最近、ハーバード大学の教授が第二次大戦中の慰安婦は、売春婦だったという主旨の論文を、International review of law and economicsという学術誌に掲載するという話が、話題になっている。韓国では猛ブーイングが起こっているようだ。この件、産経新聞なども報じているが、韓国中央日報の日本語版サイトの記事を以下に示す。
https://news.yahoo.co.jp/articles/bbdf26c14d987da8a3359bc53ae5421ceaa72be3
私は、慰安婦問題はかなり深く考えたつもりである。その結果、韓国の朴裕河氏の「帝国の慰安婦」という本が、その理解には良い本であると評価している。それもあり、朴裕河教授の英語のブログ記事を、特に著作権の主張がされていなかったので、日本語に翻訳してブログに掲載したことがある。
https://ameblo.jp/polymorph86/entry-12466515855.html
朴裕河教授の本によれば、慰安婦を単に戦時売春婦と理解することは不十分であり、日本帝国のために兵士とともに戦った女性という把握が正しいということになる。
因みに、この問題が大きく政治問題化したのは、吉田清治という男が、済州島で慰安婦となって働く女性を拉致したという内容の本を書き、それを朝日新聞の本田勝一という記者が記事にし、朝日新聞社が同紙の掲載にしたからである。
この“私の戦争犯罪 ”という本だが、戸籍上の本人は殺害され、別人が吉田清治を名乗って書いたという説がある。所謂「背乗り」である。
ここで、2014年に書いた姉妹サイト掲載の記事がある。同年春に、慰安婦の件で嘘の記事を書いた元朝日新聞の記者の植村隆氏が、北星学園大学という大学で「国際交流」に関して講義をしていることに怒った人が、その大学を脅迫した事件があった。大学は、学問の自由を理解せず、早急な対策を取れなかったという話である。似た話が、愛知県で開催された「表現の不自由展」でもあった。
昨日、この完全に忘れていた記事に1件の閲覧があったので、読み返したところ、このサイトでも投稿しておくに値すると考えた。(この文章、既にグーグルで検索することも殆ど不可能な状態なので、どのようにして閲覧されたのか不思議である。)
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北星学園大学強迫事件について大学がとるべき対応(再録)
朝日新聞元記者で、従軍慰安婦の件で誤った記事を書いた人が、北星学院大学で非常勤講師として学生に歴史を教えているという。それに不満を抱いた者が、その元記者を首にしなければ、大学の学生を傷つけると大学を強迫した。http://ja.wikipedia.org/wiki/北星学園大学脅迫事件
今夜のNHKニュースによると、大学の自治或いは学問の自由という観点から、この強迫に屈するべきではないとの意見があるものの、大学は警備を強化するための予算が嵩み、経営上困っているという。
この件について、大学の方々は学問の自由の観点から、強迫に屈するべきではないとの意見が全国から寄せられているという。しかし、私はこのような意見を持つ方々は学問の自由という意味がわかっていないのではないかと思う。
つまり、この大学の方々は、学問の自由という観点から、従軍慰安婦問題についてその人が書いた記事を正しいと考えて、その考えや思想をまもりたいのだろうか?(注釈1) もしそうでないのなら、その非常勤講師の、或いは、大学の研究や研究上の思想の何処に政治的圧力がかかっているのか?
これらの質問にはまともに答えられないだろう。つまり、その方を雇用するかしないかは学問の自由と何ら関係のないことなのだ。
学生の安全を確保するのは大学の義務である。また、強迫は犯罪であるから、警察は全力で捜査し、出来るだけ早急に犯人を逮捕すべきである。しかし、警察が強迫した者を逮捕するまでは、緊急避難としてその非常勤講師を解雇しても何ら問題はない。
例えば、熊がキャンパスにくるので、講義を中止し学生を一時非難させることは学問の自由と何ら関係がないのだ。もしその講師を、インチキ記事を書いた経歴はあるものの、学者或いは教育者として評価するのなら、犯人逮捕後再度雇用すれば良い。
注釈:
1)”学問の自由を護ること”とは、研究者の研究(&発表)の方向が、政治的圧力の影響を受けないようにすることである。この場合、研究者やそのグループに対して、真実に最高の価値を置くという善意の仮定がある。つまり、政治的意図をもって捏造記事を書いた人については、この仮定は成立しない。従って、その人の学者としての地位を、その件に関して総括或いは処分が未定の状態で、学問の自由の名の下に護ることは学問の自由にむしろ反することである。
更に追加:「OさんのST細胞捏造が明らかになったのだから、早く首にしないとR研職員が怪我をすることになるぞ」と強迫があったとする。その場合、兎に角急いでOさんを首にするとR研理事長が言ったとしても、学問の自由を盾に反対できない。そもそも、Oさんに学問の自由を訴える資格はないからである。
ーーーー(再録終わり)ーーーー
追補:
1.この事件の当事者である当時北星大学講師だった植村隆氏の記事は、慰安婦問題に関係して捏造記事を書いた。この詳細は、ウィキペディアの植村隆の項目にある。
2.この件に関して、アジア太平洋資料センターというNPO法人が、この問題に関する学習会を開いている。そのパンフレットにある文章を紹介する。
植村さんの講座は留学生対象の「国際交流」で、慰安婦問題ではありません。学生が何を学ぶか、大学が誰を講師にし、何を教えるかは、学問の自由、大学の自治です。北星学園大学だけに限らず、神戸や大阪の二つの大学でも同様の問題が起きました。これは自由と民主主義に対する攻撃といえます。
http://www.parc-jp.org/freeschool/event/150614.html
植村氏に国際交流に関して大学で教育する自由はない。それが分かっていない上記法人は、学問の自由を盾に、プロパガンダを行っているのである。
何時になったら植村隆氏に、国際交流という分野で「学問の自由」が主張できるのか? それは、「強盗犯が何時になったら、警察官になれるか?」という問題と相似的である。