育てるべきである。(補足7)
 
世界は大きなターニングポイントに来ている。グローバリズムという思想の現実政治への展開は、最初世界の社会主義革命を目指すことで始まったと考えられる。しかし、それは独裁者を産み、悲惨な結果を人間歴史に残した。今回は2度目のグローバリズムの失敗だろう。それが更に悲惨な結果として歴史に残らないことを祈りたい。
 
このグローバリズムの進展と国際金融資本の関係を論じた人は多いだろう。私がそれを知ったのは、元ウクライナ大使の馬渕睦夫氏の著書「国難の正体」を通してである。そこに昨年3月に亡くなったロックフェラー家3代目のデイヴィッド・ロックフェラーの言葉が引用されている。「私たちがアメリカの国益に反する秘密結社に属していると信じるものさえいる。かれらの説明によると、一族と私は「国際主義者であり、世界中の仲間たちとともに、より統合的でグローバルな政治経済体制をー言うなれば一つの世界をー構築しようと企んでいるという。もし、それが罪であるならば、私は有罪であり、それを誇りに思う。」(補足8)
 
グローバリズムは、魅力ある思想である。しかし、それを急ぎ過ぎるのは良くないようである。グローバリズムは人類の夢なのかもしれない。しかし、将来実現する正夢なのか、惨劇に誘う悪魔の言葉なのかは、判らない。確実なのは、性急にことを実現しようとするのは良くないということだろう。それは多分、一つの民族のルサンチマンの裏返しではないだろう。そして、人類歴史の発展に対するロックフェラーの寄与を、功罪差し引きしてプラスが残るように我々は知恵を絞らなければならないと思う。
 
補足:
1)資本といったが、株式会社という方が適当だと思う。ただ、株式会社を誕生させ維持させる条件は、株主資本がプラスとして会社の純資産の中に存在することであるから、この様な議論の時に“資本”なる言葉を用いる。資本主義の“資本”も同様であると思う。
2)GATTからWTO(世界貿易機構)の設立などの国際条約や、IMF(国際通貨基金)の設立などは、この国を跨いだ経済活動を容易にしている。社会主義経済の失敗が明確になり、世界経済は米国の一極体制になったことも、その大きな原因である。素人ですが、敢えて補足します。
3)この動画は非常に粗い議論を流している。それはおそらく中野氏の意図するところではなく、情報を売るための宣伝(ブリーフィング)だからだろう。この動画では、グローバリゼーションの定義がうまくできていない。グローバリゼーションの元の意味は、地球規模の展開だが、「人、金、物の国境を跨いだ移動を自由にする」という現代のグローバリゼーションはその一つであり、「」内のように定義するのなら、それを明確に喋るべきである。また英語では、定冠詞をつけるべきである。尚、三橋貴明氏は世界の共産主義活動を第1次のグローバリゼーションとしている。
4)複数の先進国の資本進出があれば、それは先進国の間の政治的対立も取り込むことになるだろう。
5)トランプはこれまでにない一般庶民の味方かもしれない。そのトランプをバカだとか、悪口雑言の限りを尽くして批判してきたのが、日本で古くからいるユダヤ系のタレントである。彼には「お里が知れる」という言葉がふさわしい。
6)会社員が会社の資金援助を得て、政治パーティーなどに参加し、巨額の参加費を支払う行為や、会社や会社員の課外活動的グループなどで政治団体の人物を講演依頼して、多額の講演料を支払うことなどまで、禁止されているのだろうか?
7)一人の天才の周囲には通常10数人程度の理解者が存在するだろう。彼らがコミュニティーを作り、人類の未来を考えてもらいたいと思う。近い例では、20世紀中頃の世界の物理学会がそうだったのかもしれない。西暦の始まった頃の世界宗教も、その様にして生まれたのかもしれない。(十分な知識がないのですが、この補足は背伸びして書きました。)
8)デイヴィッド・ロックフェラー著「ロックフェラー回顧録」(楡井浩一訳)新潮社2007。第27章「誇り高き国際主義者」(517頁)にこの言葉がある。
1)安倍総理が、北朝鮮問題において米国トランプ大統領と連携が取れているとは思えない。安倍総理が、補佐官ともうまく連携が取れていないトランプ大統領と、連携して有効な対策を打っていると主張する日本の政治評論家の考えはおかしい。(たとへば、元ウクライナ大使の意見を参照:https://www.youtube.com/watch?v=PPXdqIf48WM) トランプは自国の支持層以外はほとんど何も見ていないのではないのか?
 
貿易問題であれ、環境問題であれ、トランプは正に傍若無人のごとく唯我独尊の道を歩んでいる。北朝鮮問題でも、如何に米国の脅威を減らし、利益につなげるかしか考えていないのではないのか。日本のマスコミも全く真実をつかんでいないように見える。政治評論家で真実の近くに居て、我々一般民でも名前を知っている人物は、元外務省の佐藤優氏くらいだろう。(補足1) 
 
今朝の中日新聞一面によると、トランプは北朝鮮に非核化を急がせない模様である。最初の会談では、「合意文書に署名することはないだろう」とまで言っている。金正恩党北朝鮮労働党委員長からの親書を受け取ったトランプ大統領は、金英哲党副委員長との会談では、主に朝鮮戦争の終戦宣言について話し合ったようだ。勿論、北朝鮮の非核化の前提には朝鮮戦争の終結が必要だろう。 
 
また、トランプは:「非核化に時間をかけていいと彼(金英哲)に言った。その間制裁は残る」と述べたが、「最大限の圧力という言葉はもう使いたくない」と強調した、と書かれている。つまり、本気で北朝鮮を経済制裁しないという表明である。
 
このような経緯を見れば、トランプは北朝鮮と韓国の首脳に外交で負けているのではないのか。(補足2)大きな国の大統領なので、尻尾が左右に振れるだけで脅威になるので、慎重に韓国と北朝鮮の首脳はやってきた。しかし、外交能力という点では後二者の方が上ではないのか。そのトランプと盟友関係を強調する安倍総理は、尻尾から振い落とされた感じである。このまま安倍政権が続けば、日本は北朝鮮の経済復興や統一朝鮮の核兵器付き統一に資金協力することになる。 
 
外務省の連中は、佐藤優氏のこれまでの発言を延長すると、以下の様に言うだろう。「多分、そうなるだろうと思っていた。しかし、それを防ぐように、自分の身を守りながらどう政権に協力できるのだ。財務省の佐川を見ろ、失敗すればあのようになるのが目に見えている。」 
 
2)「日本政府は圧力後退に困惑」という中日新聞の一面副コラムのところに、大津市で会見した安倍総理の言葉や政府の影の声が掲載されている。 
 
「核武装した北朝鮮を決して容認するわけにはいかない。私たちは抜け道を許さないとの姿勢で、国際社会とともに圧力を強めてきた」と圧力の必要性を強調した。政府内にはトランプの「最大限の圧力という言葉はもう使いたくない」との言葉をいぶかる声が漏れる。政府関係者は「何を言っているのかと思った」と明かす。
 
安倍総理に聞けるなら聞きたい。総理の言う国際社会とは何なのか、その”国際社会”は頼れる存在なのか、日本は”国際社会”がなければ何もできないのか、存在すらしない国なのか? 
 
しかし、こうなることは見えていた。私のような素人にもぼんやりと見えていた。トランプは短期的な白人ブルーカラーの票とノーベル賞が欲しいのだ。(再度補足2) そのレベルなのだ。ノーベル賞狙いのトランプを、もう少しまともな路線に戻す秘策がある。それは、ノーベル委員会が、「今後現職あるいは現職の政治家に影響力のある人物をノーベル賞対象としない」と発表することだ。 

以上は素人のメモです。念の為。 

補足:

1)直前記事参照。尚、安倍政権の対北朝鮮対策を高く評価してきた馬渕睦夫氏は、「トランプは従来の支配層から自由であり、従って彼らが育ててきた北朝鮮を非核化できる」といってきた。4月30日、馬渕氏の考えはおかしいと指摘した:「難破船トランプ号から逃げ遅れた馬渕睦夫元ウクライナ大使」 https://blogs.yahoo.co.jp/hetanonanpin/64965457.html

2)15時20分追加: 金正恩政権は、トランプと習近平の両方の間で小さくなる振りをしながら、実際は両方を手玉にとることに成功したのかもしれないと思う。そのきっかけは、トランプによる中国経済制裁である。習近平は北朝鮮問題に対するトランプへの協力を反故にしても良いと考え、食料など物資の供給を(国連決議を無視して)再開しているという。(今日の「そこまで言って委員会」での討論)トランプは、金正恩が米国から完全に離反することを恐れ出した可能性がある。その場合、本気で平壌を爆撃する必要がある。それは、これまでのシナリオの180度変更を意味する。
1)6月12日に米朝会談が開かれる可能性が残されている。韓国の総合ニュースによると、ポンペイオ国務長官は、ニューヨークでキム労働党副委員長と米朝首脳会談に向けて話し合った結果として、「実質的な進展があったものの、まだ多くの課題が残っている」と述べた。
 
その上で、米朝会談を開催するかどうかについては「まだ分からない」と述べ、更に金英哲副委員長が金正恩委員長の新書をトランプ大統領に手渡すため、ワシントンに向かうことを明らかにした。http://japanese.yonhapnews.co.kr/northkorea/2018/06/01/0300000000AJP20180601000500882.HTML
 
金正恩は、米国に対して明確な体制の保証を要求しているのだろう。そのような方法があるのだろうか?どのような約束が北朝鮮の金正恩政権の存続保証になるのだろうか?CVID(直ちに完全不可逆検証可能な核廃絶)を行うことと矛盾しないことで、そのような約束が可能なのだろうか? それについて、一人の素人が想像したことを書く。
 
一つは肩透かし的方法で、表向きCVIDを受け入れることにして、日本や韓国を核攻撃できる能力をしばらく維持するという密約である。それが最も可能性が高いだろう。密約は、過去の英米の得意技であったからである。勿論、トランプはそれを潔しとしないかもしれない。


密約以外では、以下は全くの素人の発想なのだが、平和協定から大使の交換を短期間に行い、例えば交渉に参加したポンペイオ氏や娘婿のクシュナー氏を大使として置くことなどがあると思う。その程度のことをしなければ、なかなか話がまとまらないだろう。
 
これも肩透かし的だが、トランプ政権は金正恩政権と交渉をしているふりをして、北朝鮮でのクーデターに期待している可能性もあると思う。しかし、それはむしろ危険な方法だと思う。米国の力や西欧諸国の考え方を最も良く理解しているのが金正恩であり、クーデターで出来た先軍政権は、妄信的に核兵器に依存する可能性が大きいと思うからである。斬首作戦なども、クーデター期待と同様、世界にとっても危険で稜線渡り的である。
 
2)もし言葉通りに、リビア方式による北朝鮮の非核化を考えているとしたら、米国は、時計の針を逆回転させる努力をしているということになる。そのような自覚が、米国にあるのだろうか?


核兵器でも何でも、拡散するのが物理法則である。西欧で大きく進んだ科学技術文明も世界に拡散した。それを元に戻すことなど出来ない。地球など孤立した系(補足1)では、拡散の程度が時間の進み具合の尺度である。時計が逆方向に進み出すことがないとすれば、否、絶対に時間は後戻りしないのだから、その系においてある物を拡散状態から元の局限状態に戻すには、外部からエネルギーを加える必要がある。それが、科学の理論の示すところである。米国は外部に出ることができるのか、そして、そのエネルギーを注ぐ用意があるのか?
 
米国は、その目的を達成するためにエネルギーを使わずに、羊飼いのラッパのように脅しを使うとしたら、また、本来当てにならない他国のエネルギーを充てるという、安易な方法を考えているとしたら間違いだろう。(補足2)特にトランプ政権は省エネに熱心なようであり、それが今回の米朝交渉において失敗に終わる原因とならないように祈りたい。
 
米国の目的が東アジアにおける平和の確保なら(補足3)、エネルギーを使わないで平和を達成する本来の方法がある。それは、韓国および日本に相応の核抑止力獲得を黙認する方法である。それは、北朝鮮に余分の圧力を加えることなく、平和協議を可能にする。北朝鮮も強引に半島統一することなど考えないだろうし、出来ないだろう。北朝鮮をまともな国家として認めるのなら、彼らが核武装してもおかしいことは何もないのである。また、その周辺にある韓国や日本も同様である。
 
日米韓、それに中国ロシアなども、自然な将来の東アジアの独立国家とそれらの関係のあるべき姿を考えるべきである。そこ基準にして、そこに近づける形の合意こそ、最小のエネルギーで到達出来る筈である。(補足4)
 
将来も、韓国や日本を自分たちの隷属下に置き、今回更に北朝鮮もそのような形に置きたいと考えるのは、時計の針を逆戻りさせるような企てだろう。つまり、欧米の国家が優れていて、東アジアの国々は何もわかっていないので、自分たちの支配下に入るべきだと考えるとしたら、それはアジアを植民地にしていた時代に逆戻りしたいということになる。
 
これからの時代において核兵器は使うべき兵器でも、使える兵器でもない。しかし、国家として独立し、その尊厳を互いに認めるというのなら、全ての国家は核抑止力をもち、その上でその責任を自覚すべきである。生来のならず者国家など、存在しない。(補足5)
 
もし、しばらく時間的余裕を欲しいと思うのなら、繰り返しになるが「北朝鮮がリビア方式のように核廃絶するのなら、北朝鮮と平和条約を結びクシュナー大使を北朝鮮に派遣する」という位の合意が必要だろうと想像する。北朝鮮と取引(DEAL)をするというのなら、何かを交換するというのが通常取引の常識だと思う。「命令に従え」というのなら、取引ではない。

追加(17:00):佐藤優さん出演の「くにまるジャパン」では、合意は段階的核廃絶でなされ、第一段階はICBMのみの完全廃棄だろうと解析している。そこで、北朝鮮の経済支援が始まり日本が主となって参加する羽目になるだろうという話である。この悲劇的な日本の外交の背景には、森友問題などでの官僚パッシングと政府の官僚を見捨てる姿勢があるという。外務官僚たちは、体を張って現政府に協力しても、失敗すれば見捨てられるだけで割りが合わないと思っていると分析している。https://www.youtube.com/watch?v=scPML3QIEzg

 
補足:
1)孤立系とは物質やエネルギーの出入りのない系である。その体積が不変なら、局在していたものは拡散するというのが、自然科学の法則である。
2)なんどもブログに書いたように、朝鮮戦争を終結せずに今まで引き延ばしてきた責任は米国にある。
3)米国は東アジアでの平和確保など目的ではなく、北朝鮮から核兵器を廃絶すること自体が目的なのかもしれない。それは、米国など数カ国による世界支配の固定化という大きな目的を背景にしている。
4)国家はエゴイズム的存在なのだろうが、それを弱肉強食の原理で解決するのは20世紀までの話にしてほしい。
5)北朝鮮がならず者国家だとすれば、それは反対側にいる身勝手な国家が育てたと考えるべきである。