一滴のアブラカダブラ... | BOOTS STRAP 外国語と ゆかいな哲学の館

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ありふれた日常を考察する
<芦屋・三宮>

ヒュー・ロフティング(Hugh Lofting) という小説家の名前を聞いて
その作品を思い浮かべることができる人は稀だろう。
だけども、彼が書いた小説『ドリトル先生アフリカ行き』というタイトルを挙げれば、
内容はともかく、その小説名は知っている。
このドリトル先生は、その名 "Dolittle" すなわち、"DO LITTLE" 「ほとんど何もしない」
つまり、「役立たずの先生」という、極めて人をくったような命名。
この本が1920年代のアメリカで大ヒット。
その後シリーズとして12巻を数えるほどになり児童向けの小説として読み継がれている。

何に限らず、ちょっとしたことが、図らずも世の中を大きく変える事がある。
それを表わす言葉として、
「一滴の油、これを広き池水の内に点ずれば、散じて満池に及ぶとや」というのがある。
これは「たった一雫の油でも池に落とすと池全体に及ぶ事になる」という意味。
この言葉の出典は、杉田玄白『蘭学事始』。
この本は、玄白が齢82歳の時に自己の半生を振り返って著したもの。
彼は『ターヘル・アナトミア』の和訳書である『解体新書』を著した人物としても名をとどめている。
これを書くきっかけとなったのは、明和八年(1771年)のこと、町奉行から、
千住骨が原にて「腑分け」があり、立ち会っても良いという許可の知らせをもらい、
実際に立ち会った。
それまで内蔵と言えば「五臓六腑」と言われていたが、実際とは違っており、
オランダ人から手に入れた『ターヘル・アナトミア』の解説図こそ、実際の臓器を表わしているとして、わずかな知識を頼りに四年の歳月を費やしこの書を翻訳した。

一方、この腑分けされた女性は「大罪を犯せし者」とされる、通称「青茶婆(ばば)」。
通常、大悪人でも島流しなどだが、死罪となったとされる人物。
その人のおかげがあって、西洋文化が入ってくる明治維新までまだ100年も前のこと。
この書によって鎖国日本の医療が格段に上がったとも言える。

人のやることは "Do Little" かも知れないが、
それが役に立つこともある。
この青茶婆(ばば)と呼ばれた女性も「一雫の油」となれたというところだろう。

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<了>