私はかつてソニーの人と働いたことがある。
ある製品の開発業務だったのだが、ある程度の試作品が出来上がった頃に色々な人にそれを見せて批評を受けるのだが、その時によく出てくるフレーズが、『ソニーらしさ』というもんである。
ある仕様がほぼ固まっていてもとある人物の『ソニーらしさ』が無いの一言でそれが全て覆る。
面白いのは『ソニーらしさ』というフレーズを使う時の彼らの恍惚とした表情である。
ソニーの人間にとって『ソニーらしさ』というものは神の御神託でもあり、ソニーに属する人はそれ以外の人と違っている、すなわちソニーの人間は優秀なのである、ということなのである。
最近乃木坂のことに興味を持ちこのグループについて色々調べてみたのだが、メンバー達が使うフレーズでよく出て来るのが『乃木坂らしさ』である。
乃木坂の運営会社はソニーである。
運営会社スタッフにとって『乃木坂らしさ』というフレーズは『ソニーらしさ』といものと同じであろう。
ソニーはかつてAKBの運営で失敗している。
乃木坂はリターンマッチのためのグループであり、それはかつてゲームビジネスで任天堂にやられてリターンマッチでやり返した時の構図とよく似ている。
『らしさ』を前面出して来ているということは、ソニーは相当本気だと感じる。
そのプレッシャーは運営スタッフ、および乃木坂メンバーも感じているハズだし、それに加えてメンバーにはメンバー内の競争がある。
メンバーのプレッシャーは相当なものだったハズであり、それはテレビ番組内でメンバーがよく意味もなく泣いていた事実から伺いしれる。
乃木坂はよく2期が育っていないと言われるが、そうではなく相当なプレッシャーを跳ね返してきた1期メンバーの力が大きいためである。
ちなみに『乃木坂らしさ』というのは何なのだろう。
乃木坂メンバーの話だと一応に私立女子高のイメージだということだが、今や茶髪のメンバーも多くその意味はよく分からない。
ただ『らしさ』という言葉は他者との違いを作るというあいまいではあるが努力をするためのインセンティブになっていることは確かであろう。