「アレン 落ち着け」

過呼吸になりかけるアレンの顔をつかんでこっちに向けさせる。
いろいろあってパニックを起こしてるのかと思えばそうでもないようだ。
なにかにおびえてるように眼がこっちをみない。

「アレン…」

オレを見ろ。

「アレン!!」

頬をひっぱたいてやってやっとオレに焦点があう。
まったく、手間をかさせやがって。

「ーー、ーっ」
「……アレン、お前
声がでなくなったのか?」
「そんなっ」
横でリナリーが息をのむ。
ちっめんどくせェ。

「っ……」
「アレンくん!」

過呼吸が収まったかと思えばいきなり意識を失っちまったアレンを抱えてぼりぼりと頭をかく。
ったく、めんどくせェ…。


私の仲間を返せ!!

「消えるな方舟ぇぇぇぇ!!」






《ーーー♪》

頭の中で誰かが歌う。

助けて…。
『こっちにドアを出せ』
師匠?
『お前が望めば開く』
本当にソレは私の意志?

ーポン♪

わからない。
ワカラナイ。

「アレン…くん?」
リナリー、よかった無事で。
「崩壊が止まったの。
ピアノの音がね聴こえてきて…。
アレンくんが弾いたの…?」
私が?
ダレが?

わからない。

どうして、マナと私しか知らない文字が楽譜にかかれてるの?

ワカラナイ。

誰か 助けて…。





「お前がなにを言いたいのかわかってる。
コワイ顔すんなよ」
師匠…。
わからないんです。

「……っーー、」
変だな…、声 だせないや。

「アレンくん…?」
「アレン?」

「ーーっ、ヒュッ……」
変なの。
口から空気しか出てこない。

「アレン、お前『ごはんですよーッッ!!』
ラビ、チャオジー…生きてたっ。
神田もクロウリーも生きてる…。
よかった…。

《ヨカッタ》

「っっーー」

お前は誰?

《アレン》

イヤだ イヤだ イヤダっ!!
お前はなんだかとってもイヤな感じがするっ!!

《アレン》

呼ぶなっ

《アレン》

私の名前をお前がっ

《アレン》

いやだ…

《アレン》

呼ばないでよぉ

《アレン》
「アレン」

助けて…。

「アレンっ」

助けて、ーーーー。
「ミランダとクロウリーは私が鍛えるのでクラウド元帥はリナリーを見てあげてくれませんか?」
「理由を聞こうか」
やはり乗り気ではないクラウドにティアーは消去法です、とこともなげにいう。
「ティエドール元帥のところはもう手一杯ですし、ソカロ元帥の所につけるのはコムイさんが許しそうにありませんから」
自分の所におこうにも表向きはリナリーのほうがエクソシストとして先輩にあたるのでおかしい、それにたいがい的には一応クロスのもとに3人の弟子がつくということになるのでクラウド元帥しかいないのだといわれ、クラウドは考え込む。
「今の状態のリナリーは不安定です。臨界には達していなくても進化したイノセンスの所有者です。
いざというときに止められるものがそばにいないと…」
中央がリナリーに元帥をつけないといっていたのは、結晶型の観察と実験へ使いやすくするためだ。
室長であるコムイだけが保護するのと元帥とが保護するのではリナリーの安全が格段に違ってくる。
ティアーがそこまでふくませればクラウドも、コムイも頷かざる得なかった。





『わかりました』
大元帥にティアー自身が今回の決定を伝える。
コムイでは覆される可能性があるためだ。
『なぜそこまでしてかばい立てを?』
用は終わったのでそのまま消えるかとおもったのに向こうには聞きたいことがあったらしい。
多少の嫉妬もあるのかもしれない、
彼はティアーにおいていかれた身であるのだから。
「リナリーはイノセンスに赦された存在だからですよ。
適合者とイノセンスの意志の疎通が希薄な今代では稀少な存在だからですよ。」
それだけ言うとティアーはその場を立ち去った。