昨日、日本側の足元を見るロシアと書いた。今日は、そうではなく、全く事務方での交渉がなされていなかったのが、条約交渉の最重要課題である領土問題が行き詰まっている理由であると仮定して、以下の記事を書いた。(補足1)
 
1)前回の記事で、河野—ラブロフ外相会談での、ラブロフ外相の強硬な発言について考えてみた。最後は首脳会談で決着を図るのだが、ロシア側の基本的な考え方について再確認を日本側に求めた形である。その重要なポイントは、第二次大戦後に北方4島の主権が、ロシア側に移ったという原点を、日本側も再度確認する必要があるという指摘である。(補足2
 
ただ、歯舞色丹の両島におけるロシア側の主権獲得は、国後択捉とは異なった経緯でなされたと考えられる。それは、地理的にも千島列島に含まれないからである。日ソ共同宣言でも、平和条約締結後に「日本国の要請にこたえかつ日本国の利益を考慮して,歯舞諸島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する」と書かれている。(補足3
 
日ソ共同宣言の時点で、日本側も北方4島におけるロシア(ソ連)側の主権を確認している筈である。
 
日ソ共同宣言は、鳩山一郎内閣のときに締結され、その後この二島返還で日ソ平和条約を結びたいとの鳩山内閣の意向を拒絶したのが、時の米国国務長官ダレスであり、4島返還論はその時に出された。https://blogs.yahoo.co.jp/mopyesr/43760689.html
 
その後、日本は米国盲従派の官僚上がりの政治家が、4島は日本の固有の領土であるというインチキ説を、マスコミを使って広めたのである。従って安倍総理は、早い時期に国民に向けて、過去のこの偽りのプロパガンダを正直に認め、国民の理解を得るべきであった。
 
歯舞色丹の返還(=元の持ち主への譲渡)が、現状では日ソ共同宣言当時より困難なのは、その時から既に60年あまり経過しており、随分状況が変化していることが一つの大きな理由である。
 
例えば、歯舞色丹にはロシア人が5000人ほど住んでいる。そのロシア人たちの生活の基盤を保障なしに奪う形での返還は無理である。その問題の解消には、事務レベルでの詳細な交渉が必要であり、それがこれまで全くなされていなかったのではないだろうか。
 
それを指摘したのが、昨日引用したロシア科学アカデミー極東研究所のクジミンコフ日本センター上級研究員の「事務レベルで事前の調整が行われなかったという印象だ。」という言葉なのだろう。つまり、20数回の首脳会談で、事務方の出番がほとんどなかったのは、素人ながら異常に思う。
 
2)歯舞色丹返還時の事務的問題
 
私は、全くの素人であり、何の根拠もなく以下に考えを述べるが、それは一国民としてのものと解釈していただきたい。
 
現在、歯舞色丹に住むロシア人が合法的(ロシアの法令に基づく)に持つ経済的権利は、全て保証或いは保障されるべきである。つまり、ロシア側において法的に確認される財産権および日本において合法的且つ健全と見做しうる経済的活動などの保証または保障である。
 
仮に島の主権および施政権が日本側に移ったとしても、両島住民のうち生活基盤が明確に出来上がっているロシア人の希望者には、日本での永住権を付与し在日ロシア人として住むことが可能なように配慮する。ロシアに退去する人には、保障が必要である。その負担割合(100%日本側が持つのか、半分づつなのか)は交渉次第で決定されるだろう。
 
ここで浮上するのが、旧島民の権利復活の問題である。これについては、旧島民には諦めてもらうしかない。何故なら、両島は戦争の結果一旦ロシア側の領土となったのであり、戦争によって受けた不利益は、一般に保障の対象とはなっていないからである。
 
それは、空襲で死亡した多くの日本人に対して、民事保障はなされていないことと等価である。また、満州などから財産を全て放棄し、引き上げた日本人にも保障などされていないだろう。従って、旧島民が過去に保有していた土地等の権利を回復と云う形で獲得することは、平等の原理に反すると考える。
 
もちろん、日本側はできるだけ多くの土地を民間ロシア人からも引き渡しを受けるべく努力すべきである。そのうち、旧島民が希望するものについて、有利な条件で新たにそれを獲得することには、ほとんど全ての日本人有権者は同意すると考える。
 
これらは、事務方がするべきことだと思う。それが障害になって、2島返還が出来ないとしたら、それは日露両国にとって大きな損害となる。
 
補足:
 
1)もし、「日本がシリア問題や北朝鮮問題について、ロシアと共同歩調をとっていないではないか」というラブロフ外相の言葉が、日露平和条約締結の障害なら、現状では平和条約交渉の継続は不可能だろう。
日本が現在、その防衛に関して米国との安保条約に依存している限り、北朝鮮問題について米国と共同歩調をとるのは当然である。それにもかかわらず、この問題でロシアと共同歩調取っていないと非難するとしたら、難癖の類である。それが昨日の記事の趣旨である。
 
2)日ソ共同宣言の時代以降、日本は北方四島を固有の領土と言い出したことと関連がある。「固有の領土だから、無条件で返して当然だ」という話になるだろうが、そんな話ならロシア側としてはお断りしますということだろう。そのロシア側の主張はその通りだろう。
 
3)日本側の権利を認め、返還するとは書かれていない。それに日本側が署名していることを再度国民は知るべきである。
 
 1)ロシアとの平和条約締結はスンナリとは行きそうにない。ロシアは1956年の日ソ共同宣言を基礎とするとは言いながら、二島返還には応じないようだ。そして、日本国民が通常考えるような日露間の平和条約締結交渉の進展は、本当は何も無かったのかもしれない。安倍外交とはそもそも何なのかという疑問さえ生じる。以下、中日新聞の16日朝刊123面トップの記事を中心にして考える。
 
河野外相との会談でロシアのラブロフ外相は、日本は第二次大戦の結果を受け入れるべきだと発言している。そして、北方4島を北方領土と呼ぶことにクレイムをつけている。(補足1)それらの発言は、日ソ共同宣言(補足2)に基づいて、平和条約交渉を行うという話は無かった、或いは取り消す、という発言に等しい。
 
勿論、「北方4島は日本固有の領土である」という表現は、日本側も日ソ共同宣言後は慎むべきであったと思う。それは、サンフランシスコ講和条約で、日本は国後と択捉を放棄しており、それを議会で質問された吉田総理と当時の西村条約局長が確認しているからである。https://toyokeizai.net/articles/-/145689?page=2 
 
しかし、それは千島の話であり、歯舞や色丹は、日本が講和条約で放棄した島には入らない。それ故、当時のソ連は二島返還を平和条約締結後に実施すると約束したのである。(あの時、平和条約交渉が潰れたのは、米国の干渉によると既にブログにも紹介した。)
 
ソ連から問題を継承したロシアは、現在の境界線が正しいと思っても、日本が歯舞と色丹は返還されてしかるべきだと考えるのは日ソ共同宣言を基礎に交渉するのなら当然である。そして、領土確定以外の部分については、日ソ共同宣言にも書かれているように、両国は第二次大戦の結果を受け入れ、将来に向けて善隣友好の関係に既にある筈である。
 
日露間で平和条約交渉をその日ソ共同宣言を継承しそれをベースにして開始するというのなら、殊更「日本側は第二次大戦の結果を受け入れるべきだ」などと言うのはおかしい。それでは、日ソ共同宣言以前に逆戻りするということになるのではないか。(補足3)ラブロフという典型的ロシア人の難癖である。
 
2)ロシアは平和条約締結を先延ばしにしたいようだ:
このようなロシア側の発言は、ロシアは日本との平和条約交渉を急ぎたくないという意思表明だろう。上記中日新聞の記事によると、ロシア科学アカデミー極東研究所のクジミンコフ日本センター上級研究員は、「事務レベルで事前の調整が行われなかったという印象だ。ロシアが平和条約締結を急いでいないという表れだといえる」と話しているという。
 
また、モスクワ国際関係大のストレリツォフ教授は、「ロシア側はもう少し妥協的かと思ったが意外だった。交渉を本気で壊そうとしているのか、意図が見えない」と言っているという。それらを総合して、ロシアは、近い将来もっと有利に平和条約交渉が可能だと考えて、方針を変更したのだろう。
 
つまり、ロシアは日本の足元を見ているのである。ラブロフ外相は、更に、日本が米国のミサイル防衛システムの導入することに対して懸念を表明し、北朝鮮の核・ミサイル問題やシリア内戦などの問題への対応でも、国連でのロシアの提案に日本が賛成していないことを批判している。
 
プーチン大統領も、昨年1115日に、前日の日露首脳会談を行ったにも係わらず、日ソ共同宣言に言及して、歯舞色丹両島の引き渡しを行うとしても、主権のことは共同声明には記載されていないという訳の分からないことを言っている。https://special.sankei.com/f/international/article/20181115/0001.html
 
恐らくロシア政府は、ロシアよりも日本の方が日露平和条約の締結を必要としているという考えに至ったのだろう。それは言うまでもなく、現在の東アジアの国際環境が日本にとって非常に不利になりつつあるということである。
 
一旦は平和条約交渉を継続するという程度の合意をして、安倍政権はこの件を諦めることになり、退陣するだろうと私は思う。ロシア科学アカデミー極東研究所のクジミンコフ日本センター上級研究員の「事務レベルで事前の調整が行われなかったという印象だ」という指摘は、安倍外交を完全否定する指摘だからである。
 
再度、本格的に交渉するときには、日本は基本的な戦略を練り直して臨むべきだろう。そこでは、日中の友好関係の加速も当然もう一度考える必要がある。
 
)上に書いたように、今後日本は国際的に非常に不利な情況に追い込まれるだろう。米国は世界の一強ではなくなり、その相対的国力低下により東アジアから米軍は撤退するだろう。更に、トランプ大統領は北朝鮮の非核化に最後までこだわる事ができず、半島に核保持の統一朝鮮が出来るだろう。
 
その近未来の東アジアで、日本が中国と朝鮮による歴史問題を掲げたイジメに苦しむ時がくる。プーチン大統領は、このように歴史が動いている現在、ロシア国内での批判を覚悟してまで、損な条件で日露平和条約を急ぐ必要などないと考えているのだろう。
 
国際問題分析家の田中宇氏は、朝鮮問題を以下のように議論している。
 
先進国となった韓国と最貧国の北朝鮮の統一の過程の中で、南北で様々な問題が出てくる筈である。直ちに米軍が半島から撤退すれば、北朝鮮が軍事的に韓国を飲み込むことになる。従って、最終的に南北朝鮮が統一するまで、米軍の駐留は韓国にとって欠かせない。
 
この統一のプロセスで色んな問題が生じたとき、南北両政府が統一の意思を再確認するために共通の敵が必要である。その矛先として、米国は利用できないので、日本が利用されるだろう。(以上は、本ブログ筆者による解釈ですので、詳しくは原文をご覧頂きたい。http://tanakanews.com/190116korea.htm
 
そして既に、韓国は徴用工問題などで国民の敵意に満ちた視線を作り上げ、日本に向けている。そしてそのような日本イジメが中国も参加する形で本格的になったとき、ロシアに有利な形で日露平和条約が締結できる。そのように、ロシアは考えているのではないだろうか。

 

日本はそのような事態にならないように、別の政権で外交を再構築すべきである。
 
追補(午前9:40):深読みをすれば、ロシアの以上の平和条約交渉は、巧妙な安倍降ろしの可能性もある。これ迄20回以上重ねた首脳会談の内容がわからなけれ判断できないが、安倍内閣にとっては深刻な事態であると思う。
 
(以上は以上は素人のメモですので、そのつもりでお読み下さい。)
 
追補2(午後6:40)佐藤優氏の解説があります。このプロの方は、日露の交渉はうまく言っているとおっしゃっています。読売新聞にはより細かい情報が出ているようです。https://www.youtube.com/watch?v=VD9E8sLNzK0
この動画に、mohkorigoriのハンドルネームで私のコメントを投稿しています。(午後10:25追記) 
 
補足:
1)竹島を独島と呼び、日本海を東海と呼ぶ韓国を思い出す。日本はロシアとの交渉中の現在、北方4島を固有の領土とは呼んでいない。
2)http://worldjpn.grips.ac.jp/documents/texts/docs/19561019.D1J.htmlに全文が掲載されている。第9項に平和条約締結後に「日本国の要求に答え且つ日本国の利益を考慮して、歯舞諸島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する」と書かれている。
3)最初から、歴史認識問題を議論するのなら、日ソ中立条約の有効期間内にソ連は日本を、しかも、連合国に降伏の意思を伝達したのちも、その攻撃を止めなかったことなどの話、シベリア抑留というハーグ陸戦条約に反した行為、満州で大量の日本人を殺害し婦女を陵辱した問題なども議論しなければならない。
1)ホンジュラスを新たに出発した難民の列:
 
最新のBBCネットニュースでは、米国へ向かう難民のキャラバンが再びホンジュラスを出発したと報じている。昨秋同様に米国とメキシコ国境まで到達するのだろうか。子供を連れた軽装の人たちの群れに、違和感を持つのは私だけか?
 
ところで、既に昨年の秋に米国国境に到着した難民はその後どうなったのか? 現在ではこの件について、日本でも恐らく世界でもほとんど報道されていないようだ。まるで(或いは本当に)、報道規制が敷かれているみたいである。
 
一方、米国ピッツバーグのユダヤ教礼拝所で銃乱射事件が起こったのは、昨年の10月27日である。11人が殺されたが、その際日本のマスコミで主に議論されたのは、米国での銃規制問題だった。しかし、この事件の原因は明らかに、ホンジュラスを出発した移民キャラバンをユダヤ人達の人道団体が組織し支援したことだろう。この最後の部分の詳細については日本ではほとんど報道されていない。
 
NHKのクローズアップ現代の11月21日のネット記事でも、移民キャラバンに参加した人たちの悲惨な情況や、トランプ政権の冷たい対応などについて触れているものの、何故、彼らが多くの国境を軽装で移動することが出来たのか? 或いは、どのように組織されたのか?については何も報道していない。報道の20日以上も前に、その件と関連して上記無差別銃撃事件の犯人が出しているにもかかわらずにである。何故なのか? 
 
この銃撃事件を報じた「朝日」の記事には:
土曜日にピッツバーグにあるシナゴーグで11人を殺害したロバート・バワーズ容疑者(46)が、大量射撃で発砲する前に「すべてのユダヤ人が死ぬ必要がある」と叫んだ(目撃者の話)。また、SNSへ「ユダヤ人の難民支援グループは、我々の仲間を殺す侵略者を(米国に)連れてくることが好きだ。私の人々(マイ・ピープル)が虐殺されるのを傍観はできない」と書き込んだ。
と書かれている(記事の後半は有料なので見ていない。)
 
 
BBCのネット記事も、銃撃犯が犯行数分前にSNSに犯行声明的文章を投稿していたことを報じている。アメリカに難民を再定住させるユダヤ人の非営利の難民支援団体「HIAS」を激しく非難し、「自分の同胞が殺戮(さつりく)されるのをただ見ているわけにはいかない」と書いていたのである。この銃撃犯の言葉で、我々は初めてHIASという団体の関与を知ることになる。https://www.bbc.com/japanese/46014139
 
AP通信の記者にバワーズ容疑者について語ったという言葉「何が一番恐ろしいかって、あまりに普通の人の見えたことだ」の引用は、この事件が狂人の犯行であると断定している。しかし、情報を熱心に探す人間でないと、ホンジュラスの移民キャラバンやそれらへ支援する団体の特定など、口から出ない筈である。それが狂人に出来るだろうか。
 
ハイアス(HIAS)は英語版グーグルには出てくるが、日本語版には無い。「グーグル ハイアス」で検索しても何も出てこない。これも不思議である。ハイアスで出てくるのは、犬や猫を販売する会社の名前だけである。
 
2)この件、安倍内閣が唐突に制定した新しい移民法と関連がないだろうか?
 
新移民法は人で不足の解消のためだけだろうか? あの唐突な提案から、何の議論もせずに制定された新移民法(新入国管理法)は、制定までの時間の短さだけを考えても異常である。人手不足は後付の理由だと思う。
 
私は、上記入管法の改定は、移民希望者達を支援するユダヤの人たちの運動と何らかの関係があると思う。(補足1)勿論、中米の難民を受け入れる訳ではないだろうが、世界が反移民の嵐となっては、ユダヤ支配層も運動を続けられなくなるからである。
 
オバマ政権時、安倍総理が米国議会でした演説は、リビジョニスト安倍から米国と日本との同盟を一層深くする有能な日本の総理へと、その米国での安倍像を一変させた。しかし、その後の訳の分からない行政を見ると、あの演説は米国支配層の走狗となった安倍総理の宣誓的演説だったのかもしれない。<br><br>
 
米国支配層とは、グローバル化を推進する人たちのことである。馬渕元ウクライナ大使はディープ・ステートという言葉で言及している人たちのことである。移民や難民の支援は、グローバル化の象徴である。日本以外の先進国では揃って移民の増加で悩んでいるときに、移民を推進する入管法改正を強引に行うのは、非常に不思議である。(補足2)
 
それらと関連して不思議なのは、これだけの切迫した情況にありながら、メキシコ国境に壁を築くという予算案を米国議会が否決し、政府の一部が閉鎖されていることである。10年間に2兆円の予算がかかるそうだが、それは年間予算凡そ500兆円の予算の0.04%程度にすぎない。日本の予算に換算すると、10年間で2000億円程度の話である。
 
補足:
1)二つの異常なことの一ヶ月間に出現する確率が、夫々1000月(8年半)に一回とする。それらが同月に揃って起こる確率は、それらが無関係な出来事なら、更にその1000分の1となる。或いは、100万月に一回程度、つまり8500年に一回の出来事となる。しかし、それが独立でないのなら、つまり強く関連して起こるのなら、その確率は8年半に一回と考えても良いことになる。
 
2)その後、馬渕大使と水島チャネル桜社長の討論で、これがグローバリストらの工作だろうという話がなされていたことを知った。
(最終編集15:30)