新型コロナウイルスのパンデミックにより、世界経済に大きな影響が出るだろう。そのことを的確に指摘したのが、何時も引用する及川幸久氏のyoutube動画である。タイトルは「韓国、ロシア、トルコの通貨安」だが、その根本にあるのが、この新型コロナ肺炎(以下COVID-19)とそれによる中国の経済危機である。https://www.youtube.com/watch?v=bpp4imMsDoE

 

新型コロナ肺炎の対策を論じる際、以前から言われているのは、COVID-19を抑え込む最良の方法は、経済にとって最悪の結果を招くことである。つまり、全員が自宅に籠もってしまっては、経済危機が来るのは当然だからである。その点、日本は上手くやっていると言うことも可能である。(補足1)

https://www.youtube.com/watch?v=gjMJHVp55v0

 

COVID-19肺炎には、根本的対策はない。全員の感染、季節要因の好転、ワクチン開発などに、期待するしか本来ないのだろう。(補足2)

 

1)パンデミックとなったCOVID-19肺炎との戦い方について:

 

幸か不幸か、COVID-19はそれほど強烈な感染症ではない。致命的な被害に会うのは、高齢者や持病を抱えている人である。その死亡率3%の恐怖に国民全員が捕われて経済がストップすれば、高齢者や糖尿病、高血圧に罹患している“厄介者たち”が助かって、現在経済を担っている現役世代と次世代を担う子供に被害が大きくでる。それは、国家の破綻の第一章を為すだろう。(因みに、筆者は高齢者である。)

 

日本国家のトップには、大きな権力がないので、右往左往しながら実態を隠蔽する方式をとっている。一昨日批判したクラスター感染中心の「対策」とは、感染蔓延の防止を諦め、論語の精神「(国民は)由らしむべし知らしむべからず」を施政の中心においたものである。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/03/blog-post_16.html

 

それを、現代版「楢山節考」の世界だと呼び批判したのが、2月24日に書いた記事の内容である。それが当に現在の日本の実態である。国或いは民族全体でみれば、正しいとは言えないとしても、差し当たりの被害を最小に抑える方法かもしれない。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/02/covid-19.html

 

しかし、世界はそのようには進行していない。その代表的な姿勢は、中国政府がとった徹底的に力で抑え込む手法であり、韓国の出来るだけ多くの感染者を洗い出し、隔離する手法である。それは、昨日まで私が主張した手法でもある。その大きな細かい網でどんな小さな魚でも掬い取るような方法を、WHOのテドロス事務局長も主張している。それは世界保健の「専門的判断」として、正しい方法だろう。https://jp.reuters.com/article/healthcare-coronavirus-who-idJPKBN2133E9

 

しかし、専門的に見て正しい方法が、総合的観点からの正しい方法に一致するのは、ことが始まった序盤のみである。数学の基礎知識の在る方には、「世界保健という独立変数による偏微分的方法では、独立変数が大きくなると良い対策とはならないのである」が分かりやすいだろう。(補足3)

 

序盤では、伝染病と正面から対決できるが、中盤では二次的効果(ここでは経済効果)が大きくなり、それが一次的効果(つまり伝染病そのものの効果)より重要となってしまうことが往々にして在る。つまり、中盤戦以降は、力で抑え込む手法は全身の生命力の減退に至る可能性があり、禁忌となる場合が多い。

 

2)世界経済への影響

 

上記及川氏の動画を見ると、世界経済は破綻し、もっと大きな被害に向かっているように見える。その中心にあるのは、COVID-19 の発生地の中国である。中国統計局の発表では:史上初の小売売上高の下落で、しかも20.5%という大きな値; 鉱工業生産も中国の高度成長以来の初めての下落で、その値13.5%;固定資産投資、過去30年で最悪の24.5%の下落である。

 

中国経済に大きく頼ってきた国々の経済も傾く。それが、及川氏の動画の表題「通貨危機:韓国、トルコ、ロシア」の内容である。しかも、及川氏の話は、表題にないオーストラリアの株価下落と通貨下落から始まる。米国の緊急利下げにニュージーランドが追随利下げを行ったが、オーストラリアは通貨下落を恐れて、利下げ出来なかったという話である。

 

中国の経済に大きく頼る資源国のオーストラリア。勿論、日本も鉄鉱石や農業製品など輸入している。更に観光産業も大きな経済の柱だという。そのオーストラリアでは、工業製品の多くは輸入に頼っている。通貨安は、金融危機に導く可能性が高く、利下げできないのである。

 

人の移動が禁止されれば、人は消費しない。その消費物資は、従って、生産されない。生産されないのなら、工場は休業であり、小売店もほぼ閉店状態。石油も消費されないから、原油価格は下落する。中国で始まった経済縮小により、産油国の経済はガタガタになるだろう。

 

産油国、アラブ諸国やロシアの経済は傾き、その通貨は下落するだろう。傾いた会社の社債の価格が下落するのと同じ理由である。国家の発行する通貨は、会社の発行する社債と同様に、本質は国家の債務証書だからである。通貨のこの仕組は、物々交換の経済から通貨を用いる経済に完全移行して以来、絶対的なことである。(補足4)

 

産油国が売った石油の代価で、先進国諸国の生産した工業製品を買うのだから、先進国諸国の経済も傾く。自国の消費物資の売れ行き停滞で疲れた体に、新たなボデイブロー(Body blow)を食らうようなものである。

 

そこからの立ち直りを牽引するのは、差し当たり米国だろう。しかし、日本やオセアニアが本格的に立ち直るには、中国の経済復興が大事だろう。それが元の軌道に戻る最短ルートだろう。中国共産党は、強引な手法を用いることが可能である。これから夏になり、COVID-19 の勢いが収まれば、その軌道への回復に向かい、2,3の国で経済破綻があったとしても、世界経済も元に戻るかもしれない。(補足5)

 

もし、今回の新型パンデミック疫病が、神による試練なら、元の軌道に戻るだけでは、知恵が足りないと神は仰せになるだろう。何故なら、中国による人権の問題、地球環境の問題など、一年前の大問題は未解決であり、解決の方向が見えないからである。

 

 

補足:

 

1)経済評論家の渡邉哲也氏が、広く検診をして感染者を隔離するWHOの主張する方法は日本では駄目だと主張している。(下の動画20分まで)その理由として、医師が検査に手を取られて、医療崩壊の原因になると言っている。そこで、私は反論をコメントした:

渡邉さんの考え方はおかしい。現在の患者数(800人程)では、検査と隔離が基本。陽性で歩き回る人には、障害(または未遂)罪を適用すべき。治療法も、色々かんがえられている。それに、検査は医者でなくてもできる。日本のやり方では、ある時期に爆発的な感染拡大が明らかになり、その時医療崩壊する可能性がある。

 

しかし、今回の記事の内容は、これと真っ向から反するものである。上記は日本政府の発表している感染数が示す序盤戦(COVID-19 との戦いで)の場合正しいが、中盤戦では総合的にみて正しくなく、渡邉氏や日本政府のダラダラ戦術が、結局被害の点では少ないという内容である。

 

2)重症者には、各種の対策がある。アビガン、抗HIV薬、マラリヤの薬などである。しかし、軽症者には副作用を考えると、ワクチン以外は採りにくいだろう。

 

3)偏微分とは、他の独立変数(経済、政治)を一定のままにして、一つの独立変数(保健医療)の変化による従属変数(世界の福祉)の値の変化を得る方法である。保健医療の変化が経済や政治に絡んでくる事態になれば、偏微分だけでは全体の変化(全微分)の近似にならない。

 

4)金を通貨に用いた取引には、物々交換の要素が多少残っていると考えれば、完全移行したのはニクソンショックの時である。1オンス35ドルという約束で、米ドルが金に交換できた時代には、米ドル札による売買は、金との物々交換と見ることも可能だったからである。それ以来、米ドルの値打ちは金価格で換算すれば、現在50分の1以下となっている。

 

5)経済だけで収まらず、政治問題として大きくなれば、人類の危機に発展する可能性すら存在するだろう。その危機は、COVID-19 をばらまいたのは米国だろうとか、いやそれは中国の生物兵器だろうという、批判合戦で世界が真二つに割れた時始まるかもしれない。

今日11時前のヤフーニュースで配信された共同通信の記事によると、厚生労働省は16日までに、新型コロナウイルスの感染者集団「クラスター」が北海道、愛知県、大阪府など10都道府県の15カ所で発生したと明らかにした。HPで15日正午時点の発生状況を示した全国地図を公表した。https://news.yahoo.co.jp/pickup/6354239

 

この記事を読んで私は、「厚労省が日本国民に、15のクラスター感染で日本の感染ルートの殆どが説明できるという、安易なモデルを押し付けている」と感じた。

 

これまでのPCR検査が、既に感染している人や中国湖北省と何らかの関連付けがされる人を中心に、検査場所と検査数を限ってなされてきたことに対する正当性の主張であり、非常に中国的である。そして、政府のプロパガンダ機関として、政府発表をそのまま何の批判もなく報道するマスコミも、非常に中国的である。

 

今日、スマホでBuzzVideoを見ていたら、興味あるツイッター記事を紹介していた。英国のJames Melvilleという人が、新型コロナ肺炎の感染者数の増加曲線で、日本のみが例外的にダラダラ曲線を描いていることに言及し、もしそれが事実なら、日本に学ぶべきだと言っている。恐らく皮肉をこめて言っているのだろう。(下図)

 

https://twitter.com/JamesMelville/status/1237155394201542656

 

Melville氏が、COVID-19 対策で一貫して評価しているのが、韓国の対応である。つまり、できるだけ検査数を増加させて、感染者を見つけたら隔離するという、単純で当然且つ最良の方法である。その結果、韓国では新規感染者数がこのところ著しく減少している。https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/03/2-190.php

 

一方日本は、検査数を限定して、患者数の爆発的増加の瞬間を待っているかのように見える。感染者数の統計を誤魔化し、当座大衆の目を逸らす手法である。その理論的根拠が、クラスター感染モデルだろう。以下は厚生労働省のHPにある有識者会議の答申内容の一部である。

 

これまでに国内で感染が確認された方のうち重症・軽症に関わらず約80%の方は、他の人に感染させていない。一方で、一定条件を満たす場所において、一人の感染者が複数人に感染させた事例が報告されている。 具体的には、ライブハウス、スポーツジム、屋形船、等です。このことから、屋内のこの種の閉鎖的な空間で、患者集団(クラスター)が発生し、患者集団(クラスター)が次の集団(クラスター)を生むことが、感染の急速な拡大を招くと考えられる。(編集あり)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00011.html

 

このモデルに拘って、感染者よりも感染ルート探しだけに、PCR検査を用いて来た。それは、世界から「日本=新型コロナ肺炎」の風評を消し去る時点まで、日本人の命が多少失われても我慢する戦略なのだろう。

 

アベノミクスとして、辛うじて探し当てた経済対策が、観光立国のモデルである。そのためにはオリンピックは是非開催したい。そして、「日本=新型コロナ肺炎媒介」の風を霧消させたい。海外旅行者を再び日本に呼び込みたい。そのためなら。。。。 愚かである。

 

補足: 日本は島国である。湿度も比較的高い。それが、新型コロナ肺炎患者が急激に増加しない理由かもしれない。しかし、それは単にラッキーなだけであり、政府の愚策を支持する理由にはならない。神風が吹いたとしたら、感謝すべきは日本の神様であり、安倍内閣ではない。

新型コロナ肺炎(COVID-19)が出現してから3ヶ月以上になる。パンデミックが心配されるようになってから、すでに1ヶ月以上経過して、それが現実となった。このコロナウイルスは、3月に入ってヨーロッパや北米でも猛威をふるい出した。本稿の目的は、この病気は死亡率からみて、インフルエンザより遥かに恐ろしいことを指摘することである。(補足1)

 

一般に新型感染症が世界に広がる時、その見かけの死亡率は最初大きいが、次第に小さくなって、最終的な値に近づくと言われている。その理由は、最初に罹患した人たちが重症化して初めて、その新型感染症に気づくからである。つまり、実際の感染者数を正しく把握するまでにかなりの時間的遅れがあり、それが見かけの死亡率が大きくなる理由である。


世界のこの病気の感染者や死亡者数等を得るには、米国のJohn Hopkins 大の随時更新されるサイトが、最も便利だろう。その10日間ほどのデータを用いて以下の分析をおこなった。通常この病気の診断はRT—PCRという迅速且つ大量処理が難しい方法を用いるので、良く準備された国とそうでない国では、感染者数の中身が大きくことなるだろう。差し当たりそれらを細かく議論しないで、分析後に得られた数値から、それらも議論したいと思う。

 

ここで、二つの死亡率を定義して、それらを比較してみる。1つ目の死亡率は、死亡者数の(死亡者数+回復者数)にたいする比(死亡率1)である。もう一つは、死亡者数の感染者数に対する比である。これら感染者等は全て累積値である。入院して治療中の人は、何れ回復者か死亡者に数えられる。差し当たり”決着がついた人たち”だけで死亡率を計算したのが死亡率1である。一方、グレーゾーンにある人を強引に分母にいれたのが、死亡率2である。しかし、一般に報道される死亡率は後者の方である。

 

これらの3月6日から3月15日までの値を下図に示す。

 

ここで注目されるのは、決着の着いた人だけで死亡率を計算した場合の値は、かなりの勾配で上昇中だということである。中国は最近、闘病中と思われる人まで、治癒者として退院させていると言う話がある。これが本当なら、死亡率1を下降させる筈である。しかしそれでも尚、この死亡率が上昇しているのは、かなりの地域で、死亡後にCOVID-19だったという診断がなされていることの証拠である。当然、死亡率1と死亡率2は、この病気の患者がいなくなった時点で一致する。

 

つまり、現在新型コロナ肺炎は、全世界に急速に広がりつつあることを示している。新たに患者或いは感染者に加わった人は、5日や20日は闘病生活を送るのが普通だろう。1日当たりの診断数を増加させる努力もされているだろう。そのように増加する感染者数を全て分母に入れても、死亡率2は横ばい或いは微増である。非常に恐ろしい事態である。

 

2)各地のデータ:

 

これまでの各地のデータは次の表の通りである。

二つの死亡率の値は、原理的に最後は一致する。従って、これらの間のズレは、疫病蔓延のステージがどこにあるかの目安となるだろう。新しい感染者が全体に比べて小さい比率なので、湖北省(武漢)と北京の、死亡率1と死亡率2が近い値である。西欧諸国で、これらの値が非常に大きくズレているのは、この疫病蔓延のステージが始まったばかりであることを示している。

 

ここで、この9日間の感染者や死亡者の増加数から計算した死亡率1を、地方毎に表にしたので下に示す。

ここで注目すべきは、中国湖北省のデータと西欧諸国のデータである。湖北省では、最近9日間の死亡者は116名で回復者が9460名であり、それらの比率(上の表中Drate1)は1.2%という小さい値である。湖北省全体の死亡率1と2は、一つ前のテーブルから、其々5.5%と4.5%なので、前々回の記事に書いたように、最近非常に効果の高い治療法を実施しているか、或いは多くの患者を治癒者として退院させたかのどちらかだろう。それは、死亡者か回復者かの決着がついた

 

ヨーロッパでは新しい患者が次々と出ているが、この病気との戦いが終わった患者の多くは、死亡という形で病院を出ている(フランス、イギリス)。イタリアでは、21000人余という大きな感染者数が出ているので、この病気の流行のステージも進んでいるのかと思ったが、この間の”戦いが終わった”2600人余(9日間)のうち半数(46.7%)は死亡して病院を出ている。これは、インフルエンザの20倍程度の死亡率の病気なら、未だ序盤戦の様相である。

 

イタリアの場合、別の可能性として、日本や韓国の新型肺炎とは異なるウイルスを考えるべきかもしれない。S型とL型の2種があるという話が10日ほど前にあったが、詳細に分析してみるべきだろう。

 

(16時に編集しました。最後のテーブルで書いたDrate2は、あまり意味のない指数だったので削除しました。)

 

補足:

 

1)今日のテレビ番組で、橋下徹氏は新型コロナ肺炎に関して、感染者よりも死亡者を減らすことを第一に考えるべきだと発言していた。これは間違いである。私には、「検査数を減らして、死者は通常の肺炎で死亡したことにすれば、国際的評判も高くなり全て良い」という発言に聞こえる。何故なら、ヨーロッパの実態を見ればわかるが、最終的に得られる死亡率も5%以上と高いだろう。橋下氏は、感染者に死亡率を掛けた人数だけ死者がでることを、真剣に復習すべきである。