すっぱい檸檬(れもん)の味がする | BOOTS STRAP 外国語と ゆかいな哲学の館

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ありふれた日常を考察する
<芦屋・三宮>

江戸時代に航海していた船に菱垣(ひがき)廻船などがあったが、その帆船と、
世界の帆船との大きな違いは、一切の塗装をしていないことだったという。
どうも木の素材を大切にする心が日本にはあるようだ。
古い神社仏閣も木の素材を実感させる建築が多い。
最初は極彩色であったとしても、あえて重ね塗りをすることなく、
朽ちて行くものとして受け容れているようなところがあった。
原木の素材感こそが日本の魂のようだ。

さきごろ、そんな国宝級の神社仏閣や仏像に
油のようなものをかけられているという被害報告が出ている。
ひとたび木に染み込んでしまうと油を抜くということはできない。
木の素材を大切にして来た民としては堪え難い挑戦を受けたようなイヤな気分でもある。

世の中には、文化財などを破壊しようとする怪しい心理を持つ人間がいる。
三島由紀夫の小説『金閣寺』は、
1950年に、実際に起きた若い見習い僧侶による金閣寺放火事件に取材したもの。
その放火は、金閣寺との関係があるところから生まれたものだが、
縁もゆかりもないものに対する破壊心理というものがあるようだ。
梶井基次郎の短編小説『檸檬(れもん)』は、
そんな縁もゆかりがないものに対する破壊心理を描いている。
一人称で描かれたこの小説の「私」にとって、
書籍に加え輸入雑貨や心を魅かれる小物類を並べている「丸善」は、お気に入りの一つ。
店内に入ると、急に破壊心理が襲って来て、
持っていた一個の「檸檬(レモン)」を取り出し、棚に置いて出てくる。
そして
「もう十分後にはあの丸善が美術の棚を中心として大爆発をするのだったら、、」
と、店が木っ端みじんとなる想像をするというもの。
この小説は、破壊願望を持つような、そんな若者の鬱屈した心理を描いている。

『檸檬』が書かれたのは、昭和6年のことだが、
昭和36年にテレビ放送されたのを期にブレイクし、ベストセラーにもなった。
この舞台となったのは京都にあった書店「丸善」。
今は、閉店しているが、この小説が発表されて以降、
レモンを置き去る人があとを絶たなかったという。

文化財に油をかけた犯人。そんな破壊的な迷惑行為をヤメ、この小説のように

「檸檬」一個を置いとけば、と思うのだが、、。

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<了>