こちらからすれば、億という数字にも腰を抜かしそうになるが、
それを遥かに越す途轍もない数字。
そのうち半分以上を高齢者が持っていて、おそらく死ぬまで彼らの手を離れない。
それでは流動性がない状態となってしまうので、
うまく経済が回らなくなるとして、頭を痛めているという。
こんな問題は、いかにも今日的な問題のような気がするが、
はるか昔から存在していたようだ。
およそ七百年前に書かれた『徒然草』の一四〇段の冒頭に、
「身死して財残ることは、智者のせざるところなり~」と出てくる。
簡単にその段を紹介すると、
「賢い人間は、財産を遺すような事をしない。
死した後に財産争いなどが起こり、大変な事になる。
歳をとってしまえば、なくてはならないものなど限られるから、
財産などというものは、生きているうちに誰かに譲るのが賢明だ」
とある。
カネの流動性の問題と財産争いとは、決して同じではないが、
高齢者がカネを持つより、誰かに譲るのが賢明だ、と出ている如く、
流通させる方が良いということにつながる。
昨年の調査によると、高齢者のタンス預金は、推計で101兆円。
これが流動性のないタンスの中で預金として燻っている。
当の本人たちは、それらを取り出して費やす気もなさそう。
そんなタンスから出てくるのは、自分の葬式代ぐらい。
どんな立派な葬式ができる事やら、、、
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