名古屋にいるときは車の無い生活なんて想像できなかった。必要だったし、昔から車が大好きだから。そういう考えで東京に来てからも手放さないできたが、近頃はめっきり運転する機会が減っている。何しろ電車があるので運転する必要がない。たまに雨が降ってたりなんかして「車で出かけようかなー」と思うときがあるが、渋滞、不案内、駐車場探し、高額駐車料金など、車に乗ったことを後悔させる事情が東京には多分にあるので、ほとんどの場合は「やっぱり電車でいいや」ということになる。そういう事情から、次回の車検で車を手放してしまうことも少し考えて始めていたところだったが、俄かにここに来て新たな車の使い道が出てきた。それは唄の練習場としての車。
 三味線の練習はボリュームを抑えれば家でやれなくはない。でも唄はと言うと、これは小さい声じゃ高音がどうやっても出ないしノドも鍛えられていかないと思う。かと言って夜間に声を張り上げて下手な唄なんて唄ってたら警察を呼ばれかねない。そこで車の出番。まず誰にも迷惑を懸けることなく唄える打ってつけの練習空間。気兼ねなく声を出すことができる。素晴らしい。通りがかった人や信号待ちの横の運転手は笑うだろうが、どうってことはない。車持ってて良かったなぁ。練習無くして上達無しである。

練習場
練習場

 長唄のお稽古についてしばらく書いていなかった。
 左の写真の通り毎夜練習に励んでいる。進捗はと言うと、前回のお稽古で「末広狩」が上がった。最後先生の前で通して弾いたときはやはり「うまくやろう」、「間違えないでやろう」という邪念が身体中を駆け巡り、前夜自宅で弾いたときよりずいぶんと両手がドタバタしたが、それでも何とか終えられた。楽しい曲だった。

 さて次は私の希望で、三味線ではなく「唄」を教えていただくこととなった。楽しみ半分、不安半分と言いたいところだけれど、八割方不安です。
 昔から私は何か新しいことを始めるときに先ず、「果たして自分にはうまくやれるのだろうか・・・」という心配をするように脳ミソができている。今回もそうだ。はっきり言ってとても不安。しかしこれが自分の悪い癖のひとつであると自覚している。どうも昔から失敗を臆しすぎる傾向がある。先の稽古の“邪念”と書いたのも他ならぬこれ。なので今回唄を習う自分に強く念じなきゃならんことは「うまくいく訳なんてないっ!」ということだ。振り返ったってどうせカラオケで歌ったことしかないのである。先生は「ヘンな真似事はしないよう、地で。」と前回帰り際に言われた。普段CDでいろいろな方の唄を聴いている分、いざ唄うとなれば確かにその先生方の唄いまわしを取って付けたように真似してしまいそうだ。それは止そう。まずはカラオケ唱法上等である。曲は三味線が上がったばかりの「末広狩」だ。十八番のルパン三世(真っ赤な薔薇はあいつの唇)でも歌うように唄って聴かせやしょう。
 またしても思い立って先週末に夜の部を見に行った。三等でいいと思っていたのだが、一階が確保できたので二等席にした。演目は以下の4つ。
  • 日向嶋景清
  • 鞍馬山誉鷹
  • 連獅子
  • 大経師昔暦
 「日向嶋景清」は、私がちょっぴり贔屓目の吉右衛門こと松貫四が作った新しいお話とのこと。お父さん(吉右衛門)と娘(芝雀)の切ない別れのお話で、先月の加賀見山旧錦絵に続いてこれまたいい話なんですな。かなり目頭が熱くなった。
 続く「鞍馬山誉鷹」は、富十郎の長男大改め中村鷹之資(6歳)の襲名披露の新作だった。話の内容はともかく、この鷹之資が本当にかわいかった。きっとこれからどんどん活躍していくことでしょう。豪華メンバーの「口上」を見ることができたのも良かった。
 幸四郎+染五郎親子競演の「連獅子」を実は一番の目当てにしていた。あの髪のぶん回しを一度見てみたかったのだ。子染五郎の身のこなしにはとてもキレがあって、若さ溢れる子獅子の雰囲気がよく伝わってきたように感じた。幸四郎は親父らしくのそりのそりとした感じ。髪のぶん回しシーンはやっぱり圧巻だった。花道が見える席で良かったと思った。また他の役者が演じる連獅子も見てみたくなった。
 「大経師昔暦」はストーリーが急展開で面白かった。最後の部分はシリアスな展開なのに何だかコミカルな成り行きで、可笑しくて笑ってしまった。
 次は十二月の夜の部を見に行く予定。
先週末コンタクトレンズを買うのに眼科へ行ったとき「あなたは左が利き目なのですね」と言われた。これについてはずいぶん前から知っていたが、この「右利きと左利き」について考えるてみると、自分はちょっと変わっていると思う。

ボールを投げるのは右手。打つのは野球もゴルフもビリヤードも右。箸と鉛筆は今は右手だが、小学校上がるまではどちらも左手で使っていたらしい。このことから自分はやはり左利きが基本なのだろうと思う。パソコンのマウスはどちらでも普通に使えて、会社では右だけれど家では左を使う習慣が以前からある。ケータイのメールもどちらの手でも打てる。

足はどうかと言うと、ボールを蹴るのは右足。でも野球のスライディングは左足を前に出し、これは人とは反対。スノボも右足が前で身体が左を向くグーフィーが基本。風呂も右足から入る。そうかと思うと例えばボクシングをするとなれば左足が前に出る。でも自分の背中で大きな音がしたときは、左側から後ろを振り向くみたいだ。

腕を組むと右腕が上になるが、指を組むと左親指が上になる。これだけ見ると右脳型なのか左脳型なのか分からないが、自分はかなり右脳型人間だとは思う。

あまりやらないがダーツでは、右手でダーツを投げるのに利き目は左なので、身体は左を向けて右手を前に出しつつも、顔をやや右を向けたくなる。こういう人は多くはないのだろうか。

考え始めたらいろいろ出てきた。コーヒーカップは右手。受話器は左手。これは普通の右利きの人と同じなのかな。キーボードのスペースキーは左親指で叩く。これは普通とは反対だと思う。指パッチンは両手で鳴らせるが、ハイ1発鳴らして、と言われたら私は左手で鳴らすみたいだ。この辺はもう習慣の問題なのか。

とにかく私は基本的には右利き、でも根は左利きなので、普段から右手も左手もよく使う。とそういうこと。


 またしても日舞を見に行ってしまった。今回の「菁風会」は谷口裕和氏が主催する日舞の会。お稽古場が東京の他に私の実家に程近い飛騨高山にあるらしく、かくかくしかじかの実家のツテでこの会の存在を知った。会場は日本橋劇場。入場料4000円と聞いていたのだが、受付に行ってみるとまたしてもタダで入れていただくことができた。とてもラッキー(断っておくが、決して刃物などをチラつかせている訳ではない)。
 この日は長唄が8番。タテ唄松永忠次郎氏。タテ三味線松永忠一郎氏。この方は私が最初に長唄を見たときに舞台で弾いておられて、当時私は長唄のいろはも分からないながらもこの方の演奏に感動したのを覚えている。また雰囲気と目つきがとても印象的だった。今回も相変わらずの鋭い目つきで素晴らしい演奏でした。今日はこの方の左手に特に注目して見ていた。いろいろと勉強になった。
 その他今回感じたこと。
  • 桟敷席は良い。
    全席自由だったので、舞台下手の2階桟敷席に座れた。そこからは舞台上手にいる長唄出囃子が正面からとても良く見えたし、もちろん舞台の踊りもよく見えた。足を伸ばすスペースもとても広い。
  • 谷口裕和氏はすごい(ように思える)。
    私は日舞を全く習っていないので、踊りの上手い下手を偉そうに論ずる資格などはもちろんないのだが、何度かこうして日舞の舞台を見たり歌舞伎を見たりしてきた中で感じるには、この谷口裕和氏の踊りはすごいように思えた。細かいことはさておき、特にメリハリとかキレみたいなものを感じた。私より4つ5つは若い方のようだ。どういう方かと思い名前をググってみたがよく分からなかった。
  • 「鷺娘」の小道具は壊れやすい。
    鷺娘の最後のほうで踊り手が使う小道具に、白い棒の先端がT字型になっていてそこに銀色のキラキラするモール状のようなものが5本ほどついたものがある。これは終わりのほうの激しく踊るシーンで踊り手が振り回すものなのだが、そのモールが非常にちぎれやすい。今日などは最初の一振りではやモールが1本ちぎれていた。その後3回ほど振り回したらもう全部のモールがとれてしまった。踊り手はその後はただの白い棒を振り回すことになるのだ。これは以前見た花柳流の舞台の鷺娘でも起こったこと。あの小道具を製作している方、ちゃんと自分で振り回してみてますか?改善してください。毎回気になってしまいます。