鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー/最後の錬成 | ヲタクの生きる道

鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー/最後の錬成

■復讐者スカー  NETFLIXサイト

■最後の錬成 NETFLIXサイト

 

【オススメ対象】

・前作でガッカリしたけど今作は良作だから

・鋼の錬金術師が好き

・エルリック兄弟の最後の活躍が見たい

 

この評価を読む前に
映画の嗜好について
を一読してください。

レンタルは劇場での上映時期とはズレてます。

 

ジャンル・・・ファンタジー

 1)オススメ・・・8
 2)ツボ・・・8
 3)脚本・・・8
 4)映像美・・・8
 5)特殊効果・・・8
 6)俳優・・・8
 7)監督・・・8
 8)音楽・・・8

 9)独自性・・・9
10)キャラ・・・9
合計・・・82点

 

【概要】

原作:荒川弘『鋼の錬金術師』

■復讐者スカー 上映時間:123分 NETFLIXサイト

■最後の錬成 上映時間:142分 NETFLIXサイト

NETFLIXにて鑑賞。

2022年連続公開の日本映画。

監督:曽利文彦

脚本:曽利文彦、宮本武史

出演:山田涼介

本田翼、ディーン・フジオカ、蓮佛美沙子、本郷奏多、黒島結菜、渡邊圭祐、水石亜飛夢、山田裕貴、山本耕史、栗山千明、佐藤隆太

新田真剣佑

内野聖陽

舘ひろし 他

 

【ストーリー紹介】

■復讐者スカー NETFLIXサイトより引用

エルリック兄弟の前に、スカーと呼ばれる額に大きな十字傷がある孤高の連続殺人犯が立ちはだかる。

 

■最後の錬成 NETFLIXサイトより引用

エルリック兄弟が歩んできた長く険しい旅路の結末を壮大なスケールで描き切る最終章。国家を揺るがす恐るべき陰謀を阻止すべく、エドたちが最後の戦いに挑む。

 

【トレーラー】

 

【総評】

下記の項目でまとめてみた。

1)前置き

2)原作ファンの自分が今作の褒めたいところ

3)結局どうなの?

 

1)前置き

前作「鋼の錬金術師(実写版)」はこのブログで総合点16点と酷評し、傑作漫画になんてことはしてくれたんだっていう怒りに溢れていた。だから今作も監督が前作と同じだったこともあり、NETFLIXで配信されてもなかなか見る気が起きなかったんだが、怖いもの見たさで気まぐれに見てみたら、激変とまではいかなくても、前作の悪いところがほぼ改善しており、少なくとも原作ファンの自分が見ても問題ないレベルどころか、かなり面白く仕上がってグレードアップしていたので、素直に今作を褒めたくてレビュー記事としてまとめることにした。ていうかあの前作からよくぞここまで良くなるったなっていう、素直にすごいことではないかと。

 

2)原作ファンの自分が今作の褒めたいところ

前作からの改善点や今作の売りになるポイントについて下記にまとめた。

 

■地に足がついた

前作のCG映像先行で、演者全体が素人のコスプレ大会的でキャラクターに命を入れ込めず、なんちゃって映像に陥り、全体的にふわふわした上滑り感覚で、地に足がついていないと感じたが、今回はしっかりと地に足がついたって印象。具体的にどこが?って聞かれるとはっきりと言えなくて申し訳ないが、演者のコスプレ感はなくなり、日本人がハガレンのコスプレしてなんかやってるわっていう感じは全くなくなっている。ちゃんとそのキャラクターに命が吹き込まれていた。またCGにも質量を感じさせる映像に仕上がっていて、ちゃんとその映像内に存在している。前作で自分が酷評した部分がほぼ改善されていて、さらに直すだけでなく面白い映画にグレードアップしていた。監督は前作をしっかりと反省し、改善し、自分の特色を強化し、これだけの豪華なキャスティングを見事にまとめあげている。相当の努力をしたんだと思う。素晴らしい。

 

■キング・ブラッドレイ

舘ひろしをキング・ブラッドレイにキャスティングしたのが、この映画を格段にレベルアップさせたと思う。まさに憑依合体というかんじで、醸し出す大物の空気感、キレッキレのアクションを伴う強さ、まさにキング・ブラッドレイそのもの。いやぁ、マジでよかったわ。

 

■取捨選択

全27巻に及ぶ原作漫画で、前作の実写映画部分を除いてもまだまだかなりのボリューム量があったものを、前後編の合計5時間弱のボリュームに収めるには当然取捨選択が必要になるが、今回はその選択は成功していると思う。絶対外せないイベントとそのイベントに付随するエピソードと必要なキャラ、外したイベントと必要ないキャラ、外したことで矛盾したり崩壊したりしないかの検証、そして必要としたイベントの深堀とキャラの見せ場など、前作で不満だった部分が見事に解消されており、映画のために深く広く練りこんだと思われる。

 

その取捨選択の良い効果として、重要なイベントを盛り込みたくさんの必要イベントをこなすために、非常にテンポがよくなったと思った。特に過去映像の盛り込み方とタイミングが格段に良くなったと思った。

 

そしてなにより原作漫画へのリスペクトに満ちていて、この漫画が好きだ!っていう強い思いを製作者側に感じた。これは漫画の実写映画に最も必要なことだと思うし、世にこれが足りない映画がたくさんあるが、少なくともこの映画は大丈夫だと思った。

 

■CG

前作で、この監督はCGに関しては長けているとレビューしたが、今作はそのストロングポイントに磨きがかかっており、前作の不満点の解消にとどまっていないところが素晴らしい。ちゃんと良い点を売りになるほど強化・練磨している。アルフォンスの全く違和感のない存在感にも磨きがかかり、自然な動きもいいし、質量感もある。錬金術を駆使した戦闘シーンにも躍動感と自然な動きと売りになる見せ場になっていて好感が持てる。このCGのグレードアップに関しては、相当研究したのではないかと推察できる。

 

■セリフ

今作の一番の改善点はこのセリフだと思う。前作は各キャラとセリフに不一致というか脚本の空々しさから各キャラの言わされてる感があり、キャラに命が宿っていない気がしたんだが、今作は違う。セリフをできるだけシンプルにして、大事な場面で漫画を生かした魂のこもったセリフを演者が表現していてくれて、キャラが際立っていたように思う。この件に関しては劇的に良くなったと思う。いわゆる良い意味で「演者が調子に乗っている」という感じ。この雰囲気が画面から出ているのは素晴らしいことだと思う。漫画の見せ場を演者の見せ場としてどうかっこよく見せるかってことに注力した結果だと思う。かっこいいシーンが圧倒的に増えたことはなにより大きい出来事。

 

3)結局どうなの?

前作の記憶が先行するとなかなか見たいと思えないかもしれないが、今回の前後2部作に関しては、声を大にしてオススメしたい作品。

 

漫画の実写化はリスクが高く、それぞれのファンに思いの詰まったシーンがあるので、それを取捨選択で捨てられると激おこなのもわかるし、だから見たくないってなるのも当然かもしれない。でも自分もかなりの原作漫画ファンだと思うが、そのファン視点で見ても今作に関しては面白い!って強く言える。なにより原作漫画へのリスペクトに満ち溢れているから。

 

ただ興行収益的には前作から大幅ダウンしており、結果的には失敗だったと言わざるを得ない状況に終わっている。原因についての私的な見解としては、単純に前作の評判が悪すぎたからと思う。前作とほぼ同じ製作陣、キャスティングは前作からの引継ぎ。これだけ見れば前作のひどさを継承した愚作だとして敬遠するのもしかたない。

 

毛嫌いしないで見てほしい。

前作の記憶はとりあえず置いといてほしい。

製作陣は前作を反省し改善してるから。

自分はオススメの映画としたい。

 

最後に自分が描いた鋼の錬金術師関連のイラストを再掲載。