今回は、Linux(Debian)のインストールの話題です。所要時間は1時間程度です。大半は大容量microSDカードへの書き込みですので、時間の割に手間は案外少ないです。また、有志ファームに書き換えたことのある方でしたら、作業はほとんど同じですので悩むことはないと思います。

惜しまれつつも(本当か?)ひっそりとkobo touchが販売終了したからか、家電店でkobo touchが格安で投げ売りされていました。というわけで(どういうわけで?)、すでに持っているのに購入しました。購入したからには早速改造です。どうでも良いことですが、前回は外れロットのCPU i.MX507でしたが、今回はi.MX508でした。Linuxで動かすと多少は速いのでしょうか?2台ともDebianにしても仕方が無いので、比較対象が無いため差があるのかは不明です。

なお、改造は自己責任です。当方は、メーカー保証の有無や改造結果についてなど、あらゆる事象について責任をとりませんのでその点、ご了承ください。


■準備するハードウェア

ハードディスクの意外と大きな空き容量と8GB~32GBのmicroSDカードの2つです。

・20GB程度のハードディスクの空き領域
ダウンロードファイルが1GB程度、解凍先の8GB、HxDで書き換えると保存時にバックアップを作るのでその8GBが必要です。バイナリの書き換えが不要な905C以降(HxD参照)でしたら10GB程度で済みます。

・消去してもかまわない8GB~32GBのmicroSDカード
 イメージが8GB弱なので4GBや2GBではインストールできません。64GBはkoboが認識できないと思います。OSが動くメモリーですので、UHS-Ⅰ、class10などの規格準拠の高速メモリーが良いと思います。また、信頼性や性能の低い偽物もあるのでレビューなどから信頼できそうな店が良いと思います。

別に熱狂的な東芝好きな訳ではないですが、日本製で高速なEXCERIA(3000円~3100円程度)か、UHS-Ⅰ対応で「読み」が30MB/sと書いてあるもの(2100~2200円程度)が良いかと思います。性能は2倍くらい違うようですが、どちらにしてもclass4とは全然違うかと。

東芝 超高速 95MB/s microSDHC EXCERIA 32GB UHS-I SD-C32GR7WA3 日本製 IPX7 ウォータープルーフ Toshiba 並行輸入品

↑amazonですが、そのまま注文すると評判に若干問題のある店からになります。前回のkobo glo用では「新品の出品」から「風見鶏」という店を選びました。評価と、店名と「偽物」などの単語と共にググってみるなどして確認した方が良いと思います。

↑今回私は楽天ポイントがちょうど良い程度にあるので楽天も良いかもと考えています。なぜ「あきばお~」かというと、昨年8GBのmicroSDを秋葉原の同店で何となく購入し、特に問題がなかったからです(今回実験で使っている8GBのものです)。さらに言うと、下のヘッドフォンの音質が実に良いので、ついで買いできるからです(完全に私の都合ですが怪しい店は安くても避けたいので)。前回購入時 (kobo glo購入時)よりも価格差が開いていますし、今回はこちらですかね。



↑あきばお~楽天店のバルク品(50円)。昨年秋葉原で購入(当時は約100円)。金メッキもされていますし、一部で音が良いと評判だったようで、ダイソー105円イヤフォンなどの酷い音とは雲泥の差です。音楽が楽しめる水準のイヤフォンです。下手な設計の2000円のヘッドフォンよりも音が良いですし、何より安いので、ラフに使えるのが魅力です。また、最近希少なオープンエアー型ですので、カナル型(耳栓タイプ)が苦手な人にはお勧めです。ただし、カバーをつけないと耳から滑りやすいかもしれません。
プラネックスの付属品らしいのですが、秋葉原で大量に出回ったようです。たぶん10万個で1000万円とかそういう類いの作りすぎたものでしょう。ただし、所詮は付属品なので、プラスチックそのものは、ただの白色で高級感は全くありません。たまたまか、高い技術力かは不明ですが、オーディオ水準を満たす振動板を使い、うまく設計されていると100円以下でもまともな音質が出せるようです。ちなみに、以前レビューしたSennheiser MX 560以上にはかないません。MX460以下なら好みの問題だと思います。完全に脱線している気がするので、本題に戻ります。

■準備するファイル

Debianのイメージファイル、SDカードのバックアップソフト、バイナリエディター(プログラムの書き換え用)、SDカードのパーティションなどの操作ソフトの4つです。

バイナリエディタは新しいkobo touchでは必要ありません。パーティションの操作は、8GBの場合では影響が皆無なので必須ではありません。

kobo用Debianイメージ (同サイトにandroidイメージもあります)
 このファイルが無いとインストールできません。
 Debianイメージの作者のおかげでインストールが非常に楽です。

part01.RAR~part03.RARまで必要です。

DD for Windows
microSDカードのバックアップと書き込みに使います。


HxD (バイナリエディタ)
 kobo touchのICが8857A-KBN905Bで必要です。リサイクルマークなどが描かれている面に書かれています。末尾が905C以降なら不要です。

日本語ファイルはは写真の表示のところにあります。ダウンロードはHTTPでもFTPでも通常は問題ないと思います。

MiniTool Partation Wizard Home Edition (2014/2/27現在8.1.1)
 8GBのSDカードなら余る領域はほとんどありませんが、16GBや32GBですと空き領域が無駄にされていますので、空き領域を使える領域に振り分けます。

写真で色の変わっている箇所の最新版で、基本的に問題はないと思います。

1. ダウンロードしたファイルを解凍します


ダウンロードした以下のファイルを解凍します。
2013-08-17_kobo_debian.part01.rar
2013-08-17_kobo_debian.part02.rar
2013-08-17_kobo_debian.part03.rar
解凍ソフトがインストールされていない場合は、ALZipWinRAR などをインストールして使います。

解凍が終了すると、
2013-08-17_kobo_debian.img
というファイルができます。


2. KOBOの内部にアクセス


masao_nakagami_2001のパソコン関係いろいろ

電源ボタンのある角を少し歪ませると、カチッと音がして裏蓋と本体に隙間が出来ます。そこから、プラスチックの板などで順番に開いていくと、数カ所の爪が外れ裏蓋がとれます。写真の赤いカードはスーパーのポイントカードで、クレジットカード程度の厚みのプラスチックの板です。


masao_nakagami_2001のパソコン関係いろいろ

蓋を開いたところです。一番大きな部品がリチウムイオンバッテリーです。その右にあるのがmicroSDカードでこれにOSなどが入っています。それを取り出します。


masao_nakagami_2001のパソコン関係いろいろ

microSDの部分の拡大写真です。この状態ではカードが固定されています。カードの上についている金属部を右にスライドさせると固定が外れてカードが取り出せます。カード取り付け後は、左にスライドさせて固定します。


2. ファームウェアのバックアップ(DD for Windows)


バックアップそのものは2GBのmicroSDをそのまま保存すれば事足りますが、8GB以上のmicroSDに書き込むのにバックアップファイルが必要です。

http://www.si-linux.co.jp/wiki/silinux/index.php?DDforWindows

でDD for Windowsをダウンロードします(下の方の「ダウンロード」に最新バージョンが有り、現在Ver.0996です)。

適当にインストールします。

Kobo本体についていた2GBのmicroSDカードをパソコンに差し込みます。

フォーマットしますかとWindowsが訊いてきますが、フォーマットしたらKoboのファームが消えてしまいますので、フォーマットをしてはいけません。

DD for Windowsを管理者権限で立ち上げます。

 WindowsVista,7,8の場合、管理者権限で実行しないとmicroSDを認識しません。

バックアップファイルを作ります。作り方は以下の通り。

 ディスク選択ボタンで、パソコンに差し込んだmicroSDを指定します。

 ファイル選択ボタンで、パソコンのハードディスクなどの適当な場所(パス)とバックアップを作るためのファイル名を指定します(ここではkobo touch.ddiとしておきます)。

 読込ボタンで下のような画面になり、バックアップファイルが作られます。

masao_nakagami_2001のパソコン関係いろいろ


3. ファームウェアの書き換え(8857A-KBN905C以降は不要)


HxD (他のバイナリエディタでも可)を使って2.で書き出したファイルを書き換えます。8857A-KBN905Cなどの番号は下記の写真のことです。

 

 

HxDを立ち上げ、2.で作った「kobo touch.ddi」と、ダウンロードした「2013-08-17_kobo_debian.img」の中身を表示させます。

kobo touch.ddiの表示から「Ctrl + G」を押し、「8001F」と入力します。写真のあたりを表示しているはずなので、色の付いている場所をコピーします。


2013-08-17_kobo_debian.imgに切り替え、「Ctrl + G」を押し、「8001F」と入力し、色の付いている場所と同じアドレスを指定し貼り付けます。


変更した2013-08-17_kobo_debian.imgを保存します。


4. ファームウェアの大容量microSDへの書き込み(DD for Windows)


上で作ったバックアップファイルを大容量microSDカードに書き込みます(32GBのmicroSDHCまでは可能のようです)。


大容量microSDカード(今回は8GB)をパソコンに差し込みます。


DD for Windowsを管理者権限で立ち上げます。

 WindowsVista,7,8の場合、管理者権限で実行しないとmicroSDを認識しません。

先ほど作ったバックアップファイルをファイル選択ボタンで指定します。

そのままではDDWinのファイルの拡張子ddiしか表示されませんので、ファイルの種類を「All Files」にします。 すると、2013-08-17_kobo_debian.imgが選べるようになります。

大容量microSDカードをディスク選択ボタンで指定します。

このような警告が何回か出ますが「はい」を押します。

書込ボタンでmicroSDカードに書き込みます。

masao_nakagami_2001のパソコン関係いろいろ


この画面のようになり、数十分の後、完了します。SANDISK class4の場合40分程掛かりました。


5. 空き領域の調整

8GBの場合、下の写真のように、空き領域が15MBです。したがって、その15MBを利用してもほとんど利用できる領域が増えませんので、やるだけ面倒だと思う方は、5. は省略すると良いと思います。


16GBや32GBの場合、15MBではなく8GBや24GBくらいの空き容量になっているはずですので、「Move/Resize」を使って、rootfsやKOBOeReaderに振り分けると容量が有効活用できます。あまり変な振り分け方をすると立ち上がらない可能性はありますが。

5. Linux(Debian)を立ち上げます。

上記で作ったmicroSDをkobo本体にセットし、電源をを入れると、若干の時間の白い画面の後、こんな画面が立ち上がります。


本のアイコンはkoboのOS、その上のコンピュータのアイコンがLinux(Debian)です。小さめのWiFiのアイコンはデバッグモードです。とりあえず、Debianを立ち上げます。

↑Debianの初期画面です。

↑左下をクリックするとこのような選択肢が現れます。詳細は6. で。

↑ブラウザを立ち上げたところ。class4では遅すぎてあまり使いたい気分になれない。

↑ゲームの一つ。どこかで見たようなゲームだ。アクションゲームではないため遊ぶことはできる。

6. Devianの若干の説明

初期画面で上のボタンを押すとDevianが立ち上がります。
左下を押すと以下が操作できます。
AppsにFirefox(ブラウザ)、FBReader(電子ブックリーダー)、Calculator。
Gamesにゲーム7種。
UtilsにTerminal。
Debianにエディター、ファイルマネージャー、各種設定など色々。
ConfigにWiFi設定とawesomeで再起動、終了などがあります。

基本的に英語です。

koboのホームボタンは全画面、Windowの切り替えに割り当てられているようです。
あと、WiFiをOnにしないとネットにつながりません。

初期画面で下の本のボタンを押すと普通にkoboの画面が立ち上がります。
Windowsと接続すると、2GBが割り当てられている様で2GB弱の空きがあります。

初期画面でWiFiボタンを押すとデバッグモードが立ち上がります。私は詳しくないので、詳しい方の説明をご覧ください。

■参考リンク
Windows環境でkoboにDebianやAndroidをインストールするためのハック術
kobo/debian(koboのDebian情報)