国家という言葉は、通常国の管理運営組織を意味する。現在の多くの国では、行政、立法、司法という3つの機能を持つ組織で構成される。軍隊は、通常行政の1組織であるが、複数の軍隊を持つ国もあるだろう。トップは国家元首であり、共和国では普通大統領がその役割を担う。

 

国のハードな面としては、国家(組織)と国民、及びその領土領海領空等から構成される。国の伝統や文化は、国のソフトウエアであると考えれば、上記国のハードな部分に加えて、国の構成に数えるべきだろう。

 

国民の生命と生活の安全は、殆どの場合、所属する国の浮沈と伴にある。従って、国(例えば日本国)は、国民を構成員とする共同体である。(補足1)

 

日本国は民主制を採用しており、その国家組織の目的は、国民に生命と財産の保全及び自由な活動の場を、制限付きの権利として保障することである。国家とは、それらを目的とする機能体組織である。(補足2)一方、国民の義務は、国家にその目的遂行に必要なものを供出することである。

 

国を考える際、動物一体の構造と機能がモデルと成り得る。そのモデルにおいて、国民は動物の各種細胞に対応する。国民の一部をメンバーとする多くの会社・法人などは、動物では器官や臓器に相当する。(補足3)

 

動物の器官は、国などの公的機関及び法人に相当する。そこで、細胞が集団となって機能体組織をなしていると考えられる。そこでの細胞は、それぞれ専門的な機能をほぼ完璧に果たす。

 

それら諸器官を含め、動物の全ての細胞は、生死を共にする共同体の構成員とも言える。国のあり方を考える際、動物とその細胞のあり方と比較することで、有用なヒントが得られる。ただし、国における国民が、諸機関の構成員であるのは、1/3の時間のみである。この「国の動物モデル」で、大事なことは、この1/3の時間と残りの2/3の時間の峻別である。

 

動物の命は、他の動物との戦いに負けたり、獲物が得られず生命維持出来なかったりすることで短くなる。その原因は、その動物が外的との関係を正しく把握しなかったこと、そしてその対策を取らなかったことである。それらは、全て動物の脳と四肢の能力が劣っていたということによる。

 

つまり、国家における立法及び行政組織などは、動物の脳に相当し、軍事的能力や産業的能力は、動物の四肢や内蔵に対応する。つまり、国の栄枯盛衰は機能体組織として国家が機能するかどうか、産業界が能力と競争力を維持出来るかどうかに依存する。(補足4)

 

動物においても、生命活動における最良の結果は、国における国家の部分(脳と四肢)と産業活動に関する部分(内蔵)が優秀な場合に得られる。動物細胞は機能体組織の構成員として理想的に働き、情報交換も言葉ではないが、ホルモンと神経により緻密におこなっている。(補足5)

 

このモデルを頭において、国家と国民の基本的関係について考えると、話がわかりやすくなるだろう。今回はここで一応話を終わる。

 

 

補足:

 

1)ここで、共同体と機能体に分類する社会組織論があるが、それはある存在全体の一部(部品あるいは部品的組織)の性質を言っているのである。その全体が統一性を持って存在し続けるためには、それらすべての組織は大きな共同体の構成員として含まれなければならない。例えば、日本の企業、国家、自治体などは、機能体組織や共同体組織に分類される。しかし、それらがもっと大きな枠組みである日本国の共同体の構成員でなければならない。この考え方を取らない人たちがいる。それはグローバリストたちである。それは、国家と破壊し、機能体組織である企業体の増殖に価値を置く考え方である。今回のモデルでは、悪性腫瘍に見える。

 

 

2)国家は機能体組織であるから、国の上記目的を効率良く実現する様に組み上げられるべきである。機能体組織という言葉は、ゲゼルシャフトという用語を意識して使った。

 

3)民主国では、個人の基本的人権を国家の最高価値と見做すので、会社や法人はあくまで国の準構成員或いはバーチャル(仮想的)な構成員である。米国のように、本来バーチャルである筈の法人が政治資金の多くを拠出し、政治をコントロールするのは民主国の考え方に整合的ではない。ただ、個人の政治姿勢が十分成熟しない(し得ない)状況では、民主国は絵に描いた餅なのかもしれない。西部邁さんは、オルテガなどの本を引用して、その指摘をしておられた。そうすると、米国型の関節的に賢者の意見に重みをもたせるタイプの修正民主政治が最良かもしれない。(この「修正」は、本当は「modified」にすべきである。私は、この修正とか改正とかの正の漢字に何時も引っかかる。)

 

4)国民が、国家の中の機関や法人として働く1/3の時間に自分の脳を使うが、それは残りの2/3の時間の脳の使い方とは異なるだろう。後者の脳の使い方は、自由度が高く、機能体組織の中で働く能力を磨いたり、国の文化の向上の栄養素となったりするだろう。

 

5)例をあげる。体液量が多く心臓の負担が増加したとき、心房細胞はANP(atrial natriuretic peptide)というホルモンを分泌する。それが腎臓の傍糸球体細胞に作用して、レニンの分泌を抑制し、腎臓でのナトリウムの再吸収を減少させ、体液量を減少させる。心臓の細胞は、仕事が増加して苦しくなったとき、この体液量調節システム(レニンーアンジオテンシンーアルドステンロン系)に働いて、負担を軽減してもらうのである。

 

中国による「武漢ウイルス」(補足1)米国起源説流布の作戦:「敵を欺くには先ず味方から」の戦術

 

最近、ケイさんというハンドルネームのYoutubeサイトを見つけた。そこで語られる内容は、中国人でないと知り得ない中国の真実を語っているように聞こえる。そして、ときとして、ハッとすることも多い。つまり、疑問に思っていたことが一瞬にして氷解するのである。

 

その一つが、中国趙報道官による「新型コロナ肺炎を米国が持ち込んだ」という発言と、それをあっさりと在米中国大使が否定したことの謎である。それを、大紀元という在外中国人によるメディアは、「駐米中国大使、“米軍ウイルス拡散説”を否定 内部で意見対立か」という表題で解説している。

https://translate.google.co.jp/translate?hl=en&sl=ja&u=https://www.epochtimes.jp/2020/03/53593.html&prev=search

 

しかし、中国政府の報道官は、政権の中枢に位置し、中国外交部の傘下にある。駐米中国大使も同様である。しかし、大使が「馬鹿げている」と発言したことで、米国は表立って、趙報道官の発言を、中国政府の発言として批判できなくなった。政府専門家チームリーダーの鍾南山氏も感染源は中国とは限らないと発言していることと合わせれば、この米軍起源説は、中国政府の正規なプロパガンダの筈である。

 

この謎は、ケイさんにより明確に解説されている。趙報道官のツイーター上の書き込みも、在米中国大使の米国マスコミでのその完全否定も、全て中国政府の戦術の一環だとして理解すべきだというのである。つまり、敵を欺くために、内部が混乱しているかのように見せるというのである。https://www.youtube.com/watch?v=71Do2kEnHQk

 

米国トランプ大統領のマッドマン理論と似ているが、一人で演じるとバレやすい。しかし、それを政府全体で演じると、非常に分かり難くなる。西欧でも、個人のレベルではマッドマンを演じることはあっても、政府のレベルになればあり得ないし、想像すら出来ないのである。

 

中国政府は、独裁であることを知っていても、独裁政府の本質について肌感覚で理解する人は少ないだろう。私が、この問題がケイさんの動画を視聴して、氷解するように理解できたと感じたのは、情報についてはかなり閉鎖的な日本社会に住むからかもしれない。

 

その様に考えると、上記大紀元の報道及び大紀元というメディアの性質も、注意して再考する必要がある。つまり、大紀元が、中国政府ができれば隠したいことでも報道して来たとしても、尚、完全に信用することはやめた方が良い。ウイグルなどでの人権侵害を、初めて暴いたのなら信用に値するが、中国が隠しきれなくなった時以降に中国を攻撃するトーンで報道しているのなら、それは上記駐米中国大使と同じかもしれない。その評価には、長期的な観測とプロフェッショナルな解析が必要だろう。

 

つまり、反中国政府の報道姿勢を見せながら、肝腎なところで、米国など欧米社会の考え方を誤った方向に導くのである。時として、味方の一部にも「裏切り者」という烙印を押される位でないと、この種の戦術には役立たない。つまり、「敵を欺くには先ず味方から」という中国三国志の時代の戦術である。

 

「長期観察とプロフェッショナルな解析」こそ、インテリジェンスの基本だろう。それに何よりも大事なことは、自分の頭でゼロから考えることである。この後の方が、伊藤貫氏が指摘したように、日本の優秀な(つまり東大卒というだけのこと)官僚たちに根本的に欠けている。(編集、20時)

 

 

補足:

 

1)表題の「武漢ウイルス」は、医学的に問題を語るときにはふさわしくない。新型コロナ肺炎の正式名称はCOVID-19であり、その原因ウイルスにはSARS-CoV-2という名称が与えられているからである。しかし、ここでは中国武漢で発生したウイルス性肺炎の原因ということを明示する必要性から、この名を用いた。

先日の記事で、この病気での致死率を2つ定義した。(これは全くオリジナルであり、然るべき学会での議論を経ていない。)

 

致死率1(DR1)= 死者数/(死者数+治癒者数)                ①

致死率2(DR2)= 死者数/確認数                                           ②

https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/03/blog-post_29.html

 

昨日、これら2つの統計値の傾向から、韓国の新型コロナ肺炎は大凡4月中に終息するだろうと書いた。上記、2つの致死率の変化が直線的であるとし、その交点から、この疫病終息の日の目安を求めた。

 

その際、経験的な方法だとしたが、それは全くの経験則というよりも、かなり自然なことであることを、ここに示したい。その為に、非常に簡単なシミュレーションを行ってみたので、その結果を記す。

 

この疫病の患者が、ガウス型の曲線(誤差曲線とも呼ばれる)を描くように、毎日新規発生すると仮定した。

新規患者発生数が30日目で最大になり、大凡70日で患者発生はほぼ無くなるとする。致死率を10%とし、死亡する患者は全て発病2週間目に死亡する。回復者としてカウントされるのは3週間目(退院日)とする。発生患者数は約2500名である。

 

このモデルで計算した致死率を30日目から図示すると、以下のようになる。

致死率1はかなり直線に近いかたちで、新規患者数が最大になる30日以降減少し、同様に致死率2(死者数累計値の全患者数(累積値)に対する比)は増加する。直線近似で、30日〜50日の間で線を引き、それを延長して交点を求めると、ほぼ疫病流行が終焉する日となる。

 

以上は、疫病の発生も数式通りでないと、成立しない。現実は、中国の二次的流行、欧米からの感染の流入など、韓国の状況も単純ではない。従って、このような非常に簡単なモデルで進む保証など全くないのだが、2つの死亡率を用いる方法が一つの解析法となることを示した。参考になればと思う。

 

尚、先日の解析で韓国のデータを取り上げたのは、多くのPCR検査を行い発表しているので、信頼性が高いと判断したからである。同様の致死率を日本のデータで求めても、上記モデルには全く合わない。それは、日韓の比較をしたブログ記事に書いた通りである。https://rcbyspinmanipulation.blogspot.com/2020/03/blog-post_30.html