「単刀直入に申しますと、アレン・ウォーカーの病状は
失声症と自分が写るもの…、鏡などに極度おびえています」

はっきりいって酷い状態といえる。
医療室に来たときは平然としていたのに、クロス元帥が離れた瞬間、鏡に写った自分を見た瞬間恐慌状態に陥った。
それまではクロス元帥がアレン・ウォーカーの頭を胸に抱え込んできたため鏡やガラスを見ることはなかったのだろう。

無自覚に発動されたイノセンスが姿を映すであろうものすべてを砕いた。
だがそこからが酷かった

「あのやろうは自分の目をつぶそうとしたんだよ」
「なっ…」

いくら砕いても映し出される自分の姿に怯えて見ることができないようにと思ったのか、ガラスの破片をつかみ眼に突き刺そうとした。

「なんとかクロス元帥と居合わせたソカロ元帥で阻止しましたが…」
「ありゃヤバいぜ?
臨界者の暴走なんざしゃれにならねぇ」

クラウド元帥に任せて眼に布を当て鎮静剤をうったが長くは持たないだろう。
クロス元帥以外の男性にもおびえるそぶりがあったためソカロ元帥も離したが、果たしてクラウド元帥だけで大丈夫だろうか?



『婦長っクロス…っ
アレン・ウォーカーがっ』

突然聞こえてきたクラウド元帥の声に走り出すクロス元帥のあとを私も追いかけた。
方舟から帰ってきたアレンくんたち。
クロス元帥も今回はおとなしく本部に帰ってきた。

だか、アレンくんは声を失った。
なにがあったのかはわからないが、クロス元帥が言うにはいろいろ重なってパニックのところに…何か、アレンくんを恐怖に落とすことがあった、と。
クロス元帥にもよくわかってはいないようだ。

「それで今アレンくんたちは?」
「医療班の所で治療を受けている。
本人に自覚はないみたいだけどクロスが離れると震えが止まらないようだよ
無自覚にクロスに庇護を求めているのか、クロス以外を拒絶しているのかはわからないけどね」


どうしてアレンくんばかりがいつもつらいめにっ…。

『室長、いまよろしいですか?
アレン・ウォーカーについてお話が…』
「ああ、婦長入ってくれ」

開いたドアから神妙な面持ちの婦長が部屋に入ってくる。
その横にはソカロ元帥とクロス元帥もいた。

「クロス元帥、アレンくんから離れて平気なのかい?」
「今はクラウドがついてるから大丈夫だろう」

そういったクロス元帥の表情は読み取れなかった。
《アレン》

ダ レ ?

『アレン』

ソレハ ナニ?

【アレン】

ワタシ ノ ナマエ ?



ホントウ ニ?



アレン ハ ワタシ ノ コト ?









目がさめたらまだ方舟の中だった。
どうでもいいけど、この人、なんで私を抱えたままリナリー口説いてんの?
なんかイラつくなぁ。

「ーーー、ーー」
声、でないし…。
聞きたいことがいっぱいあるのに。
最悪…。

「アレンくんっ目が覚めたの!?」
ああもうっ泣かないでリナリー。
私はぜんぜん平気だから。
流れる涙を拭おうとして未だに師匠に抱えられてるのに気づく。
いい加減はなしてくれていいんだけどな、てか…離してくんないかなぁ。





(江戸接続?)
「そう考えて弾けばこっから出られんだよ」
声がだせないから筆談も思いついたけど、紙もペンも見あたらないから結局 師匠の手のひらに唇を当てての読唇。
なんかむちゃくちゃ恥ずかしいっ!!
ってか 別に手に唇当てなくっても唇の動きでわかるんじゃない?!
しかも師匠ずっと私の腰に手を回して離してくれないし…。
みんなに変な目で見られてるっ!!
私のせいじゃないのにっ師匠のばかっ!!