【オススメ対象】
・傑作邦画が見たい
・売れっ子で固める恋愛邦画はうんざりだ
・感動したい
この評価を読む前に
映画の嗜好について
を一読してください。
レンタルは劇場での上映時期とはズレてます。
ジャンル・・・ヒューマン
1)オススメ・・・10
2)ツボ・・・10
3)脚本・・・10
4)映像美・・・10
5)特殊効果・・・10
6)俳優・・・10
7)監督・・・10
8)音楽・・・10
9)独自性・・・10
10)キャラ・・・10
合計・・・100点
上映時間:175分
劇場にて鑑賞。
2025年6月公開の邦画。
PG12
原作:吉田修一『国宝』
監督:李相日
脚本:奥寺佐渡子
音楽:原摩利彦
制作会社:CREDEUS
出演:吉沢亮、横浜流星、渡辺謙、高畑充希、寺島しのぶ 他
題材が歌舞伎ということで、正直なところ自分にとってはまったく興味のない世界の映画だった。そのため、鑑賞前はまったく気が乗らなかったのだが、奥さんのたっての希望で劇場鑑賞することに。
ところが鑑賞後は、結果的に自分の方が完全にハマっていた。
鑑賞直後の率直な感想は、とにかく「すごい映画を観た」という一言に尽きる。
今作を観るまでは、2025年度の個人的ベストは100点満点の『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド
』で揺るぎないと思っていた。しかし、それを追い越すほどの感動を味わうとは正直まったく想像していなかった。評判通りの、とんでもない映画だったと思う。
老後の楽しみが一つ増えた気がする。いずれは生で歌舞伎を観てみたい、そう思わせてくれる一本だった。
歌舞伎の知識がまったくない自分が観ても、圧倒的な映像演出によって一気に引き込まれ、終始スクリーンから目を離せなかった。
今作は、歌舞伎の入門書としても非常に優れた作品だと思う。これを観て「一度は歌舞伎を観てみたい」と感じる人は、きっと少なくないのではないだろうか。それほどの説得力と魅力がある。
何より、歌舞伎にまったく興味のなかった自分が、鳥肌が立つほど感動し、最終的には号泣してしまったのだから間違いない。邦画の実写映画で、ここまで感情を揺さぶられたのは生まれて初めてかもしれない。
50代になって、こんな作品に出会えるとは、本当に幸せなことだと思う。
事前情報として知っていたのは、「歌舞伎を題材にした映画」であることと、「とにかく上映時間が長い」という点くらい。正直、まったく興味のない題材だったこともあり、「たぶん途中で寝るだろうな」という、今思えばかなり失礼なスタンスで観始めた。
しかし結果は真逆で、一度も眠くなることなく、終盤では号泣していた。ここまでくると、もはや作品そのものが最大のストロングポイントと言っていい。
とはいえ、それではレビューとして芸がないので、もう少し具体的に掘り下げてみたい。
まず強く挙げたいのが、脚本の完成度と監督の演出采配だ。約3時間という長尺にもかかわらず、中だるみを一切感じさせない。感動系の映画としては珍しいほどテンポが良く、最後まで画面に引き込まれ続けた。これは間違いなく監督の手腕によるものだろう。
歌舞伎の知識がなくても理解できる世界観の構築、そして説明過多にならない巧みなセリフ回し。壮大な物語を自然に、しかし力強く引っ張っていく脚本は本当に見事だった。
もう一つ挙げるなら、歌舞伎の世界を圧倒的な映像スケールで描き切った演出。音楽も非常に素晴らしく、壮大で美しい映像と、絶妙なタイミングで挿入される音楽が完璧に融合している。
これはぜひ、音響環境と大画面スクリーンが整った映画館で体験してほしい。本気でそう思える一本。
主人公・花井東一郎/立花喜久雄を演じた吉沢亮さんが素晴らしいのは言うまでもないが、花井半弥/大垣俊介役の横浜流星さんも、それに負けず劣らず圧倒的だった。
この二人が担った役は、どちらも極めて難しい。それを見事にやり切ったことに、ただただ感嘆するばかりだ。確実に両者とも自身の代表作となり得る作品であり、俳優として一段も二段も上のステージへ駆け上がったのではないだろうか。本当に素晴らしかった。
個人的には、花井半弥というキャラクターに強く感情移入してしまい、それが終盤の号泣につながったのだと思う。
全方位において完成度の高い映画なので、すでに多くの人が観ているとは思うが、それでもなお声を大にして勧めたい。
これは、人生のどこかで必ず観るべき一本だと心から思う。
