第十二回 今藤長十郎「三味線の宴 ~平家物語の夕べ~」というリサイタルを聴きに行った。場所は渋谷の白寿ホール。実は私のお師匠が二曲を唄うということしか知らないで聴きに行ったのだが、内容はとても興味深くて面白かった。この三味線の宴は、先々月に「繭の会」で拝見した今藤長十郎氏が継続的に行っているリサイタルのようだった。
 大きく分けて二部構成だったこの日の前半は「平家物語の夕べ」と題打たれ、平家物語から「平 重衡」に関する長唄が一曲(海道下)と、歌舞伎役者 片岡愛之助氏による「語り」が二章(重衡生捕・重衡斬被)という内容。“語り”というのを聴いたのは今回が初めて。 私が平家物語に疎いせいでこの語りの内容をしっかりと理解できなかったことは悔やまれたが、それでも朗読される物語が古文をまともに学習したことが無い私の耳にも思ったより入ってきたということに驚いた。これは片岡愛之助丈の語りの上手さと、笛と太鼓による囃子の効果音があってのことなのだろうと思う。これはなかなか面白くていい経験になった。長唄「海道下」は、この現世今藤長十郎氏が作曲した唄とのことだった。三味線の見所がたっぷりある唄で、目にも留まらぬ撥捌きにこの方のすごさをまたしても目の当たりにすることになった。お師匠がタテ唄で、何とも素晴らしい一曲でした。
 後半は、長唄「船弁慶」を一曲。こちらも源平のお話。タテ唄は杵屋禄三氏。以前、花柳流日舞の舞台を見に行ったときにやはりタテで唄っておられたのを思い出した。今回改めて聴いてみて思ったが、この杵屋禄三氏の声は私好みでとても良かったです。そしてワキがお師匠で、これまた何とも豪華で素晴らしい一曲でした。
 今回この会に行ってみて思ったのは、鎌倉時代のことをもっと知ってもいいなということ。知っていれば今回の会ももっと楽しかったはずだし、そもそも長唄にも鎌倉時代の唄が少なくないようでもある。幕末ブームの次は鎌倉ブームだな。別にNHKの大河を一年遅れで追っている訳ではないが。
 私は小泉首相の大支持者とも言えないけれど、この人のこういう態度、物の言い様は好き。当人の心の問題以外にも、頑なに参拝する意図は私なりに想像できるけれど、とにかく賛成。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051017-04048249-jijp-pol.view-001

靖国参拝について「心の問題を他人が干渉すべきではない。ましてや、外国の政府がいけないなどと言うべき問題ではない」と述べ、アジア各国からの批判を一蹴する小泉純一郎首相(17日、首相官邸)(時事通信社[http://www.jiji.com/])

CA250136.jpg 予定が空いたので思い立って行ってきた。幕見に並ぼうと早起きして一時間前に行ったがこれは早すぎだった。しかも発売10分前に「3B席が若干空いておりますが・・・」と言われ、結局そちらを購入することになった。何はともあれ見ることができてよかった。
 演目は次の2つ。
  • 廓三番叟
  • 加賀見山旧錦絵
 「廓三番叟」では、煌びやかな舞踊をちらちら見つつも終始双眼鏡で長唄の出囃子の三味線奏者の撥捌きに注目していた。いろいろと参考になった。特に糸を打ち終わった後の撥の動きと、曲調が速いときと遅いときの撥を下ろす速さ。

 次の「加賀見山旧錦絵」だが、これは本当に面白かった。四幕あるとても長いお話で、内容は女版の忠臣蔵といった感じ。権力者である意地悪なお局のイジメを受けて自分のご主人様が自害に追いやられてしまったので、そのお局を討って主人の仇を取るという忠義の召使いの話。
 私は玉三郎演じる「尾上(ご主人様)」と、菊之助演じる召使い「お初」に心の底から理屈抜きに感動した。まさか歌舞伎で感動の涙を流すことになろうとは思いもよらなかった。この二人の演技は素晴らしかった。そしてなんていい話なんだろう。これが泣かずにおれようか。忠臣蔵が好きな方にぜひオススメします。一幕見券ならこのお話全部見てたったの1900円ですよ。下手な映画よりこっちですな。ハンカチと双眼鏡を忘れず持っていって下さい。
 さて、珍しいほどにしばらく書いてなかったが、私はいたって健康であります。ひとたびPCの前に座ってしまうと知らぬ間に時間が経っていくのでちょいと自制していた。13日の木曜日にお稽古があり、そのときに何とか「黒髪」をきっちり終わらせられるようここしばらくの間、寝るまでの時間を練習に充てていた。
 その甲斐あってか、次回からは「末広狩」をやっていくことになった。しかし個人的にはやや不本意。本当は黒髪をもっときちんと弾けるようになっていたかった。これはきっちりお浚いをしていかねばならん。次の末広狩はテンポが良くて楽しそうな唄だ。やや長くて、譜面は黒髪の倍以上はある。暗譜が大変そうだがとてもやりがいを感じる。楽しんでやっていこう。


 駅での出来事。
 年格好が私に近い感じの男性がひとり私に向かってツツツっ歩いてきた。私の真正面で足を止めこちらをじっと見ている。私も「ん?(何だこの野郎)」という感じで負けじと彼に視線を投げ返した。すると彼は意を決したように私に一言、

「シャツが裏返しですよ。」
「シャツが裏返しですよ。」
「シャツが裏返しですよ。」

 果し合いに例えるなら、まさに居合い斬りの一太刀。私は彼にバッサリ一刀両断されたのである。血に染まりしは私の頬。去っていく彼にかろうじて私が言えたのは「親切にありがとうございます」の一言だった・・・。そして手に持っていたジャケットを慌てて着てそそくさとトイレに向かった。「穴があったら入りたい」を絵に描いたような場面でした。
 私も普段からその手のことは気付いたときにその人になるべく言うようにしている。そして自分のそういうことも他人に言ってもらいたいと思っている。でもこういうのはとても勇気が要ることなので、今回の彼の果敢な発言に心から感謝します。本当にありがとう。