かわいい系のゲイはまさにジャニーズ系
物語が進み、『ゲルマントのほう』で彼が話者に対して保護者ないし指導者の役を買って出るあたりから(H、五八一-五八二)、相手が思いどおりにならないと知って怒りを爆発させる(H、八四三-八四八)に及んで、彼の本性はもう暴かれたも同然となる。 ヴィルパリジ夫人が、話者がシャルリュスと親しくなれるのを喜んでいると知って、心配顔になる(H、五八〇)のも無理はないのである。 『ゲルマントのほうH』第二章冒頭の目次ふうの要約には、「私はますます彼の性格がわからなくなる」とある。 だが読者からみて、思うさま憤怒に身を委ねながらも泣かんばかりにかき口説き、高慢・侶傲にして繊細・柔弱なこのときの彼は、これまで積み重ねられてきた男女両性者のイメージを完成させるものにほかならない。 シャルリュスの姿が明確になるにつれ、その「同性愛疑惑」の濃度はしだいに高まる。 そして、『ゲルマントのほう』も終わりに近いこのシャルリュス邸の場面で、濃度が十分な高さに達したちょうどそのとき、『ソドムとゴモラ』冒頭での、あの全面的な顕現が行なわれるのだ。 前にすこしふれた、ドイツ首相フアツフェンハイム大公の小さなエピソード(H、七九九-八〇〇)にも注意を払っておこう。
物語が進み、『ゲルマントのほう』で彼が話者に対して保護者ないし指導者の役を買って出るあたりから(H、五八一-五八二)、相手が思いどおりにならないと知って怒りを爆発させる(H、八四三-八四八)に及んで、彼の本性はもう暴かれたも同然となる。 ヴィルパリジ夫人が、話者がシャルリュスと親しくなれるのを喜んでいると知って、心配顔になる(H、五八〇)のも無理はないのである。 『ゲルマントのほうH』第二章冒頭の目次ふうの要約には、「私はますます彼の性格がわからなくなる」とある。 だが読者からみて、思うさま憤怒に身を委ねながらも泣かんばかりにかき口説き、高慢・侶傲にして繊細・柔弱なこのときの彼は、これまで積み重ねられてきた男女両性者のイメージを完成させるものにほかならない。 シャルリュスの姿が明確になるにつれ、その「同性愛疑惑」の濃度はしだいに高まる。 そして、『ゲルマントのほう』も終わりに近いこのシャルリュス邸の場面で、濃度が十分な高さに達したちょうどそのとき、『ソドムとゴモラ』冒頭での、あの全面的な顕現が行なわれるのだ。 前にすこしふれた、ドイツ首相フアツフェンハイム大公の小さなエピソード(H、七九九-八〇〇)にも注意を払っておこう。