2005年夏 京都 某所
うだる様な暑さの中、昼の12時に目を覚ます。
ブラックホールの中にあらゆるものが吸い込まれる
お金、車、友人、家具、時計、過去・・・
そんな夢にうなされながら目が覚める。
どうしてこんな最悪な夢をみるんだろうか?
そうやって考えを巡らす間もなく、間髪いれず現実が襲ってくる。
そうだ、私は全てを失ったのだ。
仕事を辞め、次の仕事のあてもなく、家族も、人脈も、コネも、お金もなにもない。
あるのは車のは借金だけ。
でも自分には自由がある。
そんなのはまやかしの慰めの言葉と自分でも知りながら、
冷蔵庫から冷えた缶ビールを取り出してとりあえず飲む。
昼間から飲む。どれくらいの量とは決めずとりあえず
頭がしびれるくらいまで飲んで、それから生活をスタートさせる。
有給休暇の間、1ヶ月間京都の片田舎のレオパレスで一人
近辺に家族も知人も友人もいない。
仕事を辞めてすぐに実家に帰ってもよかったのだが、
こんな仕事もなく、ゆっくりした環境で誰も自分のことを知らず、
自分もだれも知っている人がいないというという環境で
一人暮らしというのは今までに一度もない「シチュエーション」なので
これも一つの経験だと
自分でその「シチュエーション」を選択したのだが・・・
両親にも友人にも仕事を辞めたということも告げていない。
余計な心配はさせたくなかったといえば、聞こえは良いが
「今」、事情をを話すはめんどうだし、今までのような不規則な仕事していると思っていれば
だれも連絡をとってきたりはしない。
だからあえて誰にも何も知らせずにいた。
しかし、そんな自堕落な生活が続くうちに、
一つの恐怖感がある日突然、自分の全てを支配するかのように襲いかかってくる。
このままの生活を続けていたら社会復帰できなくなるのではないか
そもそも自分は社会不適合者なのではないだろうか。
そんな不安感を打ち消すためにまた冷蔵庫から
アルコール類を取り出し、空腹にも関わらずとりあえず酔っ払い
また一日をやり過ごす。
そしてまた
ブラックホールの夢でうなされてうだるような暑さの中、
だれもしらない町で目を覚ます。
ブラックホールの夢の中、ある映画のラストシーンのセリフが
映像の断片として何度も何度もリピートされる
学生時代に見た北野 武監督の「キッズリターンズ」
という映画のシーンだ。
夢破れた主人公二人が自転車で二人乗りをしながら、
母校の校庭を蛇行しながら、一人がつぶやく
「なあ、もう俺たち終わったのかな?」
「ばーか、まだはじまってもいねえよ」
何かが変わろうとしている兆候かもしれない。
その日は昼からのビールは控え、
とりあえず外にでた。
蒸し暑い京都の真夏の太陽を久しぶりに浴びながら、とにかく何も考えず
今まで無駄に飲んだアルコールを吐き出すかのような
汗を出しながら、ひたすらに歩きつづけた。
歩きながら決めたことがある。
この誰もしらない、誰にも知られていない街のこの限られた時間の中で
今までできなかった事、して来なかったことをやってみよう。
今までできなかったこと。
「本を読む」
自ら得たいと思っていた情報のインプット
今までやらなかった事、
健全な魂は健全な体に宿る。
規則正しい生活習慣を取り戻し、とにかく体をきたえよう。
東京にいる間は24時間営業の店に勤務していたため、
シフトの関係上の夜九時に出勤し、朝9時に帰宅するという生活をしていたこともある。
規則正しさのかけらもなく、昼夜逆転の生活がそのまま
体に染み付いていた。
真夏の昼間にはしるのはそんな生活をしていた人間には
自殺行為。朝6時に無理やり起きて、鴨川の河川敷を徐々にペースをあげながら
毎日、毎日ジョギングをするようになった。
本もハイペースで近所の喫茶店に入りびたり読み続けた。
いい年のひげ面の男が毎日昼の3時ごろから本を読みに来る。
おそらくかなり、不審に思われていただろう。
そんな乱読の中で私の人生を変える本に出会う。
一つは
「ドロップアウトのえらいひと」
ドロップアウトのえらいひと/東京書籍

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そしてもう一つは「金持ち父さん、貧乏父さん」
かなりのベストセラーだったみたいだが、
とにかく世間と隔離されているような状態だったためしらなった。
手にとって読んで、とにかく衝撃をうけた。
金持ち父さん貧乏父さん/筑摩書房

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2005年 京都 某所
うだるように蒸し暑い真夏の日の
眠っていた自分が
いえ、眠らせようとしていた自分が「覚醒」した瞬間でした。
続きは次回に。
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