死刑にいたる病 | ヲタクの生きる道

死刑にいたる病

 

公式サイト

NETFLIX公式サイト

 

 

【オススメ対象】

・ヤバめのサイコパスものが見たい

・面白い邦画がみたい

・グロいシーンに耐性がある

 

この評価を読む前に
映画の嗜好について
を一読してください。

レンタルは劇場での上映時期とはズレてます。

 

ジャンル・・・サスペンス

 1)オススメ・・・8
 2)ツボ・・・8
 3)脚本・・・10
 4)映像美・・・8
 5)特殊効果・・・8
 6)俳優・・・10
 7)監督・・・9
 8)音楽・・・8

 9)独自性・・・8
10)キャラ・・・10
合計・・・87点

 

【概要】

上映時間:129分

公式サイト

NETFLIX公式サイト

2022年公開の邦画。

原作:櫛木理宇

 『死刑にいたる病』

監督:白石和彌

脚本:高田亮

主演:阿部サダヲ、岡田健史、岩田剛典、宮﨑優、中山美穂 ほか

 

【トレーラー】

 

【ストーリー紹介】NETFLIX公式サイトより引用

大学生の青年は、連続殺人犯として逮捕された知り合いから不可解な頼み事をされる。それは、一連の事件の中で彼が唯一関与していないと主張する、最後の殺人の真犯人を突き止めることだった。

 

【総評】ネタバレなし

下記の項目でまとめてみた。

1)作品概要

2)見どころ

3)阿部サダヲ

4)ストーリーの面白さ

5)結局どうなの?

 

 

1)作品概要

大学生:筧井雅也(岡田健史)に届く刑務所に収監されている連続殺人鬼:榛村大和(阿部サダヲ)からの手紙。その手紙から思い出す幼き頃の榛村との接点。榛村は罪を問われた連続殺人のなかで、1件だけ彼が殺した事件ではないという。それを調べてくれと。興味を持った筧井はその連続殺人事件を調べていくうちに、徐々にその事件にのめりこみ彼自身が変容していく。

 

私的にこの分野の開拓者は、傑作スリラー「羊たちの沈黙」だと思ってる(原作も映画も面白くてのめりこんだ自分)。刑務所に収監されたサイコパスと主人公の危険な接触。この構図は「羊たちの沈黙」が大前提にありつつ、それをどうひねりどうやってオリジナリティを加えるかってところが勝負するポイントで、その作品の面白さを詰め込められるかだと思うが、今作は非常に成功しているのではないか。

 

2)見どころ

阿部サダヲ演じる連続殺人鬼:榛村大和の怪演が不気味でヤバいのに、なんだか惹きこまれる感覚が素晴らしい。もうこの榛村大和のヤバさがこの作品の強力なストロングポイント。ほんとにこんな奴が身近にいたら超ヤバいだろうっていう危険さが、現実にありえないわって感じではなく、もしかしたら身近にいたら取り込まれるのではないかっていうわかりやすい恐怖。サイコパスなのに人たらしのような魅力を持ってるなんて、危険すぎるブレンドだわ。

 

他の見どころでは、映像的に残虐な拷問シーンのグロさ。じわじわと真綿で首を絞めているような感性。映像的な派手さや斬新なカメラワークはないけど、印象に残るシーンで深層心理的に攻めてくる感覚は、邦画サスペンスやスリラーの良いところだと思うが、今作は存分にその良さを発揮しているのではないかと。

 

3)阿部サダヲ

今作の見どころは彼の怪演に尽きると思うが、もう少しこの項目で踏み込んでみる。

 

阿部サダヲ演じるサイコパス榛村大和は、非常に突き抜けた「悪」で、感情的な部分はそれほど表に出さず、静かに冷静に且つ楽しく殺人を犯す。しかも長い時間をかけて凄惨な拷問をするんだが、もう未成年には絶対に見せてはいけない、かなりえげつない拷問シーンを映像化している。正直、目を背けてしまった。無駄にスプラッターに描くのではなく、リアリティのある生々しい映像で描いているので、妙に残酷でリアルに感じた。

 

そしてこのサイコパスの最も怖いと思ったことは、その残虐性よりも、静かに深く獲物の内面に入り込むところ。あと被害者に加害者意識を植え込む工程。上手く誘導し、全部彼が悪いのに、巻き込んだ者たちの心に深い罪の意識を刷り込んだりする過程がかなりえげつない。この人心を自分の都合のいいところへ誘導する悪意は、耐性のない未成年には見せてはならないと強く思った。こういう静かだが深い深層の揺さぶりは、派手さはないが邦画のうまさを感じる。

 

4)ストーリーの面白さ

ネタバレすると面白さが半減するのでネタバレ内容は書かないが、大学生:筧井雅也が徐々に事件にのめりこんでいくじわじわ感は、視聴者にもわかりやすく浸透していく。その丁寧さが逆に不気味で、自分もまた侵食されていっているのではないかという怖さが素晴らしい。

 

一緒に見ていた奥さんが、最初はスマホ片手に適当に見ていたのに、中盤からラストにかけては眼鏡をかけてガッツリ見ていた。そしてこういう作品を一緒に見ると恒例のごとく、オチ予想をしながら見ていくのだが、二人とも見事に良い意味で裏切られ、予想の斜め上をいかれた。そして見終わってから、そういえばこのオチにいたる伏線はあったし、その伏線のときに確かに違和感はあったと気づかされる。その違和感に大したことではないと見送り、実は大したことだったと驚かされる喜び。

 

ストーリー展開は秀逸。

 

5)結局どうなの?

サイコパス系のヤバめのサスペンスというかスリラーが好きなら、かなりオススメ。ただし、かなりグロい映像があるので、そこに耐性がないと見ていられない。自分はそこそこ耐性はあるほうだが、今作は目を背けてしまった。かなりえげつない映像。海外のホラー映画のグロさとは違った角度のグロさ。

 

映像的にはグロい部分以外は邦画ならではの淡白さで、好み的にはもう少しカメラワークの面白さやスピーディさが欲しいかな。

 

私的にはかなり好みで、このブログの高評価の作品が当てはまる人なら面白いのではないかと。