こんばんは。


高齢者介護施設には

実にいろんなところがあり、

そして、

実にいろんなお年寄りさんがいます。



介護度5とは

介護の面で一番重度なお年寄り、

という意味。

つまり

「寝たきり」

を意味します。



そのお年寄りたちは、自分で「訴える」ことができません。



じゃ、そのお年寄りさんたちに「訴え」はないのか?

そんなはずはありません。

声にならないだけ。

「声にならない訴え」があります。

それを私たちのチームは


「声なき声」


と、呼んでいます。



チームは「寝たきり」の方たちを園庭に案内します。

「寝たきり」だから自分で起きることができません。

介護スタッフが一人一人、車イスに移乗介助し、車イスを押し、

園庭まで案内します。



園庭には5月のさわやかな日差しと、初夏の風。

お年寄りは思い思いの日蔭に陣取ります。

そして、一人の介護スタッフがお年寄りたちに話しかけます。


「山田さん、あれ見える」


指差した先には大きなこいのぼり。


「山田さんは息子さんいるの?」


「そう、3人もいるの。じゃ 家にこいのぼりもあった?」


「え? 田中さんとこのこいのぼりはもっと大きいの?」
「今度見に行ってもいい?」


「なに?森さん、森さんとこはこいのぼりじゃなく兜?」


「こんなやつ?」


スタッフがお手製の紙兜をかぶります。


「似合う?」(笑)


話しかけているのは、


「おしゃべりサークル」の創設者であり、そのスペシャリスト。


もちろん、ただの介護スタッフ。



普段、入浴や食事(下手をすると食事すらベット上)以外は


ずっとベット上で過ごすお年寄りたちに


手を差し伸べます。

「起きたい」とも、
「外に出たい」とも、
「しゃべりたい」とも、
言いません。


声なき声



私たちのチームは常に耳をそばだてています。



そして、その声に応えたのものの一つが、


「おしゃべりサークル」


実際は一人のスタッフしか話してませんが、

まるでそこに集まったお年寄りたちが、

みんなで話しているような不思議な空間が出現します。


暖かい日差しと、

柔らかい風、

弾むような会話、


心地よいひとときがそこにはあります。



目線を合わせ、そっと手をだし、同じ空をみて、やさしく笑う…



寝たきりだって、おしゃべりするぞ!

寝たきりだって、空見に行こう!

寝たきりだって、毎日、みんなといっしょに過ごすんだ!

いっしょに笑ってくれる人たちと~♪




今日も私たちはお年寄りに寄り添います。




寝たきりにはさせない。





一人きりにはさせない。