THE FIRST SLAM DUNK | ヲタクの生きる道

THE FIRST SLAM DUNK

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© 2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners

公式サイト

 

【オススメ対象】

・原作漫画ファン

・バスケットボールが好き

・バスケ漫画の金字塔とは何か知りたい

・伝説のあの試合を見たい

・宮城リョータが見たい

・桜木花道が見たい

・流川楓が見たい

・赤木剛憲(ゴリ)が見たい

・三井寿が見たい

 

この評価を読む前に
映画の嗜好について
を一読してください。

レンタルは劇場での上映時期とはズレてます。

 

ジャンル・・・アニメ

 1)オススメ・・・8
 2)ツボ・・・10
 3)脚本・・・8
 4)映像美・・・10
 5)特殊効果・・・10
 6)俳優・・・9
 7)監督・・・9
 8)音楽・・・9

 9)独自性・・・10
10)キャラ・・・10
合計・・・94点

 

【概要】

上映時間:124分

劇場にて鑑賞。

公式サイト

2021年公開の日本アニメ映画。

※2022.12.03劇場公開

原作・脚本・監督:井上雄彦

CGディレクター:中沢大樹

キャラクターデザイン・作画監督:

 江原康之・井上雄彦

音楽:武部聡志、TAKUMA(10-FEET)

 

【トレーラー】

 

 

【ストーリー紹介】公式サイトより引用

いつも余裕をかましながら

頭脳的なプレーと電光石火のスピードで相手を翻弄する

湘北の切り込み隊長、ポイントガード・宮城リョータ。

 

沖縄で生まれ育ったリョータには3つ上の兄がいた。

幼い頃から地元で有名な選手だった兄の背中を追うように

リョータもバスケにのめりこむ。

 

高校2年生になったリョータは、

湘北高校バスケ部で、桜木、流川、赤木、三井たちとインターハイに出場。

今まさに王者、山王工業に挑もうとしていた。

 

 

【総評】ネタバレなし

下記の項目でまとめてみた。

1)劇場公開前のゴタゴタ

2)私的感想・作品の推し部分

3)作品概要 ※ネタバレあり

4)否定的な部分

 

1)劇場公開前のゴタゴタ

バスケ漫画の金字塔『スラムダンク』。

26年以上前に漫画連載を終了してから、まさかの原作者主導で劇場作品として帰ってきた。

 

その情報が発表されてから一切の作品内容が発表されず、どの部分が映画化されるのか、あるいは全くの新しいエピソードをやるのかなど公開前にはさまざまな情報が錯綜し、原作者主導なので否が応でも期待度が増した。だがいよいよ公開間近って段階でチケット先行発売の後に、テレビアニメ版からの声優の一新が発表されたことや、かつてのテレビアニメ版への批判的な内容が今作の製作スタッフから公表されたりと、さまざまな物議が加熱し、今作への不安要素が高まった中で劇場公開が開始された。

 

しかし劇場公開が始まると、その作品のクオリティの高さやストーリーの着眼点の意外性など、公開前の不安要素をねじ伏せるほどのパワーがあり、大ヒットとなった。

 

 

2)私的感想

私的には、『スラムダンク』は連載時に発売されていたバージョンのコミック版を全巻所有し、井上雄彦氏のスラムダンクの画集を予約して買うくらいのファンではあったが、公開前のゴタゴタが気になったことと、トレーラーのCGありきの映像に違和感があり、二の足を踏んでいた。しかし、劇場公開が始まってからの評判の良さと、懇意にしているTwitterのフォローしている方々の評価の高さもあり、また奥さん(ほとんど映画は見ない人)が珍しく見たいと希望したので劇場に足を運んだ。結果的には見に行って本当によかった

 

トレーラーで違和感のあったCGアニメは、開始10分もすれば何も気になる要素ではなくなっていた。事前に仕入れいていた情報と公式サイトの情報により、主人公が桜木花道ではなく宮城リョータであることは知っていたのでそこに戸惑いはなく見れたし、テレビアニメ版はそれほど熱心に見ていなかったので、声優一新に対しても問題なく受け入れられた。

 

 

 

 

 

3)作品概要 ※ネタバレあり

ここからは若干のネタバレありの内容になります。

 

ストーリー内容としては、概ね原作漫画の範囲内で、あの伝説の湘北高校vs山王工業戦を丸っと一試合分を描いており、さらにこれまでにない新しい情報として宮城リョータが主人公ということで、彼の過去を中心にさまざまな過去エピソードを試合の合間に描く構成となっている。

 

全編CGアニメでありながら、井上雄彦氏の筆のタッチを感じさせる表現方法は画期的で、色使いもアニメタッチの彩度の高い表現ではなく抑え気味の彩度で、見た目にもすぐにこれまでのアニメ表現とは大きく異なっていることがわかり、CGアニメならではのリアルな動きと大胆で迫力のあるカメラワークで、さらに効果的な演出として、スピード感満載の試合内容と、試合の合間に差し込まれる過去エピソードの静寂と遠目のカメラアングルが絶妙なコントラストを発揮しており、またvs山王工業戦が宮城リョータにとって特別な意味がある試合であったという描き方もしていて、原作者でなくてはできないアレンジをしており、ハイレベルの完成度のアニメとなっている。ていうかこのアニメ表現は、私的には『アーケイン』が到達したCGアニメの新たな表現方法とは別のアプローチで到達したCGアニメ表現であり、井上雄彦氏あっての表現方法ではあるものの、ここだけの表現方法にならず、作家性が全面に出る表現方法なので、他の作家でも是非ともトライしてほしい表現方法。

 

 

 

 

 

4)否定的な部分

ここからは若干の否定内容になります。

 

映像的な部分では何一つ文句のつけようのない完成度なのは確かだが、原作『スラムダンク』の連載が終了してから26年以上も経っていることから、漫画やテレビアニメ版を全然知らない人に対して、今作を初めて見た人へのアプローチとしては、圧倒的に情報量が不足しているということが非常に気になった。

 

演出として、キャラクターたちのセリフを極力少なくしていることもあり、例えばこのvs山王工業戦が全国大会っていうのはキャラのセリフでなんとなくわかるが、では全国大会の決勝戦なのか1回戦なのかっていうのがわからない(ちなみに湘北高校は2回戦になる)。また山王工業は全国大会の常勝軍団で、過去最強と言われる状態になっており、深津ら現3年生が入部して以来の負けなし。県内予選で湘北高校が負けた海南を昨年の準決勝で30点差で勝っているほどの強豪高校。圧倒的に格上の存在なのだが、そういう説明は一切なく、なんとなくすげー強い高校と戦っているんだってのを察しなくてはならない。

 

その山王工業のレギュラーの中でも、流川とマッチアップした沢北は高校No.1プレイヤーだし、リョータとマッチアップする深津キャプテンは常勝軍団をまとめあげており豊富な実践経験を有していて、ディフェンス能力は半端ない。そういうとんでもないところと対戦しているんだってのも、直接的な説明がないまま、なんとなく察する必要がある。

 

視聴者に対して対戦相手の情報不足ってのもあるが、それよりも気になったのが、宮城リョータ以外のレギュラーメンバーとの関係性の情報不足。ちょいちょいレギュラーメンバーの過去と挟み込んでくるが、言葉による説明がほとんどないので、映像での察する能力がかなり必要で、自分は原作をかなり読み込んだ世代なのでわかるが、例えば桜木と流川は1年生だが仲が悪いってことや、観客席の桜木の仲間がどの人だっていう説明は全くないので、そういう関係性までなんとなく察するしかない。リョータと美人マネージャー彩子の関係性の説明もないし。

 

私的に気がついた説明なく察しなくてはならない部分

・桜木と流川の関係性

・流川が笑うという意味

・ラストの桜木と流川のパスとタッチ

・桜木の最後のシュートの意味の深さ

・ゴリと木暮しか3年生はいないことの意味

・安西先生のガッツポーズ

・安西先生がどのくらいすごい監督なのか

・当時と現在のバスケットボールのルールとの違い

 (前半20分後半20分→10分クォーター4回など)

 

要するに、漫画やアニメ版を見ている人は知ってて当然の情報の説明を端折っていて、それが非常に気になったが、そんな部分の説明をしていたらテンポが非常に悪くなるので、知っている自分にはとても良いと思ったが、全方位に向けるには厳しい気がした。まぁ、この映画を見て、あのキャラが気になったけど何者?っていうのを補完するために、原作漫画が売れるんだろうね。