■シリア
空軍基地に攻撃を受けたが、基地は二日で復旧し、シリア政府は空爆を続けている。その後、化学兵器の使用を裏付けて化学兵器を放棄させるような行動も取られていない。トランプ政権の空爆の本気度を疑問視せざるを得ない。
そもそも反政府勢力も化学兵器を使用していた過去があるとも指摘されており、そもそも本当にシリア政府が化学兵器を使ったかどうか、疑問視されている状況。以前アメリカ政府が要求していたアサドの退陣もトランプは求めないとしたまま、トランプが暴言を浴びせるのみで、踏み込んだ退陣要求をしているように見えない。
いつアメリカがしゃしゃり出てくるかわからない、という緊張感を与えた程度か。もしかすると、アサドの非人道的行為は多少マイルドになるかも知れない。だが、「アメリカはまだアサドを潰す気はない」という安心感につながった可能性も。

■アフガニスタン
MOABと呼ばれる超大型爆弾の初実践投入が話題になったが、それで何がどう変わったか、具体的な情報は伝わってこない。北朝鮮の話題にかき消された。

■北朝鮮
シリアの空爆もアフガニスタンでのMOAB投下も、北朝鮮(と、北朝鮮問題に関してキープレイヤーと目される中国)に対するプレッシャーだったのではないかと推測される。
だが、北朝鮮のミサイル発射に対し、アメリカはサイバー攻撃で邪魔だてできると指摘されている。ならばアメリカは北朝鮮をミサイル攻撃までする必要はないのかも知れない。コントロールできているのだから。
核実験は北朝鮮側が、実験そのものだけでなく実験の準備を人工衛星に見せることが一つのパフォーマンスになっているのではと疑われる。そうであれば、やるぞやるぞ、と見せることに意味があるのであって、実際に実験する必要はない、という事もあろう。すぐ核実験はしないかも知れない。
これらの事実を並べ、中国ばかりか韓国も北朝鮮の崩壊を望んでいないことを考えると、北朝鮮はまだまだこのままか。トップのすげ替えは検討されているかも知れないが、それが起きると判断する理由は、素人の手にはいる情報の範囲には出てこないだろう。この点は根本的にはわからない。

ただし、中国の経済制裁強化は確実に北朝鮮の首を締め上げていると考える。だからこのタイミングで突然、拉致問題に言及して日本政府が経済制裁を解くよう言ったのではないか。しかし、解除しないだろう。北朝鮮は交渉が下手なのか?昔は、北朝鮮の外交は相手国の大使の弱みを握る陰湿で狡猾なものだ、と恐れられていたと思うのだが、どうなんだろう。

とまれ、総じて、現状維持だろう。

■中国
トランプに煮え湯を飲まされた。慌てて北朝鮮との関係を見直さざるを得なかった。かなり急な舵をきった。
今後あり得ることとしては、アメリカとの貿易をめぐるつばぜり合いが続くこと、アメリカと対抗するためにロシアとの関係を求めること、それから今年、習近平の立場が悪化して政権交代が、もしかしたら起きるかも?くらいか。

■アメリカ
北朝鮮問題で中国をはじめ各国を手玉にとった感はあるものの、シリアやアフガニスタンを北朝鮮の取引のコマにした、むしろ北朝鮮すら中国との交渉のコマにした感がある。そのへんの一貫性の欠如は気になる。
バノンは当面失脚の方向だろう。ペンスが大統領を弾劾し、自身が大統領に繰り上がる線も恐らく無い。国内問題は課題山積で、徐々にトランプは公約を放棄して行かざるを得ないだろう。不安定な政権運営は続くが、崩壊はしないだろう。

総じて、ガタピシ言いながら世界は回る…と言いたいが、フランスの選挙、どうなんだろう?極左メランションが台頭して中道マクロンが失速し、極右ルペンとの極左vs極右の一騎打ちになってしまうのが最悪のシナリオ、そうでなくとも敗退した「極」の票が、反EUという旗印のもと反対の「極」に糾合されて、マクロンが決選投票で負けるのが第二のリスク。どっちか起きそうで怖い。いずれの場合もEUが瓦解の危機に瀕するはずなのだが。
北朝鮮は火を吹かないかもしれない。Newsweekに説得力のある記事が掲載されました。体裁を整えられないのですが、貼り付けておきます。

http://www.newsweekjapan.jp/kim/2017/04/415_1.php

豊富なデータと詳しい経緯を踏まえた分析。非常に良いです。これを見ると、トランプ政権も北朝鮮も「見せるための示威行為」を繰り広げているだけで、「これをやったら事態が破綻する」ような行動まではとっていない。

そして、同じくNewsweekからもう一本。

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/04/post-7422.php

米軍が北朝鮮のミサイル発射実験を妨害するために、ハッキングを仕掛けているという報道。この人以外にあまりこの手のことを書いている人がいないので、本当か?という感じはするのですが、これだけインターネットが普及しハッキングなんてことが行われる世の中になって、軍事的な目標を達成するためにハッキングをしない理由もない。(軍事関係の通信網をインターネットと独立したネットワークで構築したらハッキングできないんじゃね?と素人考えには思いますが、無線で飛ばしているところから入り込むとか、いっそ的のネットワーク管理スタッフにスパイを送り込むとか、そもそも軍事ネットワークを構築する際に使った技術の中に米国製のOSなり何なりが入ってて、実はそいつが不適切な扱いをすると悪さをするよう作った当初からマルウェア入りであるとか、まぁ何事も人間のやることだから、やりようはあるんでしょう…)
アメリカのサイバー戦力が北朝鮮のミサイルをコントロール出来るのであれば、それは、アメリカとしては「ミスター・ブラックテレフォン(金正恩のこと…通じました?)は、まだまだ我々の手のひらの上で踊っているにすぎんよ」と、圧力をかけつつも余裕でいられるでしょう。

まぁ未知数の部分もありますが、やはりトランプ自身も(だいぶブッとんでいるのは事実だと思うんですけど)完全な狂人というほどではなく、マティスやマクマスターといった、これまた我々の感覚よりは軍事行動に忌避感がないかも知れないけれど、十分に戦略的な思考力を持った人が政策をコントロールする努力をしていて、北朝鮮は北朝鮮で、「ザ・クレイジーテレフォン」金正恩同志その人が私が疑っているよりも理性が残っているか、あるいは周囲が辛うじてコントロールしているか、何れにせよ即ドンパチっていう訳ではないのかなと思います。
北朝鮮、4月15日が「太陽節」すなわち「建国の父・金日成の生誕105年周年」だそーで。16日には、失敗したとは言えミサイル発射実験も強行。
トランプ政権の米軍はこの間、中東でシリア空爆についで、アフガニスタンで「大規模爆風爆弾兵器(MOAB…Massive Ordnance Air Blastだそうで。二番目の単語が「兵器」と訳せるようですが、それなら「巨大兵器爆風」じゃないのか?でも変な語順。むしろ「Mother Of All Bombs」が先で、「大規模爆風爆弾兵器」がバクロニム?)」なる最終兵器然とした代物を初めて実戦で使ったとか。原子力空母カールビンソンを中心とする空母打撃群(WikipediaによればCarrier Strike Groupの訳語らしい。以前は空母戦闘群Carrier Battle Groupと言ったそうな)も北朝鮮の近く(それって日本海あたりってこと?)に展開している。
とはいえ、なんとなく15日の太陽節、16日のミサイル実験というイベントを無事に通過し、少し安心感が漂っているのかな、というところ。

だったんですが、ちょっと気になるのがこちら。


北朝鮮 発射は中距離弾道ミサイルか 米韓が対応協議へ
4月16日 19時19分
NHK NEWS WEB

ホワイトハウスの当局者は16日に記者団に、「北朝鮮はミサイル発射だけでなく、核実験も実施したがっている。仮に北朝鮮が核実験を行っていれば、アメリカは何らかの行動を起こしていただろう」と述べ、北朝鮮を強くけん制しました。


問題はこの核実験。私の記憶が正しければ、もう何日も前から北朝鮮の核実験施設では実験の準備をしていたはず。そこまでやったら、現在の北朝鮮は、中国を含む他国の制止を振り切ってやるんじゃないかな…
それで、アメリカが軍事力の行使を決定するラインとして「核実験の強行」を設定するなら、北朝鮮はきっと核実験を強行するから、アメリカは軍事力を行使するわけだ。まずは金正恩のいる首都・平壌ではなく、核実験施設か、いずれかの軍事施設がターゲットかなぁ。だが、それで金正恩が完全にキレたら、次は北朝鮮の核が火を吹くわけで。

今のところ、注目されていた15日は無風で通過したので、このまま急場はしのげる事を祈るのですが。

あと、個人的にはロシアが「米朝の軍事衝突を回避するため間に割って入る」とかなんとか、しゃしゃり出てくる可能性はあると思ってるんですが。それを足掛かりに北朝鮮を傀儡化する、みたいな。そこまでの余裕はないかな?

中国と韓国、日本は慌てて何も起きないように、それぞれ影響力をもつ国を宥めているんじゃないかと。日本がアメリカ、中国が北朝鮮を宥める役回りか。しかし北朝鮮がミサイル実験を強行したところを見ると、中国の北朝鮮に対する抑えは機能しているかどうか…中国が事態をコントロールし損ねている間に、北朝鮮の核実験かロシアの軍展開が、次に起こり得るリスク亢進イベント、と思っています。

ガチ勢のペンス副大統領(トランプのお友達ではない。以前からの共和党員・熱心なキリスト教保守)がアジアを歴訪中なんで、彼が何を言うかが非常に気になるところ。