1.アラスカでのプーチン・トランプ会談
アラスカでのプーチン露大統領とトランプ米大統領(以下敬称略)の会談では、トランプは赤いカーペットを敷いてプーチンを迎えた。プーチン政権から納得できる最低限の和平ラインを聞き出し、それを基に多少は強引でも何とか和平案を作り上げたかったのだろう。
プーチンもネオコンと距離をとるトランプに、この戦争の終止符を打ってもらいたいと思っているだろう。記者を前にして、「トランプが政権の座に居たなら、この戦争は起こらなかっただろう」と明言し、トランプに信頼の言葉を送った。
しかしヨーロッパ諸国では、依然としてグローバリストの側近たちが政権を握っている。彼らは、世界の政治を牛耳るグローバリスト即ち世界の金融エリートたちの中での既得権益者だろう。彼らの政治的地位も経済的特権も、金融エリートたちに裏書された既得権益なのだ。
これが長引いているウクライナ戦争に対するヨーロッパ主要国の姿勢を知る唯一のモデルだと思う。彼らはひたすらグローバリストである金融エリートたちの描いた道を進んできた。まるでそれが常識だろうと言わんばかりに。
彼らが現在の既得権益を維持するためには許されたこの道とその延長上にしかない。ヨーロッパ各国の政権が国民の声を反映する形になれば、事態は急変するだろうが、それまではヨーロッパはこの破滅への道を進み続けるしかないだろう。https://www.youtube.com/watch?v=LEiE2rYsNw8
bj
共和制を獲得した市民革命から民主主義に近づいた記憶はこれらの国々の何処に残っているのだろうか? 何処の国の国民も、国民による国民のための政府など持ってはいない。
現在の政治は、経済において力を持つ金融エリートたちが陰に隠れて政治を支配し、代わって特権を与えられた既得権益層が国民のための政治(民主政治)を演じているのである。これらの点は、日本も世界も同じだと思う。
2.トランプが和平を急ぐ動機とエプスタインファイル
ポピュリストのトランプは、エプスタイン事件のファイルを公開しないことへの報復をMAGA支援者から受けているようだ。揺らぐ自分の支援基盤を何とか回復したいと焦って、機が熟していないにも関わらずウクライナ和平交渉に乗り出した可能性がある。
エプスタインは、米領バージン諸島の小島を買い取り、そこに大勢の拉致した少女を囲い込んで世界の実力者(グローバリストの配下)に対し秘密裡の買春に提供した。そして、その人たちの映像を何らかの目的のために隠しカメラで取得したという悍ましい事件である。
最初にこの件は、米領バージン諸島で裁判になり、その後FBIによってエプスタインは逮捕された。彼は収監中に自殺したとされるが、殆どだれも信じていないだろう。この事件の裁判記録がエプスタインファイルである。既にかなりが公開されているが、大手メディアの報道には乗らない。
その背後にイスラエルという国家が存在するのではないかと著名なジャーナリストのタッカー・カールソン氏がTurning Point USAという会合で告発した。この仮説は既に有力だったが、メジャーマスコミは一切触れない。彼らも同じ既得権益者だということである。
米国そして世界の政治において大きな存在であるイスラエルの活動を知るための一つの仮説であり陰謀論として片づけるべきではない。陰謀論とは、権力を牛耳る者たちとその下での既得権益者が、有望な仮説を葬り去るための言語ラベルである。
その後、米国の反権力姿勢で著名なCounterPunchというメディアが、この件で長大な報告を今月11日の記事に書いた。https://www.counterpunch.org/2025/08/11/the-billionaires-in-the-epstein-files-and-their-ties-to-israel/
エプスタインは元高校の数学教師であり、華麗は投資家としての経歴はない。その資金源に、レスリー・ウェックスナーとレオン・ブラックという億万長者がいるが、この二人とエプスタインは、共にイスラエルとつながりを持っている。イスラエルは世界の金融エリートたちの故郷である。
資金提供の舞台となっていたのがマネーロンダリングで著名な米国最大の銀行でもあるJPモルガン・チェースだった。エプスタインの性的暴行の被害者少女が起こした米領バージン諸島での裁判において、JPモルガン・チェースは被害者に2億9千万ドルと米領バージン諸島に7500万ドルの和解金を支払って、陪審裁判を避けた。
コロンビア大のジェフリー・サックス教授が、中東での多くの戦争はイスラエルのためにネタニヤフ政権の要請を受けて米国が引き起こしたとヨーロッパ議会で話している。米国をイスラエルに従順な国家にするための道具として、エプスタインの仕事も大いに利用された可能性がある。
これまで公開された文書の黒塗り部分も含めて、エプスタインファイルが全面的に公開され、この悍ましい犯罪がイスラエルによって仕組まれたことが証明されたのなら、イスラエルの国際的地位は更に低下するだろう。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12916375844.html
恐らく事の重大さに気づかずに、トランプはエプスタインファイルを全面公開することを公約に大統領選に当選したが、パム・ボンディ法務長官が私の机の上にあると言った筈のエプスタインの顧客リストを明らかに出来なかった。
トランプも生身の人間である。顧客リストを公開することは、イスラエル首相のネタニヤフ氏を裏切ることになり、その場合自分がどのような情況に追い込まれるかを知ってのことだろうと想像する。
世界の操縦士として如何にカッコよくふるまっても、人間は普通の命の表現である欲望と恐怖心を持つ弱い存在である。世代を超えた人のつながりで武装した組織にはかなわない。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12901300566.html
3.ウクライナ戦争とは:
ウクライナ戦争とは、ソ連崩壊後のロシアの分割と資源の略奪を目的としたグローバリストたちの企みの一環である。それは米国ネオコン政権がウクライナの内政に干渉して反ロシアの政権を打ち立てることでスタートした。
2004年、親露のヴィクトル・ヤヌコビッチが当選した大統領選に不正があったと、選挙のやり直しを求めるデモや暴動を扇動し、EUがやり直し選挙の仲介というか介入で“民主化勢力が推すユーシェンコ氏”を親大統領に据えた。
ウクライナは世界一の政治腐敗が進んだ国だと言われている。今でもゼレンスキー氏は任期切れの大統領でありながら居座り、ウクライナに送られた支援金から毎月5000万ドルをUAEの銀行にマネーロンダリングのために送っていると言われる程である。https://www.youtube.com/watch?v=QC68rQ3jHAM
そのヤヌコビッチは、2010年の大統領選で当選したのだが、2014年、EU連合との連携を深めるための協定調印を見送ったことに反発するデモが発生し、それを煽ったのが米国であった。デモ参加者の100名以上が政府側によって射殺されるなどの異常事態になり、ヤヌコビッチはロシアに逃亡した。
この政変はマイダン革命と呼ばれるが、中心的に活動した一人が米国は国務次官補のビクトリア・ヌーランドであったことは、既に明らかになっている。このあたりのことは、元IMF日本代表理事の小手川大助氏が詳細にまとめている。
https://cigs.canon/fellows/alumni/daisuke_kotegawa.html
このようにしてウクライナは米国ネオコンらを中心とするグローバリスト勢力により乗っ取られたのである。著名な映画監督であるオリバーストーンが2019年に作った長編ドキュメンタリー『乗っ取られたウクライナ』には詳細が映像化されているだろう。
https://www.youtube.com/watch?v=1yUQKLiIoFA
また、日本もロシアの隣国としてウクライナと地政学的に類似点があり、この件を他山の石とすべきだろう。https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/3773be64d97e0d032241a025e2ce3ae81d1623fc
尚、下に引用したのは、ウクライナ戦争に至った経緯をロシアのウクライナ進攻が始まる10日ほど前に書いた本サイトのブログ記事である。https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12726626308.html
4.アラスカ会談は和平につながるのか?
プーチンが望むウクライナは、2014年以前のウクライナだろう。ウクライナ侵攻が始まって約一か月の2022年3月の段階なら、多少の調整は必要だろうが「その時点に戻る」と宣言すれば、停戦から終戦となり得ただろう。
しかし、2004年辺りから20年間に亘って準備してきた、ロシアからプーチンを追い出すこの戦略が動き出した直後であり、ロシアは直ぐに白旗を上げると宣伝されていたころである。グローバリスト配下の既得権益層には止める理由はないし、止められるられる訳がないのである。
英国のジョンソン首相がウクライナに出向いて、その和平案受け入れに傾きかけたウクライナのゼレンスキー氏に戦争継続を進めたか強制した。
現在、双方に各100万人程度の死者を出し、東部二州の殆どをロシアが占領した段階になっては、戦争終結には明確な勝敗が必要である。その場合、ゼレンスキー氏はどこかに亡命する以外には命を長らえることは無理だろう。毎月の5千万ドルはその準備かもしれない。
3年以上経過し、世界全体が戦争に疲れ果て、停戦交渉が始まった。プーチンは勝利の形を明確にし、且つ、ウクライナにも受入可能かもしれないと考えた終戦案として、東部二州の割譲を要求した。それら二州は既に住民投票でウクライナから独立し、その後ロシアに統合されている。https://news.yahoo.co.jp/articles/584210230b38a70edc8fb9defcf9c5df03c2875a
ウクライナには今後の安全保障に対する保証が無ければならないという和平条件は当然だが、それはロシア側も同様だろう。ウクライナ侵攻の動機は、東部ロシア系住民の保護とともにロシアの安全保障のためだったのだから。
=========
8月24日朝: 以下削除
理由:以下のNHKの報道は間違いであったようだ。つまり、ロシアが同意したのは、国連の常任理事国による安全保障の保証であり、NATOの第5条類似の保証ではなかった。ニキータのyoutubeチャンネルでの解説に信ぴょう性があると思う。
https://www.youtube.com/watch?v=cq_7ehB1Z4g
=========
NHKの報道によれば、今月15日の米ロ首脳会談に同席したトランプ大統領の側近は、アメリカが関与する形でウクライナにNATO=北大西洋条約機構と似たような安全の保証を提供する用意があり、ロシア側も同意したと述べた。https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250818/k10014896581000.html
それは、ウクライナと米国との二国間の安全保障条約だろう。そのモデルはおそらく日米安全保障条約だと思う。その第5条は、NATOの第5条と似た集団安保の条項である。
米国はNATOの中心にある最大の強国であるが、何れヨーロッパから存在感が薄れると考えれば、ウクライナがNATO加盟するよりもロシアにとっては荷が軽いのだろう。
(8・22早朝編集あり)
===== EOF =====