首 (角川文庫)
Amazon(アマゾン)
${EVENT_LABEL_01_TEXT}
【オススメ対象】
・戦国時代ものが好き
・三英傑の物語が見たい
・北野武監督作品が見たい
・歴史ものの新たな切り口が見たい
この評価を読む前に
映画の嗜好について
を一読してください。
レンタルは劇場での上映時期とはズレてます。
ジャンル・・・ヒューマン・ドキュメント
1)オススメ・・・8
2)ツボ・・・8
3)脚本・・・9
4)映像美・・・8
5)特殊効果・・・8
6)俳優・・・9
7)監督・・・9
8)音楽・・・8
9)独自性・・・10
10)キャラ・・・10
合計・・・87点
【概要】
劇場にて鑑賞。
上映時間:131分
2023年公開の邦画。
原作・監督・脚本:北野武
音楽:岩代太郎
出演:
羽柴秀吉:ビートたけし
明智光秀:西島秀俊
織田信長:加瀬亮
黒田官兵衛:浅野忠信
羽柴秀長:大森南朋
難波茂助:中村獅童
徳川家康:小林薫
荒木村重:遠藤憲一
曽呂利新左衛門:木村祐一
【トレーラー】
【ストーリー紹介】公式サイトより引用
天下統一を掲げる織田信長は、毛利軍、武田軍、上杉軍、京都の寺社勢力と激しい戦いを繰り広げていたが、その最中、信長の家臣・荒木村重が反乱を起こし姿を消す。信長は羽柴秀吉、明智光秀ら家臣を一堂に集め、自身の跡目相続を餌に村重の捜索を命じる。秀吉の弟・秀長、軍司・黒田官兵衛の策で捕らえられた村重は光秀に引き渡されるが、光秀はなぜか村重を殺さず匿う。村重の行方が分からず苛立つ信長は、思いもよらない方向へ疑いの目を向け始める。だが、それはすべて仕組まれた罠だった。
果たして黒幕は誰なのか?
権力争いの行方は?
史実を根底から覆す波乱の展開が、
“本能寺の変”に向かって動き出す―
【総評】ネタバレなし
下記の項目でまとめてみた。
1)作品概要
2)見どころ
3)結局どうなの?
4)ちょっとだけ苦言
1)作品概要
巨匠・北野武監督が構想に30年を費やしたという狂気の戦国時代もの。日本の義務教育を受けた者なら誰でも知っている「本能寺の変」を、北野武監督が描くとこんなことになってしまうのかという、斬新な解釈の衝撃。
歴史ものを描くということは、誰が何をしてどうなったのかという結果を知っている前提で物語を見ることになる。だからこそ、その史実に対し、自分の色をどのように彩色していくかにかかっていると思うが、そこは歴戦を積み、巨匠とまでに言われるようになった北野武監督ならではの、強い彩色により非常に独自性の強い作品に仕上がっている。
2)見どころ
今作で非常に巧いなって思ったのが、展開・テンポの速さ。歴史物を描く際によく陥るのが、史実をちゃんと描こうというところに囚われて、エンターテインメント作品として中弛みが酷すぎて、ひたすら眠たい作品になってしまうことだが、今作はそんなところが一切ない。史実で抑えるべきところはしっかり抑えながらも、見せるべき面白いところは丁寧に、今作には必要ないと思われるエピソードはバッサリと切り捨て、面白さをより強く濃く描いている。この辺りの采配が北野武監督の熟練さを感じさせる。
そして北野武監督作品の色が強く出ているのも素晴らしい。武将たちのえげつないエピソードや残虐なシーンは相変わらず強烈だし、お笑い芸人らしいエッジの効いた笑いも表現していて、ここでそんな笑いを入れてくるのかっていうシーンもあり、戦国武将の滑稽さも表現されていて、この残虐さと笑いのコントラストは北野監督作品ならではではないかと。
3)結局どうなの?
いろんな人の首が斬り落とされるので、そういうシーンに耐性がない人にはオススメできない。それらに耐性があるならば、日本の歴史物が好きなら北野武監督テイストの『本能寺の変』は是非とも見るべき映画ではないかと。単純にエンターテインメント作品としても非常に高いレベルで仕上がっているので、安定の面白い映画だと思う。
4)ちょっとだけ苦言
織田信長:1534年生まれ
羽柴秀吉:1537年生まれ
明智光秀:1516年、あるいは1528年生まれ
徳川家康:1543年生まれ
加瀬亮(織田信長):1974年生
ビートたけし(羽柴秀吉):1947年生
西島秀俊(明智光秀):1971年生
小林薫(徳川家康):1951年生
武将たちの年齢差設定と、演者たちの年齢差設定に乖離が大きすぎて、ビートたけしさんが羽柴秀吉を演じるには、大物感が出過ぎていて、容姿的には「猿」には程遠く、むしろ徳川家康のほうがしっくりくるので、なかなか羽柴秀吉に見えなくて、そこは北野武監督作品の厳しさがあったかな。他の3人は武将のイメージとピッタリ一致していたように思う。私的に明智光秀を演じた西島秀俊さんが素晴らしかった。
私的な感想として、北野武監督には監督に徹してほしかった。もう演者になるには厳しくなっていると思う。ただ、あの独特の笑いの部分はビートたけしでないとできないかもしれないとも思う。ここが難しいところ。