姉妹サイトで閲覧のあった一年程前の記事を再録します。私も元の伊藤貫さんの講義を復習する意味で読み直しました。

米国の大資本が団結してトランプの排斥を目指す基本的理由が、米国を共産党の支配下に置くことではなく、資本の独裁下に置くことであることがよく分かる。現在のトランプ支持派は、民主主義或いは政治における個人の自由の確保、換言すれば反中国共産党のために支持しているのですが、やはりもう少し視野を広げるべきだということがわかります。

 

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以下は伊藤貫さんの2,017年に慶応大学で行った講演のデータを中心にして、米国の抱える矛盾とそれに翻弄される日本を含む国際社会について考察したものです。コメントや誤りの指摘など歓迎します。

 

1)米国の危機とトランプの利己主義:

 

米国社会にはいつ頃からかはわからないが、金儲け最優先主義が寄生している風に見える。その思想は今や全世界に拡散している。(補足1)それによる目に見える社会の症状は、第一に貧富の差の拡大であり、第二に社会の政治的混乱である。

 

先進国において貧富の差が一番大きいのは、当然米国自身であり、その結果米国社会は深刻な崩壊の危機を今後20年程の間に迎えるだろう。その主原因は、上記二つの症状だが、加えて特有の要因として、デモグラフィック(人口構成的)な要素がある。米国在住の伊藤貫氏はそのように語っている。https://www.youtube.com/watch?v=Y_oD0ZWfWz4&t=4225s

 

もう少し詳しく言うと、米国には貧富の差の拡大に加えて、人種構成に大きな変化が予想され、その両者には強い相関がある。2025年には、白人の人口よりも非白人の人口が多くなり、リタイヤした年金世代の比較的裕福な白人が、もともとそれほど裕福でなかった非白人の若者からの所得移転(年金)に頼るという構図である。

 

更に、米国は世界一の債務残高の国であるという特殊要因も存在する。そこで、トランプ大統領はその米国の危機を、世界各国に押し付ける政策を考えている。それが“America First”であり“Make America great again”の中身である。

 

つまり、その不可避に見える米国の衰退と分裂の危機を、トランプは本質的な解決で乗り越えるのではなく、コングリマット企業の不採算部門の切り捨てによる経営改善をモデルにして、乗り越えようと考えているようだ。その不採算部門とは、諸外国との安全保障関係であり、米国経済の足かせとなるパリ条約などの国際条約であり、紛争国家への介入などである。これら全てにおいて、米国に共同責任があることを完全に無視するという利己的態度を取っている。

 

上記のような切捨は、必然的に米国のユニポーラーな世界覇権を不可能にする。トランプの世界の二極化或いは多極化は、積極的理念に裏付けられているのではなく、後付の政策である。米国を世界のユニポーラーな覇権国から、地域覇権国に後退させると米国のドルは崩壊するだろう。世界の基軸通貨である現在の米ドルの地位など、トランプの念頭にはないように思う。それは、利下げをFRBに強く要求したことでもわかる。

 

ドル基軸体制の崩壊と米ドルの紙くず化は、世界経済に大混乱を持ち込む。それをできるだけ連続的な長期プロセスで成し遂げるには、際限なきドル安への誘導ではないだろうか。その途中で、国債の紙くず化が起こる可能性があるので、米国は他国が持つ米国債を高利率の永久国債に切り替える強い要請をする可能性があると思う。

 

世界覇権と米ドルを基軸通貨とする体制は不可分だからである。なお、ニクソンショックのとき、米ドルが世界の基軸通貨としての地位を守れたのは、サウジアラビアの国防保障とともに、原油取引を米ドルに限るという約束があったからだと言われている。(補足2)

 

諸外国にとってこの問題が厄介なのは、FRBの崩壊の部分を除けば、おそらく米国の大半が合意することだと言う事である。そこまで強引にトランプが利己的にやってくれるなら、それは都合良い。悪いのは米国じゃない。宇宙人のトランプが悪いのだと世界から一定の納得が得られれば、なお良い。紳士的な米国はその後登場すればよいのだと。

 

2)米国の病気

 

伊藤貫氏の講演によると、1960年の白人人口は全人口の85%であった。それが、2017年には、60%に減少して居る。そして、出生率の差などから2025年頃には50%以下になるという。また別の資料によると、2015年の白人、ヒスパニック、そして黒人の年間給与の中央値は、其々63000$、41000$、37000$だそうである。この所得格差はこの20年間広がって来て居る。https://zuuonline.com/archives/121819

 

この低所得層の有色人種が主になって、定年退職した白人の年金のために多額の出費をするようになったとき、そして、黒人などが受けていた積極的優遇策(逆差別策、Affirmative action)の廃止されたとき、上記人種間の分断は加速されるだろうと、伊藤氏は話している。

 

この貧富の差だが、20世紀後半からのグローバリズムの影響で大きく広がった。MITの研究者の論文によると、1947〜1973年の間、労働生産性が97%上昇し、労働者給与も95%上昇した。 しかし、1973年〜2013年には、労働生産性が80%上昇したにも関わらず、労働者給与は4%しか増加しなかった。(補足3)

 

別の角度から見ると、米国を代表する企業500社(S&P500)の場合、1980年代では上げた利益の50%が株主還元に、45%が設備投資や賃金上昇に用いられたが、2000年になると利益の90%が株主還元に向かうようになった。

 

伊藤氏によると、これらの数値はMITの研究者による論文からの引用である。この論文と思われる論文のアブストラクトには、「戦後初期(米国の黄金期)には、諸制度は富の広範囲への分配をデトロイト協約(累進税、高い最低賃金など)により重視したが、1980年以降にはその諸制度がワシントン・コンセンサスとして逆転した」と書かれている。ワシントン・コンセンサスとは、現在の米国主導のグローバル化経済の諸政策である。(補足4)

 

伊藤氏の講演は、米国に於けるこの富の分配における不公平に関して、そのメカニズムの出来た経緯についても解説している。それは、ニューヨークのウオール街の金融業者による企業経営の支配が進んだこと、そして、金の力で国政への影響力を強め、税制変更を実現した結果である。最終的に、株主としての金融業者(ヘッジファンド、投資銀行、private equity fundなど)が、企業があげた利益のほとんどを彼らのキャピタルゲインとして吸収するシステムが出来上がった。

 

その一例として、資本による収益(キャピタル・ゲイン)に対する税率の変化が紹介されている。ニクソン&カーター時代には35%だった税率が、パパブッシュの時代には31%、クリントンの時代に20%、息子ブッシュの時代に15%になったが、オバマの時代に20%に戻った。このクリントン時代に大幅に税率を下げた主役が、財務長官だったロバート・ルービンやローレンス・サマーズだという。両者とも金融業と関係が深い。(補足5)

 

更に、様々な税の抜け穴を利用して、ヘッジファンドなどが実際におさめている税金は、伊藤氏によると、せいぜいキャピタルゲインの10%程度だという。そのことと関連して、米国の税制に関する法律は75000頁という膨大な文章であり、他の先進国の10倍ほどにもなっているということなどが紹介されている。

 

2007〜2008に経済学者のサイモン・ジョンソン(Simon Johnson)は、「IMFを経験して(chief economist、2007年3月〜2008年8月)分かったことは、米国もロシアと同様に寡頭政治(Oligarchy)だということだ」と言ったという。それは、ウオール街の金融業者が、巨大な金融資産で、政治をコントロールしているという意味である。米国の政治は世界の政治である。その結果が、現在のグローバル化政治経済であり、最初のセクションで書いた米国と世界の病状である。

 

3)政治資金の問題

 

1970年代には、議員経験者の2-3%だけがロビーストになったが、現在では下院議員を辞めた人の5割、上院議員を辞めた人の9割がロビーストになる。その理由は、米国の両議院の議員年収が22万ドル程度と低く、トップ1%の年収の5分の1程度しかない。ロビーストになれば、多額の政治資金を議会に流す仲介をすることで、桁違いの年収を得る事ができるからである。

 

ワシントンのロビーストを通じて議会に流れる金は、毎年40億ドル程であり、例えば重要な委員会の委員長を経験したロビーストは、年収200-300万ドルが期待できる。従って、自分たちが議員のとき、その職につくことを考えている人(つまり現在では議員の大半)は、ロビー事務所に逆らうことはやらないで、彼らの意向を汲むようになる。

 

そのような情況を、元AFL CIO(American Federation of Labor and Congress of Industrial Organizations)のプレジデントだったRichard Trumka が、テレビ局によるインタビューにおいて、「民主党も共和党も関係ない。年収トップ0.1%の連中が、我々の選挙を買い取っている。」と言ったという。

 

伊藤貫さんの講演は、ヒラリー・クリントンが大統領選に負けた理由として、「元国務省の方が聴衆の中に居られるので気を悪くされるかもしれないが」と前置きして(追補1)、多額の政治資金を米国内外から集めたヒラリーの金集めと、国務長官時代に国務省のメイルシステムを一度も使わず、自宅のサーバー経由で電子メイルをやり取りしていたことなどに言及している。

 

この中で驚くべきことを言っている。ヒラリー・クリントンは、21世紀の初頭にクリントン基金という慈善基金を創設した。国務長官(2009〜2013)になった途端に、そこへの献金が急上昇した。そのクリントン基金に500万ドル以上献金のケースの半分以上は、外国政府または外国企業からであった。しかもマスコミ報道によると(2016年)、それまでに集めた24~25億ドルのうち、本来の慈善行為に使われたのは6%だけだった。その具体例は、ロシアに盗まれたポデスタ(John Podesta選挙運動責任者)の電子メイルから明らかになった。(補足6)

 

4)米国の政治資金規制

 

米国の政治資金規正法では、毎年一人あたり寄付できる上限は2700ドルである。一方、全国規模の政治団体への個人献金は年間1人5000ドルに制限されていた。しかし、2010年の裁判で、支持する候補者や政党と直接協力関係にない政治活動であれば、表現の自由の観点から、献金額に限度を設けてはならないとの判断がなされた。

 

Wikipediaは以下のように記述している。

 

このような候補者から独立した政治団体は、企業献金個人献金を大量に集め影響力が大きくなるにつれ、特別政治活動委員会(スーパーPAC)と呼ばれるようになった。スーパーPACは無制限に資金を集めることが許されており、テレビのCMなどを利用して様々なキャンペーンを行なっている。特徴的なのは、支持候補に対する支援ではなく対立候補へのネガティブ・キャンペーンが多い。スーパーPACへの献金者は公表が義務付けられているが、多くの団体は法的な技術を用いて選挙後まで公表を引き延ばしている。

 

その結果、政治資金の流れがおかしくなり、ニューヨーク・タイムズの報道によれば、2016年に民主党と共和党に流れた政治資金の少なくとも半分は、アメリカの130家族から来ているという。更に、別の報道によると、2016年政治資金の40%は米国の50人から来ているという。皮肉を込めて言えば、これぞ正にアメリカン・デモクラシーである。

 

また、去年ニューヨーク大学の法科大学院の2016年の調査報告では、2006年のローカル選挙での選挙資金として使われた金の25%は誰が出した資金か不明であった。つまり、ニューヨークの金融業者がチャリティやソーシャルウエルフェアファンドなどに寄付をし、大部分がそこからスーパーPACへ流れることがわかった。

 

このような政治資金の情況と関連しているかもしれない政治的判断の例を挙げる。

オバマ政権になって、2007年-2008年にジャンク抵当証券にトリプルAの格付けをしたことなどが、リーマンショックという金融危機を招いたが、オバマ政権は誰も上記犯罪的行為を裁かなかった。当時FRB議長だったバーナンキさえも、USA Todayのインタビューで、誰も告発されなかったのは遺憾であると発言している。

 

その件で金融機関には多額の支援金(約70兆円)を出しながら、900数十万の家を失った家庭には20兆円も支援をしなかった。民主党がこのように労働者階級に冷たいのと、最近25年間の金融機関からの政治献金が共和党よりも民主党へ流れていたこと(ヘッジファンドの政治資金の約7割が民主党に向かっていたこと)とは相関がありそうである。つまり、民主党は労働者の味方であったのは、もはや過去の話となったのである。

 

5)米国の病気の世界への伝染:

 

米国は、世界覇権を金融と軍事の両面から握っているので、国際的なルールも国際機関の決定という形で、一定の時間を要するが、米国(つまりウオール街)の考える通りに定着する。

 

各国の一流企業の経営も、株主である金融業者の意向に沿って進められる。株主の意向の実現のために、株主は経営者には当然非常に高い給与を得る様に勧める。その一方で、利益の多くは株主配当に向けられ、そのかなりの部分は、ニューヨークに送られる。最近その比率は低下しつつあるが、日本の大企業の株主のおよそ30%は外国人(法人を含む)の所有であり、2018には3年ぶりに30%を切った。日本人は、その意味するところ(最近低下していることについても)を、深刻に考えるべきである。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46583930W9A620C1MM0000/

 https://www.stockboard.jp/flash/sel/?sel=sel533

 

米国発祥のグローバル化の結果、先進国の製造業は人件費の安い国に移動し、そこから諸外国に売ることで多くの利益を得る様になった。その際、自国の労働者のことや購買力低下のことなどを考えない。全世界の購買力が上がれば、それで良いからである。周知のことだが、それが資本移動の自由化(規制緩和)の効果である。

 

それが長期的に見て、その企業のプラスになるとは限らない場合でも、その企業に投資する金融業者は構わない。何故なら、その企業が落ち目になる場合、頃合いを見計らって株を売払い、投資対象を替えるだけで良いからである。また、その国の政治がいびつになっても、構わない。何故なら、その場合は国を移れば良いからである。それがディアスポラの民の考えることである。因みに二大ディアスポラは、ユダヤ人と華僑である。

 

米国を代表する投資家の一人であるジム・ロジャーズは語っている。「1807年にロンドンに移住するのは素晴らしいことだった。1907年にニューヨークに移住するのは素晴らしいことだった。そして、2007年にはアジアに移住することが次のすばらしい戦略となるだろう。」彼は、家族とともに2007年、ニューヨークからシンガポールに移住した。

 

 

補足:

 

1)米国のニューヨーク金融界の一派が、近代社会の知恵である法規制を、大衆の洗脳工作により「自由を束縛する悪」として取り除き、金儲け最優先主義を正当化した。そして、その富は力であり、力は正義であるという中世への逆戻りなのか、ポストモダン的な価値の分散なのか分からない社会にして、自分たち民族的マイノリティーのビリオネアたちが、マイノリティーの権利拡大の思想で自身の経済活動を正当化するとともに、政治そのものの支配を企んだ。

 

2)各国へのドル札の分配は、輸出品に対して支払う形で分配される。米国は世界中から自国通貨で買い物(輸入)ができるので、制限をあまり感じないで買い物を続けた。各国に余った米ドルは、米国債と引き換えに米国により回収された。一度着いた浪費癖が簡単には無くならないので、米国は多額の借金をすることになった。その米国債などで世界一の債務国となったが、その合計は20兆ドルを超える。

 

3)2000年代初頭の株主還元の内訳は、40%が配当に60%が自社株買いなどの使われたという。なお、最近起業されたアップル、アマゾン、グーグル、マイクロソフトなどはNASDAQ上場銘柄であり、S&P500には含まれない。

 

4)上記MITの研究者の論文だが、聞き取りにくい名前なのだが、グーグル検索するとそれらしい著者と論文が出てくる。それは:“Inequality and Institutions in 20th Century America”と題する論文である。著者は、Frank S. Levy & Peter Temin という人たちである。この論文は2007年に書かれて居るので、伊藤氏は2003年というべきところを2013年と言ったのかもしれない。https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=984330

 

論文の要約の中の一部を以下に抜粋し、伊藤氏が引用した論文かどうかの判断材料として提供する。本文に内容は書いているので、訳は省略する。

The early post war years were dominated by unions, a negotiating framework set in the Treaty of Detroit, progressive taxes, and a high minimum wage – all parts of a general government effort to broadly distribute the gains from growth. More recent years have been characterized by reversals in all these dimensions in an institutional pattern known as the Washington Consensus.

 

5)ルービンは元ゴールドマン・サックスの共同会長、サマーズはハーバードの学長の時にヘッジファンドから年に26ミリオン$の顧問料をもらっていたという。つまり、両者とも金融業者であった。

 

6)この件が明らかになったことの経緯を、伊藤氏はかなり詳しく述べている。そして、2016年の大統領選挙でヒラリーが負けたのは、この件で民主党のサンダースを支持した人たちが米国の政治或いは民主党に嫌気が差して投票に行かなかった体と思うと述べている。

 

追補1:この言葉は、深く考えると、元国務省の人と出席者および将来のyoutube視聴者に「国務省の方の存在を認識しています」と知らせているとも考えられる。この追補を書く動機は、伊藤さんが故中川昭一さんと「お互い殺されないように気をつけよう」と話したと何かで明かしていたからである。

(編集:2019/11/15早朝)

 

 

下は「死刑執行を報じる毎日新聞の記事及び死刑制度について」と題して2年前に書いた文章である。ヤフーから引っ越しをする前の記事で、まともに閲覧されてこなかったので再録する。人権の立場から死刑制度に反対することの非論理性について書いている。我々の平穏な毎日は、反社会的人物や外敵との戦いの準備の結果として存在しうることを思い出してもらいたく、再録する。二年間の間に古くなった一点には、追捕を置いた。
 
 
死刑執行を報じる毎日新聞の記事及び死刑制度について(2018/12/28)
 
昨日2名が死刑執行された。ヤフーニュース欄に掲載された毎日新聞の記事(和田武士の署名がある)は、二人の死刑執行に関連して、“今回の執行で「死刑制度維持」という政府の姿勢が改めて鮮明になった。”と報じた。続いて、国際的に批判が多いと書き、最後に、“政府は単に執行を重ねるだけではなく、制度の存廃にとどまらない幅広い議論を喚起するためにも、情報公開を進めていく必要がある”と結んでいる。https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181227-00000077-mai-soci
 
これは死刑制度に反対する勢力が、その廃止を目論む政治的プロパガンダとして書いた記事だろう。報道機関が少なくともニュースとして流す内容の記事ではない。何故なら、今回の執行は、日本という法治国家において、法に従ってなされただけだからである。死刑制度の是非を議論するのなら、ニュースとしてではなく、今回の死刑執行からは一度離れて、社説或いは論評記事として独立させるべきである。
 
文章を書き、それを発表することを業務としているからには、その辺りのことは十分知っている筈である。つまり、毎日新聞は一般紙ではなく、何かを目論む一派の機関紙的存在のように思える。購読は、それを承知の上ですべきである。
 
1)死刑制度について:
死刑制度の是非が議論されて久しいが、内閣府の調査によると、世論の80%は死刑を容認している。従って、それを法的な問題として深刻に議論するとしたら、それは専門家だけだろう。https://www.nippon.com/ja/features/h00101/
 
日本では、今回の死刑執行を国内問題として批判する根拠は全く無い。執行の命令書への署名は、山下法務大臣が本来の業務をこなしたに過ぎない。ただし、外交問題(つまり政治問題)の一つとしては、後で述べるように議論の余地はあると思う。
 
 
ここでは、裾野を広くとって一市民の立場から死刑制度を考えてみたので、以下にそれを書く。先ず、(素人の浅はかな知恵と言われるかもしれないが)ウィキペディアで死刑制度の議論を見てみた。そこには、社会契約説、人権、誤判の可能性、犯罪被害者への配慮、死刑の犯罪抑止効果、世界の趨勢、社会が負担するコストなどの側面から死刑制度の是非についての議論が整理されている。その項目を以下利用する。(捕捉1)
 
この中で、一番の問題は誤判の可能性である。従って、その犯罪と裁判に関する情報の公開は死刑制度を維持する上での必須要件だろう。更に、その情報を一般民が理解する時間的余裕を、結審更に執行までに置き、疑義があるとの主張があれば、それを裁判所或いは行政府は吸い上げる制度を作るべきだと思う。その情報公開は、一審終了後になされるべきだと思う。裁判権も本来、一般市民の権利に由来する筈だからである。誤判の疑いが無いと仮定して以下議論を続ける。
 
上記議論すべき諸要素の内、犯罪被害者への配慮と死刑の犯罪抑止効果についての深い議論は不要だと思う。犯罪被害者として残されているのは、被害者家族だろう。被害者家族については、経済的困難が生じれば、それに対する保障を社会福祉の観点からすべきである。被害者家族の報復欲求は当然存在するが、社会が法的処罰をする以上それは許されない。
 
犯罪抑止効果は、今後の同一犯人による類似犯を防止するという意味では、終身刑を制定することの議論と同じである。しかし、最後に議論するように、死刑が犯罪人の社会からの排除であるとすれば、排除した者を経費を掛けて長期隔離する必要はない。また、その抑止効果が、当事者以外の同種犯罪を抑止するという意味なら、それは死刑制度の副次的効果である。死刑制度を、「社会と個人の関係」の一つである「犯罪と処罰の関係」として根本的に議論する際、主なる目的について結論を導き出すのが先ず大事だと思う。
 
やっかいなのは、「世界の趨勢」であり、それに伴う国際的圧力である。国際的圧力には、「世界の中の日本」が短期的及び長期的に考えて、利益を損なわないように配慮すべきである。(補足2)
 
2)最後に残ったのは、社会契約説及び人権との関係での死刑制度の議論である。一言で私の考えを言えば、「一般の善良なる市民を自己の利益のみを優先して殺害した者は、社会に参加しその恩恵を受けて生きるという生来の権利を放棄した」とみなせる。社会の外にあるヒトは、動物としてのヒトに過ぎず、当然人権など存在しない。
 
その社会に属することを拒否したヒトは、社会から最も明白な形で排除されるのは自然である。死刑が相当とされるような例えば無差別殺人等は、国家と国家の戦争や、政治的テロリズムと似ている。現在の国家体制の下にある社会を、基点に内外の差があっても、否定するという点でこれらは全て同じである。つまり、テロに銃撃で応じることと、無差別殺人犯を死刑にすることは同等である。(補足3)
 
死刑廃止を人権問題として取り上げることは、上記考えを採用すれば不思議なことであると言わざるを得ない。「人権を放棄した者を排除する機能を社会が持つことは、人権問題である」という不思議な主張となるからである。この人権を背景にした死刑廃止論の発生理由と経緯が私にはさっぱりわからない。(捕捉4)それは単に残忍な光景を想像することで、気分が悪くなるというナイーブな人たちの主張ではないだろう。
 
一つの仮説は、それは高度に計画された国際的な政治的企みだという考えである。それは、民主主義という理想論と同時に、世界をコントロールするために出されたものだろう。
 
民主主義は先進国の看板にするには相応しいが、それを全面的に採用すれば国家がまともには機能しないことは明白である。(捕捉5)まともに運営されている国家では、現実的に国家を運営する制度が別に作られている。日本では米国追従路線とそれをよしとする官僚制度であり、米国では多くのシンクタンクと政治的に活動する報道機関などによる世論誘導、更に、間接民主制による国家元首の選任であると思う。
 
日本政治に迷走があるとすれば、安倍内閣による官僚独裁の廃止への動き(補足6)が原因であるし、米国政治に迷走があるとすれば、一般市民の考えでトランプ大統領を選任したことが原因だろう。(追捕参照
 
範囲外への人権思想の適用(誤用)、わざと諸外国政府に統治能力の低下を画策するための剣として使われているに過ぎない。統治能力を欠く様に民主政治を押し付けたアラブの春のケースと同様、強国による思想撹乱である。そのように私は、一市民として考える。(17:40 編集)
 
追捕:(2020/12/5)
この国の政治における迷走は、同じ政治枠組み(レジーム)を仮定している。従って、トランプ大統領の選任は、世界史の大きなレジーム変化の問題と考えれば、ここに引用すべきではなかった。歴史を動かすのは、何時も大衆のうねりや津波的な動きである。米国の現在の情況はそのように理解すべきである。
 
補足:
 
1)ウィキペディアには死刑容認論として、社会契約説を最初に確立したトマス・ホッブズ、ジョン・ロックやカントなどの啓蒙思想家の考え、「三大人権(自然権)である生命権と自由権と財産権の社会契約の違反(自然権の侵害)に相対する懲罰・応報として死刑・懲役・罰金を提示している。死刑は殺人に対する社会契約説の合理的な帰結である」を記している。私はこの意見に概ね賛成である。ただ、「懲罰・広報として」という部分には反対である。社会との契約を破棄したもの対して、社会内の権威が懲罰を加える必要はない。懲罰は社会復帰可能な者のみに対する教育的行為だからである。死刑は、社会からの排除であり二度と社会復帰はありえないからである。つまり、人を襲った熊にたいする駆除と同様の行為である。
 
2)それは、捕鯨の問題と同じであり、世界が仮に非常にいい加減な分析の下であっても、強力に政治圧力をかけてくれば、それに沿う判断が必要となる場合もある。それは戦争を含んだ外交の問題である。日本にまともな軍備が無い以上、世界とまともには外交できない。米国のような軍事力があれば、IWCなどからは当然脱退すべきであり、日本古来の捕鯨文化があるとすれば、それを守るべきである。
 
3)テロリストを捕捉すれば、死刑廃止の国では死刑にしないかもしれない。その一方で、国家(を操っている者たちの)体制に有害と見なした者は、裁判などせずに暗殺している。つまり、人権を持ち出して死刑廃止を主張している人たちは、政治的企みで行っているに過ぎない。そのように明言できるのは、トランプ大統領もケネディー元大統領暗殺事件の資料公開をしなかったからである。この件、議論されないのは、強い圧力で封殺したからだろう。
 
4)捕捉1にウィキペディアの社会契約説を唱えた大家たちの議論を紹介した。このような議論があるにも関わらず、社会契約を放棄したものの人権をも守るべきだという思想を流布するのは、大きな政治的企みだからである。
 
5)民主政治の先進国である英国で、国民投票という民主的な政治手段を採用した後、国家が迷走をはじめた。国民投票で決定したように、EUからの脱退が未だになされていない。国民投票をやりなおすべきだという議論まで出る始末である。大衆迎合主義と民主主義の区別は、一般につけられないのだが、失敗したケースをラベルする目的で大衆迎合主義(ポピュリズム)という印字が大事に保存されている。
 
6)内閣に人事局を設け、官僚の人事を各省庁の事務次官から取り上げて、内閣の下に置いた。それは、内閣の暴走を可能とする危ない組織改編である。
 

戒厳令の早期発布以外にトランプが、そして民主主義が勝つ道はないだろう。上記表題のその1は、1121日の本サイトに書いた。

 

 

昨日の記事で、「We the People Convention」がWashington Timesに、トランプ大統領が限定的戒厳令を布告し、その監視下で大統領選挙をやり直すべきだとの意見広告を出し、マイケル・フリン(元陸軍中将)がツイッターに引用したという話を紹介した。その意見を元海軍中将のThomas McInerney やトランプのアドバイザーだったRoger Stoneだけでなく、顧問弁護士のリン・ウッド氏も共有している。https://www.ntdtv.jp/2020/12/46257/

 

しかし、123日のトランプのスピーチでは、民主党らの選挙不正について具体的に並べたものの、戒厳令などの強硬な手段については触れなかった。更に、今回の選挙で大規模な不正は確認されていないとAPの取材に対して答えたBarr司法長官(https://www.bbc.com/japanese/55155049)についても、処分には触れなかった。(補足1)

 

このままでは、勝利する側の最終列車に乗り遅れないように競争するBarr型の人物が増加し、トランプはまもなく戦いからの中途退場を余儀なくされる。最終的にはバイデン政権下で、トランプの応援者、つまり事実を重視する側に、相当の逮捕者がでるだろう。(補足2)

 

民主党側の選挙不正に対する共和党トランプ側の指摘が正しいと仮定し、それを前提に(トランプ側の視点で)考えると、民主党側つまり中国共産党の支援する側、或いは某民族系大資本家は、法、慣例、真実を無視して、国家を乗っ取るべく行動していることになる。

 

バイデンが就任すれば、過去にあった多くの疑惑の事件の後と同様、これまで通り遠分は民主国家の大統領のフリをするだろう。ただ、将来のある瞬間、西側諸国を隷属させている米国と東欧やアフリカを支配している中国が、実は同じ支配機構の国であり、その帝国主義独裁国家連合が全世界を飲み込もうとしていることに、日本を含めた多くの国が気づくということになるだろう。

 

バイデンの米国は、来年の早い時期に、この一ヶ月の異常な現象は全てトランプ側の犯罪的行為として裁くことになるだろう。つまり、判断を誤ったトランプは、自分と自分を応援してくれた事実と民主主義を重視する配下の人たち全てを、国家反逆罪で刑務所に送られるCNNのTV画像を見ることになるだろう。そして、最後に同じ道を自分も歩むだろう。

 

トランプ大統領は、大胆な発想で斬新な政策を立てるのだが、これまでの米国や多くの国家の指導者と違って、自分が統治するアメリカの犠牲者を睥睨する冷酷さに幾分欠けるようだ。民主党の背後に居る者たちは、それがトランプだけでなく、多くの近代国家の首脳に見られる性質であることを知っている。

 

しかし、自国が既に二つに分裂し、その一方は中国共産党の強い影響下にあり、現在内戦の真只中である。トランプはそれを見たくないだろうが、これまでの4年間は、それを見るためにやってきたことを熟知している筈である。ただ断崖絶壁から飛び降りる勇気を発揮するタイミングが問題だろう。

 

その認識に立ち戻ったなら、前回の文章に書いたように、限定的な戒厳令の布告後に軍が警備する施設の中で、既に集められた今回の票から不正票を除去し、合法的な票だけの再集計を国民の代表の前で録画をしながら行うのが良いと思う。勿論、再投票でも良いだろうが、「再投票は、何度でもやればいつかは勝てるだろう」という批判が、未来永劫なくならない。

 

(追捕:上記再集計の考えは、選挙そのものの有効性を前提にしています。しかし、選挙そのものが憲法違反のものという考え方では、再選挙が正しい選択となります。2020/11/7/6:50 )

 

民主党側の組織的な選挙不正は、先進民主国のものではない。彼らの世界は、観念論で閉じられた世界である。いくら証拠を突きつけても、「証拠がない」というのは、その結果である。共産主義は宗教であり、その名に反して科学と最も遠い。数学や近代科学の基礎である論理で証拠を導いても、その「論理」が介在する限り、証拠がないとして排斥するだろう。(補足3)

 

米国の現在が、共産主義との戦いの真只中であると認識したのなら、できるだけ早期に同じ場所で同じルールでの戦いに戻るべきだろう。つまり、論理を無視する集団に対してトランプがとり得る手段は、同じく民主主義の論理を超えた戒厳令しかないだろう。その結果、混乱があるだろうが、それは積年の負債であると考えるべきだと思う。また、戒厳令を布いたことに対する批判は、その後の米国が時間をかけて消化できるはずである。

 

この不正選挙の実態は、ペンシルバニア、ジョージア、ミシガンなどでの公聴会の中身を見れば明らかである。つまり、上記仮定を置く必要はないだろう。それらは、123日のトランプ大統領の50分弱のスピーチを聞いて理解できる人はそちらでも良いが、Hirano Times が要約して教えてくれている。下に引用する。

https://www.youtube.com/watch?v=Uvy-n6ZQihM

 

 

 

補足:

 

1)トランプ氏に特に近い側近の1人とみられているバー氏は、米AP通信の取材で、投票機が細工されてジョー・バイデン次期大統領の得票が増えたというトランプ氏側の主張に言及。「大掛かりな不正があった、選挙結果をねじ曲げるように機器が仕組まれていた、といった主張が出ている」と述べた。そのうえで、司法省と国土安全保障省が調べたが、「これまでのところ、そうした主張を証明するものは何も見つかっていない」、「選挙結果を変えるほどの規模の不正は、現在まで確認できていない」と話した。https://www.bbc.com/japanese/55155049

 

2)トランプが4年後に再挑戦するという話も流布されているが、それはあり得ない。下記CNNの報道は、共産主義のフロントである既存メディアが、トランプがその考えに変わることを期待していたことを示している。

 

 

 

 

3)共産党政権(科学的社会主義)が中国に残ったのは、理由があると思う。それは、漢民族の儒教の影響である。中でも朱子学の体系は、観念論で自然界までも解釈するという。その影響を強く受けたのが韓国である。停滞した明、清、その配下の李氏朝鮮が、共産党国家として生まれ変わったのが、現在の中国や北朝鮮、韓国の文在寅政権だと思う。同様に、論理的でオープンな社会を嫌う人たちが世界にいる。