甘茶でチッポラ | BOOTS STRAP 外国語と ゆかいな哲学の館

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ありふれた日常を考察する
<芦屋・三宮>

ヴァチカン宮殿のシスティーナ礼拝堂には、ミケランジェロの『最後の審判』が描かれている。
この礼拝堂には、ボッティチェッリの『モーセの試練』と題する壁画もある。
『モーセの試練』
これは、もちろん旧約聖書の『出エジプト記』に因むものだが、
そこに描かれている群像画は、当時の人物たちをモデルとしている。
この中の一人、頭に物を載せている女性は、その当時の美女として名高いシモネッタ・ヴェスプッチ。
また、上段の黄色の衣装に身を包んで祈るように見上げている男性がモーセ。
そして絵の中央にいる二人の女性の一人は、のちにモーセの妻となるチッポラ。
その部分を拡大すると、

愛らしい女性として描かれているのがわかる。
絵全体の中でも中央に位置しているところから、この絵のキーパーソン的印象を受ける。
19世紀のイギリスの画家ラスキンは、このチッポラを丹念にスケッチしている。

マルセル・プルーストの小説『失われた時を求めて』にもこの絵にまつわる部分がある。
当時の美術愛好家として登場してくるムッシュ・スワンは、一人の女性・オデットと出会う。
だけども、いわゆる高級娼婦(クルチザンヌ=courtisane)でもあり、
快く思わず、気にもとめない女性であった。
だけども、スワンはイタリアを訪ね、このボッティチェッリが描いたチッポラを見ている時に、
オデットに似ていることに気づく。
頭を傾けたしぐさや憂いを帯びた目そのものがオデットに思えてきた。
そう思うと、彼女を貴重な存在に思えてきて、
矢も盾もたまらないほどに、オデットにのめり込んでゆく。

彼女を妻とすることになるが、そのため、さまざまな交友関係や信頼を失っていくことになる。
それでも、オデットに魅かれてゆく。
このボッティチェッリの絵に出会っていなければ、
彼とオデットとは、ただの通りすがりの存在のままだったろう。

これはあくまでも小説の話。

だが、これに類する話は現実の世界でも、あるあるだ。

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<了>