BOOTS STRAP 外国語と ゆかいな哲学の館 -4ページ目

BOOTS STRAP 外国語と ゆかいな哲学の館

ありふれた日常を考察する
<芦屋・三宮>

『検視(Forensic Autopsy)』という言葉がある。
日常生活では、あまり目にしない言葉だが、事実を見届けるために調べることを意味する。
時代と共に意味は変わり現代的な用法としては、ほぼ犯罪と関わり合いのある言葉。
「犯罪の嫌疑の有無を明らかにするための刑事手続」の意味になっている。
実際、今の警察の役職に「検視官」なるものがある。
場合によっては「検死」ないし「検屍」とも表記される。
日本で検視官の制度が作られたのは意外に新しく、戦後になってから。
それまでは刑事や警察官の「勘」に頼っていた。
完全犯罪と闘う ある検死官の記録

今では、多くの科学的分析と事例が積み重ねられ、さまざまなデータが記録されている。
それゆえに、これまでの類似犯罪と照合したりすることも可能となった。
中でも死体は雄弁に物語るものらしい。
それゆえに、周到に準備された犯罪も「完全犯罪」となることは容易でない。

推理小説の元祖というべきエドガー・ポーの小説に『黒猫』という短編小説がある。
タイトルの如く、黒猫がキーとなり、犯罪が発覚するストーリー。
殺害した男は「完全犯罪」を目論み、調べにきた検視官たちを欺こうとしたが、
彼の前に立ちはだかったものは、アノ黒猫だったという話。

完全犯罪は、思いのほか過酷。
そんな目論みはみ〜んなバレバレ。

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<了>

「大和魂(やまとだましい)」という言葉は、軍国調のイメージが強いせいか、
最近は、ほとんど聞かなくなった。
我が子供の頃に活躍したハワイ生まれの日本人ボクサー藤 猛(ふじ たけし)が、
キメ台詞として、カタコトの言葉で、『ヤマトダマシイ』と言っていたのが思い出されてくる。

それよりも古い時代、スーパー・ダイエーを創業した中内功氏は、
第二次大戦時に召集され、関東軍の重砲兵として入隊。
その時に上官から「百発百中の砲一門は、百発一中の砲百門に当たる」と教えられ、
意味をつかめなかったので疑問を挟むと「貴様は敢闘精神が足らん。砲の不足は、大和魂で補え」
と怒鳴られたという。
大和魂は荒ぶる心で盲信突撃させる都合のいい言葉として使われていたようである。

『源氏物語』の中にも、この「大和魂」という言葉が出てくるが意味が違う。
それは、第21帖「少女(おとめ)」の帖。源氏が息子の夕霧を大学に行かせようとするくだり。


そのやり取りは、現代の親にも通じるところがあり興味深い。
「なぜ大学にやるのか?」に対して、
源氏が「はかなき親に賢き子の勝るためしはいと難きこと」と説く。
この意味は「賢い子が、出来の悪い親にさえも、それを越すのは難しい」。
さまざまな、慣習や階級などの柵(しがらみ)を越えてゆくには、
学問を身につけることが重要であると説いて聞かせる。
まず、漢才(中国から伝わった学問) を身につけて、それを基礎にして、
実生活に活かせる術(すべ)、すなわち「大和魂」を以てすれば、自然と地位は上がってゆく。
それゆえ息子よ、国家を支える重臣を目ざせ、と大学(進士)に進学させた。
この物語で光源氏は、色好みの男として描かれている場面が多いが、
我が子供に対しては、ことを分けて説いて聞かせる立派な父親としての側面を描いている。

『源氏物語』で使われる「大和魂」は、
勇敢な心の意味よりは、実学や風流心も含めて広く表す言葉。
そんな『源氏物語』が説くような原点に立ち返って、広く学んでいくことが重要のようだ。

決して荒ぶる心で盲信突撃させる「ヤマトダマシイ」ではない。
くれぐれも。

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<了>

夢のお告げを信じるか、信じないか?というのは、夢の効用というより哲学の問題。
「夢のお告げ」を哲学として捉えたのは鎌倉時代の武士・青砥藤綱(あおとふじつな)。
彼は、時の執権・北条時頼が、夢のお告げで自分を重用するということを聞き知った。
その重用に対して
「夢によって人を用いるというのならば、夢によって無益な殺生もあり得る。
このような功なくして賞を受けるのは国賊と同じである」
と言って任命を辞したという話がある。
彼のこの哲学は、一理ある。

『千一夜物語』

夢と言えば、アラビアンナイト『千一夜物語』に「夢」にまつわる一話がある。
このストーリーを簡単に紹介すると「ある男が『お前の幸福(fortune)はカイロにある』という夢を見て、バグダッドからカイロに旅立った。
着いたその日、陽も落ち暗くなり、宿も探せずモスクで眠っていたところ、
隣りの家に盗賊が入り、一味は逃げた。
盗賊の一部がモスクに紛れ込んだという情報があり、捕り方がモスクを調べたところ、
そこで見つけたのは、かの男。
引っ立てられ取調べられ、ムチでイヤというほど打たれた。
取調官は、男の様子から「お前は盗賊じゃなかったんだな。ところで何でカイロに来た?」
男は、ムチの痛みをこらえつつ、夢のお告げの話をし、
「カイロで得たものは、財宝ではなくイヤというほどムチで打たれただけ」と言うと、
取調官は「お前は馬鹿なヤツだな。オレなんか夢のお告げなんか信じないぞ。
この間の夢なんか、バグダッドの噴水のある家の下に財宝が埋まっているという夢を見た。
だけど、オレは、そんなものを信じてバグダッドに行かないさ。
悪いことは言わない、早く帰りな」と、男は釈放されてバグダッドの家に帰った。
『噴水のある家』?それはオレの家だ。
男が自分の家の噴水の脇を掘ると、黄金財宝がザクザク出てきた。
一生で使い切れないほどの財宝を得ました」
という話。

「夢のお告げ」は、信じるべきか? これも一つの哲学。

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<了>