中野剛志氏の「没落について」という30分程の講演を聞いた。その内容は、国家の興亡は一旦方向が決まると運命のように進むというもの。例えば、今の日本のように没落の道に入れば、そこから脱出することは非常に困難で、現状ではどうしようもないという話であった。中野氏は、それを経済用語の「ロックインモデル」(補足1)を用いて説明している。https://www.youtube.com/watch?v=OoduEx7tl2k

 

ただ、その中で運命の反転のチャンスを待ち、自分に出来ることを探し、努力するのが人の気高さであり義務だと、偉人の言葉を引用して講演を閉じている。当たり前のようで有りながら、それなりに新鮮だったので、ブログ記事として紹介したい。尚、下記の2)と3)は殆ど、本ブログ筆者のオリジナルである。また、ロックインモデルを用いた歴史解釈に対する私の評価は、2)の最後に書いた。

 

1)ロックインモデル

 

ロックインモデル(ロックイン効果)は、例えば、スマホなどの契約を考えると理解しやすい。非常に有利な条件を提示されたと思って、一旦その契約をしてしまうと、その後他社との契約に乗り換えることが困難になる。それが、ロックイン効果である。その契約に縛られてしまう理由の一つは、乗り換えのコスト(スイッチングコスト、違約金や手続の手間など)が大きいことである。

 

他に、パソコンを一旦アップルに決めてしまうと、その後もウインドウズに乗り換えるのが困難に(或いは嫌に)なる。この場合の乗り換えコストはパソコンの価格ではなく、最初の何年かの使用で、アップルの操作に慣れてしまい、ウインドウズ機が使いにくいことである。ロックイン戦略は、経済の方で顧客固定化と訳される。

 

中野氏は、英国のブレグジットの困難さを、ロックイン効果の例として説明している。つまり、現在の英国経済は、EUの一員としての英国を前提に活動しており、ブレグジット後にはそれら条件を全て新たに書き換える必要がある。そのスイッチングコストは膨大なので、細部まで考察すればするほど、ブレグジットは簡単でないことが分かる。

 

例えば、関税等に関しても新たに交渉が必要だが、EUとのFTA交渉には数年というレベルの時間がかかり、一旦はその部分が空白になるだろう。(その場合、WTOのルールが適用され、貿易障害が残る)その結果、海外資本は英国から去ることを考えるだろう。それでも、今回の選挙の結果から、来年1月に確実にEUから脱退することになるだろうから、大混乱は不可避である。

 

EUに残留した場合の移民増加の問題などと、EU離脱のスイッチングのコストの両方の間で、英国は悩み続けてきたのである。それがEU加盟に関するロックイン効果である。

 

他の国家間の関係(TPPなど)でも、同様にロックイン効果が生じるので、条約等の取り決めには、事前に出来るだけ細部まで慎重に検討すべきである。もし、それら条約等の発効後に非常に不利な状況が明らかになった場合には、できるだけ初期段階に元に戻さなければ、スイッチングコストが増大し、ロックインが完全になる。

 

中野氏はもう一つの例として、日米安保体制を取り上げ、簡単な議論をしている。米国依存状態へのロックインを解消するのは、遅くとも2000年〜2010年に憲法改正を済ませ、米国依存からアンロックの道を探るべきだった。米国はこの時期にイラク戦争などで疲れ切っており、日本はこのロックインを外す最後のチャンスだったと話す。

 

今となっては、もはや日本は北東アジアから米国の覇権が無くなっても、独立国としての体裁を整えることは出来ないだろう。日本には没落の道しかのこされていない。このように中野剛志氏は悲観論を提示している。この悲観論そのものは、現在の知識層では広く意識されているが、没落は不可避だとは考えていないだろう。(補足2)

 

2)安全保障のおける米国依存体制からのアンロック

 

この問題は我々日本人にとって特別なので、私の乏しい知識と調査で、もう少し考察してみたい。2000年代(2000〜2010)に日本は既に、安全保障を米国に頼る体制にロックインされており、もはやそこからの主体的な脱出(アンロック)は不可能だったと、私は思う。

 

終戦直後の防衛力が殆どない情況下では、日米安保体制に完全依存することは当然だっただろう。しかし、その後の75年間の日米関係において、米国への完全依存からの離脱を試みるチャンスは二回あったと思う。最初のチャンスは、サンフランシスコ講和条約直後、つまり、日米安保条約締結直後である。

 

それは、直ちに日米安保条約の解消に取り掛かるというのではない。日米安保条約は、相互防衛条約として維持する限り、日本の安全保障に役立つので解消の必要はない。1952年に直ちに行うべきだったのは、憲法改正である。それを怠ったのは、吉田内閣の犯した日本歴史上最大の罪だと思う。

 

石原慎太郎は吉田茂の側近中の側近であった白洲次郎から、そのような指摘を直接聞いたという。(補足3)吉田は、「軍隊の無い独立国家日本」をどう思っていたのだろうか?軍隊のない独立国は、歴史上なかったのだから、吉田茂は直ぐに憲法改正をしなければならなかった。国家と軍隊の関係が全く分かっていなかったのだろうか?

 

憲法改正のチャンスを逸した時点で、独立国として必須の防衛力を米国に完全依存し、米国の属国状態への道にロックインされるのは必定だっただろう。朝鮮戦争やベトナム戦争に巻き込まれたくないという事情で、憲法改正をしなかったのかもしれないが、その考え方は根本的に間違っている。(補足4)

 

それ以後の総理大臣が憲法改正を口にすれば、「吉田茂が憲法改正をしなかったのは、日本が再び戦争をする危険性を心配したからだ。それにも拘らず、何故お前は憲法改正するのか」とか言って、野党は反対するだろう。そして、そのような野党に戦争の惨禍の記憶が残る日本国民の支持が集まるだろう。実際、日本社会党は、米国により育てられた日本を骨抜きにする装置であった。(補足5)

 

もう一回のチャンスは、冷戦が終結した1991年からの数年間だったと、中西輝政氏が書いている。(救国の政治家、亡国の政治家)しかし、その1991年から宮沢、細川、羽田、村山、橋本と、リーダーシップのない人たちが総理大臣を務めたのは、日本の不幸だったと思う。

 

日本のチャンスを潰したのが、その時自民党の実力者だった小沢一郎(補足6)が主導する政治改革だった。つまり、憲法改正という最重要な話が、二大政党制を目指して小選挙区制を導入するという政治改革にすり替えられたのである。小沢一郎の面接を受けて総理大臣になった宮沢喜一にとっては、憲法改正は大胆で無謀なことであり、頭の片隅にもなかっただろう。

 

ロックインモデルでの解釈は俯瞰的なもので、それだけでは何の役にもたたない。

 

複雑なプロセスでロックインが完成していても、鍵となる小さなフックがそれを留めている可能性がある。もしも政治家によるゴーストライターを利用したプロパガンダ(「日本改造計画」という本の出版)を罰する法があったなら、政治家小沢があのような人気を得ることはなかっただろう。そして、小沢の正体がその時既にバレていれば、歴史は変わっていた可能性がある。「歴史の細部に神は宿る」というアンチテーゼを同時に意識することがなければ、ロックインモデルは有害でさえあると思う。

 

3)政治におけるロックイン効果:エネルギーの谷間を世界は動く

 

世界の片隅で何かが起これば、その局所的高エネルギー状態は、波紋のように地球を一回りして隅々まで色んな効果を与える。ただそれだけなら、その後一定期間後に世界は、近くの別の安定状態に移動するだけだろう。しかし、その効果が、どこかの大きな変化の引き金になったとしたら、その効果も地球を回って隅々まで新たな効果を与えるだろう。

 

従って、世界の一つの現象を完全に説明するには、厳密には世界の過去から現在までの全ての情報が必要だということになる。例えば、以前書いたことだが、ゴルバチョフによるペレストロイカが、中国に伝播して天安門事件発生の切掛を作った。このペレストロイカにも歴史的背景が有り、また天安門事件の影響も今日の世界に及んでいる。

 

その中で一個人の果たす役割はいかほどのものなのだろうか?例えば上記考察で、吉田茂を批判して、いったい何になるのだろうか?世界はなるようになるし、なるようにしかならない運命のようなものに支配されているという考え方が、今回のロックインモデルである。

 

つまり、世界は全てのメンバーの相互作用を考えれば、エネルギー(補足7)極小の一本道、エネルギーの谷間を進む。そこで一個人が何らかの影響を及ぼしたとしても、一つの谷間からもう一つの谷間に移行する程の大きな影響でなければ、世界の歩む方向は変わらない。世界の動きは、世界に蓄積された政治的エネルギー(人々の不満など)の蓄積とその分布などで決まる。

 

上の例では、ゴルバチョフの代わりに誰か他の人がソ連共産党書記長になっていたとしても、多少の時間的空間的変更があったとしても、最終的にはソ連崩壊という道を離れることはないだろう。また、上記日本の防衛の問題では、仮に吉田茂ではなく、別の人物が時の内閣を組織していたとしても、日本の進む方向を決めるポテンシャルは、日本国民全てと日本の歴史や政治文化が決めると考えれば、同じエネルギーの谷間、つまり米国への完全依存の道を歩んだだろう。

 

つまり、世界の動きが着実に一方向に進むのは、エネルギーの谷間の一本道にロックインされているからだと考える事ができる。人が変われば、様相が全く代わるのなら、そのようなモデルは成立しない。ロックインモデルは、その「メカニズムを含めた運命論的モデル」である。世界は、これまでの歴史の延長上を、世界の全ての構成員がリアルタイムで作り上げるエネルギー面に谷間を掘るように進む。

 

順調に進む間は、ロックインされた状態である。突然に、エネルギーが世界に湧き上がるか降りそそぐかした時、別のエネルギーの谷間に移る事はありえる。それは、特別に賢明な大きな能力があれば、そこでの運命の選択は可能かもしれない。上に書いた「鍵となる小さなフック」を外すチャンスがあるかもしれないのである。

 

4)人類の運命を考えて、人はどうあるべきか

 

このどうにもならない歴史の流れをどう考え、どう対処すべきかについて、中野氏は西欧の偉人の言葉で締めくくっている。一部だけを簡単に紹介するが、全体は元の動画を参照してほしい。

 

「人間の事柄全ては、流転してやまないものである。我々は、多くの事柄を行うのに、理性に導かれるのではなく、必要に迫られてやっているに過ぎない。」

「運命が何を企んでいるかわからないし、いつどんな幸福が飛び込んでくるか分からないので、希望を持ち続け、投げやりにならないことである。」(ニコロ・マキャベリ)

 

「我々はこの時代に生まれたのであり、そして我々に定められているこの終曲への道を勇敢に歩まなければならない。これ以外の道はない。希望がなくても、救いがなくても、絶望的な持ち場で頑張り通すのが(人間の)義務なのだ。」(オズワルト・シュペングラー)(括弧内は私の追加)

 

自分の運命の方向がどうあろうとも、自分にできることに努力し、自らを助ける努力を継続するのが、人間の義務だというのだろう。

(12月20日午前6時20分、編集;12月21日午後6時、セクション3に最後の一文を追加)

 

補足:

 

1)鍵をかけて閉じ込める(lock in )という意味でロックイン効果と名付けたのだろう。ある方向を選択すれば、周りの環境との相互作用できまる「ポテンシャルの底」に閉じ込められという意味だろう。理系用語の位相検波を思い出すが、それとは無関係である。

 

2)日本国民が”何かの切掛”で目覚めれば、没落へのロックインが解かれる可能性がある。例えば、国会議員の選挙制度が道州制の様に一新されれば、現在の無能な政治屋が一掃される可能性がある。そして日本の政治に戦略性が持ち込まれれば、例えば日露平和条約から、日本の没落もアンロックされる可能性がある。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12560038074.html

その第一歩は、日本国民が「自分たちの生命が、国家の命運と連結していること」を理解することであり、それは今日でも教育可能なことである。

 

3)鬼塚英昭氏の本には、吉田茂の側近中の側近と言われた白洲次郎が、米国のスパイだと書かれているようだ。その一方で、石原慎太郎氏は白洲次郎と知り合うことになり、白洲から直接、「吉田茂の犯した最大の間違いは、自分も同行していったサンフランシスコでの講和条約の国際会議で、アメリカ制の憲法の破棄を宣言しなかったことだ」と聞いたと書いている。

https://www.sankei.com/premium/news/170503/prm1705030021-n3.html

 

4)ベトナム戦争に参加を要請されたのなら、日本はどろ沼にはまり込むだろう。しかし、自分の戦争ではないと主張して、最小限の協力に止めることは可能だと思う。その交渉能力が、日本の政治家にはないから、最初から最も大切な事(憲法改正)を犠牲にして、その場から逃げる道をとるのである。

 

5)1989年に死亡した社会党の勝間田清一はソ連のスパイだったことが明らかになっている。(ウイキペディア参照)兎に角、社会党や共産党は外国(コミンテルン等)の指示で動いていた。社会党をGHQが育てたのは、ルーズベルトが最初から日本での共産革命を考えていたという説がある。マッカーシーの赤狩りまでは、米国の中枢は共産主義者が大勢いた。このグローバリストでもある共産主義者を米国政府中枢に送り込んだのは、ユダヤ系資本であると考えられている。https://www.sankei.com/premium/news/170205/prm1702050009-n2.html

 

6)小沢一郎はその後宮沢内閣不信任案に賛成し、自民党を離党して新生党を結成した。その後紆余曲折があって、2009年12月、民主党鳩山内閣の時、小沢一郎は同党幹事長として訪問した中国で、胡錦濤主席に対し「こちらのお国(中国)に例えれば、解放の戦いはまだ済んでいない。人民解放軍でいえば、野戦の軍司令官として頑張っている」と述べた。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%B2%A2%E8%A8%AA%E4%B8%AD%E5%9B%A3

 

7)ここでエネルギーと書いたが、実は“自由エネルギー”(仕事に変換する事ができるエネルギー)である。世界のプロセスは、自由エネルギー極小(エントロピー極大)の道を選んで進行するのである。その道は、運命の道と言える。

1)チャイナ・シンドロームとは、原子炉の炉心溶融を意味する言葉である。事故で溶融した核燃料が、原子炉の底から高温のまま地球の裏側の中国まで到達し、世界をパニック状態にすることを想像して、米国の技術者がジョークを交えて作った。(補足1)

 

現在、米国のグローバル資本主義経済のシステムが、地球の裏側の中国に波及した結果、新しいタイプの混乱が世界に生じている。表題は、それを原子炉溶融に準えて、「新チャイナ・シンドローム」と呼んだのである。

 

「法の支配と個の自由」を中心的価値とする西欧諸国が、無警戒に共産党独裁の中国と資本主義的経済交流を行い、国家資本主義の中国を大きく育て上げた。その必然的結果として、西欧諸国は上記”中心的価値”を脅かされる情況に陥っている。そのことに、漸く欧米は気付いたのである。

 

その地球規模の混乱は、西欧諸国の個別的な防衛行動、米国と中国の間の経済を戦場とする覇権戦争、新東西冷戦など、色んな側面とそれに対する形容はあるが、それらは総合的に上記「新チャイナ・シンドローム」的な混乱と呼べるのではないだろうか。

 

米国から見て地球の裏側にある中国は、共産党一党独裁の国である。共産党とは言うまでもなく、労働者である人民が平等に政治権力を持ち、その政治・経済活動の成果である生産物や、個人としての権利を平等に享受する、そのような社会を目指す政治勢力である。その夢物語は、ソ連崩壊とともに消えた筈である。

 

しかし中国は、1970年代のニクソン訪中の数年後から、“民間資本”の蓄積を許すように方針転換して、昇竜のように復活した。共産主義独裁国家を標榜し続けながら、そのような方針転換をすることは、毛沢東から鄧小平に至る中世帝国的な恐怖政治により可能となった。それは、共産党独裁の国の共産主義の放棄であった。

 

共産主義の放棄が国家トップの決断一つで可能だったことは、そこでの共産党思想はその標語だけが重要であり、だれもその中身など考えもしなかったからだろう。中国とは、何ものにも縛られない野生の自由に近い自由を持つ、軍事的にも経済的にも巨大な国家となったのである。

 

民間資本とはいうものの、共産党独裁政権下の中国の資本は、国家の土地の上に建造した私設ビルのようなものである。つまり中国の民間資本つまり株式会社とは、一党独裁の政治体制の上に構築された資本主義経済構造体の一枝であり、独立した民間会社ではない。現在の中国は、全く新しいタイプの資本主義的帝国である。国家が野生の自由に近い自由をもつのなら、その一枝である企業も、同類の自由を持つ。それが欧米先進国との関係において、トラブルの原因となっている。

 

その中国を育てた中心的勢力が、上述のように米国のグローバル化を進める政治勢力と、そのバックボーンにある巨大民間資本であった。この共産党員を名乗る人たち(補足2)の国家資本主義体制は、天才鄧小平の発明だとされるが、その環境を整備したのは米国であり、そのアイデアを与えたのは米国の政治中枢に居た、現在高齢のあの天才かもしれない。(補足3)

 

2)中国の海外企業買収戦略:

 

その中国の政治は、共産党独裁から中世の専制国家の方向を向いており、人類の歴史を逆行しつつ巨大化していると考えることも可能である。(補足4)歴史は繰り返すのだから、時間軸の周りの螺旋上の一巻き上の段階を、中国は歩み始めたと見ることも、また可能である。(補足5)

 

中国首脳は、当然後者の考え方である筈。中国の体制とこれまでの政治経済のグローバリズムとが一体化することにより、世界が「開放」されるだろうと言うかもしれない。(補足6)ここ数年の間に、欧米各国の保守系の人たちは、前者の考えにたち、中国による世界史を逆行するような世界制覇の野望に気付いて、警戒感をもってその戦いを開始した様に見える。

 

以上のような世界情勢の理解に導いて呉れたのが、今日も及川幸久氏のyoutube動画であった。その表題は「中国製造2025に向けた海外買収戦略」である。https://www.youtube.com/watch?v=8q8VbPJrBZU

 

 

 

この動画で及川氏は、2014年より中国による欧米先進国の企業買収が急増しており、それを警戒すべきだとする、米国のForeign Policyという雑誌の記事の解説をしている。そこで注目されたのは、中国ゲーム会社によるGrinderというゲイとバイセクシャルのための出会い系サイトアプリの提供・運営企業の買収と、それを米国のCFIUS(米国への外国投資監視委員会)が強引に取り消したという出来事である。

 

CFIUSは通常、軍需産業、エネルギー産業、SNSなどの買収を監視しているが、ゲイ等の出会用アプリの運営会社の、しかも既に終了した買収を強引に取り消させたことの背景に、300万人に及ぶ個人情報の保護であると及川氏が解説している。つまり、その個人の中に、もし米国軍や政府の高官が含まれていると、中国に利用される可能性が高いからである。

 

つまり上記買収は、単なる経済活動の一環ではなく、中国という国家による米国の国家組織へ介入する目的の一環として、中国“民間企業”が国家の手足となって実行したと、CFIUSは見做したのである。

 

この中国の民間資本による、中国の国策のための西欧諸国内の企業買収は、ドイツやスウェーデンなどで急増しており、既に両国は警戒態勢をとっているという。これらは、中国の「中国製造2025」のための買収だと分析される。

 

つまり、先端技術の工業製品の全てを中国国内で製造する体制を2025年までに完了するという国策国策のために、中国の各民間企業は、一体となって西欧先進国の先端企業を食い荒らしているというのである。自国での短期間での技術開発は無理なので、会社ごと買い取って、技術を全て中国に移転すれば良いと考えたのだと推測している。

 

上記ゲイやバイセクシュアルの出会系サイトの買収では、むしろもう一つの政治目標である一帯一路構想、つまり世界制覇、の実現と大きな関係があるだろう。21世紀の一帯一路構想が想定する領域が、13世紀初頭のチンギス・ハーンの制覇領域で終わるわけがない。

 

米国と覇権争いにおいても、平和共存ではなく最後は勝つことを目標にしているのだろう。その中国覇権バブルは、地球を覆うか破裂するかの二つの路しかないだろう。

 

このように考え、我が日本国を振り返ると、暗澹たる気持ちになる。日本には国家防衛の意思は、憲法にも国民にもなく、従ってスパイ防止法もない。実際、中国に北海道を始め要所を買収されて、将来北海道や沖縄で独立騒動が起こる可能性もある。その後の経緯は、クリミヤの歴史を想像すれば自ずと明らかである。

 

自分の政権を犠牲にしてでも、現在の国際情況についてありのまま紹介し、国民に強力な「目覚ましコール」を送るのが、安倍氏の最もやるべき仕事だろう。国民が目覚めれば、次の政権がその民意を吸収する形で体制をまともなものにすれば良い。一つの政権で全てを行うことは所詮無理である。何故、そのように安倍氏は考えずに、中国に媚を売るのか。

 

以前、伊藤貫さんは、西部邁さんとの討論で日本の危機を心配しつつ笑って話していた。その気持ちが分かるような気がしてきた。動かない政治を前にして、笑う以外に手がないのである。

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=L5biijJUQ6o&t=1200s

(12月18日早朝、最終編集)

 

補足:

 

1)溶融した炉心の核燃料が高温のまま地球の裏側の中国まで到達すると想像して作られた言葉であるが、当然重力の法則により地球の中心より中国側には進む筈はない。福島原発の炉心溶融でも、溶融状態で地殻に浸透はしなかった。

 

2)中国の共産主義体制は、ブルジョア市民革命を経ることなしに出来上がったので、借り物の共産主義である。20年ほど前までは、国家のトップを「同志」と呼ぶならわしが中国にもあった。その欺瞞は流石に現在の中国からは無くなった。現在その言葉を用いるのは、北朝鮮のみである。

 

3)鄧小平の支配の時期になる少し前に、その人がニクソン訪中に随行した。そして、その数年後にあの「白猫であれ黒猫であれ、鼠を捕るのが良い猫である」という鄧小平のプラグマティズムが開始された。ただそれだけの二人の時間的空間的関係から推理しただけである。

 

4)中国「元」の皇帝チンギス・ハーンが東ヨーロッパに至るまで、その支配下に収めた。その新しいバージョン、新シルクロード構築が、一帯一路構想である。

 

5)国家資本主義の中国の経済が、世界の脅威ではないとする意見も勿論存在する。その文章は、中国の国有企業の割合が年々減少しているという図を、その先頭に掲げている。これだけで欺瞞的内容だと分かる。純粋な国有企業なんか問題ではないことは、上に述べた通りである。https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57658

https://jp.reuters.com/article/usa-trade-china-msci-idJPKBN1X42D6

 

6)米国と中国の資本の往来を妨害すると、世界はパニックになると主張する声も米国に多い。つまり、反グローバリズムは単に共和党トランプの政策であり、大統領が民主党になれば、これまでの米中関係が復活する可能性もまだ残っていると思う。

前回ブログで、米中は適当なところで互いの覇権地域を確認し、世界の二強としての地位を認めあう可能性が濃厚となってきたと書いた。その延長上で、日本や韓国は、米国が主導するインド太平洋構想の弧の中に含まれる可能性が低くなり、中華圏の国として、共にひどい待遇を受ける可能性が高い。(補足1)

 

伊藤貫氏が言う通り、米国の経済力の相対的低下と、日本の平和ボケにより、その未来はこのままでは避けられない。安倍総理は早々と中華圏入りの準備を始めたような気がする。今年の5月19日の「対露外交に行き詰ったからと言って、この時期対中親和外交を進めるのは、日本を破滅の道に誘い込む可能性大が高い」と題する記事で、その安倍総理の姿勢について批判した。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2019/05/blog-post_19.html

 

その記事の第2節で、以下の用に書いた:

 

プーチン大統領は安倍総理をもう少し能力のある人物と考えていたのだろう。何故なら、世界が歴史的な大混乱に向かいつつある今、日本はその中心となりつつある中国の隣国である。ここで、日本は生き残るためには米国との関係を第一にするだろう。ただ、日中関係の破局状態を避ける支え棒的装置として、日露関係の改善を考える筈だと思った可能性が高いと思う。

現在、日本の脅威は中国と北朝鮮である。従って、その脅威に対応するために利用すべきは日露の友好関係樹立である。プーチンは、それを期待して日本政府が接近してきていると思ったのだろう。

 

ロシアと中国はシベリアに長い国境線を持ち、それを挟んでの人口密度に大差があり、しかも過去に多くの領土問題が生じた歴史がある。本質的に友好関係を深めることが難しい。最近では更に、北極圏の資源や、北極圏航路が出来る可能性が高まり、シベリアは資源や海運の両面からも重要性が増す。

 

従って、中露間には現在経済力に大差がある。その差が軍事力まで及べば、両国は上記利権を巡ってた困難な問題を生じる可能性がある。そのロシアにとっての危険性は、ウラジオストクは固有の領土だと言い出した中国を見ればわかる。共産党一党独裁から習近平独裁になりつつある中国は、日本だけでなく全ての近隣諸国にとって、更に世界にとっての脅威なのだ。(補足2)

 

この様な情況下で、プーチンはこの中ソ関係をできるだけ平等にしたいと思っている筈である。その鍵は、経済力と軍事力である。軍事力は、経済力が維持発展すれば、ロシアは優位を保てるだろう。

 

現在、ロシア経済はその多くを天然ガスなど資源に頼っている。そこからの脱却は、なかなか難しい。しかし、ロシアには近くに日本という資源のない絶好のコンビを組める相手がいる。そして、日露の平和条約から始まる蜜な協力関係の樹立への自由エネルギー(Free Energy)は十分大きいと、プーチンは考えただろう。(補足3)

 

中国の脅威を考えると、日本は歯舞や色丹にこだわっている時ではない。既に北海道は近い将来の中国の農園のように、李克強や王岐山は視察している。日本全体がウイグル化しないように、“前提なしに”日露が手を結ぶのは正しい選択である。領土の確定は、その後の協力関係を見て決めればよい。

 

それは既に多くの知識人が言及していることである。過去のブログにも、田中宇氏、大前研一氏などの意見を引用したと思う。ここでは、及川幸久氏の動画を紹介したい。

 

 

 

 

 

2)日本には、まともな言論がない。右派と呼ばれる人たちは、勝手に自分たちだけで「日本=永遠の善」なる公理から出発して、自分たちだけで通じる歴史認識と将来の日本のマッチ箱モデルを作っている。左派は、単なる馬鹿か、表から見ても裏から見ても売国奴なので、話にならない。

 

地上波TVは、売国の輩の支配下である。昨日も、辛抱次郎氏が司会する政治バラエティ位を自称する番組が、殆どくだらない内容の放送をしていた。XX陽子のような本当に愚かな元参議院議員や、XX邦彦とかいう元外交官が、国民を煙に巻くためなのか、訳の分からない平和教の経や対米従属教の経を唱えるのがこの番組の常である。(補足4)

 

それに比べて、まともな人達は国際経済を経験した人に多いように思う。右派系のyoutubeに良く出ているが、渡邉哲也氏の話が分かりやすいのは経済通だからだろう。私の狭いネット経験でも、伊藤貫氏、上記の及川幸彦氏、渡邉哲也氏、日本から関心がかなり離れているが大前研一氏など、論理的且つ話に定量性が確保されたわかりやすい話をされる方は皆、経済の人である。それは多分、政治は金に対する感覚と金の流れを把握する能力が無ければ、分からないからだろう。

 

このような問題は、上記のようなプロが互いに議論をして、日本の戦略を作り上げるべきだと思う。日本には議論の文化がないので、十分国際的な上記方々で日本文化の悪弊を乗り越えているとは思うが、出来れば「日本戦略研究会」のようなシンクタンク或いは学会を作って、日本の戦略を提案してもらいたい。そしてその成果を、NHKを解体して新しいテレビ局を作りそこから周知すれば、日本を救うことが出来るかもしれない。

 

補足:

 

1)日本は韓国右派と協力関係を復活或いは強化すべきである。勿論、優先度は日米関係や日露関係よりも低いが、韓国が李氏朝鮮の腐敗と低迷から学ぶ姿勢を示すなら、日韓は最良の二国間関係になる可能性をもっている。日韓は、神が互いに自分の悪い面を鏡に映してくれていると考え、相手を眺めるべきである。

 

2)最近、ウラジオストックは中国領土であるべきと言い出した。その他、中国とロシアとの間の火種について、今朝の産経は言及しているようだ。https://www.sankei.com/west/news/161004/wst1610040001-n1.html

 

3)米国が、東アジアからの後退したとき、競争相手と手を組むよりも、相補的な相手と手を組むのが良い。シベリア地域の工業化を考えているプーチンと、資源小国の日本はやはり絶好の相性である。それが安倍とプーチンの仲を作った筈である。安倍さんにはもう一度、その相性を思い出してほしい。

 

4)官僚の殆どは政治家にふさわしくなくない。何故なら、子供の頃から安定な職業として、公務員を選ぶのが日本人の常だった。日本の政界には元官僚が多い。かれらが世襲の政治屋よりも圧倒的に優れた知性を持っていても、彼ら政治屋に使われるだけの人が多いのは、元々使われる人の遺伝子を持っているからである。たまたまトップになっても吉田茂や佐藤栄作らがそうであったように、米国に使われる人になったことがそれを証明している。