罠の戦争 | ヲタクの生きる道

罠の戦争

公式サイト

NETFLIX公式サイト

 

【オススメ対象】

・地上波テレビドラマで何かないかな

・草彅剛主演ドラマが見たい

・知的な攻防戦が見たい

 

この評価を読む前に
映画の嗜好について
を一読してください。

レンタルは劇場での上映時期とはズレてます。

 

ジャンル・・・サスペンス

 1)オススメ・・・7
 2)ツボ・・・6
 3)脚本・・・4
 4)映像美・・・6
 5)特殊効果・・・6
 6)俳優・・・7
 7)監督・・・4
 8)音楽・・・7

 9)独自性・・・7
10)キャラ・・・6
合計・・・60点

 

【概要】

公式サイト

NETFLIX公式サイト

NETFLIXにて視聴。

フジテレビ系列ドラマ。

2023年1月から放送。

NETFLIXでほぼ同時配信。全11話。

脚本:後藤法子

出演:草彅剛、井川遥、小澤征悦、宮澤エマ、片平なぎさ、岸部一徳 他

 

【トレーラー】

 

【ストーリー紹介】公式サイトより引用

国会議員の陰となって奔走し、支援者たちの陳情をさばき、スキャンダルの種をつぶす。常に冷静沈着、何があっても感情を表に出さず、必要があれば誰にでも頭を下げてきた議員秘書・鷲津亨(草彅剛)。国会議員である“先生”に長年尽くしてきた亨に、ある日、突きつけられたのは、息子が瀕死の重傷を負う事件、そして“先生”からのその事件の“もみ消し”指示。自分を殺し、我慢を重ねてきた亨の中で何かが大きく変わる―。“弱い者には弱い者なりの闘い方がある”―長い秘書生活で培った政治の世界での知略と人脈と情報を駆使し、息子を重体にした“何者か”の真相を追いながら、権力を振りかざして事件を隠蔽しようとする国会議員へ壮絶な復讐を仕掛ける。

 

【総評】ネタバレあり

地上波テレビのドラマであり、NETFLIXでもほぼ同時に配信されていたので、ほぼ配信スケジュールのタイミングで鑑賞。

 

このドラマの脚本についていろいろと言いたいことがあるんだけど、そこに触れるとどうしてもネタバレありの内容になるので、これからこのドラマを見られる方は読まない方がよろしいかと。

 

あと今作に対して否定的な内容になるので、このドラマが好きな方も読まない方がよろしいかと。

 

下記の項目でまとめてみた。

1)構成

2)第一部は面白い

3)第二部は失速の始まり

3)第三部の失墜

 

 

 

 

 

 

1)構成

このドラマは大きく分けると3部構成になると思う。

第一部 議員秘書から新人議員にジョブチェンジ

第二部 息子をケガさせた犯人追求

第三部 権力の虜になる

 

ドラマ内でこういう区分けはしていないんだけど、このレビュー記事ではこの構成でまとめる。

 

2)第一部は面白い

第一部の鷲津(草彅剛)議員秘書時代に信じていた者たちに裏切られ、絶望から挽回していき、議員に当選していくまでの成り上がりは非常にスリリングで、敵との罠の掛け合いも面白くて、まさに「罠の戦争」といった様相になっていて、適度な緊張感もあり、脚本的にも伏線の配置や回収のタイミングなど、良い意味で視聴者を裏切り、日本のドラマもやるやん!って感じで、ガッツリ見入っていた。

 

しかし議員になってからは。。。。

 

3)第二部は失速の始まり

議員になってから、目的である「息子を突き落とした犯人」の追及からこのドラマが少しずつテンションを下げていく。

 

まずリアリティのなさがちょっとひどい。犯人の情報集めに取りつかれ、新人議員の仕事はほどほどにして、ほとんどを秘書にやらせているのもどうかと思うんだが、このドラマ中に一度も議員として国会に出席しているシーンがないのはいくらなんでも議員を描くドラマとしてはダメなんじゃないかと。ほんとに議員なの?って感じに陥っている。

 

あと、一番がっかりしたのが、民政党幹事長鶴巻(岸部一徳)の弱みを握るために尾行を秘書にさせるんだが、まず顔を知られている人間に尾行させるのはダメでしょ。この段階ではあからさまに敵対行動する前で、できるかぎり衝突を避けるために探っていることがバレないようにしなくちゃならないのに、このありえない行動はなんなんだ。しかも夜に車で車を追跡してる最中に、相手の車両が目的地に着いた時に、敵から顔までが見える位置に停車し、まさかの駐車灯を点滅させ、さらに車内灯まで点灯するという尾行中のマジでありえない行動。自分がどこのだれで今ここにいますよーって敵に知らせるめちゃくちゃ目立つ行為。素人の尾行でも絶対にしない行為を堂々としていてゲンナリした。

 

他にも、序盤でうならされた罠の仕掛け合いが中盤からどんどん稚拙になり、何かひねりがあるのかと思ったらなにもありませんでしたって展開が目立つようになり、序盤から中盤以降の脚本家が変わったのかと思うほど。罠のアイディア不足も中盤から加速していく。

 

3)第三部の失墜

第二部から失速していき、この第三部で一気に失墜した。

 

息子にケガを負わせた犯人の母親であり、隠ぺいを依頼した厚生労働大臣鴨井(片平なぎさ)の失職で、ここからどう展開していくのかと思ったら、主人公が権力の虜になり、さらなる権力を求めて議員の仕事をまったくしなくなり、権力闘争に勝ちあがるため、敵の情報をとにかく探ろうとする。

 

非常に不満だったのが、鷲津が権力に固執していく様が非常に雑で、知らない間におかしくなっちゃったって感じはダメだって。終盤の一番大事なところじゃないか。淡々としてる演技が定評の草彅剛は序盤ではその演技が光り輝いていたのに、中盤から終盤にいくほど違和感が強くて、演出・脚本・監督にムカついた。こういうキャラクターが変化する部分は丁寧に大事にやらないと、視聴者を置き去りにしてしまうんだよ。心がついていけない。

 

 

民政党幹事長鶴巻との戦いも雑すぎて、罠に関しても稚拙化に拍車がかかり、とにかく全体的に雑すぎた。え?途中でヤル気がなくなったのか?って疑いたくなるほどの脚本。

 

序盤から仕込んできた伏線の回収も大したことがなく、特に腹立たしかったのが、序盤の面白かったときの戦いの敗北者である議員秘書時代の先輩虻川が表舞台に戻ってきたところ。さぁ逆襲の始まりだって思ったら、一切活躍することなく再び退場。なんなの、この雑な扱い。復讐するためにそれなりの材料を用意してこなかったのか?

攻める側から攻められる側にまわったときのエピソードとボリュームをそれなりに用意すべきで、構成力もひどい。この虻川の扱いはこのドラマの最もダメなところ。終盤へ行くほど、製作側の予定していた進行との相違みたいなものを感じて、ラストのオチが決まっているだろうから、その途中をむちゃくちゃ端折った感じがした。

 

第二部以降は文句しかないわ。第一部が面白かっただけに、悪い意味での裏切り感が半端ない。つかみがいいからいいかんじでつかまれたけど、そのままめんどくさくなってポイ捨てされた印象。

 

こういうことをやられるから地上波ドラマにますます期待できなくなるんだよ。構成をまとめた人が最も罪深いよ。これは。