西側諸国の多くの報道では、ロシアのウクライナ侵略で毅然と戦うゼレンスキー大統領を英雄と呼んでいる。確かに立派に見える。しかし、本当に英雄だろうか?

 

FNNプライムオンラインで、フジテレビ解説委員の二関吉郎氏も「“英雄”に大化けしたゼレンスキー大統領とウクライナ国民に最大限の敬意を表す」という表題の記事を載せている。https://www.fnn.jp/articles/-/322326

 

二関氏は、米国ワシントンポスト紙に掲載されたウクライナのジャーナリストAnna Myroniuk氏の言葉を引用している。それによると、ゼレンスキー大統領はアメリカ側から国外脱出を打診された時、「私が必要としているは弾薬だ。脱出の為の足ではない」とウクライナ脱出を拒否したという。https://www.washingtonpost.com/opinions/2022/02/27/ukraine-russia-zelensky-president-changed-my-mind-inspired-millions/

 

そして彼女は、国家指導者に求められる今や最大の責務である国民の保護の為に、彼は敢然と立ち向かっていると語ったという。ゼレンスキーが必死に戦う姿は、確かに英雄のように見える。しかし、彼はその原因を作った一方の責任者である。

 

そのワシントンポストの記事でMyroniuk氏は、ゼレンスキー大統領が“キャプテン・ウクライナ”とか“初めての真のウクライナ大統領”とか、呼ばれるとは思っても見なかったと書いている。彼女が2019年の選挙のとき、ゼレンスキーに投票しなかった理由を以下のように語っている。

 

彼は政治の経験がなく、大統領という仕事に適しているとは思わなかった。彼の選挙運動での言葉は理想主義的で現実的ではなかった。ロシアに対しての大統領としての立ち位置を気にしてはいたが、彼の話は曖昧だった。彼には強力な億万長者の後援者がいた。彼をスターにしたテレビ番組「民衆の僕」の放送局を所有する億万長者である。 そして、ゼレンスキーは圧倒的な勝利を収めた。

 

彼の統治に良い印象を持たなかった。腐敗と戦うと約束しながら、彼は十分な対策をしなかった。ゼレンスキーは彼の支持者や同僚を重職につけ、彼らがスキャンダルに巻き込まれてもまともに対策をとらなかった。彼の就任後の3年間は、真にポピュリスト的であり、大衆に愛されることを希求した。彼はメディアの批判を大変気にしていた。(かなり意訳です)

 

ゼレンスキーの「ロシアは侵攻しない筈だ」という侵攻直前までの言葉を信じなかったMyroniuk氏は一旦キエフを離れたが、現在立派に国を守るべく戦うゼレンスキーを高く評価し、舞い戻って共に抵抗することを考えているという。記事は「ゼレンスキーは、国と世界の大部分の信頼を得ています。 彼が現在の姿勢を続けてくれることを願っています」と言う彼女の言葉で終わっている。

 

この記事は、全体を客観的に読むべきで、Myroniuk氏の言葉であっても、ゼレンスキーに対する最終評価のみを鵜呑みにするのは間違いだと思う。当初抱いたゼレンスキーへの懐疑論は本当に間違いだったのか?

 

知的なMyroniuk氏も、現在は“熱く”なっている。彼女もゼレンスキーも、そしてロシアのプーチンも熱くなっている。熱くなってからの言葉はそのまま受けとる訳にはいかない。それが戦争の恐ろしいところの一つだろう。

 

2)ミンスク合意を守らなかったゼレンスキーは英雄か?

 

戦いの渦中にあるウクライナの人たちや渦の外にいても近視眼的な大衆は、現在のゼレンスキー氏の姿を見て英雄と思うかもしれない。しかし、サブタイトルの命題の可否は、今日のウクライナとロシアとの戦いに至る長い経緯を考慮した上で冷静に判断すべきである。

 

ソ連崩壊後、2004年にはヤヌコビッチの大統領選勝利を取り消したオレンジ革命、2010年に政権についたヤヌコビッチ大統領をウクライナから追い出した2014年の親米派クーデターなどで、米国の深い関与が確認されている。それに続いて起こった親ロシア地域(クリミヤと東部ドンパス地域)での独立を巡る戦い、ドンパス地方での内戦を収めるための2015年のミンスク合意なども含め、ロシアと欧米の代理戦争的な歴史があった。

 

そして、それらを含めた大きい背景に、ソ連解体後の米国資本の介入(IMFなどの援助を含め)などにより、ロシアやウクライナ等旧ソ連諸国で新財閥(オリガルヒ;多くはユダヤ系)が多数誕生したこと、そしてそれらの周囲に蔓延した汚職など腐敗政治などがある。(補足1)

 

歴代のウクライナ大統領は、政治の腐敗を無くすと公約した。しかし、大統領になる為にオリガルヒと仲良くなり、彼らの支配するTVを利用するなら、最初から政権は矛盾を含む。そんな中、その大統領になる秘訣をフルに使って誕生したのが、理想主義で現実曖昧主義(上記ウクライナジャーナリストの言葉)のゼレンスキー大統領であったとすれば、簡単にはウクライナの英雄と呼べないだろう。(補足2)

 

「キャプテン・ゼレンスキーのウクライナという名のボートは、その指揮下でどう言う訳か大嵐の中に突っ込み難破した。しかし、その後のキャプテンは乗員乗客の救助を勇敢に行った」というのが実態だろう。その勇敢に戦っているという部分だけを切り取って、ゼレンスキーを英雄と呼べるのか? 大いに疑問である。

 

 

3)ゼレンスキー大統領はウクライナの地政学的運命に逆らったのか?

 

人もその共同体である国家も、運命には逆らえない部分がある。ウクライナの地政学的位置と歴史的経緯からは、現在の時点で反ロシアの姿勢を明確にすべきでは無かったと思う。早くても、プーチンと米国民主党政権との対峙が終わった時点にすべきだったと思う。

 

歴史の先生によれば、ロシアはウクライナの土地にあったキエフ公国から発祥した。ウクライナ語とロシア語は、東北弁と標準語位の差であるとか言う位近い言語であり、民族も同じスラブ系で非常に近い。https://www.youtube.com/watch?v=jsN2smDyuc0 

 

その兄弟国を反ロシアの軍事同盟と化したNATOに入れるという画策は、おそらくプーチンのロシアを丸裸にして、潰すための下準備なのだろう。ロシアの金融経済支配を潰された米国大資本家のプーチンへの恨み、ソ連時代に多くの仲間を殺された恨みなどもあって、米国の政治を陰で操る勢力(政治任用のESSESと呼ばれる高級官僚、CIA、巨大資本家、軍需産業、など)とロシアとの争いは、和解のない特別で長期的な争いだろう。

 

その熊と龍の戦いのなかに飛び込むようなことは、国家と国民を悲惨な境遇にする可能性が当然高い。NATOへの加盟が、ロシアに喧嘩を売ることになると考えなかった筈はない。NATOに入ることを政権の看板にするには、親ロシアであった国家の歴史と血統、地政学的位置、そしてその時の国際情勢を十分に考慮する必要があった。ゼレンスキー政権はそれらを十分理解していなかったのか、或いは、その争い(更に大きい世界の枠組みをリセットする企み;補足1引用の動画参照)の中で作られたものか、のどちらかだろう。

 

 

終わりに: 

 

この戦争の分析には、これまでの世界の歴史全体を考慮する必要があるのだが、日本のTVなどではその様にほとんど放送していない。戦争の悲惨さだけを、見せ物のように流す番組や、極めて短期間の経緯のみを放送する姿勢に非常に大きな違和感を感じる。

 

ウクライナの置かれた状況は、日本のそれによく似ている。我々日本人は、この戦争を冷静に分析し、今後の日本を考える必要があると思う。素人がこのような文章を書くのには非常に慎重であるべきだが、日本の将来を思うと、自分なりに分析しておく必要があると思い書いた。意見をいただければ、ありがたい。

 

補足:

 

1)その一端に、オバマ政権の時のバイデン副大統領とその息子ハンターバイデンによる収賄疑惑がある。ウクライナのオリガルヒとバイデン大統領の息子とのスキャンダルの捜査を、米国大統領時代のトランプが新しく大統領になったゼレンスキーに要請した(2019年)が、彼は捜査しなかった。https://www.cnn.co.jp/usa/35142945.html

 

2)本文には書けないが、ゼレンスキーはロシア語を話すユダヤ人である。ソ連崩壊でIMFなど様々な欧米資本との絡みで作り上げられた新興財閥(オリガルヒ)の多くも、ユダヤ人である。ロシアでのオリガルヒの多くはプーチンにより潰された。ゼレンスキーもウクライナのオリガルヒの一人に応援され、支配下のTVを利用して大統領になった。ユダヤ大資本家のジョージソロスのウクライナを反ロシアに育てる努力などを含めて、これらのことを考えるとこの戦争の地下の部分はあまりにも大きく、簡単には上記フジテレビ解説委員の解説には同意できない。

 

https://www.youtube.com/watch?v=yAwNtRh1SB4

 

今日の日本時間午後、ベラルーシとウクライナの国境付近で、ウクライナとロシア間の停戦の話し合いが条件なしで行われる。この一回の話し合いで合意に至る可能性は、ゼレンスキー大統領の話すように低いだろう。https://news.yahoo.co.jp/articles/7aead1a13e66dedd3e33562c1a24b34f2f3cce83

 

両方とも非常事態中の心理にあり、しかも既に莫大な損害を出しているので、冷静に考えれば纏まる話でも合意に至るのは困難である。この戦争を誘発した米国は、既にプーチン体制の脆弱化は約束されており、十分な成果を得ているのだから話をまとめる努力をすべきである。

 

そんな中で、ロシアのプーチン大統領(以下敬称略)は、核抑止部隊に高度警戒態勢を命令した。ロシア側は、恐らくウクライナ東部のドネツクとルガンスクの独立を認めることを、最低限の目標として会議に臨むのではないかと思う。ウクライナはそれを受け入れない可能性が高いだろう。

 

プーチンは、それが受け入れられなければ合意できない。何故なら、完全にロシア市民の支持を失い、大統領の椅子に留まれない可能性が高くなるからである。そこからの二つの選択肢:一つは、話合いを継続出来る人物に大統領の席を譲り渡すことで、もう一つは独裁を強めることが考えられるが、その両方とも受け入れ難い。(補足1)

 

核抑止部隊にかけた命令は、その弱い立場を表している。一般に、弱い立場の者ほど、恐ろしい選択をする。キエフを簡単に制圧できなかったことと、欧米によるSWIFTからの除外は、プーチンを危機的情況に追い詰めている。

 

どの国でも、トップの弱さの自覚は、恐怖の独裁や残虐行為の深層に存在する理由である。それは自身の名誉も命も、トップの椅子の上にしか無いからである。これは、24日に始まったウクライナ侵略の結果ではなく、国境付近に10数万の兵士を配置したときからのことだろう。

 

米国バイデン政権が「侵略するのなら今だ」と言わんばかりのプロパガンダを行ったのは、そのプーチンの情況を知ってのことだったのだろう。これがウクライナを侵略した本当の理由だと私は思う。①強いロシアとそれを率いる大統領を演じる必要があったのだ。(補足2)

 

つまり、人口の半分に近い人がロシア語を母語とする兄弟国のウクライナが、反ロシアに作り上げられた情況を前にして何もできない弱い大統領のイメージは、それだけで支持を下げる要因だと、プーチンは自覚しているだろう。(補足3)

 

欧州は、そのことと弱い立場ほどより過激になることを十分に考えるべきである。世界を核の犠牲にしないためには、大量破壊兵器を大量に持つ国を過度に追い詰めないことである。

 

一般に大陸の人たちは、自分と相手を対立させて話し合う形式は得意だが、自分と相手を同時に思考の枠に入れることが苦手だろう。つまり、彼らは個人主義の国の民であり、日本人のように自分の立場を離れ、集団の中に自分を置いて思考する習性を持っていない。(補足4)

 

両方に一定の成果を割り振る形で交渉しなければなかなか纏まらない。それが出来るのは、米国である。この戦争を止められるのは、戦争に導いた当事者の米国バイデン政権である。

(これは素人の意見であることを承知ください。;18:00編集、①の文章を追加。)

 

 

補足:

 

1)後者は、これまで批判してきた共産党独裁と変わらない体制であり、プーチン自身が批判してきたことである。 例えば、1021日ロシアのソチで第18回バルダイ・クラブ討論会の年次総会で、会議に出席したプーチン大統領は、スピーチの中で「西欧社会は極左の社会主義イデオロギーに侵食されている、1917年のレーニン革命時のロシアで起きたことと大差はないと言っている。https://www.youtube.com/watch?v=ZAN9A8GzbGk440710

 

2)昨日のテレビ番組「そこまで言って委員会」でも、プーチンのウクライナ侵略の意図がわからないと専門家たちが言っていた。それは、今回の侵略がロシアの利益になるとは思えないからだろう。ウクライナがNATOに入ったとしても、ロシアにとって軍事的脅威が格段に増加するとは思えないという。確かに、核ミサイルがラトビアに置かれてもウクライナに置かれても、モスクワへの到達時間はほとんど変わらない。

 

3)この記述は随分ロシア寄りだと思われる方が多いかもしれない。そのように思う方は一度以下の記事を全て熟読してもらいたい。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12726626308.html

 

4)西欧文化の刑事裁判では、弁護士に犯人の立場で弁護を精一杯行い、検事は権力と被害者の立場でこれも精一杯告発する。裁判官はその両方を聞いて、犯行を法の記述にはめ込む。日本の伝統的方法は例えば大岡裁きであり、最初から双方の立場を並行して思考の中に置く。

追加2:欧州連合(EU)と米国などは26日、ウクライナに侵攻したロシアをSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除することなど、対ロ追加制裁を発表した。

 

 

これで世界は同時不況に陥る可能性がたかい。月曜日の株価は軒並み崖落ちだろう。世界経済を破壊して、再構築をしようと言うのだろう。いよいよ、グレートリセットなのだろう。ただ、彼らにユダヤ資本家は、株を売り逃げしているだろう。

ーーーーーーーーーーーー(10:46, 以上追加)ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ウクライナへのロシア侵攻がより深刻な方向に向かっている。非常に心配なのだが、ここは熱くなった空気を冷やすことが第一である。追加制裁(SWIFTからのロシア排除)は、第三次世界大戦に導く可能性がある。

 

追加1:キリスト教圏なら、報復について聖書がどう書いているか知っている筈だ。SWIFTからロシアを除外するというのは、ユダヤ教徒の発想だ(10時)

 

私は全くの素人であるが、この戦争の前から、①米国の一部グローバリストがWEFと協力して、世界をリセットするための導火線ではないかと心配してきたつまり、世界の敗戦革命のようなグローバルで巨大なリセットである。

 

ゼレンスキー大統領はイスラエルに仲介を頼んだということだが、それがうまく行かなければ、ドイツやフランスが動き出すべきである。或いは、インドが良いかもしれない。今となっては頭を冷やして、キリスト教徒なら”敵のために祈れ”などの言葉を思い出して、停戦を実現してほしい。このままだと、熊よりもっと恐ろしい竜が暴れ出す可能性がある。

 

イケイケどんどんと、プーチン憎し&米国バイデン支持の方々(日本の)の頭を冷やす意味で、以下のリブログを行う。2019年10月15日投稿のものである。(そこに跳ぶ前に!、最後まで読んで欲しい)
 

2)新しい情報:

 

この記事を投稿しようとした時、及川幸久氏のyoutube動画をみた。そこで及川氏は米国の元記者の方のブログを引用して、米国の元財務長官顧問( former Assistant Treasury Secretary)のPaul Craig Roberts博士の言葉を紹介している。

 

そのサイトは、以下のものである。

 

そこには、ウクライナのゼレンスキー大統領が、ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国に高度な自治権を与えること、つまり②ミンスク合意の実行を、米国が妨害したことが語られている。

 

それのみならず、Roberts博士は③「オバマーバイデン政権は、明らかにその地域で戦争を引き起こそうとしている」(”The Obama/Biden Administration is clearly pushing for war in the region”)と言っている。

 

これを読んで、再び上記下線部分(①の部分)の心配が頭をよぎる。

 

誰かが昨日、テレビ放送で言っていた:

バイデンが2月初めから言っていた「米国はウクライナに兵を出さない」とか、「小さい侵略の場合は米国はあまり大きな制裁はしない」とか言っていたことは、「朝鮮戦争」のとき、アチソンが朝鮮半島は米国の防衛の外にあると線を引いて表明したこととそっくりだ。

 

そして、イラク戦争に関するブッシュ発言やナイラ証言も思い出す。

 

上記(②と③)は、1月29日の記事にあるように、バイデン民主党政権は背後の所謂ネオコンの指示の通りに、ロシアをウクライナ侵攻させるべく挑発していたことを強く示唆している。

(10時冒頭に一文追加;16時、2箇所編集)

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