その過去、無かったことにしてくれ〜! | BOOTS STRAP 外国語と ゆかいな哲学の館

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ありふれた日常を考察する
<芦屋・三宮>

抵抗運動をするときにガイ・フォークスのお面をつけて反対の意思を示すことがある。
その表情は半ば笑みを浮かべているようでもあり、変な不気味さがある。
夏目漱石の著書『倫敦塔』にその名が出てくる。
彼は1900年10月から、2年間ロンドンに留学している。
その時の様子を「英国人は余を目して神経衰弱と云へり。帰朝後の余も神経衰弱にして狂人」
と表現している。
エリートとして派遣されたが、その実、あまり上手くいかなかった2年間だったらしい。
漱石の『倫敦塔』から察する倫敦塔のイメージは、歴史的な建造物というより、
気まずい歴史を背負っている建物という雰囲気で描かれている。
この著書には、リチャード2世、ウォルター・ローリー、エドワード3世などに加えて、ジェーン・グレイの話が出てくる。まさに暗黒史。
特に、このジェーン・グレイは、悲劇性をかなり含んでいる。
イギリスで最初の女王となった女性。ただ、それはたったの9日間のみ。
その後、無惨な形で処刑されることになった。
それをイメージした絵が『レディ・ジェーン・グレイの処刑』

この絵を夏目漱石は、ロンドンのナショナル・ギャラリーで観ている。
それをイメージしながら綴ったものらしい。
この絵は、いわゆる『怖い絵』にも収録され2017年に初来日している。
そのときにナマで見る機会があった。
一際暗い小さなスペースに展示され、スポットライトを浴びたこの絵で、
印象的だったのは、サテンの白いドレス。
手に触って、サテンだと思うぐらいの色彩感覚と眩しさがそこにはあった。
純白の白には、無実の罪で処刑されるという痛ましさに溢れている。
作者はフランス人画家・ポール・ドラローシュ。
ドラクロワと同時代の画家。彼にはイギリスの歴史をテーマにした絵も多い。
特にこの絵はイギリスの暗黒史と共にあり「怖い絵」と感じるもの。
その如く、夏目漱石にとってロンドンは、彼自身の暗黒史だったかもしれない。

我が身を振り返れば、暗黒史もなければ、輝かしい歴史もない。
まさに、何事もなく、ここまできたが、
のほほ〜んと生きている身ほど楽なものはない。

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<了>